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インプリントポリマーおよびその利用 コモンズ

国内特許コード P110004113
整理番号 N081P33
掲載日 2011年7月6日
出願番号 特願2007-532181
登録番号 特許第5249582号
出願日 平成18年8月24日(2006.8.24)
登録日 平成25年4月19日(2013.4.19)
国際出願番号 JP2006316642
国際公開番号 WO2007023915
国際出願日 平成18年8月24日(2006.8.24)
国際公開日 平成19年3月1日(2007.3.1)
優先権データ
  • 特願2005-246863 (2005.8.26) JP
発明者
  • 竹内 俊文
  • 菱谷 隆行
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 インプリントポリマーおよびその利用 コモンズ
発明の概要

本発明に係るインプリントポリマーは、標的タンパク質に可逆的に結合する認識部位を持つと共に、上記認識部位は金属錯体および基質阻害剤の少なくとも一つを有しているので、標的タンパク質に対して高い特異性を有することができる。このようなインプリントポリマーは、プロテインチップ等に利用可能である。

従来技術、競合技術の概要


ポストゲノムにおけるタンパク質の解析とその応用は現在の科学技術における最も重要なテーマである。その中で、X線結晶解析等により得られた基礎情報から、タンパク質を医療・工業等の様々な分野で応用していくためには、簡便かつ安価な分離・検出系の構築が非常に重要である。これが可能となれば、医薬を安価で大量に分離するための機能材料化、あるいは簡便な診断法として期待されるプロテインチップへの応用が可能となる。現在、主に開発がなされているのは、抗体や天然のレセプター、目的のタンパク質に対する特異的なリガンドを固定化したチップなどである。しかしながら、これらのリガンドの探索や調製は非常に煩雑で時間を要する作業であり、コストも非常に高くなるため、簡便で汎用性の高い人工の分離・検出系の構築が必須である。すなわち、目的とするタンパク質に対して親和性をもつ非タンパク質・非核酸の人工マテリアルが必要である。



以上のような特定のタンパク質、すなわちポリペプチドと相互作用する分離・検出系が構築・確立されれば、タンパク質の検出や分離だけでなく、あるタンパク質の高次構造を認識・識別したり、特定の高次構造を安定化させるマテリアルの調製が可能となる。また、タンパク質を非共有結合的に固定化する方法としても、重要な技術となる。



タンパク質を構成するアミノ酸には、金属配位しやすい残基がいくつか含まれている。ヒスチジン、トリプトファン、システインといった残基は非共有電子対をもつアミノ酸残基であり、銅・ニッケルなどの遷移金属などに対して効率的な配位結合を形成する。そこで、これらの遷移金属、及びキレート効果により強固に金属を捕捉する配位子の組み合わせによりポリペプチドを認識すればよい。



標的分子を認識する技術として、分子インプリント法と呼ばれる技術が注目されている。分子インプリンティングとは、標的分子と相補的な認識部位を有する高分子を得る方法である。詳細は以下の通りである。まず、標的分子を鋳型分子とし、鋳型分子と、この鋳型分子と結合可能な機能性モノマーとの複合体を形成させる。そして得られた複合体を架橋剤と共に重合させ、架橋高分子を得る。その後、鋳型分子を溶媒等により除去することにより、高分子内に、標的分子に対して相補的な認識部位を構築する。



分子インプリンティングの技術はここ数十年にわたり開発され、この技術によって得られた高分子は、吸着剤や高速液体クロマトグラフィーの分離担体としての利用が検討されている。



従来行われてきた分子インプリント技術は、主に低分子化合物に対して機能するものである。これまで、タンパク質などのように巨大な分子に対して機能した例は少ないが、次のような例がある。



Mosbach らは、金属キレートモノマー N-(4-vinyl)-benzyl iminodiacetic acid とCu(II)との配位結合を利用したリボヌクレアーゼA のインプリンティングを報告している(非特許文献1:M. Kempe, M. Glad, and K. Mosbach, J. Molec. Recogn. 1995, 8, 3539)。具体的には、シリカゲル表面上で、上記金属キレートモノマー、Cu(II)、およびリボヌクレアーゼAの複合体を形成させたところに架橋剤を加えることで、金属キレートモノマー間を重合させている。



また、Minoura らは、同じくシリカゲルをサポートとして用いてグルコースオキシダーゼのインプリンティングを行った(非特許文献2:M. Burow and N. Minoura, Biochem. Biophys. Res. Commun. 1996, 227, 419-422)。正電荷を有する2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、負電荷を有するアクリル酸、およびグルコースオキシダーゼの基質であるグルコースを側鎖に有するグルコシルオキシエチルメタクリレート、電荷を持たないアクリルアミドと4種類の機能性モノマーを用い、主に3種類の相互作用で鋳型分子の認識を行うインプリントポリマーを合成している。



しかしながら、これらのインプリンティング技術では、プロテインチップ・プロテインアレイに応用可能な高い基質特異性を有する高分子を得ることは困難である。すなわち、上記従来の方法で製造されたインプリントポリマーでは、結合選択性や、センサー、センサーアレイ、センサーチップとしての利用可能性の点で問題があった。タンパク質検出素子、分離材料を創製するためには、高い基質選択性を与えるインプリンティング技術が必要となる。



本発明は、上記従来の問題に鑑みたものであり、その目的は、より結合特異性の高いインプリントポリマーを提供すると共に、色素修飾によるインプリントポリマーセンサー、その製造方法、およびその代表的な利用方法であるマイクロアレイ等を提供することにある。また、従来のインプリンティングの欠点であった低い選択性を克服するため、金属錯体特有の多価配位による特異性の向上、及び非特異的相互作用の抑制することを課題とする。

産業上の利用分野


本発明は、標的分子を特異的に認識する分子インプリント技術に関するものであり、特に、タンパク質を認識可能なインプリントポリマーの合成法、およびその利用方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
標的タンパク質に可逆的に結合する認識部位を有したインプリントポリマーであって
(i)上記標的タンパク質の基質阻害剤を有している機能性モノマーか、
もしくは、
(ii)上記標的タンパク質の基質阻害剤自体が機能性モノマーであって、且つ、上記認識部位とは異なる位置に重合官能基が導入されている機能性モノマーが、
上記機能性モノマーと共重合する2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)又はグリコシルオキシエチルメタクリレート(GEMA)とともに重合してなる重合体であることを特徴とするインプリントポリマー。

【請求項2】
上記認識部位は、さらに、上記標的タンパク質に結合可能な金属を有する金属錯体を有することを特徴とする請求項1に記載のインプリントポリマー。

【請求項3】
上記金属錯体は、上記標的タンパク質と結合することによって結合シグナルを発することを特徴とする請求項2に記載のインプリントポリマー。

【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載のインプリントポリマーを備えるアレイチップ。

【請求項5】
請求項1から3の何れか1項に記載のインプリントポリマーに対する結合特性の違いからタンパク質を同定する方法。

【請求項6】
請求項1から3の何れか1項に記載のインプリントポリマーに対する結合特性の違いからタンパク質を精製する方法。

【請求項7】
請求項1から3の何れか1項に記載のインプリントポリマーによってタンパク質をリフォールディングする方法。

【請求項8】
請求項1から3の何れか1項に記載のインプリントポリマーによってタンパク質の折りたたみ状態を判別する方法。

【請求項9】
標的タンパク質と機能性モノマーとを会合により複合体する複合体形成工程と、
上記複合体中の機能性モノマーを重合させる重合工程とを含み、
上記機能性モノマーは、
(i)上記標的タンパク質の基質阻害剤を有している機能性モノマーであるか、
もしくは、
(ii)上記標的タンパク質の基質阻害剤自体であって、当該基質阻害剤の上記標的タンパク質に可逆的に結合する認識部位とは異なる位置に重合官能基が導入されている機能性モノマーであり、
上記複合体形成工程および上記重合工程は、上記機能性モノマーと共重合する2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)又はグリコシルオキシエチルメタクリレート(GEMA)の存在下でおこなうことを特徴とするインプリントポリマーの製造方法。

【請求項10】
上記機能性モノマーは、さらに、標的タンパク質と結合可能な金属に配位する配位子を含むことを特徴とする請求項9に記載のインプリントポリマーの製造方法。

【請求項11】
上記複合体形成工程によって形成された複合体を単離する単離工程を含み、当該単離工程後に重合工程を行うことを特徴とする請求項10に記載のインプリントポリマーの製造方法。

【請求項12】
上記複合体形成工程および重合工程の少なくとも一方を行った後に、上記金属に配位可能な配位子によって、タンパク質と相補的な位置から外れた金属をブロックすることを特徴とする請求10または11に記載のインプリントポリマーの製造方法。

【請求項13】
上記重合工程を行った後、
キレート剤を添加すること、又はpHを変化させることによって上記配位子から金属を脱離させ、その後、上記金属とは異なる金属を配位させることによって、上記インプリントポリマーの機能改変を行う工程を含むことを特徴とする請求項10~12のいずれか1項に記載のインプリントポリマーの方法。
産業区分
  • 高分子化合物
  • 有機化合物
  • 微生物工業
  • 治療衛生
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ 情報、バイオ、環境とナノテクノロジーの融合による革新的技術の創製 領域
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