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強磁性形状記憶合金及びその用途 コモンズ

国内特許コード P110004104
整理番号 A282P15
掲載日 2011年7月6日
出願番号 特願2007-523964
登録番号 特許第4697981号
出願日 平成18年6月27日(2006.6.27)
登録日 平成23年3月11日(2011.3.11)
国際出願番号 JP2006312835
国際公開番号 WO2007001009
国際出願日 平成18年6月27日(2006.6.27)
国際公開日 平成19年1月4日(2007.1.4)
優先権データ
  • 特願2005-186663 (2005.6.27) JP
発明者
  • 石田 清仁
  • 及川 勝成
  • 貝沼 亮介
  • 鹿又 武
  • 須藤 祐司
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 強磁性形状記憶合金及びその用途 コモンズ
発明の概要 Mnを25~50原子%、In、Sn及びSbからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を合計で5~18原子%、及びCo及び/又はFeを0.1~15原子%含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなる強磁性形状記憶合金は、実用温度域での優れた形状記憶特性を有し、実用温度域で磁場誘起逆変態して磁性変化を伴い形状を回復する。
従来技術、競合技術の概要


形状記憶合金はマルテンサイト変態及び逆変態に伴う顕著な形状記憶効果を有し、アクチュエータ用材料等として有用である。形状記憶合金からなるアクチュエータは通常熱駆動される(冷却によりマルテンサイト変態、加熱により逆変態する)。形状記憶合金では、一般に冷却時の変態温度より加熱時の逆変態温度の方が高い。変態温度と逆変態温度との差を温度ヒステリシスという。温度ヒステリシスが小さい熱弾性型マルテンサイト変態では、通常約5%に及ぶ大きな形状回復歪が得られる。しかし熱駆動アクチュエータは冷却過程が熱放散により律速されるため、応答速度が遅いという問題がある。



そこで磁場によりマルテンサイト相が双晶変形するNi-Co-Al系合金、Ni-Mn-Ga系合金等の強磁性形状記憶合金が注目されている。強磁性形状記憶合金は磁場誘起歪みが得られるので、応答速度が高く、アクチュエータ用材料として有望である。



特開2002-129273号は、5~70原子%のCoと、5~70原子%のNiと、5~50原子%のAlとを含有し、残部が不可避的不純物からなる組成を有し、B2構造のβ相からなる単相組織、又はγ相とB2構造のβ相とからなる2相組織を有する強磁性形状記憶合金からなるアクチュエータ部品を提案している。しかしこの強磁性形状記憶合金に磁場をかけてもマルテンサイト変態温度が大幅に変化せず、実用温度域でマルテンサイト変態及び逆変態を起こさせるのが困難であるので、室温で磁気駆動型アクチュエータに用いても十分な特性が得られない。そのため、マルテンサイト相のみからなる強磁性形状記憶合金に強磁場を印加し、大きな双晶磁歪を生じさせているのが現状である。しかしこの方法には、強磁性形状記憶合金が単結晶でなければ大きな歪を取り出せないという問題がある。



特開平10-259438号は、磁場により生活環境温度で形状記憶効果を示すNi-Mn-Ga合金として、化学組成式:Ni2+X-Mn1-X-Ga[但し0.10≦X≦0.30(モル)]により表され、マルテンサイト逆変態終了温度が-20℃以上のNi-Mn-Ga合金を提案している。しかしこのNi-Mn-Ga合金は形状回復歪が十分とは言えなかった。



特開2001-279360号は、Ni-Mn-Ga合金より大きな歪みを発現できるMn系合金として、一般式:MnaTbX1-a-b(ただしTはFe、Co及びNiからなる群から選ばれた少なくとも一種であり、XはSi、Ge、Al、Sn及びGaからなる群から選ばれた少なくとも一種であり、a及びbはそれぞれ0.2≦a≦0.4及び0.2≦b≦0.4を満たす数である。)により表され、マルテンサイト変態を示すとともにその逆変態終了温度が-20℃~300℃の範囲にあるMn系合金を提案している。しかしこのMn系合金は常磁性母相から強磁性マルテンサイト相に磁場誘起変態するので、大きな歪が得られない。



特開2001-279357号は、結晶変態の際に生じる歪み率及び変位量が大きいマグネティックシェープメモリー合金として、一般式:M12-XM2YM3Z(ここで、M1はNi及び/又はCuであり、M2はMn,Sn,Ti及びSbからなる群から選ばれた少なくとも一種であり、M3はSi,Mg,Al,Fe,Co,Ga及びInからなる群から選ばれた少なくとも一種であり、X,Y及びZはそれぞれ0<X≦0.5、0<Y≦1.5、及び0<Z≦1.5を満たす数である。)により表され、ホイスラー構造を有し、マルテンサイト変態及び磁場誘起マルテンサイト逆変態を生じるマグネティックシェープメモリー合金を提案している。この文献には磁場により形状が変化すると記載されているが、いずれの実施例でも温度変態させた後磁場誘起変態が起こっており、磁場変化のみによりマルテンサイト逆変態を起こす例は全くない。



強磁性形状記憶合金が温度変化に応じて強磁性と常磁性との間で変化することを利用した熱磁気駆動素子が提案されている。特開平10-259438号及び特開2002-129273号には、生活環境温度で磁気変態するように合金組成を最適化した強磁性形状記憶合金をアクチュエータに利用することが記載されている。しかし強磁性/常磁性間の磁気変態はエネルギー変換効率は不十分であるという問題がある。



強磁性形状記憶合金を磁気冷凍材として利用することも提案されている。磁気冷凍は、磁気熱量効果(磁性体を常磁性から強磁性に等温磁化して電子磁気スピン系の自由度の相違に起因する磁気エントロピー変化を生じさせた後、磁場を断熱的に除去すると磁性体の温度が低下する現象)を利用する。



特開2002-356748号は、常温域で比較的弱い磁場により磁気冷凍できる磁性材料として、(a) Fe、Co、Ni、Mn及びCrからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を合計で50~96原子%含み、Si、C、Ge、Al、B、Ga及びInからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を合計で4~43原子%含み、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を合計で4~20原子%含む磁気冷凍用磁性材料、並びに(b) Fe、Co、Ni、Mn及びCrからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を合計で50~80原子%含み、Sb、Bi、P及びAsからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を合計で20~50原子%含む磁気冷凍用磁性材料を提案している。しかしこれらの磁気冷凍用磁性材料は、-40℃以下でなければ十分な磁気エントロピー変化をせず、実用的でない。従って、常温付近でも十分な磁気エントロピー変化が得られる磁気冷凍材が望まれる。

産業上の利用分野


本発明は強磁性形状記憶合金及びその用途に関し、特に実用温度域で磁場誘起逆変態して、磁性変化を伴って形状を回復する強磁性形状記憶合金、及びその用途に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】Mnを25~50原子%、In、Sn及びSbからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を合計で5~18原子%、及びCo及び/又はFeを0.1~15原子%含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなることを特徴とする強磁性形状記憶合金。
【請求項2】請求項1に記載の強磁性形状記憶合金において、Niを40原子%超含有することを特徴とする強磁性形状記憶合金。
【請求項3】Mnを25~50原子%、In、Sn及びSbからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を合計で5~18原子%、Co及び/又はFeを0.1~15原子%、及びTi、Pd、Pt、Al、Ga、Si、Ge、Pb及びBiからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を合計で0.1~15原子%含有し、残部が40原子%超のNi及び不可避的不純物からなることを特徴とする強磁性形状記憶合金。
【請求項4】25~50原子%のMnを含有し、In、Sn及びSbからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を合計で5~18原子%含有し、Co及び/又はFeを0.1~15原子%含有し、さらにPd、Pt、Pb及びBiからなる群から選ばれた少なくとも一種の金属を合計で0.1~15原子%含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなることを特徴とする強磁性形状記憶合金。
【請求項5】請求項4に記載の強磁性形状記憶合金において、Niを40原子%超含有することを特徴とする強磁性形状記憶合金。
【請求項6】請求項1~5のいずれかに記載の強磁性形状記憶合金において、母相は強磁性であり、マルテンサイト相は常磁性、反強磁性又はフェリ磁性であることを特徴とする強磁性形状記憶合金。
【請求項7】請求項6に記載の強磁性形状記憶合金において、前記マルテンサイト相は長周期積層構造を有することを特徴とする強磁性形状記憶合金。
【請求項8】請求項6又は7に記載の強磁性形状記憶合金において、20 kOe以上の磁場を印加した時のマルテンサイト変態開始温度とその終了温度での磁化の差、及びマルテンサイト逆変態開始温度とその終了温度での磁化の差が各々50 emu/g以上であることを特徴とする強磁性形状記憶合金。
【請求項9】請求項6~8のいずれかに記載の強磁性形状記憶合金において、母相の電気抵抗ρpに対するマルテンサイト相の電気抵抗ρMの比ρM/ρpが2以上であることを特徴とする強磁性形状記憶合金。
【請求項10】請求項1~9のいずれかに記載の強磁性形状記憶合金を用いた磁場駆動素子であって、常磁性、反強磁性又はフェリ磁性を有するマルテンサイト相状態の前記強磁性形状記憶合金に磁場を印加することにより誘起される強磁性母相へのマルテンサイト逆変態に伴う形状回復及び/又は磁性変化を利用することを特徴とする磁場駆動素子。
【請求項11】請求項10に記載の磁場駆動素子において、磁場誘起逆変態により生じた前記母相状態の強磁性形状記憶合金から磁場を除去することにより誘起される前記マルテンサイト相への変態に伴う形状変化及び/又は磁性変化を利用することを特徴とする磁場駆動素子。
【請求項12】請求項11に記載の磁場駆動素子において、前記形状回復及び/又は前記形状変化に伴い発生する応力を利用することを特徴とする磁場駆動素子。
【請求項13】請求項1~9のいずれかに記載の強磁性形状記憶合金を感温磁性体として用いた熱磁気駆動素子であって、(a) 常磁性、反強磁性又はフェリ磁性を有するマルテンサイト相状態の前記強磁性形状記憶合金を加熱することにより誘起される強磁性母相へのマルテンサイト逆変態に伴う磁性変化、及び/又は(b) 前記母相状態の強磁性形状記憶合金を冷却することにより誘起される前記マルテンサイト相への変態に伴う磁性変化を利用することを特徴とする熱磁気駆動素子。
【請求項14】請求項1~9のいずれかに記載の強磁性形状記憶合金からなる磁気冷凍材であって、常磁性、反強磁性又はフェリ磁性を有するマルテンサイト相状態の前記強磁性形状記憶合金に磁場を印加することにより誘起される強磁性母相へのマルテンサイト逆変態に伴う吸熱を利用することを特徴とする磁気冷凍材。
【請求項15】請求項1~9のいずれかに記載の強磁性形状記憶合金を用いた発熱吸熱素子であって、(a) 強磁性母相状態の前記強磁性形状記憶合金に発生したマルテンサイト変態に伴う発熱、及び(b) 常磁性、反強磁性又はフェリ磁性を有するマルテンサイト相状態の前記強磁性形状記憶合金に発生したマルテンサイト逆変態に伴う吸熱を利用することを特徴とする発熱吸熱素子。
【請求項16】請求項15に記載の発熱吸熱素子において、
(a) 前記マルテンサイト変態は、前記母相状態の強磁性形状記憶合金に応力をかけるか、磁場誘起逆変態により生じた前記母相状態の強磁性形状記憶合金から磁場を除去することにより誘起され、
(b) 前記マルテンサイト逆変態は、前記マルテンサイト相状態の強磁性形状記憶合金に磁場を印加するか、応力誘起変態により生じた前記マルテンサイト相状態の強磁性形状記憶合金から応力を除くことにより誘起される
ことを特徴とする発熱吸熱素子。
【請求項17】請求項1~9のいずれかに記載の強磁性形状記憶合金を用いた応力-磁気素子であって、(a) 強磁性母相状態の前記強磁性形状記憶合金に応力をかけることにより誘起される常磁性、反強磁性又はフェリ磁性を有するマルテンサイト相への変態に伴う磁性変化、及び/又は(b) 応力誘起変態により生じた前記マルテンサイト相状態の強磁性形状記憶合金から応力を除くことにより誘起される前記母相への逆変態に伴う磁性変化を利用することを特徴とする応力-磁気素子。
【請求項18】請求項1~9のいずれかに記載の強磁性形状記憶合金を用いた応力-抵抗素子であって、(a) 強磁性母相状態の前記強磁性形状記憶合金に応力をかけることにより誘起される常磁性、反強磁性又はフェリ磁性を有するマルテンサイト相への変態に伴う電気抵抗変化、及び/又は(b) 応力誘起変態により生じた前記マルテンサイト相状態の強磁性形状記憶合金から応力を除くことにより誘起される前記母相への逆変態に伴う電気抵抗変化を利用することを特徴とする応力-抵抗素子。
【請求項19】請求項1~9のいずれかに記載の強磁性形状記憶合金を用いた磁気抵抗素子であって、(a) 常磁性、反強磁性又はフェリ磁性を有するマルテンサイト相状態の前記強磁性形状記憶合金に磁場を印加することにより誘起される強磁性母相へのマルテンサイト逆変態に伴う電気抵抗変化、及び/又は(b) 磁場誘起逆変態により生じた前記母相状態の強磁性形状記憶合金から磁場を除去することにより誘起される前記マルテンサイト相への変態に伴う電気抵抗変化を利用することを特徴とする磁気抵抗素子。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST シミュレーション技術の革新と実用化基盤の構築(CRESTプログラム、さきがけプログラムの混合型領域) 領域
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