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マイクロリアクター及びそれを用いた接触反応方法 コモンズ

国内特許コード P110004066
整理番号 E076P70
掲載日 2011年7月6日
出願番号 特願2007-500578
登録番号 特許第4734505号
出願日 平成18年1月26日(2006.1.26)
登録日 平成23年5月13日(2011.5.13)
国際出願番号 JP2006301239
国際公開番号 WO2006080404
国際出願日 平成18年1月26日(2006.1.26)
国際公開日 平成18年8月3日(2006.8.3)
優先権データ
  • 特願2005-018954 (2005.1.26) JP
発明者
  • 小林 修
  • 森 雄一朗
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 マイクロリアクター及びそれを用いた接触反応方法 コモンズ
発明の概要

基質と気体との反応を金属触媒又は金属錯体触媒により促進する接触反応に利用できるマイクロリアクター及びそれを用いた接触反応方法であって、マイクロチャンネル(10)と、基質と基質と反応する気体と超臨界流体との混合物をマイクロチャンネル(10)へ供給する超臨界流体供給部(20)と、マイクロチャンネルにおける反応生成物を回収する回収部(30)とを備え、マイクロチャンネル(10)は、基板に設けられる流路(4)を有し、流路(4)の内壁に固相となる金属触媒又は金属錯体触媒が担持されている。流路(4)に混合物を導入し、所定の圧力及び温度で所定の流量で制御し、連続的に流す。例えば、基質の2相系接触反応による水素化反応を短時間で収率よく行うことができる。

従来技術、競合技術の概要


不均一系触媒を用いる接触水素化反応、所謂、接触還元反応は化学工業の最も重要なプロセスの一つであり、芳香族ニトロ化合物や不飽和結合の水素化や水素化分解による脱ベンジル化反応など広く利用されているが、しばしば収率の低下や反応の進行の遅れなどが認められる。これらの問題点は、触媒表面(固相)-溶液(液相)-水素ガス(気相)(以下、固相-液相-気相反応又は3相系接触還元反応と呼ぶ。)の各層間の接触面積を増大させることにより改善されるため、激しく攪拌したり、水素ガスを細かい泡として吹き込むなどの工夫が試みられてきた。
通常の反応容器(以下、適宜、フラスコ反応と呼ぶ。)による接触水素化反応では、系内に水素ガス、溶媒蒸気、高活性な金属触媒が共存するため発火や爆発が生じる可能性がある。



一方、近年、マイクロリアクターを用いる有機合成が急速に発展しつつある。マイクロリアクターは、ガラスなどの不活性材料にその大きさが数~数百μmのマイクロ流路(以下、適宜マイクロチャンネルと呼ぶ。)を有する微小反応器の総称である。マイクロリアクターの反応器は小さいので、厳密な温度コントロールを容易に行うことができる。したがって、マイクロリアクターを用いる合成反応では、単位体積あたりの表面積が大きいため、
(1)界面での反応効率が高い、
(2)分子拡散による混合が効率的、
(3)温度制御が容易などの利点を有している。
このように、マイクロリアクターによる合成反応は通常の反応容器による合成反応よりも反応時間が早く、取り扱う薬液も微少量で済むためにコストが低く、新規な化合物や薬品のために開発用反応器として注目されている。本発明者らによる非特許文献1には、マイクロリアクター内での気体-液体-固体の三相系水素化反応が速やかに進行することが報告されている。



一方、新しい反応媒体としての超臨界流体に関する研究が近年盛んに行われている。このような超臨界流体としては、超臨界二酸化炭素や超臨界水が挙げられる。超臨界二酸化炭素は気体と液体の中間の性質を有し、気体とも液体とも混じる性質がある。このため、超臨界二酸化炭素を用いれば、反応後に二酸化炭素は蒸発してしまうので、生成物が単離された状態で得られる。



非特許文献2においては、超臨界二酸化炭素を媒体とするフローシステムが報告されている。非特許文献3においては、超臨界二酸化炭素中に生成させたマイクロエマルジョンをマイクロリアクターとして用いることが報告されている。非特許文献4及び5においては、超臨界水を媒体として用いるマイクロリアクター中での化学反応が報告されている。




【非特許文献1】J. Kobayashi, Y. Mori, K. Okamoto, R. Akiyama, M. Ueno, T. Kitamori, and S. Kobayashi, Science, Vol.304, pp.1305-1308 (2004)

【非特許文献2】M. G. Hitzler, M. Poliakoff, Chem. Commun., pp.1667-1668 (1997)

【非特許文献3】N. Kometani, Y. Toyoda, K. Asami, Y. Yonezawa, Chem. Lett., pp.682-683 (2000)

【非特許文献4】M. Sasaki, T. Adschiri, K. Arai, J. Agric. Food Chem. Vol.51, pp.5376-5381 (2003)

【非特許文献5】Y. Ikushima, M. Sato, Chem. Eng. Sci.,Vol.59,pp.4895-4901 (2004)

【非特許文献6】R. Akiyama and S. Kobayashi, J. Am. Chem. Soc., Vol.125, pp.3412-3413 (2003)

産業上の利用分野


本発明は、基質と気体との接触反応に利用できる、マイクロリアクター及びそれを用いた接触反応方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】 マイクロチャンネルと、基質と該基質と反応する気体と超臨界流体との混合物を該マイクロチャンネルへ供給する超臨界流体供給部と、マイクロチャンネルにおける反応生成物を回収する回収部と、を備え、
上記マイクロチャンネルは、流路を有し該流路の内壁に固相となる金属触媒を担持しており、
上記金属触媒はパラジウムが高分子に取り込まれた触媒であり、該高分子に取り込まれたパラジウム触媒が、該高分子表面の基を介して、上記流路の内壁表面のシラノール基又はスペーサーにある基との共有結合により上記流路の内壁に担持されており、
上記高分子は、下記化学式(1)で表される3種のモノマーからなり、
上記超臨界流体供給部は、二酸化炭素からなる超臨界流体の原料を収容する原料収容部と、上記基質と反応する気体として水素を収容する気体収容部と、上記基質を収容する基質収容部と、を有し、
上記超臨界流体の原料及び水素を上記基質収容部へ導入して該原料を加圧及び加温して水素と基質と超臨界流体との混合物とし、
上記混合物を上記マイクロチャンネルの流路へ所定の圧力及び温度で、かつ、所定の流量で連続的に流すことにより、上記基質及び水素の反応を上記パラジウム触媒により促進される固相-超臨界流体相の2相系接触反応で行うことを特徴とする、マイクロリアクター。
【化学式1】

【請求項2】 マイクロチャンネルと、基質及び該基質と反応する気体を混合した超臨界流体を該マイクロチャンネルへ供給する超臨界流体供給部と、マイクロチャンネルにおける反応生成物を回収する回収部と、を備え、
上記マイクロチャンネルは、流路を有し該流路の内壁に固相となる金属触媒を担持しており、
上記金属触媒はパラジウムが高分子に取り込まれた触媒であり、該高分子に取り込まれたパラジウム触媒が、該高分子表面の基を介して、上記流路の内壁表面のシラノール基又はスペーサーにある基との共有結合により上記流路の内壁に担持されており、
上記高分子は、下記化学式(1)で表される3種のモノマーからなり、
上記超臨界流体供給部は、二酸化炭素からなる超臨界流体の原料を収容する原料収容部と、上記基質と反応する気体として水素を収容する気体収容部と、上記基質を収容する基質収容部と入口側及び出口側に設けた第1及び第2の弁と、を有し、
上記回収部は、上記マイクロチャンネルの流路を通過する基質と水素と超臨界流体との混合物の圧力を調整する背圧調整部と反応生成物を回収する回収容器とを有し、
上記第1の弁を開いて上記超臨界流体の原料及び水素を上記基質収容部へ導入して該基質収容部内で上記超臨界流体の原料を加圧及び加温して水素と基質と超臨界流体との混合物とし、
上記混合物を上記第2の弁を開いて上記マイクロチャンネルの流路へ所定の圧力及び温度で、かつ、所定の流量で連続的に流すことにより、上記基質及び水素の反応を上記パラジウム触媒により促進される固相-超臨界流体相の2相系接触反応で行うことを特徴とする、マイクロリアクター。
【化学式2】

【請求項3】 マイクロチャンネルと、基質及び該基質と反応する気体を混合した超臨界流体を該マイクロチャンネルへ供給する超臨界流体供給部と、マイクロチャンネルにおける反応生成物を回収する回収部と、を備え、
上記マイクロチャンネルは、流路を有し該流路の内壁に固相となる金属触媒を担持しており、
上記金属触媒はパラジウムが高分子に取り込まれた触媒であり、該高分子に取り込まれたパラジウム触媒が、該高分子表面の基を介して、上記流路の内壁表面のシラノール基又はスペーサーにある基との共有結合により上記流路の内壁に担持されており、
上記高分子は、下記化学式(1)で表される3種のモノマーからなり、
上記超臨界流体供給部は、二酸化炭素からなる超臨界流体の原料を収容する原料収容部と、上記基質と反応する気体として水素を収容する気体収容部と、上記超臨界流体の原料を加圧及び加温し超臨界流体とするオートクレーブと、該オートクレーブへ上記超臨界流体の原料を送出する送液ポンプと、上記基質を収容する基質収容部と、上記原料及び水素の該オートクレーブへの導入を制御する第1の弁と、上記水素と混合した超臨界流体のオートクレーブから上記基質収容部への導入を制御する第2の弁と、上記基質と水素と超臨界流体との混合物の上記マイクロチャンネルへの送出を制御する第3の弁と、を有し、
上記回収部は、上記マイクロチャンネルの流路を通過する超臨界流体の圧力を調整する背圧調整部と反応生成物を回収する回収容器とを有し、
上記第1の弁を開いて上記超臨界流体の原料及び水素を上記オートクレーブへ導入して超臨界流体の原料を超臨界流体とし、
上記第2の弁を開いて上記水素を混合した超臨界流体を基質収容部へ導入して基質と水素と超臨界流体との混合物を作り、
上記第3の弁を開いて上記混合物をマイクロチャンネルへ送出し、
上記混合物を上記マイクロチャンネルの流路へ所定の圧力及び温度で、かつ、所定の流量で連続的に流すことにより、上記基質及び水素の反応を上記パラジウム触媒により促進される固相-超臨界流体相の2相系接触反応で行うことを特徴とする、マイクロリアクター。
【化学式3】

【請求項4】 前記高分子は、前記化学式(1)で表される3種のモノマーが、左側の高分子から順に、91:5:4の比で構成される高分子であることを特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載のマイクロリアクター。
【請求項5】 前記高分子表面の基がエポキシ基であり、前記スペーサーにある基がエポキシ基と結合する官能基で修飾されていることを特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載のマイクロリアクター。
【請求項6】 前記マイクロリアクターは制御部を有し、該制御部は、前記基質及び基質と反応する水素と超臨界流体との前記混合物を、前記マイクロチャンネルの流路へ所定の圧力及び温度、かつ、所定の流量で連続的に流すように制御することを特徴とする、請求項1乃至3の何れかに記載のマイクロリアクター。
【請求項7】 流路の内壁に固相となる金属触媒又は金属錯体触媒を担持し、該流路に超臨界流体を流すマイクロリアクターを用いた接触反応方法であって、
上記金属触媒はパラジウムが高分子に取り込まれた触媒であり、該高分子に取り込まれたパラジウム触媒が、該高分子表面の基を介して、上記流路の内壁表面のシラノール基又はスペーサーにある基との共有結合により上記流路の内壁に担持されており、
上記高分子は、下記化学式(1)で表される3種のモノマーからなる高分子であり、
上記二酸化炭素からなる超臨界流体に、基質及び該基質と反応する気体として水素を混合し、
上記基質及び基質と反応する水素との反応を上記パラジウム触媒により促進される固相-超臨界流体相の2相系接触反応で行うことを特徴とする、マイクロリアクターを用いた接触反応方法。
【化学式4】

【請求項8】 前記高分子表面の基がエポキシ基であり、前記スペーサーにある基がエポキシ基と結合する官能基で修飾されていることを特徴とする、請求項7に記載のマイクロリアクターを用いた接触反応方法。
【請求項9】 前記基質は、4-メチル-2,4―ジフェニル-1-ペンテン、エチル ウンデシレネート、10-ウンデセン-1-オール、3―フェニル-2-プロピン-1-オール、トランス-4-フェニル-3-ブテン-2-オン、1-ベンジルオキシ-3-フェニル-2-プロピン、の何れかであることを特徴とする、請求項7に記載のマイクロリアクターを用いた接触反応方法。
【請求項10】 前記高分子は、前記化学式(1)で表される3種のモノマーが、左側の高分子から順に、91:5:4の比で構成される高分子であることを特徴とする、請求項7に記載のマイクロリアクターを用いた接触反応方法。
産業区分
  • 処理操作
  • その他無機化学
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 小林高機能性反応場プロジェクト 領域
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