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ケトン化合物を用いた2級アルコール又はジケトン化合物の製法 コモンズ

国内特許コード P110003972
整理番号 BE060P16
掲載日 2011年7月5日
出願番号 特願2007-056820
公開番号 特開2008-214302
登録番号 特許第5000331号
出願日 平成19年3月7日(2007.3.7)
公開日 平成20年9月18日(2008.9.18)
登録日 平成24年5月25日(2012.5.25)
発明者
  • 細野 秀雄
  • ブチャマガリ ハリタ
  • 戸田 喜丈
  • 平野 正浩
  • 小坂田 耕太郎
  • 竹内 大介
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 ケトン化合物を用いた2級アルコール又はジケトン化合物の製法 コモンズ
発明の概要


【課題】高価かつ有害な金属水素化物又は金属塩を用いることなく、かつ、従来法のよう
に不活性ガス雰囲気下に制限されずに、ケトン化合物を原料として、2級アルコール又は
ジケトン化合物を合成する新規な還元反応を提供すること。
【解決手段】ケージ内に、1019cm-3以上、2.3×1021cm-3以下の電子を
含む12CaO・7Alエレクトライドを還元剤として用い、ケトン化合物を溶媒
中において、還元させて2級アルコール又はジケトン化合物を合成する。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


アリール基(または/ないし)アルキル基を含む2級アルコールおよびジケトンは、医
薬品、色素などの中間化合物として広く使われており、それら化合物を、環境にやさしい
安全な方法で合成することが必要である。



ケトン化合物の還元反応による2級アルコールの合成には、NaBH,LiBH
LiAlH、およびZn(BHなどのホウ素、アルミニウムを含む金属水素化物
が還元剤として機能することが知られている。しかし、該金属水素化物は、高価かつ有害
であり、さらに、これらの金属水素化物は、水分の存在を極度に嫌い、乾燥雰囲気及び水
分を含まない乾燥溶媒中でしか使用できないという欠点がある。他に、ポリメチルヒドロ
シロキサンを触媒量のフッ化テトラブチルアンモニウムの存在下で反応させてケトンのカ
ルボニル基を還元してアルコール化合物を得る方法が知られている(特許文献1)。



1970年にH.B.Bartlらは、12CaO・7Al(以下、「C12A
7」と記す)結晶が2分子を含む単位胞にある66個の酸素イオンの内の2個が、結晶中
に存在するケージ(籠)内空間に「フリー酸素」として包接されているという、特異な結
晶構造を持つことを示した(非特許文献1)。以降、このフリー酸素イオンが種々の陰イ
オンで置換できることが明らかにされた。特に、強い還元雰囲気にC12A7を保持する
と、すべてのフリー酸素を電子で置き換えることができる。フリー酸素を電子で置き換え
たC12A7:e-は、エレクトライドとみなすことができる。



エレクトライド化合物は、J.L.Dyeがはじめて提案した概念であり(非特許文献
2)、クラウンエーテルを陽イオンとして、電子を陰イオンとした化合物などではじめて
実現した。エレクトライドは、陽イオンとして含まれる電子のホッピングにより電気伝導
性を示すことが知られている。その後、いくつかの有機エレクトライドが見出されたが、
これらの化合物は、いずれも、マイナス100℃程度以下の低温でのみ安定であり、空気
や水と反応する著しく不安定な化合物である。



本発明者らは、電気伝導性C12A7及び同型化合物とその製造法に関する発明を特許
出願した(特許文献2)。また、C12A7単結晶をアルカリ金属又はアルカリ土類金属
蒸気中で、高温でアニールすること、C12A7単結晶にArなどの不活性イオンをイオ
ン打ち込みすること、または、還元雰囲気で、融液から直接C12A7単結晶を固化する
ことで、10S/cm以下の電気伝導度を有するC12A7化合物が得られることを見
出し、これらに関する発明を特許出願した(特許文献3)。さらに、C12A7単結晶を
チタン金属(Ti)蒸気中でアニールし、金属電気伝導性を示すC12A7を得ることに
成功し、その製法及び電子放出材料としてのその用途に関する発明を特許出願した(特許
文献4)。



これらの良電気伝導性を示すC12A7化合物は、該化合物中のフリー酸素イオンがほ
とんど全て電子で置換されたものであり、実質的に[Ca24Al2864]4+(4e
)と記述され、無機エレクトライド化合物とみなすことができる(非特許文献3)。



C12A7エレクトライドに包接される電子は、陽イオンと緩く結合しているために、
電場印加または化学的な手段により、外部に取り出すことができる。外部に取り出された
電子は、還元反応に用いることができると考えられるが、C12A7エレクトライドに包
接される電子を直接、還元反応に応用した例は知られていない。




【非特許文献1】H.B.Bartl,T,Scheller and N.Jarhrb Mineral Monatsh 1970,35,547-552

【非特許文献2】F.J.Tehan,B.L. Barrett,J.L.Dye J.Am.Chem.Socity 96、7203-7208(1974)

【非特許文献3】S.Matsuishi,Y.Toda,M.Miyakawa,K.Hayashi,T.Kamiya,M.Hirano,I.Tanaka and H.Hosono,Science,301,626-629(2003)

【特許文献1】特開平10-87530号公報

【特許文献2】WO2005/000741

【特許文献3】特開2004-26608号公報

【特許文献4】特願2005-339538

産業上の利用分野


本発明は、ケトン化合物の還元反応による2級アルコール又はジケトン化合物の製法に
関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ケージ内に、1019cm-3以上、2.3×1021cm-3以下の電子を含む12CaO・7
Al23エレクトライド下記反応式1の化合物1で示されるケトン化合物を、該ケトン
化合物に対する該12CaO・7Al23エレクトライドの使用量(12CaO・7Al
23/ケトン化合物)を重量比で2~20倍として、水、有機溶媒、又は水―有機溶媒の
混合溶媒中において混合して反応溶液を形成し、該反応溶液中において該ケトン化合物を
還元させて、該反応溶液から生成物を抽出することによって下記反応式1の化合物2で示
される2級アルコールを合成することを特徴とする2級アルコールの製法。
(反応式1)
【化学式1】


ただし、R及びR1は、アリール基及びアルキル基から選ばれる官能基であり、R及びR1
の少なくとも一方は、アリール基を含む。

【請求項2】
R及びR1は、メチル基、フェニル基、フェニルシアノ基、又はフェニルメトキシ基から
選ばれる1種(ただし、R及びR1が、同時にメチル基であるケトン化合物を除く。)で
あることを特徴とする請求項1記載の2級アルコールの製法。

【請求項3】
該有機溶媒、又は該混合溶媒の有機溶媒が、ジオキサンであることを特徴とする請求項1
記載の2級アルコールの製法。

【請求項4】
反応雰囲気が空気中であることを特徴とする請求1記載の2級アルコールの製法。

【請求項5】
ケージ内に、1019cm-3以上、2.3×1021cm-3以下の電子を含む12CaO・7
Al23エレクトライド下記反応式2の化合物3で示されるアリールケトン化合物(ア
ントロン)をアリールケトン化合物に対する12CaO・7Al23エレクトライドの使
用量(12CaO・7Al23/ケトン化合物)を重量比で2~20倍として、水―有機
溶媒の混合溶媒中において混合して反応溶液を形成し、該反応溶液中において該アリール
ケトン化合物を2量化させて、該反応溶液から生成物を抽出することによって下記反応式
2の化合物4で示されるジアントロンを合成することを特徴とするジアントロンの製法。
(反応式2)
【化学式2】



【請求項6】
有機溶媒は、CH3CN,Et-OH,t-Bu-OH、又はジオキサン(HO-CH2
2-OH)のうちから選ばれることを特徴とする請求項記載のジアントロンの製法。

【請求項7】
反応雰囲気が不活性ガス中であることを特徴とする請求項記載のジアントロンの製法。

【請求項8】
ケージ内に、1019cm-3以上、2.3×1021cm-3以下の電子を含む12CaO・7
Al23エレクトライド下記反応式3の化合物5で示される炭素2重結合を含むケトン
化合物(カルコン)をケトン化合物に対する12CaO・7Al23エレクトライドの使
用量(12CaO・7Al23/ケトン化合物)を重量比で2~20倍として、水―有機
溶媒の混合溶媒中において混合して反応溶液を形成し、該反応溶液中において該ケトン化
合物を2量化させて、該反応溶液から生成物を抽出することによって下記反応式3の化合
物6及び化合物7で示されるジカルコンを合成することを特徴とするジカルコン混合物の
製法。
(反応式3)
【化学式3】



【請求項9】
有機溶媒がテトラヒドロフラン(THF)であることを特徴とする請求項記載のジカル
コンの製法。
産業区分
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO/SORST 透明酸化物のナノ構造を活用した機能開拓と応用展開 領域
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