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オキシ水酸化鉄の製造方法及びオキシ水酸化鉄吸着材

国内特許コード P110004072
整理番号 RJ108P08
掲載日 2011年7月6日
出願番号 特願2007-503696
登録番号 特許第4126399号
出願日 平成18年2月16日(2006.2.16)
登録日 平成20年5月23日(2008.5.23)
国際出願番号 JP2006302718
国際公開番号 WO2006088083
国際出願日 平成18年2月16日(2006.2.16)
国際公開日 平成18年8月24日(2006.8.24)
優先権データ
  • 特願2005-038605 (2005.2.16) JP
  • 特願2005-167553 (2005.6.7) JP
発明者
  • 前 一廣
  • 牧 泰輔
  • 山本 篤志
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
  • 財団法人 滋賀県産業支援プラザ
  • 国立大学法人京都大学
発明の名称 オキシ水酸化鉄の製造方法及びオキシ水酸化鉄吸着材
発明の概要

本発明は、工場廃水、排ガス中等のリン成分、環境ホルモン等の有害物質に対して優れた吸着能を有するオキシ水酸化鉄を有利に製造する方法、及びその方法により得られたオキシ水酸化鉄を主成分とする吸着材を提供する。具体的には、
(a)鉄イオン含有水溶液に塩基を加え、pH9以下とすることにより、オキシ水酸化鉄を含む沈殿物を生成させる工程、
(b)該沈殿物を100℃以下の温度で乾燥することによってオキシ水酸化鉄を得る工程、
(c)得られたオキシ水酸化鉄を水に接触させる工程、及び
(d)得られたオキシ水酸化鉄を不活性ガス濃度が80%以上のガス雰囲気下、100~280℃の温度で加熱処理する工程、
を有することを特徴とするオキシ水酸化鉄の製造方法、並びにその方法により得られたオキシ水酸化鉄を主成分とする吸着材を提供する。

従来技術、競合技術の概要


近年、科学技術の発展に伴って、多種多様な化学物質が製造、使用されている。このような化学物質は、人の健康や生態系に有害な影響を及ぼすものも数多く存在している。例えば、水処理の場合、有機もしくは無機のリン、フッ素、ヒ素、モリブデン、クロム、アンチモン、セレン、ホウ素、テルル、ベリリウム、シアン等が有害物質として知られている。また、気体処理の場合、排ガス中の硫化水素、メルカプタン、青酸、フッ化水素、塩化水素、SOx、NOx、その他、リン、ヒ素、アンチモン、硫黄、セレン、テルル化合物、シアノ化合物等が有害物質として知られている。



上記有害物質は、飲料水、水道水、ミネラルウォーター、治療用水、農業用水、工業廃水、及び土壌中、空気中、排ガス中等に溶解、懸濁、乳化、固化もしくは浮遊した状態で含まれている場合があり、これらの有害物質を分離、除去することが試みられている。



特に、公共用水域としての、湖沼や内湾の閉鎖性水域における富栄養価が大きな社会問題となっている。その理由は、BOD(生物化学的酸素要求量)成分としての有機物を除去しても、窒素、リン等の栄養塩類が未処理のまま湖沼などに流入すると、藻類の異常発生により水域の有機物濃度が高まるためである。このため湖沼などから窒素、リンを除去することが必要とされている。中でも、リンについてはその資源枯渇化が懸念され、かかる水域や生活排水からの除去、回収を可能とするシステムの構築が要請されている。



従来、工業廃水等から有害な化学物質を吸着するための鉄系吸着材について、種々の提案がなされている。例えば、粒度50μm以下の含水酸化鉄を200~500℃で加熱し、含水酸化鉄中の結晶水を蒸発させ、細孔を0.1~50nm、比表面積15~200m2 /gの含水酸化鉄(特許文献1参照)が提案されている。しかしながら、特許文献1では、廃燃焼ガス雰囲気下、200~500℃で加熱処理しているため、リン成分等の有害物質の吸着に必要な鉄系吸着材の吸着サイトの比表面積及び細孔容量の面積分布(dV/dR)が減少しており、吸着力が十分でないという問題点があった。



また、鉄イオン溶液にアルカリを加えてpHを3に調整し、60℃で乾燥することによって得られた、非晶質の水酸化鉄系の沈殿生成物からなる陰イオン吸着材(特許文献2参照)が知られている。しかしながら、pH3では1×10-3mol/dm3の3価の鉄イオンが残存し、水酸化鉄が安定に沈殿できない。しかも、特許文献2の方法では、得られる吸着材は、比表面積が小さく吸着力も十分でないという問題点があった。



また、BET比表面積50~500m2/gの微粒子状オキシ水酸化鉄の凝集物の製造方法(特許文献3参照)も提案されている。しかしながら、特許文献3のオキシ水酸化鉄は、粒子系がナノサイズで小さいため、反応性は優れているが、粒子の飛散や摩擦による発火等の恐れがあり、取り扱いに不便であり、さらに吸着物質の回収も困難であるという問題点があった。



また、ダイオキシン抑制用鉄化合物触媒として、水酸化ナトリウム水溶液と硝酸第一鉄水溶液を47℃で攪拌混合した後、空気を通気して平均粒径0.01~2.0μmのオキシ水酸化鉄粉末を得る方法(特許文献4参照)も提案されている。しかしながら、特許文献4のオキシ水酸化鉄は、粒子系がμサイズで小さいため、特許文献3と同様に取り扱いに不便であり、さらに吸着物質の回収も困難であるという問題点があった。



このため、有害物質の吸着能が十分であり、かつナノサイズで細孔容量の面積分布(dV/dR)、細孔半径を制御することができるオキシ水酸化鉄の製造方法、及び取り扱いの容易な吸着材の開発が望まれていた。

【特許文献1】特開2003-154234号公報

【特許文献2】特開2003-334542号公報

【特許文献3】特開2004-509752号公報

【特許文献4】特開平11-267507号公報

産業上の利用分野


本発明は、オキシ水酸化鉄の製造方法及びオキシ水酸化鉄吸着材に関する。さらに詳しくは、本発明は、工場廃水、排ガス中等のリン成分等の有害物質に対して優れた吸着能を有するオキシ水酸化鉄複合体を有利に製造する方法、及びその方法により得られたオキシ水酸化鉄を主成分とする吸着材に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】(I-a)鉄イオン含有水溶液に塩基を加え、pH9以下とすることにより、オキシ水酸化鉄を含む沈殿物を生成させる工程、
(I-b)該沈殿物を100℃以下の温度で乾燥することによってオキシ水酸化鉄を得る工程、
(I-c)得られたオキシ水酸化鉄を水に接触させる工程、及び
(I-d)得られたオキシ水酸化鉄を不活性ガス濃度が80%以上のガス雰囲気下、100~280℃の温度で加熱処理する工程、
を有することを特徴とするオキシ水酸化鉄の製造方法。
【請求項2】(I-a)工程におけるpHを3.5~5.5に調整する請求項1に記載のオキシ水酸化鉄の製造方法。
【請求項3】(I-b)工程の乾燥を40~60℃の温度で行う請求項1又は2に記載のオキシ水酸化鉄の製造方法。
【請求項4】(I-d)工程を窒素濃度が80%以上、酸素濃度が20%以下のガス雰囲気下で行う請求項1~3のいずれかに記載のオキシ水酸化鉄の製造方法。
【請求項5】(I-d)工程の加熱温度を120~260℃で行う請求項1~4のいずれかに記載のオキシ水酸化鉄の製造方法。
【請求項6】請求項1~5のいずれかに記載の方法により得られたオキシ水酸化鉄を主成分とするオキシ水酸化鉄吸着材。
【請求項7】オキシ水酸化鉄のBET比表面積が100~450m2/g、及びBJH法により算出した細孔容量の面積分布(dV/dR)が100~300mm3/g/nmである請求項6に記載のオキシ水酸化鉄吸着材。
【請求項8】オキシ水酸化鉄の細孔半径ピークが0.8~3nm、細孔半径の分布幅が7nm以下である請求項6又は7に記載のオキシ水酸化鉄吸着材。
【請求項9】陰イオン種を含有する水を請求項6~8のいずれかに記載のオキシ水酸化鉄吸着材に接触させて、該陰イオン種を吸着させた後、該陰イオン種を脱着させることを特徴とする陰イオン種の回収方法。
【請求項10】(II-a)鉄イオン含有水溶液に塩基を加え、pH7以下とすることにより、オキシ水酸化鉄を含む沈殿物を生成させる工程、及び
(II-b)該沈殿物を酸素濃度が20%以下の不活性ガス雰囲気下で、100℃以下の温度で加熱することによりオキシ水酸化鉄を得る工程、
を有することを特徴とするオキシ水酸化鉄の製造方法。
【請求項11】(II-b)工程における加熱を、二酸化炭素濃度が50%以上のガス雰囲気下で、30~100℃の温度で行う請求項10に記載のオキシ水酸化鉄の製造方法。
【請求項12】(II-b)工程後に、更に
(II-c)得られたオキシ水酸化鉄を水と接触させる工程、及び
(II-d)(II-c)工程で得られたオキシ水酸化鉄を、酸素濃度20%以下の不活性ガス雰囲気下、100~250℃の温度で加熱処理する工程、
を行う請求項10又は11に記載のオキシ水酸化鉄の製造方法。
【請求項13】(II-d)工程を窒素濃度が80%以上の不活性ガス雰囲気下で行う請求項12に記載のオキシ水酸化鉄の製造方法。
【請求項14】請求項10~13のいずれかに記載の方法により得られたオキシ水酸化鉄を主成分とするオキシ水酸化鉄吸着材。
【請求項15】オキシ水酸化鉄の凝集体粒子の中心粒子径が0.3~4.0mmである請求項14に記載のオキシ水酸化鉄吸着材。
【請求項16】オキシ水酸化鉄のBET比表面積が100~450m2/g、及びBJH法により算出した細孔容量の面積分布(dV/dR)が100~300mm3/g/nmである請求項14又は15に記載のオキシ水酸化鉄吸着材。
【請求項17】オキシ水酸化鉄の細孔半径ピークが0.8~3nm、細孔半径の分布幅が7nm以下である請求項14~16のいずれかに記載のオキシ水酸化鉄吸着材。
【請求項18】請求項10~13のいずれかに記載の方法により得られたオキシ水酸化鉄を主成分とする吸着材であって、リン濃度50mg/Lの溶液に、該吸着材を1g/L添加したときのリン吸着除去率が65%以上であるオキシ水酸化鉄吸着材。
【請求項19】陰イオン種を含有する水を請求項14~18のいずれかに記載のオキシ水酸化鉄吸着材に接触させて、該陰イオン種を吸着させた後、該陰イオン種を脱着させることを特徴とする陰イオン種の回収方法。
【請求項20】(III-a)鉄イオン含有水溶液に塩基を加え、pH9以下とすることにより、オキシ水酸化鉄を含む沈殿物を生成させる工程、及び(III-b)該沈殿物を100℃以下の温度で乾燥することによってオキシ水酸化鉄を得る工程、を含む製造方法により製造されるオキシ水酸化鉄を、塩基の水溶液で処理した後に水処理して得られるオキシ水酸化鉄吸着材(オキシ水酸化鉄吸着材A)。
【請求項21】I)(I-a)鉄イオン含有水溶液に塩基を加え、pH9以下とすることにより、オキシ水酸化鉄を含む沈殿物を生成させる工程、(I-b)該沈殿物を100℃以下の温度で乾燥することによってオキシ水酸化鉄を得る工程、(I-c)得られたオキシ水酸化鉄を水に接触させる工程、及び(I-d)得られたオキシ水酸化鉄を不活性ガス濃度が80%以上のガス雰囲気下、100~280℃の温度で加熱処理する工程、を有する製造方法で製造されるオキシ水酸化鉄、又は、
(II)(II-a)鉄イオン含有水溶液に塩基を加え、pH7以下とすることにより、オキシ水酸化鉄を含む沈殿物を生成させる工程、及び(II-b)該沈殿物を酸素濃度が20%以下の不活性ガス雰囲気下で、100℃以下の温度で加熱することによりオキシ水酸化鉄を得る工程、を有する製造方法で製造されるオキシ水酸化鉄を、塩基の水溶液で処理した後に水処理して得られるオキシ水酸化鉄吸着材(オキシ水酸化鉄吸着材A)。
【請求項22】リン酸イオン及び他の陰イオン種を含む水を、請求項20又は21に記載のオキシ水酸化鉄吸着材Aと接触させて、リン酸イオンを選択的に吸着させた後、リン酸イオンを脱着させることを特徴とするリン酸イオンの選択的分離回収方法。
【請求項23】(III-a)鉄イオン含有水溶液に塩基を加え、pH9以下とすることにより、オキシ水酸化鉄を含む沈殿物を生成させる工程、及び(III-b)該沈殿物を100℃以下の温度で乾燥することによってオキシ水酸化鉄を得る工程、を含む製造方法により製造されるオキシ水酸化鉄を、塩基の水溶液で処理した後に塩酸処理して得られるオキシ水酸化鉄吸着材(オキシ水酸化鉄吸着材B)。
【請求項24】リン酸イオン及び硝酸イオンを含む水を、
(1)請求項20又は21に記載のオキシ水酸化鉄吸着材A、及び、
(2)請求項23に記載のオキシ水酸化鉄吸着材B
の順に接触させることを特徴とするリン酸イオン及び硝酸イオンの分離回収方法。
【請求項25】リン酸イオン及び硝酸イオンを含む水を、
(1)請求項20又は21に記載のオキシ水酸化鉄吸着材Aが充填された吸着塔、及び、
(2)請求項23に記載のオキシ水酸化鉄吸着材Bが充填された吸着塔
の順に通水させることを特徴とするリン酸イオン及び硝酸イオンの分離回収方法。
【請求項26】請求項20又は21に記載のオキシ水酸化鉄吸着材Aが充填された吸着塔I、及び、請求項23に記載のオキシ水酸化鉄吸着材Bが充填された吸着塔II及びIIIを備え、該吸着塔Iには被処理水の入口及び通過水の出口を有し、該吸着塔Iは、該出口からの通過水を吸着塔II及び吸着塔IIIに導く配管で吸着塔II及びIIIにつながれ、該配管には該吸着塔Iからの通過水を該吸着塔II又はIIIへ切り替え可能なバルブを備えた陰イオン種の回収装置。
【請求項27】請求項26に記載の陰イオン種の回収装置を用いるリン酸イオン及び硝酸イオンの選択的分離回収方法であって、リン酸イオン及び硝酸イオンを含む水を吸着塔Iに通してリン酸イオンを吸着処理した後、その通過水を吸着塔IIに通して硝酸イオンを吸着処理し、一定時間後に、バルブを吸着塔III側に切り替えて、通過水を吸着塔IIIに通して硝酸イオンを吸着処理し、硝酸イオンが吸着された吸着塔IIでは硝酸イオンの脱着処理を行い、更に一定時間後に、バルブを吸着塔II側に切り替えて、通過水を吸着塔IIに通して硝酸イオンを吸着処理し、硝酸イオンが吸着された吸着塔IIIでは硝酸イオンの脱着処理を行うことを特徴とする方法。
【請求項28】リン酸イオンが吸着された吸着塔Iでリン酸イオンの脱着処理を行うことを特徴とする請求項27に記載の選択的分離回収方法。
産業区分
  • 無機化合物
  • 処理操作
  • その他無機化学
  • 省エネルギー
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
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