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原料吹き付け式高効率カーボンナノ構造物製造方法及び装置

国内特許コード P110003897
整理番号 RX03P23
掲載日 2011年7月1日
出願番号 特願2006-514046
登録番号 特許第4674355号
出願日 平成16年6月4日(2004.6.4)
登録日 平成23年2月4日(2011.2.4)
国際出願番号 JP2004008181
国際公開番号 WO2005118473
国際出願日 平成16年6月4日(2004.6.4)
国際公開日 平成17年12月15日(2005.12.15)
発明者
  • 中山 喜萬
  • 長坂 岳志
  • 坂井 徹
  • 林 健
  • 土屋 宏之
  • 李 旭
  • 野坂 俊紀
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
  • 公立大学法人大阪府立大学
  • 大陽日酸株式会社
  • 日新電機株式会社
  • 大阪府
  • 大研化学工業株式会社
発明の名称 原料吹き付け式高効率カーボンナノ構造物製造方法及び装置
発明の概要

タール状副生成物の発生を減少させ、しかもカーボンナノ構造物を高効率に生成するカーボンナノ構造物の製造方法及びその装置を開発する。 本発明に係る原料吹き付け式高効率カーボンナノ構造物製造装置2は、反応管4内に触媒体12を配置し、この触媒体12の近傍をカーボンナノ構造物14の生成温度域にまで加熱する加熱装置6を設け、反応管4内に原料ガスを導入する原料ガス供給管8を設けてその供給管先端8aを触媒体12に接近して配置させ、また原料ガスからタール状生成物が生成されない温度域にまで前記原料ガス供給管8を予熱する予熱装置9から構成される。原料ガス供給管の中ではタール状物質は生成されず、中間温度を跳び越して原料ガスを一気に触媒体に吹き付けるから、反応確率が増大してカーボンナノ構造物の生成収率が増大する。原料ガスの多くが消費されるから、反応管4内にもタール状物質が生成されない。

従来技術、競合技術の概要

カーボンナノ構造物がナノテクノロジーの中核物質として注目を集めている。本発明で云うカーボンナノ構造物とは炭素原子から構成されるナノサイズの物質であり、例えば、コイル状のカーボンナノコイル、チューブ状のカーボンナノチューブ、カーボンナノチューブが捩れを有したカーボンナノツイスト、カーボンナノチューブにビーズが形成されたビーズ付カーボンナノチューブ、カーボンナノチューブが多数林立したカーボンナノブラシ、球殻状のフラーレンなどがある。以下では、これら多数のカーボンナノ構造物のうち、カーボンナノコイルとカーボンナノチューブを例示して本発明の内容を説明する。
カーボンナノコイルは1994年にアメリンクス等(Amelinckx,X.B.Zhang,D.Bernaerts,X.F.Zhang,V.Ivanov and J.B.Nagy,SCIENCE,265(1994)635)によって初めて合成された。また、1999年にリー等(W.Li,S.Xie,W.Liu,R.Zhao,Y.Zhang,W.Zhou and G.Wang,J.Material Sci.,34(1999)2745)が、グラファイトシートの外周に鉄粒子を被覆した触媒を用いてカーボンナノコイルの生成に成功した。しかし、これらは何れも収率が低く、量産には向かなかった。
そこで、本発明者等の一部によって為された特開2001-192204に示される「カーボンナノコイルの製造方法」が開発された。この技術は、インジウム・スズ・鉄系触媒を用いて炭化水素などを原料ガスとして触媒化学気相成長法(CCVD法、Catalyst Chemical Vapor Deposition)によりカーボンナノコイルを大量合成した最初の例である。
また、このインジウム・スズ・鉄系触媒を改良した従来技術には、本発明者等の一部によって為された特開2001-310130に示される「カーボンナノコイル生成用のインジウム・スズ・鉄系触媒の製造方法」がある。この技術は、インジウム・スズ・鉄系触媒を金属有機化合物から合成する方法を示しており、インジウム・スズ・鉄系触媒の量産方法を開示している。
他方、カーボンナノチューブは1991年に飯島澄夫が炭素アーク放電の陰極堆積物中に発見したカーボンナノ構造物である。それ以後、カーボンナノチューブの大量合成法が研究され、近年に至って、特開2002-180251及び特開2002-180252に示される「カーボンナノチューブの製造方法」が公開されるに至った。
前者は、アルカリ金属の含有量が0.05%以下の高純度アルミナに触媒金属を含有させた活性基体に400~500℃の温度で有機炭素原料をCVD法により熱分解してカーボンナノチューブを大量合成する技術である。また、後者は、触媒金属を0.001~0.005モル/mの割合で蒸着させて形成した活性基体上に、1100~1250℃の温度で有機炭素原料を熱分解してカーボンナノチューブを大量合成する技術である。
以上のように、従来の製法開発は、カーボンナノ構造物の大量合成用の触媒を開発すると同時に、合成温度などの製造条件の改良が中心であった。ところが、最近では、大量合成には成功したが、無用な副生成物が発生するという問題が惹起してきた。
図19は従来のカーボンナノ構造物製造装置40をカーボンナノコイルの生成に用いた場合の概略構成図である。カーボンナノ構造物製造装置40は、特開2001-192204に示されるように、反応管4の外周に反応領域加熱用ヒータ6を配置し、この反応領域加熱用ヒータ6により均一温度に設定された反応温度領域を反応領域10とし、この反応領域10に触媒体12を配置して構成されている。触媒体12にはインジウム・スズ・鉄からなるカーボンナノコイル生成用触媒が使用された。
キャリアガスとしてHe、原料ガスとしてCを用い、HeとCを適正な流量比で混合した混合ガスを矢印c方向に流通させる。反応領域10は700℃に、反応時間は1時間に設定された。その結果、触媒体12の表面には、Cが分解して、カーボンナノコイルからなるカーボンナノ構造物14が成長した。
ところが、反応管4の内面にタール状副生成物16が分散状に密着していることが確認された。このタール状副生成物を分析したところ、芳香族炭化水素と判定された。アルキル基は非常に少なく、パラフィン系炭化水素の含有はないと判定された。タール状副生成物16のFTIR法により得られた赤外スペクトルを分析したところ、ナフタレン、アントラセン等の縮合芳香環物質、縮合芳香環物質のCH置換物質、或いは高縮合芳香環物質の結合物質、それら多成分の混合物だと推定される。
タール状副生成物16の付着している場所は、反応領域10の前後に位置する反応管4の内面であり、反応領域10の内面にはほとんど存在しないことが分かった。タール状副生成物16は黒色で反応管を汚し、しかも洗浄作業が面倒であると同時に、洗浄不能の場所に付着すると清浄化できなくなるという問題がある。
また、カーボンナノコイルは通常程度の密度で生成したが、C濃度を低下させるとその成長密度も低下することが確認された。この原因は、反応管4の断面全体に混合ガスを流すため、矢印e方向に流れたCガスは触媒体12と接触してカーボンナノコイル14へと反応転換されるが、矢印d方向のように触媒体12から遠方を流れるCガスは反応せずにそのまま通過し、大量の未反応原料ガスを下流側に流出させてしまうからである。
タール状副生成物16が形成されるだけでもカーボンナノコイルの収率低下をもたらすが、Cガスが触媒体12と接触しない場合には反応自体も起こらず、これら二つの事情が収率低下の原因と考えられる。
図20は従来のカーボンナノ構造物製造装置40をカーボンナノチューブの生成に用いた場合の概略構成図である。カーボンナノ構造物製造装置40の構成は図19と同様であり、異なる点は次の2点である。
第1の相違点は、触媒体12として、ナトリウム含量が0.01%以下である高純度γ―アルミナペレット(99.95%以上)にNiを焼結させた触媒が使用されたことである。第2の相違点は、触媒体の近傍を500℃に保持して適正な流量比で混合されたCHとArの混合ガスを矢印c方向に流通させたことである。
その結果、ペレットからなる触媒体12の表面にカーボンナノチューブからなるカーボンナノ構造物14が通常の密度で生成されることが分かった。しかし、上記従来技術と同様に、タール状副生成物16が反応領域10の前後において反応管4の内面に黒く密着することが確認された。また、カーボンナノチューブの成長密度が通常の密度以上には向上しないことも確認された。これらの原因は、矢印d方向に流れるCHが反応に貢献しないこと、しかも原料ガスであるCHの多くがタール状副生成物16の生成に使われることにあると考えられる。
以上のように、従来の製造方法や製造装置では、反応管の内面に無視できない量のタール状副生成物が形成され、しかもカーボンナノ構造物の生成収率も十分には向上しないことが分かった。最近では、カーボンナノ構造物を高純度且つ高密度に生成するためには、これらの課題を解決することが緊急に必要であると認識されるようになっている。
従って、本発明に係るカーボンナノ構造物の製造方法及び装置は、反応方法及び反応装置を改良することにより、カーボンナノ構造物の生成過程でタール状副生成物の発生を減少させ、しかも原料ガスを効率的に反応させてカーボンナノ構造物の生成収率を格段に向上することを目的とする。

産業上の利用分野

本発明は原料ガスから触媒化学気相成長法によりカーボンナノ構造物を製造する方法に関し、更に詳細には、原料ガスから高効率にカーボンナノ構造物を生成し、また原料ガスから生成されるタール状副生成物を低減できるカーボンナノ構造物製造方法及び装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】 カーボンナノコイル、カーボンナノチューブ、カーボンナノツイスト、ビーズ付きカーボンナノチューブ、およびカーボンナノブラシのいずれかのカーボンナノ構造体の生成温度域の下限値以上の温度まで反応領域を加熱するステップと、
前記カーボンナノ構造体の生成に寄与する触媒粉体を前記反応領域に配置された触媒粉体供給管の先端から前記反応領域へ供給するステップと
前記カーボンナノ構造体の原料ガスを前記触媒粉体と接触させる前に、前記原料ガスからタール状副生成物が生成される温度域の下限値よりも低い温度まで前記原料ガスを予熱するステップと、
前記原料ガスを前記反応領域へ吹き付けることにより、前記粉末触媒と予熱された前記原料ガスとを加熱された前記反応領域で接触させるステップとを備えた、原料吹き付け式高効率カーボンナノ構造物製造方法。
【請求項2】 原料ガスからカーボンナノコイル、カーボンナノチューブ、カーボンナノツイスト、ビーズ付きカーボンナノチューブ、およびカーボンナノブラシのいずれかのカーボンナノ構造体を製造する装置であって、
前記カーボンナノ構造体の生成に寄与する触媒粉体が配置され得る反応領域と、
前記反応領域を前記カーボンナノ構造体の生成温度域の下限値以上の温度まで加熱し得る加熱装置と、
前記反応領域に前記カーボンナノ構造体の原料ガスを導入し得るように、原料ガス吹出し口が前記触媒粉体に向けて配置された原料ガス供給管と、
前記原料ガスからタール状生成物が生成される温度域の下限値よりも低い温度に前記原料ガス供給管を予熱し得る予熱装置と、
前記反応領域に前記触媒粉体を供給し得るように配置された触媒粉体供給管と、
前記触媒粉体供給管を予熱し得る予熱装置とを備え、
前記原料ガスと前記触媒粉体とを接触させるように、前記原料ガス吹出し口から前記触媒粉体が供給されかつ加熱された前記反応領域へ予熱された前記原料ガスを吹き付け得る、原料吹き付け式高効率カーボンナノ構造物製造装置。
【請求項3】 前記触媒粉体として、第4周期のSc~Cu、第5周期のY~Ag、および第6周期のLa~Auの遷移金属元素から選択された元素をAとすると、AInC、ASnC、AInSnC、AInO、ASnO、AInSnO、AAlSnO、ACrSnO、AAlSn、ACrSn、またはAInSnが用いられる、請求項に記載の原料吹き付け式高効率カーボンナノ構造物製造方法。
【請求項4】 前記触媒粉体として、FeIn、FeSn、またはFeInSnが用いられる、請求項に記載の原料吹き付け式高効率カーボンナノ構造物製造方法。
【請求項5】 前記触媒粉体として、第4周期のSc~Cu、第5周期のY~Ag、および第6周期のLa~Auの遷移金属元素から選択された元素をAとすると、AInC、ASnC、AInSnC、AInO、ASnO、AInSnO、AAlSnO、ACrSnO、AAlSn、ACrSn、またはAInSnが用いられる、請求項に記載の原料吹き付け式高効率カーボンナノ構造物製造装置。
【請求項6】 前記触媒粉体として、FeIn、FeSn、またはFeInSnが用いられる、請求項に記載の原料吹き付け式高効率カーボンナノ構造物製造装置。
産業区分
  • 無機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2006514046thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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