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不揮発性相変化磁性材料、その製造方法及びそれを用いた不揮発性相変化磁気メモリ コモンズ

国内特許コード P110003931
整理番号 N031P27
掲載日 2011年7月4日
出願番号 特願2006-532739
登録番号 特許第4423647号
出願日 平成17年8月30日(2005.8.30)
登録日 平成21年12月18日(2009.12.18)
国際出願番号 JP2005015808
国際公開番号 WO2006025413
国際出願日 平成17年8月30日(2005.8.30)
国際公開日 平成18年3月9日(2006.3.9)
優先権データ
  • 特願2004-251051 (2004.8.30) JP
発明者
  • ▲高▼木 英典
  • 高山 知弘
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 不揮発性相変化磁性材料、その製造方法及びそれを用いた不揮発性相変化磁気メモリ コモンズ
発明の概要 現状の光ディスクやハードディスクよりもコスト、寿命、消費エネルギー及び記録密度を向上できる、新たな動作原理に基づくメモリ及びその製造方法を提供する。
不揮発性相変化磁気メモリは、基板と基板上に搭載した化学量論比組成より遷移金属が欠損した組成の遷移金属カルコゲナイドの膜とからなり、この膜の微小部分に印加する温度履歴により、この膜の微小部分を、遷移金属(2)の空孔(4)が規則的に配列した強磁性相(1)又は遷移金属(2)の空孔(4)が無秩序に配列した反強磁性相(7)に形成し、強磁性相(1)又は反強磁性相(7)に基づく磁化を記録情報とする。
従来技術、競合技術の概要


近年のデジタル化技術の発展はめざましく、映画一本分に相当する映像信号をデジタル情報として一枚の光ディスクに記録できるようになった。このように膨大な量のデジタル情報を一枚の光ディスクに納めることが可能になった理由の一つとして、光ディスク記録媒体の進歩が挙げられる。光ディスクには、光磁気記録型と相変化型とがあるが、いずれも、希土類元素と遷移金属元素の化合物からなる相変態温度の低いアモルファス薄膜を使用することにより高密度高効率記録を可能にしたものである(非特許文献1参照)。



しかしながら、希土類元素は埋蔵量が少なく高コストであると言う課題がある。また、アモルファス膜の組成が複雑であるため、長期間繰り返して書き込み消去を続けると、アモルファス膜の組成変動が生じて書き込み・消去ができなくなると言う課題がある。また磁化する際には、記録領域の物質全体の結晶構造を組み替えてアモルファス化する必要があり、そのための消費エネルギーが大きいと言う課題がある。



また従来の、磁気テープやハードディスクへの磁気記録方法は、数個の磁性微粒子を記憶領域としたものであるので、磁性微粒子の大きさによって記録密度が制限される。磁性微粒子の微細化にも限界があり、記録密度を現状以上に向上することが困難である。



また、記録密度向上への要求は留まるところを知らず、例えば近接場光技術を利用して、読み出し・書き込み用レーザー光の回折限界を超えて記録しようという試みも始まっている(非特許文献2参照)。しかしながら、記録密度を高めるためには、記録方式の改良のみでなく、その記録密度に耐えられる新たな動作原理に基づく材料の開発が必要不可欠である。



さらに、不揮発性相変化磁性材料は、メモリ応用に限らず、例えば、磁気トナーをインクとする複写機の磁気潜像形成用材料として利用できる。例えば、不揮発性相変化磁性材料をドラム表面に塗布し、このドラム表面に、レーザービームを照射して不揮発性相変化により磁気潜像を形成し、この磁気潜像に磁気トナーを付着させて紙に印刷することにより複写ができる。従来は磁気記録用磁気潜像材料として強磁性体膜が使用され、強磁性体膜を磁気ヘッドで磁化して磁気潜像を形成しているが、磁性体微粒子の大きさによって記録密度が制限され、像の分解能が限界に近づいており、より高精細の像を記録できる、磁性材料が求められている。
【非特許文献1】
原田益水 著 “新デジタル映像技術のすべて”電波新聞社発行2001年10月31日 第1刷 163頁
【非特許文献2】
原田益水 著 “新デジタル映像技術のすべて”電波新聞社発行2001年10月31日 第1刷 166頁
【非特許文献3】
Atsushi Okazaki.“The Superstructure of Iron Selenide Fe7 Se8 ” Journal of the Physical Society of Japan vol.16,No.6,p1162(1961)

産業上の利用分野


本発明は、新規の現象に基づく不揮発性相変化磁性材料とその製造方法、並びにそれを用いた不揮発性相変化磁気メモリに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】組成式がAX(但し、Aは遷移金属元素、Xはカルコゲン元素、0<y<1)で表され、遷移金属原子のスピンが結晶c面内においては強磁性的に結合しc面間では反強磁性的に結合した磁気構造を有して結晶全体として強磁性的磁気特性を示し、且つ、上記遷移金属の空孔が存在するc面と該空孔が存在しないc面とが交互に積み重なる空孔分布の規則構造を有し、化学量論比組成より遷移金属が欠損した組成の遷移金属カルコゲナイド化合物の結晶であって、
第1の温度履歴を印加することにより、上記空孔分布の規則構造が、全てのc面に空孔が不規則に分布する不規則構造に変化して、結晶全体として反強磁性的磁気特性を示すことを特徴とする、不揮発性相変化磁性材料。
【請求項4】 前記第1の温度履歴を印加した遷移金属カルコゲナイド化合物の結晶は、第2の温度履歴を印加することにより、前記空孔分布の不規則構造が前記空孔分布の規則構造に戻り、結晶全体として強磁性的磁気特性を示すことを特徴とする、請求項1に記載の不揮発性相変化磁性材料。
【請求項5】 前記第1の温度履歴は、前記空孔分布の規則構造が消失する温度に加熱し、且つ、急冷する温度履歴であることを特徴とする、請求項4に記載の不揮発性相変化磁性材料。
【請求項6】 前記第2の温度履歴の一つは、前記空孔が拡散できると共に前記空孔分布の規則構造が維持される温度に加熱し、且つ、急冷又は徐冷する温度履歴であることを特徴とする、請求項4に記載の不揮発性相変化磁性材料。
【請求項7】 前記第2の温度履歴の他の一つは、前記空孔分布の規則構造が消失する温度に加熱し、且つ、徐冷する温度履歴であることを特徴とする、請求項4に記載の不揮発性相変化磁性材料。
【請求項8】前記遷移金属カルコゲナイド化合物の結晶の組成式は、FeS、但し、0.875<y<0.93で表されることを特徴とする、請求項1に記載の不揮発性相変化磁性材料。
【請求項9】気相成長法、気相堆積法又はスパッタ法により、遷移金属とカルコゲン元素とを所定の割合で、所定の温度に加熱した基板上に堆積することにより、請求項1,4~8の何れかに記載の不揮発性相変化磁性材料を得ることを特徴とする、不揮発性相変化磁性材料の製造方法。
【請求項10】遷移金属粉末とカルコゲン元素の粉末とを所定の割合で混合し、この混合粉末を所定の温度で加熱して焼結体を形成し、この焼結体を基板上に塗布することにより、請求項1,4~8の何れかに記載の不揮発性相変化磁性材料を得ることを特徴とする、不揮発性相変化磁性材料の製造方法。
【請求項11】 基板と、
この基板に搭載され、化学量論比組成より遷移金属が欠損した組成の遷移金属カルコゲナイド化合物の結晶であり、組成式がAX(但し、Aは遷移金属元素、Xはカルコゲン元素、0<y<1)で表される膜と、からなり、
上記遷移金属カルコゲナイド化合物の結晶は、遷移金属原子のスピンが結晶c面内においては強磁性的に結合しておりc面間では反強磁性的に結合しており、且つ、上記遷移金属の欠損である空孔が、該空孔が存在するc面と該空孔が存在しないc面とが交互に積み重なるように分布する規則構造を有して結晶全体として強磁性的磁気特性を示し、
上記遷移金属カルコゲナイド化合物の結晶は、第1の温度履歴を印加することにより、上記空孔分布の規則構造が、空孔が全てのc面に不規則に分布する不規則構造に変化して結晶全体として反強磁性的磁気特性を示し、
上記第1の温度履歴を印加した遷移金属カルコゲナイド化合物の結晶は、第2の温度履歴を印加することにより上記空孔分布の不規則構造が上記空孔分布の規則構造に戻って結晶全体として強磁性的磁気特性を示し、
上記第1の温度履歴は、上記空孔分布の規則構造が消失する温度に加熱し、且つ、急冷する温度履歴であり、
上記第2の温度履歴の一つは、上記空孔が拡散できると共に上記空孔分布の規則構造が維持される温度に加熱し、且つ、急冷又は徐冷する温度履歴であり、
上記第2の温度履歴の他の一つは、上記空孔分布の規則構造が消失する温度に加熱し、且つ徐冷する温度履歴であり、
上記膜の微小部分に上記第1の温度履歴を印加して微小部分の相を反強磁性相に、又は、上記第2の温度履歴のいずれか一つを印加して上記微小部分の相を強磁性相に形成し、上記反強磁性相又は強磁性相に基づく磁化を上記微小部分に記録された記録情報とすることを特徴とする、不揮発性相変化磁気メモリ。
【請求項12】 前記遷移金属カルコゲナイド化合物結晶の膜は、前記第2の温度履歴のいずれかを印加して形成した前記強磁性相膜であり、
この強磁性相膜の微小部分に、前記第1の温度履歴を生起するレーザー光パルスを照射して前記微小部分を反強磁性相に形成することにより磁化を消去して情報を書き込み、
前記膜の微小部分にレーザー光を照射して、前記微小部分の磁化に基づく前記レーザー光の反射光のカー効果又はファラデー効果を検知して情報を読みとり、または、前記微小部分の磁化を磁気抵抗効果により検知することで情報を読みとり、
前記膜の微小部分に前記第2の温度履歴の何れかを生起するレーザー光パルスを照射して前記微小部分を強磁性相に形成することにより磁化を発生させて記録した情報を消去することを特徴とする、請求項11に記載の不揮発性相変化磁気メモリ。
【請求項13】 前記遷移金属カルコゲナイドの膜は、前記第1の温度履歴を印加して形成した前記反強磁性相膜であり、
この反強磁性膜の微小部分に、前記第2の温度履歴の何れかを生起するレーザー光パルスを照射して、前記微小部分を強磁性相に形成することにより磁化を発生させて情報を書き込み、
前記膜の微小部分にレーザー光を照射して、前記微小部分の磁化に基づく前記レーザー光の反射光のカー効果又はファラデー効果を検知して情報を読みとり、または、前記微小部分の磁化を磁気抵抗効果により検知することで情報を読みとり、
前記膜の微小部分に前記第1の温度履歴を生起するレーザー光パルスを照射して前記微小部分を反強磁性相に形成することにより磁化を消去して、記録した情報を消去することを特徴とする、請求項11に記載の不揮発性相変化磁気メモリ。
【請求項14】前記遷移金属カルコゲナイド化合物の結晶の組成式は、FeS、但し、0.875<y<0.93で表されることを特徴とする、請求項11に記載の不揮発性相変化磁気メモリ。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 高度情報処理・通信の実現に向けたナノ構造体材料の制御と利用 領域
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