TOP > 国内特許検索 > 細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質

細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質 実績あり

国内特許コード P110004064
整理番号 A031P63-2
掲載日 2011年7月6日
出願番号 特願2007-330778
公開番号 特開2008-148705
登録番号 特許第4302167号
出願日 平成19年12月21日(2007.12.21)
公開日 平成20年7月3日(2008.7.3)
登録日 平成21年5月1日(2009.5.1)
発明者
  • 審良 静男
  • 辺見 弘明
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質 実績あり
発明の概要

【課題】非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質や、それをコードする遺伝子DNAや、細菌性伝染病に対する宿主免疫細胞の応答性を調べる上で有用な実験モデル動物を提供すること。
【解決手段】非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質をコードするDNAを、BLASTサーチによりスクリーニングし、各種TLRと高い相似性を有する多くのESTクローンをスクリーニングし、これらをプローブにして、マウス・マクロファージcDNAライブラリーから完全長cDNAを単離し、cDNAの塩基配列を解析してLRR及びTIR領域などの保存領域が存在するTLR9であることを確認した後、ノックアウトマウスを作製し、TLR9が細菌DNAの非メチル化CpG配列を含むオリゴヌクレオチドの受容体タンパク質であることを確認した。
【選択図】なし

従来技術、競合技術の概要


トール(Toll)遺伝子は、ショウジョウバエの胚発生中の背腹軸の決定(非特許文献1及び2参照)、また成体における抗真菌性免疫応答に必要であることが知られている(非特許文献3参照)。かかるTollは、細胞外領域にロイシンリッチリピート(LRR)を有するI型膜貫通受容体であり、この細胞質内領域は、哺乳類インターロイキン-1受容体(IL-1R)の細胞質内領域と相同性が高いことが明らかとなっている(非特許文献4、5、及び6参照)。



近年、Toll様受容体(TLR)と呼ばれるTollの哺乳類のホモログが同定され、TLR2やTLR4など現在までに6つのファミリーが報告されている(非特許文献7、8、9、及び10参照)。このTLRファミリーは、上記IL-1Rと同様にアダプタータンパク質であるMyD88を介し、IL-1R結合キナーゼ(IRAK)をリクルートし、TRAF6を活性化し、下流のNF-κBを活性化することが知られている(非特許文献11、12、及び13参照)。また、哺乳類におけるTLRファミリーの役割は、細菌の共通構造を認識するパターン認識受容体(PRR:pattern recognition receptor)として、先天的な免疫認識に関わっているとも考えられている(非特許文献14参照)。



上記PRRにより認識される病原体会合分子パターン(PAMP:pathogen-associated molecular pattern)の一つは、グラム陰性菌の外膜の主成分であるリポ多糖(LPS)であって(非特許文献14参照)、かかるLPSが宿主細胞を刺激して宿主細胞にTNFα、IL-1及びIL-6等の各種炎症性サイトカインを産生させること(非特許文献15及び16参照)や、LPS結合タンパク質(LBP:LPS-binding protein)により捕獲されたLPSが細胞表面上のCD14に引き渡されることが知られている(非特許文献16及び17参照)。本発明者らは、TLR4のノックアウトマウスを作製し、TLR4ノックアウトウスが上記グラム陰性菌の外膜の主成分であるLPSに不応答性であること(非特許文献18参照)や、TLR2ノックアウトマウスを作製し、TLR2ノックアウトマウスのマクロファージがグラム陽性菌細胞壁やその構成成分であるペプチドグリカンに対する反応性が低下すること(非特許文献19参照)を報告している。



他方、細菌DNA(バクテリア由来DNA)や非メチル化CpG配列を含むオリゴヌクレオチドが、マウス及びヒトの免疫細胞を刺激すること(非特許文献20及び21参照)や、IL-12及びIFNγの放出に支配されるTヘルパー1細胞(Th1)様炎症性応答を刺激すること(非特許文献22、23、及び24参照)から、CpG配列を含むオリゴヌクレオチドは、癌、アレルギー及び伝染病のワクチンを含むワクチン戦略のアジュバントとしての使用可能性が提唱されている(非特許文献25、26、及び27参照)。このように臨床実用において効果が期待されるにも関わらず、非メチル化CpG配列を含む細菌DNAが免疫細胞を活性化する分子メカニズムはよくわかっていない。




【非特許文献1】Cell 52, 269-279, 1988

【非特許文献2】Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 12, 393-416, 1996

【非特許文献3】Cell 86, 973-983, 1996

【非特許文献4】Nature 351, 355-356, 1991

【非特許文献5】Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 12, 393-416, 1996

【非特許文献6】J. Leukoc. Biol. 63, 650-657, 1998

【非特許文献7】Nature 388, 394-397, 1997

【非特許文献8】Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95, 588-593, 1998

【非特許文献9】Blood 91, 4020-4027, 1998

【非特許文献10】Gene 231, 59-65, 1999

【非特許文献11】J. Exp. Med. 187, 2097-2101, 1998

【非特許文献12】Mol. Cell 2, 253-258, 1998

【非特許文献13】Immunity 11, 115-122, 1999

【非特許文献14】Cell 91, 295-298, 1997

【非特許文献15】Adv. Immunol. 28, 293-450, 1979

【非特許文献16】Annu. Rev. Immunol. 13, 437-457, 1995

【非特許文献17】Science 249, 1431-1433, 1990

【非特許文献18】J. Immunol. 162, 3749-3752, 1999

【非特許文献19】Immunity 11, 443-451, 1999

【非特許文献20】Trends Microbiol. 4, 73-76, 1996

【非特許文献21】Trends Microbiol. 6, 496-500, 1998

【非特許文献22】EMBO J. 18, 6973-6982, 1999

【非特許文献23】J. Immunol. 161, 3042-3049, 1998

【非特許文献24】Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96, 9305-9310, 1999

【非特許文献25】Adv. Immunol. 73, 329-368, 1999

【非特許文献26】Curr. Opin. Immunol. 12, 35-43, 2000

【非特許文献27】Immunity 11, 123-129, 1999

産業上の利用分野


本発明は、非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを特異的に認識する受容体タンパク質、該受容体タンパク質の遺伝子及びそれらの利用に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
TLR9タンパク質をコードする遺伝子の全部又は一部が遺伝子変異により破壊され、TLR9を発現する機能を喪失した、非メチル化CpG配列を有する細菌DNAに対して不反応性のモデル非ヒト動物由来の免疫細胞と、同種の野生型動物由来の免疫細胞に、
(a)被検物質の存在下又は非存在下で、非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを接触させ、
(b)モデル非ヒト動物由来の免疫細胞と、同種の野生型動物由来の免疫細胞とにおけるTNFα、IL-6、若しくはIL-12の産生量、NF-κB、JNK若しくはIRAK活性、細胞増殖反応、又は、CD40、CD80、CD86、若しくはMHCクラスIIの発現量の程度を測定し、
(c)野生型動物由来の免疫細胞における上記活性の程度が、被検物質の存在により上昇し、モデル非ヒト動物由来の免疫細胞における上記活性の程度が被検物質の存在による影響を受けないとき、
(d)前記被検物質を非メチル化CpG配列を有する細菌DNAによるTLR9活性化の促進物質と評価することを特徴とする、
非メチル化CpG配列を有する細菌DNAによるTLR9活性化の促進物質のスクリーニング方法。

【請求項2】
TLR9タンパク質をコードする遺伝子の全部又は一部が遺伝子変異により破壊され、TLR9を発現する機能を喪失した、非メチル化CpG配列を有する細菌DNAに対して不反応性のモデル非ヒト動物と、同種の野生型動物に、
(a)被検物質を投与した後に、免疫細胞を採取し、
(b)インビトロで非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを接触させ、
(c)モデル非ヒト動物由来の免疫細胞と、同種の野生型動物由来の免疫細胞とにおけるTNFα、IL-6、若しくはIL-12の産生量、NF-κB、JNK若しくはIRAK活性、細胞増殖反応、又は、CD40、CD80、CD86、若しくはMHCクラスIIの発現量の程度を測定し、
(d)被検物質を投与した野生型動物由来免疫細胞の上記活性の程度は、投与しない野生型動物由来免疫細胞の程度より高く、被検物質を投与したモデル非ヒト動物由来免疫細胞の上記活性の程度は、投与しないモデル非ヒト動物由来免疫細胞の程度と変わらないとき、
(e)前記被検物質を非メチル化CpG配列を有する細菌DNAによるTLR9活性化の促進物質と評価することを特徴とする、
非メチル化CpG配列を有する細菌DNAによるTLR9活性化の促進物質のスクリーニング方法。

【請求項3】
TLR9タンパク質をコードする遺伝子の全部又は一部が遺伝子変異により破壊され、TLR9を発現する機能を喪失した、非メチル化CpG配列を有する細菌DNAに対して不反応性のモデル非ヒト動物と、同種の野生型動物に、
(a)細菌を感染させた後に、免疫細胞を採取し、
(b)被検物質の存在/非存在下でインビトロ培養し、
(c)モデル非ヒト動物由来の免疫細胞と、同種の野生型動物由来の免疫細胞とにおけるTNFα、IL-6、若しくはIL-12の産生量、NF-κB、JNK若しくはIRAK活性、細胞増殖反応、又は、CD40、CD80、CD86、若しくはMHCクラスIIの発現量の程度を測定し、
(d)被検物質を投与した野生型動物由来免疫細胞の上記活性の程度は、投与しない野生型動物由来免疫細胞の程度より高く、被検物質を投与したモデル非ヒト動物由来免疫細胞の上記活性の程度は、投与しないモデル非ヒト動物由来免疫細胞の程度と変わらないとき、
(e)前記被検物質を非メチル化CpG配列を有する細菌DNAによるTLR9活性化の促進物質と評価することを特徴とする、
非メチル化CpG配列を有する細菌DNAによるTLR9活性化の促進物質のスクリーニング方法。

【請求項4】
TLR9タンパク質をコードする遺伝子の全部又は一部が遺伝子変異により破壊され、TLR9を発現する機能を喪失した、非メチル化CpG配列を有する細菌DNAに対して不反応性のモデル非ヒト動物由来の免疫細胞と、同種の野生型動物由来の免疫細胞に、
(a)被検物質の存在下又は非存在下で、非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを接触させ、
(b)モデル非ヒト動物由来の免疫細胞と、同種の野生型動物由来の免疫細胞とにおけるTNFα、IL-6、若しくはIL-12の産生量、NF-κB、JNK若しくはIRAK活性、細胞増殖反応、又は、CD40、CD80、CD86、若しくはMHCクラスIIの発現量の程度を測定し、
(c)野生型動物由来の免疫細胞における上記活性の程度が、被検物質の存在により低下し、モデル非ヒト動物由来の免疫細胞における上記活性の程度が被検物質の存在による影響を受けないとき、
(d)前記被検物質を非メチル化CpG配列を有する細菌DNAによるTLR9活性化の抑制物質と評価することを特徴とする、
非メチル化CpG配列を有する細菌DNAによるTLR9活性化の抑制物質のスクリーニング方法。

【請求項5】
TLR9タンパク質をコードする遺伝子の全部又は一部が遺伝子変異により破壊され、TLR9を発現する機能を喪失した、非メチル化CpG配列を有する細菌DNAに対して不反応性のモデル非ヒト動物と、同種の野生型動物に、
(a)被検物質を投与した後に、免疫細胞を採取し、
(b)インビトロで非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを接触させ、
(c)モデル非ヒト動物由来の免疫細胞と、同種の野生型動物由来の免疫細胞とにおけるTNFα、IL-6、若しくはIL-12の産生量、NF-κB、JNK若しくはIRAK活性、細胞増殖反応、又は、CD40、CD80、CD86、若しくはMHCクラスIIの発現量の程度を測定し、
(d)被検物質を投与した野生型動物由来免疫細胞の上記活性の程度は、投与しない野生型動物由来免疫細胞の程度より低く、被検物質を投与したモデル非ヒト動物由来免疫細胞の上記活性の程度は、投与しないモデル非ヒト動物由来免疫細胞の程度と変わらないとき、
(e)前記被検物質を非メチル化CpG配列を有する細菌DNAによるTLR9活性化の抑制物質と評価することを特徴とする、
非メチル化CpG配列を有する細菌DNAによるTLR9活性化の抑制物質のスクリーニング方法。

【請求項6】
TLR9タンパク質をコードする遺伝子の全部又は一部が遺伝子変異により破壊され、TLR9を発現する機能を喪失した、非メチル化CpG配列を有する細菌DNAに対して不反応性のモデル非ヒト動物と、同種の野生型動物に、
(a)細菌を感染させた後に、免疫細胞を採取し、
(b)被検物質の存在/非存在下でインビトロ培養し、
(c)モデル非ヒト動物由来の免疫細胞と、同種の野生型動物由来の免疫細胞とにおけるTNFα、IL-6、若しくはIL-12の産生量、NF-κB、JNK若しくはIRAK活性、細胞増殖反応、又は、CD40、CD80、CD86、若しくはMHCクラスIIの発現量の程度を測定し、
(d)被検物質を投与した野生型動物由来免疫細胞の上記活性の程度は、投与しない野生型動物由来免疫細胞の程度より低く、被検物質を投与したモデル非ヒト動物由来免疫細胞の上記活性の程度は、投与しないモデル非ヒト動物由来免疫細胞の程度と変わらないとき、
(e)前記被検物質を非メチル化CpG配列を有する細菌DNAによるTLR9活性化の抑制物質と評価することを特徴とする、
非メチル化CpG配列を有する細菌DNAによるTLR9活性化の抑制物質のスクリーニング方法。

【請求項7】
TLR9タンパク質をコードする遺伝子の全部又は一部が遺伝子変異により破壊され、TLR9を発現する機能を喪失した、非メチル化CpG配列を有する細菌DNAに対して不反応性のモデル非ヒト動物由来の免疫細胞と、同種の野生型動物由来の免疫細胞に、
(a)被検物質を接触させ、
(b)モデル非ヒト動物由来の免疫細胞と、同種の野生型動物由来の免疫細胞におけるTNFα、IL-6、若しくはIL-12の産生量、NF-κB、JNK若しくはIRAK活性、細胞増殖反応、又は、CD40、CD80、CD86、若しくはMHCクラスIIの発現量の程度を測定し、
(c)モデル非ヒト動物由来の免疫細胞における上記活性の程度が被検物質の接触による影響を受けないが、野生型動物由来の免疫細胞における上記活性の程度が被検物質の接触により増加したとき、
(d)前記被検物質をTLR9のアゴニストと評価することを特徴とする、
TLR9のアゴニストのスクリーニング方法。

【請求項8】
TLR9タンパク質をコードする遺伝子の全部又は一部が遺伝子変異により破壊され、TLR9を発現する機能を喪失した、非メチル化CpG配列を有する細菌DNAに対して不反応性のモデル非ヒト動物と、同種の野生型動物に、
(a)被検物質を投与した後に、免疫細胞を採取し、
(b)モデル非ヒト動物由来の免疫細胞と、同種の野生型動物由来の免疫細胞とにおけるTNFα、IL-6、若しくはIL-12の産生量、NF-κB、JNK若しくはIRAK活性、細胞増殖反応、又は、CD40、CD80、CD86、若しくはMHCクラスIIの発現量の程度を測定し、
(c)被検物質を投与した野生型動物由来免疫細胞の上記活性の程度が、投与しない野生型動物由来免疫細胞の程度より高く、被検物質を投与したモデル非ヒト動物由来免疫細胞の上記活性の程度が、投与しないモデル非ヒト動物由来免疫細胞の程度と変わらないとき、
(d)前記被検物質をTLR9のアゴニストと評価することを特徴とする、
TLR9のアゴニストのスクリーニング方法。

【請求項9】
TLR9タンパク質をコードする遺伝子の全部又は一部が遺伝子変異により破壊され、TLR9を発現する機能を喪失した、非メチル化CpG配列を有する細菌DNAに対して不反応性のモデル非ヒト動物由来の免疫細胞と、同種の野生型動物由来の免疫細胞に、
(a)被検物質の存在下又は非存在下で、非メチル化CpG配列を有する細菌DNAを接触させ、
(b)モデル非ヒト動物由来の免疫細胞と、同種の野生型動物由来の免疫細胞とにおけるTNFα、IL-6、若しくはIL-12の産生量、NF-κB、JNK若しくはIRAK活性、細胞増殖反応、又は、CD40、CD80、CD86、若しくはMHCクラスIIの発現量の程度を測定し、
(c)野生型動物由来の免疫細胞における上記活性の程度が、被検物質の存在により低下し、モデル非ヒト動物由来の免疫細胞における上記活性の程度が被検物質の存在による影響を受けないとき、
(d)前記被検物質をTLR9のアンタゴニストと評価することを特徴とする、
TLR9のアンタゴニストのスクリーニング方法。

【請求項10】
免疫細胞が、腹腔マクロファージであることを特徴とする請求項1~9のいずれか記載の方法。

【請求項11】
TLR9タンパク質をコードする遺伝子の全部又は一部が遺伝子変異により破壊され、TLR9を発現する機能を喪失した非ヒト動物を、非メチル化CpG配列を有する細菌DNAに対して不反応性のモデル動物として使用する方法。

【請求項12】
非ヒト動物がマウスであることを特徴とする請求項1~11のいずれか記載の方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 畜産
  • 薬品
  • 治療衛生
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 生体防御のメカニズム 領域
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、問合せボタンを押してください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close