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生体内のアポトーシス細胞の除去促進剤及び除去阻害剤 コモンズ 実績あり

国内特許コード P110004049
整理番号 A131P18-2
掲載日 2011年7月6日
出願番号 特願2007-285502
公開番号 特開2008-056694
登録番号 特許第4843595号
出願日 平成19年11月1日(2007.11.1)
公開日 平成20年3月13日(2008.3.13)
登録日 平成23年10月14日(2011.10.14)
発明者
  • 長田 重一
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 生体内のアポトーシス細胞の除去促進剤及び除去阻害剤 コモンズ 実績あり
発明の概要 【課題】 マクロファージによって生体内のアポトーシス細胞を速やかに除去することができるアポトーシス細胞の除去促進剤や、マクロファージによる生体内のアポトーシス細胞の除去を阻害する除去阻害剤を提供すること。
【解決手段】 脂肪球被膜糖蛋白質(MFG-E8-L)や、マクロファージによる生体内のアポトーシス細胞の除去促進作用を有するMFG-E8-L変異体、好ましくは組換えヒト若しくはマウスMFG-E8-L又は組換えヒト若しくはマウスMFG-E8-L変異体を有効成分とする生体内アポトーシス細胞除去促進剤を調製する。これら除去促進剤は、アポトーシス細胞表面に露出するホスファチジルセリンなどのアミノリン脂質を認識することで、アポトーシス細胞に特異的に結合し、マクロファージによるアポトーシス細胞の貪食作用を促進する。他方、点変異(D89E)MFG-E8-L変異体を除去阻害剤とする。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


生理的な条件下で細胞自らが積極的に惹起するようにプログラムされた細胞死、すなわちアポトーシスは、免疫系において老化した細胞や病態細胞などの生体にとって好ましくない細胞を排除するために生体に備わった機構であることが知られている。このアポトーシスは細胞サイズの急速な縮小と細胞核の変化を特徴とし、アポトーシス細胞は通常アポトーシス小体となり、最終的にはマクロファージ等の食細胞により貪食される。すなわち、まず細胞が縮小して隣接細胞から離れ、核のDNAとタンパク質との複合体であるクロマチンが核膜周辺に凝縮し、核の濃縮が生じると共に細胞表面の微絨毛が消失して平滑化し、大小の突起が出現し、やがてそれらがくびれてちぎれ、膜に包まれた大小の球状のアポトーシス小体に断片化し、これらの小体がマクロファージや隣接する食細胞により貪食除去されることはよく知られている。



ところで、ガン細胞や悪性腫瘍細胞のような病態細胞の増殖を阻害して、これらの細胞に起因する疾病を治療するものとしては、これまで、アミノプテリン、メトトレキセート、8-アザグアニン、6-メルカプトプリン、5-フルオロウラシル、1-(2-テトラヒドロフリル)-5-フルオロウラシルなどの合成物質、マイトマイシンC、クロモマイシン、ブレオマイシンなどの抗生物質、インターフェロン、CSF抑制物質、CBFなどが知られているが、これらはいずれも所定の細胞に作用して、それを壊死すなわちネクローシスを起こさせて病態細胞を排除するものである。ネクローシスは病理的要因によって起こるが、アポトーシスはネクローシスと異なり、病理的要因のみならず多様な生理的要因によっても生じるといわれている。



アポトーシスは、その初期過程において、細胞を構成する細胞膜リン脂質の配列変化を伴い、結果として負電荷のリン脂質であるホスファチジルセリン(phosphatidylserine)の細胞表面へ露出することが報告されている(非特許文献1,2参照)。この細胞表面の変化がマクロファージや隣接する細胞に認識され、貪食過程が進行すると考えられている。ホスファチジルセリンと選択的に結合するアネキシンVにより前記貪食過程が阻害されることから、アポトーシス細胞の細胞表面にホスファチジルセリンが露出することが貪食機構に重要な役割を果たしているものと考えられている(非特許文献3,4参照)。また、アネキシンVの標識体を用いて、アポトーシスの初期過程の検出がフローサイトメトリーにより行われている。



他方、脂肪球被膜糖蛋白質(MFG-E8;milk fat globule-EGF factor8)は、母乳中に多く含まれる乳腺上皮由来の分泌蛋白質としてクローニングされ(非特許文献5参照)、その後、他の多くの正常組織やいくつかの腫瘍細胞で強く発現する分泌型糖タンパク質として知られている。MFG-E8は、N末端側から2つのEGF(上皮増殖因子)ドメインと血液凝固因子V,VIIIのC1,C2ドメインとホモロジーのあるドメインで構成されている。MFG-E8はヒト(BA46,lactadherin)、マウス(MFG-E8)、ラット(rAGS)、ブタ(P47)、ウシ(PAS-6,PAS-7)を含め幾つかの哺乳類でそのホモログが報告されており、さらに、MFG-E8とドメイン構造の類似性がある内皮細胞特異的細胞接着分子DEL1がクローニングされており、MFG-E8及びDEL1は2番目のEGFドメイン内にはインテグリンと結合するRGD配列を含んでいる。一方、C末側のC1,C2ドメインは細胞膜のリン脂質に結合することが知られている。しかし、このMFG-E8は、酵素活性との関連やその生理機能について不明な点が多く、この点を明らかにするために、マウス脂肪球被膜糖蛋白質MFG-E8のゲノム遺伝子と染色体マッピング、発生過程における遺伝子発現の動態、細胞内局在などについて検討されており、生殖原基がMFG-E8の発生初期の主要発現部位であり、発生の後期になると神経細胞や軟骨原基に特徴的な非常に強い発現があるとされている。また、生体内におけるMFG-E8の機能を探るために、MFG-E8遺伝子欠損マウス作製の試みがなされている。



【非特許文献1】
Immunol. Today, 14: 131-136, 1993
【非特許文献2】
Cirk. Res., 77: 1136-1142, 1995
【非特許文献3】
Biochem. Biophys. Res. Commun., 205: 1488-1493,1994
【非特許文献4】
Proc. Natl. Acad.Sci. USA, 93: 1624-1629,1996
【非特許文献5】
Biochem. Biophys. Res. Commun. 254 (3), 522-528, 1999

産業上の利用分野


本発明は、マクロファージによる生体内でアポトーシスを起こした細胞(以下「アポトーシス細胞」という)の除去促進剤や、マクロファージによる生体内のアポトーシス細胞の除去阻害剤に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
1つの高プロリン/スレオニン含有ドメイン及び2つの因子VIII相同ドメイン(C1及びC2)を有するMFG-E8において、RGDモチーフに点変異をもち、かつマクロファージによる生体内のアポトーシス細胞の除去阻害作用を有するMFG-E8変異体を有効成分とすることを特徴とするマクロファージによる生体内のアポトーシス細胞の除去阻害剤。

【請求項2】
MFG-E8変異体が、組換えMFG-E8変異体であることを特徴とする請求項1記載のマクロファージによる生体内のアポトーシス細胞の除去阻害剤。

【請求項3】
組換えMFG-E8変異体が、組換えヒトMFG-E8変異体又は組換えマウスMFG-E8変異体であることを特徴とする請求項2記載のマクロファージによる生体内のアポトーシス細胞の除去阻害剤。

【請求項4】
組換えMFG-E8変異体が、ヒト細胞中での翻訳産物であることを特徴とする請求項2又は3記載のマクロファージによる生体内のアポトーシス細胞の除去阻害剤。

【請求項5】
MFG-E8変異体が、RGDモチーフの89位のアスパルギン酸をグルタミン酸に置換した変異体であることを特徴とする請求項1~4のいずれか記載のマクロファージによる生体内のアポトーシス細胞の除去阻害剤。

【請求項6】
MFG-E8変異体が、リポソームに封入又は包埋されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか記載のマクロファージによる生体内のアポトーシス細胞の除去阻害剤。

【請求項7】
請求項1~5のいずれかに記載されたMFG-E8変異体をコードするDNAを含む組換えベクターを有効成分とすることを特徴とするマクロファージによる生体内のアポトーシス細胞の除去阻害剤。

【請求項8】
請求項1~5のいずれかに記載されたMFG-E8変異体を発現することができる発現系を含んでなる宿主細胞を有効成分とすることを特徴とするマクロファージによる生体内のアポトーシス細胞の除去阻害剤。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST ゲノムの構造と機能 領域
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