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ナノ構造体を有する磁気及び電気エネルギーの相互変換素子 コモンズ

国内特許コード P110004107
整理番号 N031P36
掲載日 2011年7月6日
出願番号 特願2007-529268
登録番号 特許第4817148号
出願日 平成18年8月1日(2006.8.1)
登録日 平成23年9月9日(2011.9.9)
国際出願番号 JP2006315189
国際公開番号 WO2007015475
国際出願日 平成18年8月1日(2006.8.1)
国際公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
優先権データ
  • 特願2005-224774 (2005.8.2) JP
発明者
  • バーンズ スチュワート・イー
  • 前川 禎通
  • 家田 淳一
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 ナノ構造体を有する磁気及び電気エネルギーの相互変換素子 コモンズ
発明の概要 電気エネルギーを磁気エネルギーに変換して蓄積し、蓄積した磁気エネルギーを必要なときに電気エネルギーとして取り出す、ナノ構造体を有する磁気及び電気エネルギーの相互変換素子である。電子伝導性の磁性体からなるナノ細線を有し、細線の幅が広い第1の領域(2)と、第1の領域(2)に連続する細線の幅がくさび状にくびれた第2の領域(3)と、第2の領域(3)に連続する細線の幅が徐々に細くなる第3の領域(4)と、第3の領域(4)に連続する細線の幅が広い第4の領域(5)とで成り、第1の領域に第1電極(11)、第2の領域のくびれ部分の第3の領域側の上端に中央電極(12)、第4の領域に第2電極(13)を有し、第1電極(11)と第2電極(13)間に入力電圧を印加すると共に、中央電極(12)と第2電極(13)間から増幅された出力電圧を取り出す。
従来技術、競合技術の概要


電子は、その本来的属性として電荷とスピンを有している。従来のエレクトロニクスは電子の電荷をもっぱら利用したものであるが、近年、電子のもう一つの属性であるスピンを利用したデバイスの開発が盛んである。例えば、電子のスピンを利用したロジックデバイスや、電子のスピンにより電気抵抗を制御する巨大磁気抵抗(GMR)素子や磁気トンネル(TMR)素子が作製されている(非特許文献1,2参照)。



ところで、磁性体において、電子のスピン流と磁性体の局在スピン間における角運動量の保存の帰結として、磁気エネルギーと電気エネルギーの変換が可能であることが知られている(非特許文献3,4参照)。以下にその原理を説明する。
図6は、電子伝導性の強磁性細線における磁壁及び磁壁の移動を示すもので、(a)は磁性細線に電流を流す前の磁壁の位置を示し、(b)は電流をΔt時間加えた後の磁壁の位置を示す。なお、磁化は細線の軸方向(z方向)に一様に磁化されるとし、磁性細線の断面積をAとする。
磁性細線に電流密度jの電流を流すと、電流を担う伝導電子のスピン(大きさ1/2)は強磁性的相互作用により局在スピンM(大きさS)の向きと平行になる傾向があり、電流を担う伝導電子はスピン分極したスピン流を形成する。その分極率をpとすると、スピン流js (密度)は次式(1)で表される。
【数1】


ここで、電子の電荷の単位をeとした。



次に、図6(a)に示すように、磁性体の局在スピンMが反転し磁壁Wが形成されている場合を考える。局在スピンMの矢印は局在スピンMによる磁化の向きを示す。伝導電子のスピンと磁壁Wの局在スピンとの間の角運動量の保存の帰結として、単位時間当たりに磁壁Wに流入するスピン流js は、磁壁Wの局在スピンの変化量に等しくなり、磁壁Wの局在スピン量は保存されるので、磁壁Wは次式(2)に与えられる速度で電子の流れと同じ方向(電流と逆方向)に動く。
【数2】


ここで、vc は単位胞の体積(=a3 、aは原子間距離)である。



外部磁界Bを、図6(a)に示すように細線に平行に加え、磁界Bのもとで磁壁Wを移動させたときの磁気エネルギー変化を評価する。磁壁が時間Δtの間に式(2)の速度で移動すると、vΔtA/vc 個の局在スピンの向きが磁界Bの方向と反対の方向から磁界Bの方向へと変化するので、下記式(3)だけ磁気エネルギーが減少する。
【数3】


ここで、gはg-因子、μB はボーア磁子である。磁気エネルギーの減少に相当するエネルギーは電流により散逸するので、下記式(4)が成り立つ。
【数4】


ここでVは細線の両端に生じる電位差である。(2)式と(3)式をあわせて(4)式に代入すると次式(5)を得る。
【数5】


(5)式は磁気エネルギーEmagnetic( =gμB B)と電気エネルギーEelectric (=eV)の関係を示している。すなわち、外部磁場Bが印加された一様な広さの細線中を電流を流すことによって磁壁Wが移動すれば、外部磁場Bに基づく磁気エネルギーを電気エネルギーに変換できることを示しており、実際、定量的な実証がなされている(非特許文献4参照)。また、磁気エネルギーと電気エネルギーの変換式は次式(6)で表されることが分かる。
【数6】




【非特許文献1】
前川禎通:固体物理第32巻第4号3頁(1997年4月15日,アグネ技術センター発行)
【非特許文献2】
スピンエレクトロニクス調査研究報告書II(平成11年3月,日本電子工業振興協会発行)
【非特許文献3】
A.Yamaguchi et al.: Phs. Rev. Lett.92, 077205 (2004)
【非特許文献4】
J.Z.Sun et al.: FA-11, 49th MMM (2004)

産業上の利用分野


本発明は、磁気エネルギーを電気エネルギーに、電気エネルギーを磁気エネルギーに相互に変換するナノ構造体を有する磁気及び電気エネルギーの相互変換素子に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
電子伝導性を有する磁性体からなるナノ構造体を有し、
上記ナノ構造体の両端部に接続される第1及び第2の電極と、
上記ナノ構造体の中央部に接続される中央電極と、
上記ナノ構造体の第1電極と上記中央電極との間には磁壁を保持できる第1の磁壁保持部と、
上記ナノ構造体の第2電極と上記中央電極との間には磁壁を保持できる第2の磁壁保持部と、を備え、
上記ナノ構造体は、細線の幅が広い第1の領域と、この第1の領域に連続する細線の幅がくさび状にくびれた第2の領域と、この第2の領域に連続する細線の幅が徐々に細くなる第3の領域と、この第3の領域に連続する細線の幅が広い第4の領域とからなり、
上記第1の領域の幅をdとし、上記第2の領域の最も細い幅をdとし、上記第3の領域の、最も広い幅をd3Mとし最も細い幅をd3mとし、さらに、上記第4の領域の幅をdとした場合に、d>d3M>d>d3m及びd>d3mの関係を満たすように構成されており、
上記第1の領域に第1電極が設けられ、上記第3の領域の上記第2の領域側に中央電極が設けられ、上記第4の領域に第2電極が設けられており、
上記第1の磁壁保持部及び第2の磁壁保持部の磁気エネルギーは上記ナノ構造体の両端部側の磁気エネルギーよりも小さく、上記第1の磁壁保持部の磁気エネルギーは上記第2の磁壁保持部の磁気エネルギーよりも大きくなるように構成されており、
上記第1電極と中央電極間に入力電圧又は電流を介して電気エネルギーを加えると共に、上記中央電極と第2電極間から出力電圧又は電流を介して増幅された出力電気エネルギーを取り出すことを特徴とする、ナノ構造体を有する磁気及び電気エネルギーの相互変換素子。

【請求項2】
前記第1電極と第2電極間に前記第1電極と中央電極間への入力電圧又は電流とは逆極性の電圧又は電流を印加して、磁気エネルギーを蓄えることを特徴とする、請求項1に記載のナノ構造体を有する磁気及び電気エネルギーの相互変換素子。

【請求項3】
前記ナノ構造体は積層構造からなり、その両端部及び中央部は幅が広く、各端部と中央部との間には磁壁を保持できる幅の狭い前記第1及び第2の磁壁保持部が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のナノ構造体を有する磁気及び電気エネルギーの相互変換素子。

【請求項4】
前記ナノ構造体の材料が、パーマロイ、鉄、鉄-コバルト合金、鉄-白金合金、サマリウム-コバルト合金の何れかであることを特徴とする、請求項1に記載のナノ構造体を有する磁気及び電気エネルギーの相互変換素子。

【請求項5】
前記ナノ構造体を有する磁気及び電気エネルギーの相互変換素子が、マトリクス状に配設されていることを特徴とする、請求項1~4の何れかに記載のナノ構造体を有する磁気及び電気エネルギーの相互変換素子。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 高度情報処理・通信の実現に向けたナノ構造体材料の制御と利用 領域
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