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光学活性アルコール化合物合成用触媒 実績あり

国内特許コード P110004020
整理番号 E027P23-1
掲載日 2011年7月5日
出願番号 特願2007-165566
公開番号 特開2007-283302
登録番号 特許第4637876号
出願日 平成19年6月22日(2007.6.22)
公開日 平成19年11月1日(2007.11.1)
登録日 平成22年12月3日(2010.12.3)
発明者
  • 碇屋 隆雄
  • 池平 秀行
  • 村田 邦彦
  • 清藤 信夫
  • 大岡 浩仁
  • 橋口 昌平
  • 大熊 毅
  • 野依 良治
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • JFEスチール株式会社
  • 関東化学株式会社
  • 高砂香料工業株式会社
  • 日本曹達株式会社
  • 武田薬品工業株式会社
発明の名称 光学活性アルコール化合物合成用触媒 実績あり
発明の概要 【課題】高収率、高選択率で光学活性アルコール化合物を得ることができる触媒組成物を提供する。
【解決手段】一般式(1)
【化1】



(式中X、Yは、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基または他のアニオン基を示し、R,R,Rは、置換基を有してもよい炭化水素基であり、RとRが一緒になって置換基を有してもよい炭素鎖環を形成してもよいことを示し、nは1から4の整数であり、R,R,Rは、水素原子または置換基を有してもよい炭化水素基を示し、mは1から4の整数である。PRおよびNRは、共に光学活性基である。)で表わされるルテニウム錯体からなる触媒組成物。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


これまで、遷移金属錯体は、様々な均一系或いは不均系触媒反応の有効な触媒としての実績を有しているが、カルボニル化合物の高効率かつ高選択的な水素化ないし還元反応のための触媒は開発されていない。均一系触媒を使用してカルボニル化合物類の水素化により対応するアルコール類を製造する方法はこれまでによく知られている。例えば、ルテニウム錯体を用いる方法(非特許文献1)や、ロジウム錯体を用いる方法(非特許文献2~5)、イリジウム錯体を用いる方法(非特許文献6)等が知られている。



しかしながらこれらの従来の方法は、触媒として用いる金属が比較的高価なロジウム、イリジウム、パラジウム、白金などのいわゆる貴金属錯体触媒であり、しかも水素化活性が低く比較的高温あるいは高い水素圧を必要とするため実用には必ずしも適さないという問題点があった。



一方、光学活性アルコールの取得に着目した場合、1)パン酵母などの酵素を用いる方法や、2)金属錯体触媒を用いてカルボニル化合物を不斉水素化する方法などが知られている。とくに後者の方法においては、これまでにも多くの不斉触媒反応の例が報告されている。例えば、光学活性ルテニウム触媒による官能基を有するカルボニル化合物の不斉水素化方法(非特許文献7)や、ルテニウム、ロジウム、イリジウムの不斉錯体触媒による水素移動型還元反応による方法(非特許文献8)、酒石酸を修飾したニッケル触媒を用いて不斉水素化する方法(非特許文献9,10)、不斉ヒドロシリル化による方法(非特許文献11,12)、不斉配位子の存在下にボラン還元する方法(非特許文献13,14)、ホスフィンおよびジアミン不斉配位子の存在下に不斉水素化する方法(非特許文献15)などが知られている。
【非特許文献1】
Eds. G. Wilkinson, F.G.A. Stone and E.W. Abel; Comprehensive Organometallic Chemistry, Vol.4, pp. 931 (1982)
【非特許文献2】
Inorg. Nucl. Chem. Letters, Vol. 12, pp. 865 (1976)
【非特許文献3】
J. Organomet. Chem., Vol. 129, pp. 239 (1977)
【非特許文献4】
Chem. Letters, pp. 261 (1982)
【非特許文献5】
Tetrahedron Letters, Vol. 35, pp. 4963 (1994)
【非特許文献6】
J. Am. Chem. Soc., Vol. 115, pp. 3318 (1993)
【非特許文献7】
Ed. R. Noyori; Asymmetric Catalysis in Organic Synthesis, pp. 56-82 (1994)
【非特許文献8】
Chem. Rev., Vol. 92, pp. 1051-1069 (1992)
【非特許文献9】
油化学, pp. 822-831 (1980)
【非特許文献10】
Ed. Y. Izumi; Advances in Catalysis, Vol. 32, pp. 215 (1983)
【非特許文献11】
Ed. J. D. Morrison, Asymmetric Synthesis, Vol. 5, Chap. 4 (1985)
【非特許文献12】
J. Organomet. Chem, Vol. 346, pp. 413-424 (1988)
【非特許文献13】
J. Chem. Soc., Perkin Trans, 1, pp. 2039-2044 (1985)
【非特許文献14】
J.Am.Chem.Soc., Vol. 109, pp. 5551-5553 (1987)
【非特許文献15】
J.Am.Chem.Soc., Vol. 117, pp. 2675-2676 (1995)

産業上の利用分野


この出願の発明は、新規ルテニウム錯体の触媒に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、医薬、農薬、あるいは多くの汎用化学品の合成中間体等としてのアルコール化合物、そしてまた、アキラル及び光学活性アルコール化合物を製造するのに有用な、新規ルテニウム錯体の触媒に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1)
【化1】



(式中X、Yは、同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基または他のアニオン基を示し、R,R,Rは、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有してもよい炭化水素基であり、RとRが一緒になってアルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有してもよい炭素鎖環を形成してもよいことを示し、nは1から4の整数であり、R,R,Rは、水素原子または、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有してもよい炭化水素基を示し、mは1から4の整数である。PRおよびNRは、共に光学活性基である。)で表わされるルテニウム錯体の固体からなり、この固体と原料のカルボニル化合物とを溶媒中に添加して溶解させた後、水素あるいは水素を供与する化合物の存在下にカルボニル化合物を還元して光学活性アルコール化合物を合成するために用いられる光学活性アルコール化合物合成用触媒。

【請求項2】
一般式(2)
【化2】



(式中、X,Yは、同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基または他のアニオン基を示し、R,R,Rは、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有してもよい炭化水素基であり、RとRが一緒になってアルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有してもよい炭素鎖環を形成してもよいことを示し、nは1から4の整数であり、R,R,R,R10は、水素原子または、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有してもよい炭化水素基を示し、Zは、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有してもよい炭化水素基を示し、mは1から4の整数である。PRおよび次式の基
【化3】



は、共に光学活性基である。)で表わされるルテニウム錯体の固体からなり、この固体と原料のカルボニル化合物とを溶媒中に添加して溶解させた後、水素あるいは水素を供与する化合物の存在下にカルボニル化合物を還元して光学活性アルコール化合物を合成するために用いられる光学活性アルコール化合物合成用触媒。

【請求項3】
一般式(3)
【化4】


(式中、X,Yは、同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基または他のアニオン基を示し、R,R,R,Rは、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有してもよい炭化水素基であり、RとRが一緒になってアルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有してもよい炭素鎖環を形成してもよいことを示し、またRとRが一緒になってアルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有してもよい炭素鎖環を形成してもよいことを示し、Wは、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有してもよい炭化水素基であり、nは1から4の整数を示し、R,R,Rは、水素原子または、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有してもよい炭化水素基を示し、mは、1から4の整数である。PR-W-PRおよびNRは、共に光学活性基である。)で表わされるルテニウム錯体の固体からなり、この固体と原料のカルボニル化合物とを溶媒中に添加して溶解させた後、水素あるいは水素を供与する化合物の存在下にカルボニル化合物を還元して光学活性アルコール化合物を合成するために用いられる光学活性アルコール化合物合成用触媒。

【請求項4】
一般式(4)
【化5】


(式中、X,Yは、同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基または他のアニオン基を示し、R,R,R,Rは、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有してもよい炭化水素基であり、RとRが一緒になってアルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有してもよい炭素鎖環を形成してもよいことを示し、またRとRが一緒になってアルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有してもよい炭素鎖環を形成してもよいことを示し、Wは、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有してもよい炭化水素基であり、nは1から4の整数を示し、R,R,R,R10は、水素原子または、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有してもよい炭化水素基を示し、Zは、アルコキシ基、エステル基、アシルオキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基から選ばれる置換基を有してもよい炭化水素基を示し、mは1から4の整数である。PR-W-PRと次式の基
【化6】



は、共に光学活性基である。)で表わされるルテニウム錯体の固体からなり、この固体と原料のカルボニル化合物とを溶媒中に添加して溶解させた後、水素あるいは水素を供与する化合物の存在下にカルボニル化合物を還元して光学活性アルコール化合物を合成するために用いられる光学活性アルコール化合物合成用触媒。

【請求項5】
前記ルテニウム錯体が非混合物として単一物質の固体状態で存在する請求項1から4のいずれかに記載の光学活性アルコール化合物合成用触媒。

【請求項6】
結晶である請求項1から5のいずれかに記載の光学活性アルコール化合物合成用触媒。

【請求項7】
PR-W-PRで表される光学活性基が、BINAP:2,2′-ビス-(ジフェニルホスフィノ)-1,1′-ビナフチル、BINAPのナフチル環がアルキル基およびアリール基から選ばれる置換基を有するBINAP誘導体、BINAPのリン原子上の1個のベンゼン環に1ないし5個のアルキル基を有するBINAP誘導体、またはフッ素置換基を有するBINAP誘導体である請求項3または4に記載の光学活性アルコール化合物合成用触媒

【請求項8】
次式
【化7】


で表される光学活性基が、1,2-ジフェニルエチレンジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,2-シクロヘプタンジアミン、2,3-ジメチルブタンジアミン、1-メチル-2,2-ジフェニルエチレンジアミン、1-イソブチル-2,2-ジフェニルエチレンジアミン、1-イソプロピル-2,2-ジフェニルエチレンジアミン、1-メチル-2,2-ジ(p-メトキシフェニル)エチレンジアミン、1-イソブチル-2,2-ジ(p-メトキシフェニル)エチレンジアミン、1-イソプロピル-2,2-ジ(p-メトキシフェニル)エチレンジアミン、1-ベンジル-2,2-ジ(p-メトキシフェニル)エチレンジアミン、1-メチル-2,2-ジナフチルエチレンジアミン、1-イソブチル-2,2-ジナフチルエチレンジアミン、または1-イソプロピル-2,2-ジナフチルエチレンジアミンである請求項2または4に記載の光学活性アルコール化合物合成用触媒

【請求項9】
PR-W-PRで表される光学活性基が、BINAPまたはTol-BINAPであり、次式
【化8】



で表される光学活性基が、1,2-ジフェニルエチレンジアミンであり、XおよびYが塩素原子または水素原子であることを特徴とする請求項4に記載の光学活性アルコール化合物合成用触媒
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 野依分子触媒プロジェクト 領域
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