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超伝導化合物薄膜及びその作成方法 コモンズ

国内特許コード P110003963
整理番号 BE060P14
掲載日 2011年7月4日
出願番号 特願2007-034150
公開番号 特開2008-195583
登録番号 特許第4885002号
出願日 平成19年2月14日(2007.2.14)
公開日 平成20年8月28日(2008.8.28)
登録日 平成23年12月16日(2011.12.16)
発明者
  • 宮川 仁
  • 金 聖雄
  • 細野 秀雄
  • 平野 正浩
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 超伝導化合物薄膜及びその作成方法 コモンズ
発明の概要 【課題】これまで多くの超伝導化合物が見いだされているが、これらはいずれも可視光域
で不透明で、透明な超伝導体は実現していない。
【解決手段】化学式[Ca24Al2864]4+・2[xO2-+2yA+2{1-(x+2y
)}e] (A=OH、O、Oのいずれか1種以上、0≦x+2y≦0.5)で示
され、超伝導電気伝導を示し、かつ膜厚40ナノメートルを基準として、JIS R16
35で規定される方法により測定した可視光透過率が80%以上であるマイエナイト型結
晶構造を有する化合物からなることを特徴とする超伝導化合物薄膜。化学式が[Ca24
2864]4+・2[xO2-+2yA] (2番目の大括弧は、ケージ中のアニオンを示す
。また、A=OH、O、Oのいずれか1種以上:0≦x≦1、y=1-x)で示
される薄膜中のアニオンの1/2以上を還元処理により電子に置換することにより作成で
きる。
【選択図】図4
従来技術、競合技術の概要


1911年に水銀の超伝導現象が発見されて以来、今日までに超伝導を示す様々な化合
物が見出され、現在では超伝導磁石や磁気センサ(SQUID)として実用化されている。近年
、ペロブスカイト型銅酸化物化合物での超伝導が発見され(非特許文献1)、該化合物系で
、Tcが100Kを超える超伝導化合物が見出された。



新しい高温超伝導化合物の発見により、超伝導の発現機構についても理解が進んでいる
(非特許文献2、3)。また、ペロブスカイト型銅酸化物化合物に加えて、MgB2(Tc=39K
)(非特許文献4)、Sr2RuO4(Tc=0.93K)(非特許文献5)、Na0.3CoO2・1.3H2
O(Tc=5K)(非特許文献6)などの新たな超伝導化合物が見出されているが、いまだ室温超
伝導体の発見には至っていない。



さらに、これらの超伝導化合物は、超伝導転移温度より高温の常伝導状態では、金属と
して振る舞い、伝導電子による強い光吸収帯が可視光域に存在するために、可視光領域で
は不透明である。なお、一般的には、膜厚約15nmの金属薄膜試料での可視光領域の光
透過率は、50%未満である。



可視光域で透明で金属伝導を示す化合物として、いくつかの酸化物が見出されており、
該酸化物は透明伝導酸化物(TCO)と呼ばれている。Sn添加In(ITO)が
、TCOとして、優れた特性を示し、透明電極材として、平面デスプレイ、太陽電池など
で広く実用化されている。



しかし、これまで見出されたTCOの中で超伝導性を示す化合物はない。したがって、
透明超伝導体を実現するためには、これまで見出されたITOとは異なる機構に基づき透
明性と金属電気伝導性が共存する化合物を見出す必要がある。ITOでは、電気伝導は、
分散の大きな(すなわち電子移動度の大きな)伝導帯に最適量の伝導電子を導入すること
で実現している。



TCOでは、禁制帯幅が大きく、価電子帯から伝導体への光吸収が可視光域より短波長
側に存在しているが、一方、伝導電子のプラズマ振動による光吸収帯は可視光域より長波
長側に存在する。このためTCOは可視光域では透明性となる。



TCOでは、最適量以上の電子を導入した場合、電気伝導度は大きくなるものの、電子
による光吸収帯が短波長化し、可視光域での透明性が劣化する。すなわち、TCOでは、
伝導性と透明性は電子濃度を最適化することによって共存できるが、TCOで透明性と超
伝導性を共存させることは、原理的に不可能であると考えられる。



さらに、たとえ、透明性を無視して、電子濃度を高めても、TCOで超伝導性が実現で
きる可能性もほとんどないと考えられる。こうした事実を踏まえ、新規化合物で透明超伝
導を実現するための条件を考察すると、バンド幅の小さな伝導バンドに高密度に電子を注
入すること、電子と格子の相互作用が大きく、また、格子振動のエネルギーが大きなこと
が必要条件となる。



こうした条件を満たす化合物群として、エレクトライド化合物がある。特に、室温、大
気雰囲気で安定な12CaO・7Al23(以下C12A7)エレクトライドが、透明超伝導を
実現する有望な候補である。マイエナイト型結晶構造を有するC12A7結晶は、CaO
とAl23の2成分系の相平衡図に見られる安定な化合物で、アルミナセメントの構成成
分として、広く実用化されている。



本発明者らは、活性酸素種を包接するC12A7化合物及びその製造方法に関する発明
(特許文献1)、高濃度の活性酸素種を含むC12A7化合物単結晶と、気泡の無いC1
2A7単結晶を育成するFZ法に関する発明(特許文献2)を特許出願している。



他に、活性酸素種を包接するC12A7化合物の製造方法としては、非晶質のカルシウ
ムアルミネートを原料に用い、酸素分圧4×10-4Pa以上の雰囲気下1100℃以上溶
融温度以下に加熱する方法(特許文献3)、高温下で高い酸素イオン伝導性を有する基板
上に酸素イオンラジカル含有カルシウムアルミネート粉末を用いて溶射する方法(特許文
献4)、カルシア源、アルミナ源、シリカ源を混合し、次に、加熱して、カトアイト構造
を経由し、マイエナイト構造を有する無機化合物を製造する方法(特許文献5)が知られ
ている。



本発明者等は、C12A7化合物及び同型化合物からなるプロトン・電子混合伝導体及
びその製造方法と用途に関する発明(特許文献6)を特許出願している。さらに、本発明
者等は、処理前物質であるC12A7単結晶をCa金属蒸気又はTi金属蒸気中で熱処理
することにより、C12A7中に電子を高濃度で包接させることができることを見出し、
C12A7に高濃度の電子を包接する方法に関する発明について特許出願している(特許
文献7)。



より高温で熱処理が可能であり、熱処理時間が短縮できること、及び酸素・電子置換の
結果、試料表面に形成されるTiOxが酸素イオン伝導体であり、置換反応がより進行す
る観点から、Ti金属蒸気処理の方が、Ca金属蒸気処理より優れている(特許文献8)



また、本発明者らは、高い電気伝導性を有するC12A7及び同型結晶化合物及びその
製造方法(特許文献9)や導電性マイエナイト型化合物の製造方法(特許文献10~13
)に関する発明を特許出願した。



【非特許文献1】
J.G.Bednorz and K.A.MullerZ. Phys. B64, 189(1986)
【非特許文献2】
津田惟雄、那須奎一郎、藤森敦、白鳥紀一 改訂版「電気伝導性酸化物」,p350-452,裳華房(1993)
【非特許文献3】
前川禎通, 応用物理 75, 17(2006)
【非特許文献4】
J.Nagamatsu, N.Nakagawa, T.Muranaka, Y.Zenitani and J.Akimitsu, Nature 410, 63(2001)
【非特許文献5】
Y.Maeo, H.Hashimoto, K.Yoshida, S.Nishizawa, T.Fujita, J.G.Bednorz, F.Lichyenberg, Nature 372, 532(1994)
【非特許文献6】
K.Takada, H.Sakurai, E.Takayama-Muromachi, F.Izumi, R.A.Dilanian, and T.Sasaki,Nature 422, 53(2003)
【特許文献1】
特開2002-3218号公報
【特許文献2】
特開2003-040697号公報
【特許文献3】
特開2003-226571号公報
【特許文献4】
特開2005-35858号公報
【特許文献5】
特開2006-83009号公報
【特許文献6】
特開2005-67915号公報
【特許文献7】
再公表2005-000741号公報
【特許文献8】
PCT/JP2006/322991
【特許文献9】
特開2005-314196号公報
【特許文献10】
特開2006-327894号公報
【特許文献11】
WO2005/077859A1
【特許文献12】
WO2006/129674A1
【特許文献13】
WO2006/129675A1

産業上の利用分野


本発明は、超伝導転移温度(Tc)以下で、電気抵抗がゼロとなる超伝導電気伝導を示し、
かつ可視光域で透明な超伝導化合物薄膜と、該超伝導化合物薄膜の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
化学式[Ca24Al2864]4+・2[xO2-+2yA+2{1-(x+2y)}e] (
A=OH、O、Oのいずれか1種以上、0≦x+2y≦0.5)で示され、超伝
導電気伝導を示し、かつ膜厚40ナノメートルを基準として、JIS R1635で規定
される方法により測定した可視光透過率が80%以上であるマイエナイト型結晶構造を有
する化合物からなることを特徴とする超伝導化合物薄膜。

【請求項2】
化学式が[Ca24Al2864]4+・2[xO2-+2yA] (2番目の大括弧は、ケージ中
のアニオンを示す。また、A=OH、O、Oのいずれか1種以上:0≦x≦1、
y=1-x)で示される結晶薄膜中のアニオンの1/2以上を還元処理により電子に置換
することを特徴とする請求項1に記載した超伝導化合物薄膜の作成方法。

【請求項3】
基板として、その上に成膜する薄膜に対して酸化機能を有しない基板を用い、該基板上に
化学式が[Ca24Al2864]4+・2[xO2-+2yA] (2番目の大括弧は、ケージ中
のアニオンを示す。また、A=OH、O、Oのいずれか1種以上:0≦x≦1、
y=1-x)で示される結晶薄膜を育成し、次いで、基板を500~700℃の範囲に加
熱しながら、その上に酸素欠損アモルファスC12A7膜を堆積させ、該酸素欠損アモル
ファスC12A7膜により該結晶薄膜からO2-、OH、O、Oのいずれか1種
以上を引き抜くことにより還元処理することを特徴とする請求項2記載の超伝導化合物薄
膜の作成方法。

【請求項4】
Al12単結晶を基板として用い、その上に成膜する前記結晶薄膜を配向させる
ことを特徴とする請求項3記載の超伝導化合物薄膜の作成方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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JP2007034150thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO/SORST 透明酸化物のナノ構造を活用した機能開拓と応用展開 領域
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