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セラミック粒子群およびその製造方法並びにその利用 実績あり

国内特許コード P110003934
整理番号 K020P61
掲載日 2011年7月4日
出願番号 特願2006-535147
登録番号 特許第5043436号
出願日 平成17年9月13日(2005.9.13)
登録日 平成24年7月20日(2012.7.20)
国際出願番号 JP2005016837
国際公開番号 WO2006030782
国際出願日 平成17年9月13日(2005.9.13)
国際公開日 平成18年3月23日(2006.3.23)
優先権データ
  • 特願2004-267404 (2004.9.14) JP
  • 特願2005-041348 (2005.2.17) JP
発明者
  • 古薗 勉
  • 岡田 正弘
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 財団法人ヒューマンサイエンス振興財団
発明の名称 セラミック粒子群およびその製造方法並びにその利用 実績あり
発明の概要 本発明は、溶媒中で単結晶一次粒子で分散するセラミック粒子群、およびその製造方法、並びにその粒子群の用途を提供することを目的としている。本発明にかかる製造方法の一態様は、ハイドロキシアパタイト(HAp)の焼結体粒子(セラミック粒子)群の製造に際し、ハイドロキシアパタイト(HAp)の一次粒子間に炭酸カルシウムを介在させた状態で焼結させた後、炭酸カルシウムを水で溶解させて除去する工程を含む。当該製造方法によって得られたハイドロキシアパタイト(HAp)焼結体粒子群は、粒子径が約70~約120nmのナノメートルサイズ粒子で、かつその粒子径が均一な粒子群(変動係数12%)であり、さらに溶媒中でその96%が単結晶一次粒子として分散するものであった。
従来技術、競合技術の概要

近年、ハイドロキシアパタイト(以下、適宜「HAp」と表記する)を代表とするリン酸カルシウム(以下、適宜「CaP」と表記する)は、その生体適合性の高さから生体材料として注目されている。例えば、リン酸カルシウム(CaP)、特にハイドロキシアパタイト(HAp)が、人工関節、骨充填剤、人工骨、人工歯根、経皮端子、歯科用充填剤セメント等に利用されている。また、シリコーンゴムやポリウレタン等の高分子医療用材料に生体活性を付与するために、ハイドロキシアパタイト(HAp)等のリン酸カルシウム(CaP)を高分子医療用材料に結合させる場合がある。またこの他、クロマトグラフィー用の充填剤としても利用されている。


上記のごとくハイドロキシアパタイト(HAp)等のリン酸カルシウム(CaP)を医療用材料、高分子医療用材料に結合させる場合やクロマトグラフィー用の充填剤として利用する場合においては、生体内での安定性の向上や成形性を確保するため、ハイドロキシアパタイト(HAp)等のリン酸カルシウム(CaP)を焼結して得られる焼結体、すなわちセラミックであることが好ましいとされている。さらに、高分子医療用材料の均一なコーティングの実現や、クロマトグラフィーにおける分離能の向上のためには、粒子径が微細であること、および粒子径が均一である(すなわち粒度分布が狭い)ことが求められている。


ところで、上記ハイドロキシアパタイト(HAp)を始めとするリン酸カルシウム(CaP)の粒子の一般的な製造方法としては、湿式法、熱水法および乾式法等が用いられている。このうち、工業的には、大量合成が可能である湿式法が主として採用されている。この湿式法の具体的な方法としては、例えば、非特許文献1に開示されているように、常温下にて、水酸化カルシウムのスラリーにリン酸を滴下してリン酸カルシウムを製造する沈殿法や、リン酸カルシウム二水和物と炭酸カルシウムとを反応させることによりリン酸カルシウムを製造する加水分解法等が知られている。


また、リン酸カルシウム(Cap)粒子を乾燥して焼結体粒子(セラミック粒子)を製造する方法としては、800℃から1200℃の高温で焼結させるか、非特許文献2、3等に開示されているように、スプレードライ法を用いて製造する方法がある。上記スプレードライ法とは、有効物質を含む溶液または懸濁液(スラリー)等の分散液を微粒化して、この微粒子を高温気流との接触により瞬時に固化する手法である。つまり、リン酸カルシウム(CaP)一次粒子を含む溶液または懸濁液を、高温気流とともに噴射することで、微小なリン酸カルシウムからなる球形状の粒子を形成することができるという手法である。


また非特許文献4には、リン酸カルシウムを含む原料液を液体窒素中に滴下してリン酸カルシウム粒子を調製し、当該リン酸カルシウム粒子を焼成してリン酸カルシウム焼結体粒子を製造する方法こと、および当該方法により得られたリン酸カルシウム焼結体粒子(粒子径450μm~3000μm)が記載されている。


また非特許文献5には、ドリップ-キャスティングプロセスを用いてハイドロキシアパタイト粒子を調製し、当該ハイドロキシアパタイト粒子を焼成してハイドロキシアパタイト焼結体粒子を製造する方法、および当該方法により得られたハイドロキシアパタイト焼結体粒子(粒子径0.7mm~4mm)が記載されている。


〔非特許文献1〕
Inorganic Materials,Vol2 No.258,393-400(1995),「水酸アパタイトおよび関連リン酸塩類の結晶および結晶集合体の形態制御」松田 信行、若菜 穣、鍛冶 文宏
〔非特許文献2〕
P.Luo and T.G.Nieh Biomaterials,17,1959(1996),“Preparing hydroxyapatite powders with controlled morphology”
〔非特許文献3〕
L.J.Cummings,P.Tunon,T.Ogawa,Spec.Publ.R.Soc.Chem.158,134(1994)”Macro-Prep Ceramic Hydroxyapatite-New Life for an Old Chromatographic Technique.”
〔非特許文献4〕
Biomaterials 1994,Vol.15 No.6,M.Fabbri,G.C.Celotti and A.Ravaglioli,“Granulates based on calcium phosphate with controlled morphology and porosity for medical applications:physico-chemical parameters and production technique”
〔非特許文献5〕
Biomaterials 1996,Vol.17 No.20,Dean-Mo Liu,“Fabrication and characterization of porous hydroxyapatite granules”
ところで、本発明者らは、生体組織、特に皮下細胞のような軟組織に対して生体適合性を示すデバイスの開発をめざし、化学結合を介したハイドロキシアパタイト(HAp)/高分子複合体の合成に関する研究を行なってきている。このとき、ハイドロキシアパタイト(HAp)の結晶性を高めることで生体内での溶解性、分解性を低減させることを目的とし、800℃にて焼結(仮焼)させて単結晶ハイドロキシアパタイト粒子(セラミック粒子)を作製している。高分子基材表面上にハイドロキシアパタイト(HAp)粒子が強固に化学結合を形成するためには、高分子基材への吸着時における媒体への分散性が重要となる。しかし、この焼結の際にハイドロキシアパタイト(HAp)粒子(一次粒子)間の融着により結合が生じ、一次粒子が結合した不定形な二次粒子となり、分散性および比表面積が低下してしまうという問題点があった。


また、上記非特許文献2,3等に開示されている作製方法(スプレードライ法)であっても、同様に一次粒子が融着した不定形の二次粒子が形成され、分散性および比表面積が低下してしまう。またリン酸カルシウム(CaP)粒子の粒子径を均一に制御する(粒度分布を或る一定の範囲以下に制御する)ことができない。すなわち、上記スプレードライ法では、溶液または懸濁液を高温気流とともに噴射することにより、リン酸カルシウム(CaP)の微粒子(一次粒子)が融着し、二次粒子が形成される。この高温気流中で集合する微粒子(一次粒子)の数を制御することは不可能である。従って、上記スプレードライ法では、リン酸カルシウム(CaP)からなる粒子の粒度分布を厳密に制御することはできない。よって、上記スプレードライ法によってリン酸カルシウム(CaP)からなるセラミック粒子を製造した場合、使用する用途によっては、さらに分級する必要が生ずる。例えば、上記リン酸カルシウム(CaP)からなるセラミック粒子を、クロマトグラフィー用充填剤として使用する場合、分解能を向上させるためには、より一層粒子径が均一な(粒度分布が狭い)担体を用いる必要がある。従って、上記リン酸カルシウム(CaP)からなるセラミック粒子を、クロマトグラフィー用充填剤として使用する場合には、粒子径がより均一な(粒度分布の狭い)リン酸カルシウム(CaP)からなるセラミック粒子の粒子群を用いることが要求される。


また上記非特許文献2,3に開示のリン酸カルシウムからなるセラミック粒子群の製造方法では、粒子径が1~8μmの範囲内の粒子径(非特許文献2)を有する粒子群しか得ることができない。さらに、例えば、上記非特許文献2に開示のリン酸カルシウムからなるセラミック粒子の粒子群を分級して、より粒度分布が狭い粒子群を得ようとした場合でも、物理的な限界により、これ以上粒度分布を狭くすることは非常に困難であるとともに、分級を行なう場合には、コストが著しく増大することとなる。


本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、溶媒中で単結晶一次粒子で分散するセラミック粒子群、特に生体適合性、生体組織に対する密着性あるいは接着性を有し、生体分解吸収性の低い、医療用材料に有用である単結晶ハイドロキシアパタイト(HAp)を始めとするリン酸カルシウム(CaP)焼結体粒子(セラミック粒子)群、およびその製造方法、並びにその粒子の用途を提供することにある。

産業上の利用分野

本発明は、溶媒中で単結晶一次粒子として存在し、分散性の高いセラミック粒子、特に生体適合性、生体組織に対する密着性あるいは接着性を有し、生体分解吸収性の低い、医療用材料に有用である単結晶ハイドロキシアパタイトを始めとするリン酸カルシウム焼結体粒子群(セラミック粒子群)、およびその製造方法、並びにその粒子群の用途に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
粒子状のセラミック粒子からなるセラミック粒子群であって、
前記セラミック粒子の粒子径が10nm~700nmの範囲内で、かつ当該セラミック粒子群の粒子径の変動係数が、20%以下であり、
上記セラミック粒子が、リン酸カルシウム焼結体粒子であることを特徴とするセラミック粒子群。

【請求項2】
粒子状のセラミック粒子からなるセラミック粒子群であって、
単結晶からなる一次粒子、もしくは前記単結晶からなる一次粒子がイオン的相互作用にて集合化した粒子塊を単結晶一次粒子とすると、
前記セラミック粒子群に含まれる単結晶一次粒子の割合が過半数を占め
上記セラミック粒子が、リン酸カルシウム焼結体粒子であることを特徴とするセラミック粒子群。

【請求項3】
上記セラミック粒子群に含まれる単結晶一次粒子の割合が、70%以上であることを特徴とする請求項2に記載のセラミック粒子群。

【請求項4】
上記セラミック粒子の粒子径が、10nm~700nmの範囲内であることを特徴とする請求項2または3に記載のセラミック粒子群。

【請求項5】
上記セラミック粒子群の粒子径の変動係数が、20%以下である、請求項2ないし4のいずれか1項に記載のセラミック粒子群。

【請求項6】
上記セラミック粒子が、ハイドロキシアパタイト焼結体粒子であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のセラミック粒子群。

【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のセラミック粒子群を用いてなることを特徴とする歯科用材料

【請求項8】
セラミック粒子群の製造方法において、
焼結前のセラミック原料からなる一次粒子の粒子間に融着防止剤が介在するように混合する混合工程と、
前記混合工程によって得られる混合粒子を焼結する焼結工程を含むことを特徴とするセラミック粒子群の製造方法。

【請求項9】
上記混合工程が、側鎖にカルボキシル基、硫酸基、スルホン酸基、リン酸基、ホスホン酸基またはアミノ基のいずれかを有する高分子化合物を含む溶液と、上記一次粒子とを混合し、
金属塩をさらに添加する工程であることを特徴とする請求項8に記載のセラミック粒子群の製造方法。

【請求項10】
上記高分子化合物が、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリグルタミン酸、エチレンスルホン酸、ポリメタクリル酸アルキルスルホン酸エステル、ポリアクリロイルアミノメチルホスホン酸、ポリペプチドからなる群から選択される少なくとも1つ以上の物質であることを特徴とする請求項9に記載のセラミック粒子群の製造方法。

【請求項11】
上記融着防止剤が、上記焼結工程の焼結温度において、不揮発性であることを特徴とする請求項8ないし10のいずれか1項に記載のセラミック粒子群の製造方法。

【請求項12】
さらに、上記焼結工程の後に、上記融着防止剤を除去する除去工程を含むことを特徴とする請求項8ないし11のいずれか1項に記載のセラミック粒子群の製造方法。

【請求項13】
上記除去工程が、上記融着防止剤を溶媒に溶解する工程を含むことを特徴とする請求項12に記載のセラミック粒子群の製造方法。

【請求項14】
上記除去工程に用いる溶媒が、上記融着防止剤溶解性で、かつセラミック粒子非溶解性の溶媒であることを特徴とする請求項13に記載のセラミック粒子群の製造方法。

【請求項15】
上記融着防止剤が、水系溶媒に溶解する物質であることを特徴とする請求項13に記載のセラミック粒子群の製造方法。

【請求項16】
上記融着防止剤が、炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項15に記載のセラミック粒子群の製造方法。

【請求項17】
上記混合工程の前に、一次粒子を生成する一次粒子生成工程を含むことを特徴とする請求項8ないし16のいずれか1項に記載のセラミック粒子群の製造方法。

【請求項18】
上記一次粒子生成工程によって生成される一次粒子の粒子径が、10nm~500nmの範囲内であることを特徴とする請求項17に記載のセラミック粒子群の製造方法。

【請求項19】
上記一次粒子生成工程によって生成される一次粒子からなる一次粒子群の粒子径の変動係数が、20%以下であることを特徴とする請求項17または18に記載のセラミック粒子群の製造方法。

【請求項20】
請求項1ないしのいずれか1項に記載のセラミック粒子群を用いてなることを特徴とするクロマトグラフィー用充填剤。

【請求項21】
請求項1ないしのいずれか1項に記載のセラミック粒子群を用いてなることを特徴とする医療用材料

【請求項22】
請求項1ないしのいずれか1項に記載のセラミック粒子群を用いてなることを特徴とする化粧品添加剤。

【請求項23】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のセラミック粒子群を用いてなることを特徴とする建材

【請求項24】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のセラミック粒子群を用いてなることを特徴とする工業用材
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ ナノと物性 領域
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