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赤外光検出器 コモンズ

国内特許コード P110003917
整理番号 B15P07
掲載日 2011年7月4日
出願番号 特願2006-528936
登録番号 特許第4281094号
出願日 平成17年7月6日(2005.7.6)
登録日 平成21年3月27日(2009.3.27)
国際出願番号 JP2005012486
国際公開番号 WO2006006469
国際出願日 平成17年7月6日(2005.7.6)
国際公開日 平成18年1月19日(2006.1.19)
優先権データ
  • 特願2004-203879 (2004.7.9) JP
  • 特願2004-368579 (2004.12.20) JP
発明者
  • 小宮山 進
  • アン センファ
  • チャン ジュンジョン
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 赤外光検出器 コモンズ
発明の概要 波長数μmから数百μmまでの広い波長範囲で、単一光子の検出を高効率で行うことができ、且つ、アレー化に適した赤外光検出器であって、マイクロストリップアンテナのパッチ部(36)の面に平行な振動電界を有する赤外光フォトン(37)が入射して共振し、その振動電界がz方向の振動電界(38z)に変換され、量子ドット(24a)中の基底状態サブバンド(30)の電子(39)はz方向の振動電界(38z)を吸収して第1励起状態サブバンド(31)に励起され、ポテンシャル障壁(32)をトンネリングして-z方向の量子井戸(26)に脱出し吸収される。電子(39)の脱出による量子ドット(24a)のイオン化電界はポイントコンタクト(26e)の電導度を変化させ、イオン化状態は長く続くのでソース(26a)からドレイン(26b)に流れる電流(42)の変化の積分値は検出可能な大きさとなり、赤外光フォトン1個の検出が可能な感度を達成できる。
従来技術、競合技術の概要


従来のこの種の赤外光検出器として、以下に示す3種類がある。
第1に、半導体2次元量子井戸のサブバンド間励起にともなう光伝導現象を用いる2次元量子井戸赤外光検出器(QWIP:Quantum Well Infrared Photodetector )であり、波長3ミクロンから20ミクロン程度の中赤外光領域の検出器として広く知られている(B. F. Levine, J. Appl. Phys. 74, R1-R81 (1993)参照)。しかし、この検出器は、上記文献1の図8に示されているように、赤外光の吸収によって2次元サブバンド間励起された自由電子を、半導体2次元量子井戸を挟む電極間の電流として検出するものであり、自由電子一個による微少電流を検出することは不可能であることから、単一光子を検出できるレベルには遠く及ばず、感度D* は、D* =1010cmHz0.5 /Wのオーダーである。



第2に、波長100μm(ミクロン)から600μm程度の遠赤外光領域では半導体量子ドットおよび単電子トランジスタ(Single electron transistor)を用いた単一光子検出器が提案され、実現されている(特開2001-119041号公報、U.S. Patent No. 6,627,914 、S. Komiyama et al., Nature 403, p.405(2000) 、O. Astafiev et al., Appl. Phys. Lett. 80, 4250(2002)参照)。この検出器は、半導体量子ドットの電子が遠赤外フォトンを吸収して励起されることにより、この半導体量子ドットが長時間分極又はイオン化するように構成されており、分極又はイオン化によるポテンシャルの変化によって単一電子トランジスタを駆動するものである。この検出器によれば、半導体量子ドットが長時間分極又はイオン化しているので、遠赤外フォトン一個の吸収であっても単電子トランジスタ電流値の変化の積分値が検出可能な大きさとなり、遠赤外フォトン一個の吸収をも検出できる。しかしながら、この検出器はミリ波・遠赤外領域を対象とした測定器であり、数十ミクロンより短波長の中赤外領域では動作しない。すなわち、この検出器は面内サイズ効果による量子準位、面内プラズマ振動、面内軌道運動のランダウ準位等の準位間遷移を利用したものであり、これらの準位間隔はミリ波・遠赤外領域のエネルギーに対応しており、このため、数十ミクロンより短波長領域の赤外光は検出できない。上記短波長領域でも動作させるためには、2次元サブバンド間遷移を利用し、且つ、2次元サブバンド間遷移を選択的に引き起こす必要があるが、そのためには集光メカニズムと検出メカニズム双方に新たな物理的メカニズムとそれを機能させる素子構造が必要となる。



第3に、半導体2次元量子井戸の2次元サブバンド間遷移によって単一の光子を検出する量子井戸型検出器が提案されている(特開2004-214383参照)。この検出器は、図32(a)に示すように、半導体メサ構造191と半導体メサ構造191上に単電子トランジスタ192を有し、メサ構造191の電子エネルギー障壁は同図(b)に示すような構造に設計されている。赤外光190の吸収によって、半導体メサ構造191の量子ドット193中の電子194がサブバンド間遷移を引き起こして垂直方向に脱出し電極195に吸収される。電子194の脱出による量子ドット193のイオン化状態は長時間継続し、イオン化電荷196による単電子トランジスタ電流の変化を検出して赤外光190を検知する。この検出器は、2次元サブバンド間遷移によって半導体量子ドットが長時間イオン化する構成と、このイオン化ポテンシャルで単電子トランジスタを駆動する構成とを有し、また、単電子トランジスタの電極がアンテナ効果を有し、遠赤外光を量子井戸部分に効率よく集光すると記載されているが、2次元サブバンド間遷移を選択的に引き起こすための電磁波と量子ドットとの結合手段がないため、感度が悪い。また、励起電子194の脱出のための量子井戸構造の設計が難しい。さらに、GaAs系等のヘテロエピタキシャル半導体基板から形成した量子井戸上に、AlやAl2 3 等の金属や金属酸化物からなる単電子トランジスタを作製する構造であるため、作製中に、半導体量子井戸表面が酸化されて劣化が生じやすく、極めて高い歩止まりが要求されるアレー型の赤外検出器には向かない構造である。

産業上の利用分野


本発明は赤外光計測技術に係り、特にビデオ信号を検出するのに好適な赤外光検出器に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】 入射赤外光子を吸収し励起電子を生成する、周囲から電気的に孤立した孤立2次元電子層と、
上記入射赤外光子を上記孤立2次元電子層に集中する手段と、
上記入射赤外光子の吸収により励起された電子を上記孤立2次元電子層から脱出させて孤立2次元電子層を帯電させる手段と、
上記孤立2次元電子層の帯電によって電流が変化し、且つ、帯電状態が持続する間この電流変化が維持される電荷敏感トランジスタとを有する赤外光検出器において、
上記入射赤外光子を上記孤立2次元電子層に集中すると共に、孤立2次元電子層面に垂直な入射赤外光子の振動電場成分を生成し、上記孤立2次元電子層内の電子を選択的に2次元サブバンド間励起させる手段を付加したことを特徴とする、赤外光検出器。
【請求項2】 前記孤立2次元電子層が量子ドットであり、
前記選択的に2次元サブバンド間励起させる手段が、上記量子ドットを挟んで配するマイクロストリップアンテナであり、
前記孤立2次元電子層を帯電させる手段が、上記量子ドットの下面に配するトンネル障壁層と、このトンネル障壁層の下面に配するポイントコンタクト・トランジスタのソース電極及びドレイン電極とからなり、
前記電荷敏感トランジスタが、上記ポイントコンタクト・トランジスタであることを特徴とする、請求の範囲1に記載の赤外光検出器。
【請求項3】 前記孤立2次元電子層が量子ドットであり、
前記選択的に2次元サブバンド間励起させる手段が、上記量子ドットを挟んで配するマイクロストリップアンテナであり、
前記孤立2次元電子層を帯電させる手段が、上記量子ドットの面内方向横手に配するゲート電極とこのゲート電極の横手に配する脱出電極とからなり、
前記電荷敏感トランジスタが、上記量子ドット直上に配する単電子トランジスタであることを特徴とする、請求の範囲1に記載の赤外光検出器。
【請求項4】 前記孤立2次元電子層が量子ドットであり、
前記選択的に2次元サブバンド間励起させる手段が、上記量子ドットを挟んで配するマイクロストリップアンテナであり、
前記孤立2次元電子層を帯電させる手段が上記量子ドットの面内方向横手に配するゲート電極とこのゲート電極の横手に配する脱出電極とからなり、
前記電荷敏感トランジスタが、上記ゲート電極の横手に配するポイントコンタクト・トランジスタであることを特徴とする、請求の範囲1に記載の赤外光検出器。
【請求項5】 前記孤立2次元電子層が量子ドットであり、
前記選択的に2次元サブバンド間励起させる手段が、上記量子ドットを挟んで形成したマイクロストリップアンテナであり、
前記孤立2次元電子層を帯電させる手段が、上記量子ドットの面内方向横手に配するゲート電極とこのゲート電極の横手に配する脱出電極とからなり、
前記電荷敏感トランジスタが、上記量子ドットの直下に配するポイントコンタクト・トランジスタであることを特徴とする、請求の範囲1に記載の赤外光検出器。
【請求項6】 前記孤立2次元電子層が量子プレートであり、
前記選択的に2次元サブバンド間励起させる手段が、上記量子プレートを挟んで配するマイクロストリップアンテナであり、
前記孤立2次元電子層を帯電させる手段が、上記量子プレートの下面に配するトンネル障壁層と、このトンネル障壁層を介して配するポイントコンタクト・ネットワーク・トランジスタの2次元電子層とからなり、
前記電荷敏感トランジスタが、上記ポイントコンタクト・ネットワーク・トランジスタであることを特徴とする、請求の範囲1に記載の赤外光検出器。
【請求項7】 前記孤立2次元電子層、前記選択的に2次元サブバンド間励起させる手段、前記孤立2次元電子層を帯電させる手段及び前記電荷敏感トランジスタが、同一の半導体多層ヘテロエピタキシャル成長基板から形成されることを特徴とする、請求の範囲1に記載の赤外光検出器。
【請求項8】 前記ポイントコンタクト・トランジスタは、2次元電子層と、この2次元電子層の2次元電子の存在領域をサブミクロン・サイズまで狭窄するゲート電極と、サブミクロン・サイズまで狭窄した2次元電子の存在領域であるポイントと接続するソース電極及びドレイン電極とからなることを特徴とする、請求の範囲2、4又は5の何れかに記載の赤外光検出器。
【請求項9】 前記ポイントコンタクト・ネットワーク・トランジスタは、2次元電子層と、この2次元電子層を空乏化直前まで空乏化し、サブミクロン・サイズまで狭窄した2次元電子の存在領域であるポイントコンタクトからなるネットワークを形成する裏面ゲート電極と、上記2次元電子層の両端に接続するソース電極及びドレイン電極とからなることを特徴とする、請求の範囲6に記載の赤外光検出器。
【請求項10】 請求の範囲1~9の何れかに記載の赤外光検出器を、直列アレー型に接続したことを特徴とる、赤外光検出器。
【請求項11】 請求の範囲1~9の何れかに記載の赤外光検出器を、2次元マトリクス型に接続したことを特徴とする、赤外光検出器。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) SORST 平成13年度採択課題
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