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ハイドライド気相成長法による平坦で低転位密度のm面窒化ガリウムの成長 実績あり

国内特許コード P110004097
整理番号 E067P07
掲載日 2011年7月6日
出願番号 特願2007-515412
公表番号 特表2008-501606
登録番号 特許第5461773号
出願日 平成17年5月31日(2005.5.31)
公表日 平成20年1月24日(2008.1.24)
登録日 平成26年1月24日(2014.1.24)
国際出願番号 US2005018823
国際公開番号 WO2005122267
国際出願日 平成17年5月31日(2005.5.31)
国際公開日 平成17年12月22日(2005.12.22)
優先権データ
  • 60/576,685 (2004.6.3) US
発明者
  • ベンジャミン・エー・ハスケル
  • メルヴィン・ビー・マクローリン
  • スティーブン・ピー・デンバース
  • ジェームス・エス・スペック
  • 中村 修二
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 ハイドライド気相成長法による平坦で低転位密度のm面窒化ガリウムの成長 実績あり
発明の概要 【課題】非常に平坦性で完全な透明性と鏡面性をもつm面窒化ガリウム(GaN)膜を成長する方法。
【解決手段】本方法は、選択横方向成長技術によって構造欠陥密度の大幅な低減を実現する。高品質で、一様で、厚いm面GaN膜は分極のないデバイスの成長のための基板として用いるために作製される。
【選択図】図5
従来技術、競合技術の概要


2.関連技術の説明
(注:本願明細書は様々な文献を参照している。これら文献それぞれは以下の「参考文献」と題されたセクションに見出せる。これら文献のそれぞれは参照としてここに組み込まれているものとする。)
窒化ガリウム(GaN)ならびにアルミニウム及びインジウムを含むその3元および4元の化合物(AlGaN、InGaN、AlInGaN)の有用性は、可視及び紫外の光電子デバイスや高性能電子デバイスの作製に対して十分に確立されてきている。これらのデバイスは通常は分子線エピタキシー(MBE)、有機金属気相成長法(MOCVD)、あるいはハイドライド気相成長(HVPE)法などの成長技術によってエピタキシャル成長される。



GaNとその合金は六方晶系ウルツ鉱型結晶構造において最も安定である。その構造は相互に120°回転関係にある2つ(または3つ)の等価な基底面軸(a軸)によって示され、これらの軸はすべて主軸のc軸に垂直である。図1は一般的な六方晶系ウルツ鉱型結晶構造100の概略図であり、重要な面102、104、106、108と、軸110、112、114、116を図中に示す。ここで、塗りつぶされたパターンは重要な面102、104、106を示すことを意図するものであり、構造100の材料を表すものではない。III族元素原子と窒素原子は結晶のc軸に沿って交互にc面を占める。ウルツ鉱型構造に含まれる対称要素はIII族窒化物がこのc軸に沿ってバルクの自発分極を有することを示す。さらに、ウルツ鉱型結晶構造は対称中心がないので、ウルツ鉱型窒化物は結晶c軸に沿ってさらに圧電分極を示す。電子および光電子デバイス用の現状の窒化物技術は極性c方向に沿って成長した窒化物薄膜を用いている。しかしながら、III族窒化物系の光電子及び電子デバイスにおける従来のc面量子井戸構造は強い圧電分極及び自発分極の存在によって望ましくない量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)を示すことになる。c方向に沿った強い組み込み(built-in)電界のために電子と正孔は空間的に分離してしまい、それがためにキャリアの再結合効率が制限され、振動子強度が低下し、発光がレッド・シフトを起こすことになってしまう。



GaN光電子デバイスにおける自発分極および圧電分極の効果を取り除く可能性のある1つの方法は結晶の非極性面上にデバイスを成長することである。そのような面はGaとN原子を同数ずつ含み、電荷中性である。更に、引き続き成長する非極性層は相互に等価であり、それゆえに、バルク結晶は成長方向に沿って分極しない。GaNにおける対称等価な非極性面の2つのファミリーは、まとめてa面と呼ばれる{11-20}ファミリーと、まとめてm面と呼ばれる{1-100}ファミリーである。



実際に、例えば<11-20>a方向または<1-100>m方向のような非極性成長方向を用いた(Al、Ga、In、B)Nの量子井戸構造は、極性軸が膜の成長面内にあり、量子井戸のヘテロ界面に平行であるので、ウルツ鉱型窒化物構造において分極が誘起する電界効果を除去することが出来る有効な手段を提供するものであるということが示された。非極性の電子および光電子デバイスの作製における利用可能性から、過去数年間、非極性(Al、Ga、In)Nの成長は大きな関心を集めている。最近では、アルミン酸リチウム基板上にプラズマ支援MBEにより作製した非極性m面AlGaN/GaN量子井戸、及びMBE及びMOCVDの両方を用いてr面サファイア基板上に成長した非極性a面AlGaN/GaN多重量子井戸(MQW)には成長方向に沿っての分極電界が存在しないことが示された。更に最近では、スン(Sun)ら[非特許文献1]及びガードナー(Gardner)ら[非特許文献2]はそれぞれ、MBE及びMOCVD法によってm面InGaN/GaN量子井戸構造をヘテロエピタキシャル成長した。チトニス(Chitnis)ら[非特許文献3]はa面InGaN/GaN構造をMOCVDで成長した。もっとも大事なこととして、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究者ら、すなわちチャクラボーティー(Chakraborty)ら[非特許文献4]はごく最近、低欠陥密度のHVPE成長a面GaNをテンプレートとして用いて、低欠陥密度a面InGaN/GaNデバイスを成長することによる大きな利点を実証した。本文献は、非極性III族窒化物発光ダイオード(LED)及びレーザ・ダイオード(LD)は極性のものに比較してはるかに良好な特性を持つ可能性があることを確立した。



GaNのバルク結晶は入手できないので、単純に結晶をカットして、続くデバイスの再成長のための結晶表面を作り出すことは出来ない。全てのGaN膜は最初はヘテロエピタキシャル成長され、すなわちGaNと適度に格子整合する異種基板上に成長させる。近年、多くの研究グループが、自立(free-standing)GaN基板を得て、それをデバイスのホモエピタキシャル再成長用に用いるために、その異種基板を取り除くに十分な厚さ(>200μm)のGaN膜をヘテロエピタキシャル成長するための手段としてHVPE法を用いることが可能であることを認識してきた。HVPEはMOCVDに比べて1桁から2桁大きな成長速度を持ち、MBEよりは3桁も大きな成長速度を有するという利点があり、これはHVPEを基板作製の魅力的な技術とする長所である。



窒化物のヘテロエピタキシャル成長における一つの甚だしく不利な点は、基板とエピタキシャル薄膜間の界面に構造欠陥が発生することである。重要で、影響の大きい欠陥の主要なタイプは貫通転位と積層欠陥の2つである。極性c面GaN膜において転位と積層欠陥の低減を達成する主要な手段は、選択横方向成長(lateral epitaxial overgrowth)(LEO、ELO、またはELOG)、選択領域エピタキシー、およびPENDEOエピタキシー(登録商標)を含むいろいろな横方向オーバーグロース技術を用いることである。これらのプロセスの大事な点は、垂直成長よりも横方向成長が容易になるようにすることによって、転位が薄膜表面を垂直に伝播することを妨げるか抑えることである。このような転位低減技術はHVPEとMOCVDによってc面GaN成長に対して精力的に開発されてきた。



ごく最近になってGaNの横方向成長技術はa面膜に対して実証された。クレイブン(Craven)ら[非特許文献5]は薄いa面GaNテンプレート層の上に誘電体マスクを用いてMOCVDによってLEOを行うことに成功した。発明者らのグループはこれに続き、HVPEによるa面GaN成長のLEO技術を開発した[非特許文献6]。しかしながら今日までm面GaNに対してはそのようなプロセスは開発も実証もされていない。



本発明は、このような課題を克服し、HVPEによる高品質m面GaNの成長技術を初めて提供するものである。
【非特許文献1】
Sun et al., Appl.Phys.Lett.83(25)5178(2003)
【非特許文献2】
Gardner et al., Appl.Phys.Lett.86,111101(2005)
【非特許文献3】
Chitnis et al., Appl.Phys.Lett.84(18)3663(2004)
【非特許文献4】
Chakraborty et al., Appl.Phys.Lett.85(22)5143(2004)
【非特許文献5】
Craven et al., Appl.Phys.Lett.81(7)1201(2002)
【非特許文献6】
Haskell et al., Appl.Phys.Lett.83(4)644(2003)

産業上の利用分野


本発明は化合物半導体の成長とデバイス作製に関するものである。より具体的には、本発明は、ハイドライド気相成長法による平坦なm面GaN膜の直接成長や、または低転位密度を達成するためこれに引き続き選択的にGaN膜の選択横方向成長(lateral epitaxial overgrowth)を用いた、平坦なm面窒化ガリウム(GaN)膜の成長と作製に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
(a)成長表面である平坦なm面GaN膜を得るための該m面表面平坦なm面GaN膜の直接成長を得る工程、および
(b)前記成長表面からの前記m面GaN膜の引き続く選択横方向成長(LEO)を行うことにより、前記平坦なm面GaN膜中の貫通転位と欠陥の密度を低減し、かつ、RMS表面粗さが少なくとも5×5μmの面積にわたって6Å未満である工程
を備えたことを特徴とする、平坦なm面窒化ガリウム(GaN)膜を成長する方法。

【請求項2】
前記平坦なm面GaN膜は分極を含まないデバイスの成長のための基板として用いる目的で製作されることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項3】
前記平坦なm面GaN膜の直接成長は、m面SiC、(100)γ-LiAlO2を含む基板、またはm面(In、Al、Ga、B)Nテンプレート層で覆われた基板上で行われることを特徴とする請求項2に記載の方法。

【請求項4】
前記直接成長を得る工程は、
(1)基板を反応器に装着する工程、
(2)成長室にアンモニア(NH3)、水素(H2)と窒素(N2)の混合ガスを流しながら、前記反応器を成長温度まで加熱する工程、
(3)前記反応器の圧力を大気圧よりも低い、所望の成膜圧力まで下げる工程、
(4)前記基板上に前記平坦なm面GaN膜の直接成長を開始するために、気体の塩化水素(HCl)をガリウム(Ga)源へ流し始める工程であって、前記気体HClは前記Gaと反応して一塩化ガリウム(GaCl)を形成する工程、
(5)少なくとも一部分は水素(H2)を含むキャリア・ガスを用いて前記GaClを前記基板へ輸送する工程であって、前記平坦なm面GaN膜を形成するように前記GaClが前記基板上でアンモニア(NH3)と反応する工程、および
(6)所望の成長時間が経った後で前記気体HClの流れを遮断し、前記反応器の圧力を大気圧に戻し、前記反応器の温度を室温に下げる工程、
を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の方法。

【請求項5】
前記基板が低温または前記成長温度で成膜された核生成層で被覆されていることを特徴とする請求項4に記載の方法。

【請求項6】
前記反応器内のガス流に無水アンモニア(NH3)を加えて前記基板を窒化する工程を更に備えていることを特徴とする請求項4に記載の方法。

【請求項7】
前記工程(6)は、前記反応器の温度が低下する間に前記GaN薄膜が分解することを防ぐために、ガス流に無水アンモニア(NH3)を含ませる工程を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の方法。

【請求項8】
前記工程(6)は、低圧で前記基板を冷却する工程を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の方法。

【請求項9】
前記選択横方向成長を行う工程は、
(1)前記直接成長の前記成長表面上に成膜されたマスクをパターニングする工程、および
(2)前記直接成長の成長表面から前記GaN膜の選択横方向成長をハイドライド気相成長法を用いて行う工程を更に備え、GaNが前記パターニングされたマスクで覆われていない前記直接成長の成長表面の部分の上にだけ核生成し、前記GaNが前記パターニングされたマスクの開口部を通して垂直に成長し、その後前記GaNがパターニングされたマスクの上を横に前記平坦なm面GaN膜を形成するための前記直接成長の表面を横切って拡がることを特徴とする請求項2に記載の方法。

【請求項10】
前記選択横方向成長はほぼ大気圧またはそれ未満の成長圧力と、一部分は水素を含むキャリア・ガスとを利用することを特徴とする請求項9に記載の方法。

【請求項11】
前記キャリア・ガスが主として水素であることを特徴とする請求項10に記載の方法。

【請求項12】
前記キャリア・ガスが水素と窒素、アルゴンまたはヘリウムの混合ガスを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。

【請求項13】
前記パターニングされたマスクは金属材料または誘電性材料を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。

【請求項14】
前記工程(1)は、
(1)前記直接成長の表面上に二酸化ケイ素(SiO2)膜を成膜する工程、
(2)前記二酸化ケイ素膜上のフォトレジスト層をパターニングする工程、
(3)前記パターニングされたフォトレジスト層によって露出した前記二酸化ケイ素膜の全ての部分をエッチング除去する工程、
(4)前記フォトレジスト層の残留部分を取り除く工程、および
(5)前記直接成長の表面を洗浄する工程
を備えることを特徴とする請求項9に記載の方法。

【請求項15】
前記基板は低温または前記成長温度で成膜した核生成層で被覆されていることを特徴とする請求項9に記載の方法。

【請求項16】
前記直接成長および前記LEOは、ハイドライド気相成長法によるものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【請求項17】
前記m面GaN膜の前記直接成長は鏡面性であり、ピットおよびクラックがなく、自立基板となるのに十分に厚いことを特徴とする請求項1に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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JP2007515412thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 中村不均一結晶プロジェクト 領域
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