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質量分析法に用いられる試料ターゲットおよびその製造方法、並びに当該試料ターゲットを用いた質量分析装置

国内特許コード P110004134
整理番号 RX03P66
掲載日 2011年7月7日
出願番号 特願2007-540878
登録番号 特許第4885142号
出願日 平成18年4月28日(2006.4.28)
登録日 平成23年12月16日(2011.12.16)
国際出願番号 JP2006309032
国際公開番号 WO2007046162
国際出願日 平成18年4月28日(2006.4.28)
国際公開日 平成19年4月26日(2007.4.26)
優先権データ
  • 特願2005-306386 (2005.10.20) JP
発明者
  • 奥野 昌二
  • 和田 芳直
  • 柳下 崇
  • 益田 秀樹
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 地方独立行政法人 大阪府立病院機構
  • 公益財団法人神奈川科学技術アカデミー
発明の名称 質量分析法に用いられる試料ターゲットおよびその製造方法、並びに当該試料ターゲットを用いた質量分析装置
発明の概要 マトリックスを用いずに試料のイオン化を可能とする質量分析において、分子量10000を超える高分子量の物質のイオン化が可能となる試料ターゲットおよびその製造方法と、当該試料ターゲットを用いた質量分析装置とを提供する。
レーザー光の照射を受ける表面に開口する多数の細孔を有する試料保持面を備え、当該細孔の細孔径が30nm以上5μm未満、且つ、細孔深さ/(細孔周期-細孔径)が2以上50以下であり、上記試料保持面の表面が金属または半導体で被覆されている試料ターゲットを用いる。
従来技術、競合技術の概要


質量分析法は、試料をイオン化し、試料あるいは試料のフラグメントイオンの質量と電荷の比(以下、m/z値と表記する)を測定し、試料の分子量を調べる分析法である。その中でも、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI:Matrix-assisted laser desorption/ionization mass spectrometry)法は、マトリックスと呼ばれる低分子量の有機化合物と試料とを混合し、さらにレーザーを照射することにより、当該試料をイオン化する方法である。この方法では、マトリックスが吸収したレーザーのエネルギーを試料に伝えることになるので、試料を良好にイオン化することができる。



MALDI法は、熱に不安定な物質や高分子量物質をイオン化することが可能であり、他のイオン化技術と比較しても試料を「ソフトに」イオン化できる。それゆえ、この方法は、生体高分子や、内分泌攪乱物質、合成高分子、金属錯体など様々な物質の質量分析に広く用いられている。



しかしながら、上記MALDI法では、有機化合物のマトリックスを用いるために、当該マトリックスに由来する関連イオンにより、試料イオンの解析が困難となることがある。具体的には、有機化合物のマトリックスを用いると、このマトリックス分子のイオン、マトリックス分子が水素結合で結合したクラスターのイオン、マトリックス分子が分解して生成するフラグメントイオン等のマトリックス関連イオンが観測されるため、試料イオンの解析が困難になる場合が多い。



そこで、従来から、上記マトリックス関連イオンの妨害を避けるための技術が種々提案されている。具体的には、マトリックス関連イオンを生成させないように,マトリックス分子を固定する技術として、例えば、α-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸やシンナムアミドなどのマトリックスをセファロースのビーズに固定する技術、ターゲットである金の表面に、マトリックスであるメチル-N-(4-メルカプトフェニル-カーバメート)の自己組織化単分子膜を形成する技術、ゾルゲル法により、マトリックスである2,5-ジヒドロキシ安息香酸(DHB)をシリコンポリマーシート中に固定する技術等が知られている。しかしながら、上記のようにマトリックス分子を固定する方法は、検出感度や耐久性が実用上十分ではないという問題が生ずる。また、検出時には、フラグメントイオンによるノイズを回避できないという問題もある。



そこで、最近では、マトリックスを用いない技術が提案されている。具体的には、多穴性の表面を有する半導体基板(文献中では、porous light-absorbing semiconductor substrateと記載)を試料ターゲットとして用いる技術が開示されている(例えば、特許文献1等参照。)。この試料ターゲットは、半導体基板における試料保持面を、多穴性(porous)構造すなわち微細な凹凸構造となるように加工している。同文献では、このような試料保持面に試料を塗布し、当該試料にレーザー光を照射すると、マトリックスが無くても高分子量の物質がイオン化されると報告している。この方法は、DIOS(Desorption/Ionization on Porous Silicon)法と名付けられている。



また、マトリックスを用いない場合もイオン化を可能とする技術として、本発明者らは、リソグラフィー法により作製したナノメートルないし数十マイクロメートルオーダーの微細で規則的な凹凸構造を有する表面を試料保持面として備えている試料ターゲットや、ナノメートルないし数十マイクロメートルオーダーの微細な凹凸構造を有する表面を金属で被覆した試料保持面を備えている試料ターゲットによれば、従来のマトリックスを用いない技術と比較して、イオン化効率の向上およびより安定なイオン化が可能であることを見出している(例えば特許文献2等参照。)。



さらに、本発明者らは、サブマイクロメートルオーダーの凹凸構造を有する種々の材質からなる表面を試料保持面として備えている試料ターゲットについて検討を行っており、かかる材質の一つとして、ポーラスアルミナを金や白金で被覆した試料保持面を用いる場合にもマトリックスを用いずにイオン化が可能であることを見出している(例えば、非特許文献1等参照。)。
【特許文献1】
米国特許第6288390号明細書(2001年9月11日公開)
【特許文献2】
国際公開第2005/083418号パンフレット(2005年9月9日公開)
【非特許文献1】
Shoji Okuno, Ryuichi Arakawa, Kazumasa Okamoto, Yoshinori Matsui, Shu Seki, Takahiro Kozawa, Seiichi Tagawa, Yoshinao Wada, Matrix-free laser desorption/ionization of peptides on sub-micrometer structures: Grooves on silicon and metal-coated porous alumina, 53rd ASMS Conference on Mass Spectrometry and Allied Topics, (San Antonio, Texas, USA)、予稿集(2005年4月15日Web上で公開)

産業上の利用分野


本発明は、質量分析法に用いられる試料ターゲットおよびその製造方法、並びに当該試料ターゲットを用いた質量分析装置に関するものであり、特に、マトリックスを用いない場合においても試料のイオン化を可能とする試料ターゲットおよびその製造方法、並びに当該試料ターゲットを用いた質量分析装置とに関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
レーザー光の照射により試料をイオン化して質量分析するときに、試料を保持するために用いられ、レーザー光の照射を受ける表面に開口する多数の細孔を有する試料保持面を備えている試料ターゲットであって、
当該細孔の細孔径が30nm以上5μm未満、且つ、細孔深さ/(細孔周期-細孔径)が3.5以上50以下であり、上記試料保持面の表面が金属または半導体で被覆されていることを特徴とする試料ターゲット。

【請求項2】
上記試料保持面はポーラスアルミナからなることを特徴とする請求項1に記載の試料ターゲット。

【請求項3】
上記試料保持面は、ポーラスアルミナを鋳型に用いて該ポーラスアルミナの凹凸構造を転写したネガ型の構造物を作製し、該ネガ型の構造物を鋳型に用いて上記凹凸構造を転写した、上記ポーラスアルミナの凹凸構造と同一の形状の凹凸構造を表面に有する試料保持面であることを特徴とする請求項1に記載の試料ターゲット。

【請求項4】
上記試料保持面は金属または半導体からなることを特徴とする請求項3に記載の試料ターゲット。

【請求項5】
上記金属が、白金(Pt)および金(Au)の少なくとも何れかであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の試料ターゲット。

【請求項6】
上記半導体が、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム・スズ(ITO)およびカーボンの少なくとも何れかであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の試料ターゲット。

【請求項7】
上記細孔周期が30nm以上5μm未満であって、上記細孔深さが30nm以上5μm未満であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の試料ターゲット。

【請求項8】
レーザー光の照射により試料をイオン化して質量分析するときに、試料を保持するために用いられ、レーザー光の照射を受ける表面側に開口する多数の細孔を有する試料保持面を備えている試料ターゲットの製造方法であって、当該細孔の細孔径が30nm以上5μm未満、且つ、細孔深さ/(細孔周期-細孔径)が3.5以上50以下であるポーラスアルミナを試料保持面として用い、該試料保持面の表面を金属または半導体で被覆する工程を含むことを特徴とする試料ターゲットの製造方法。

【請求項9】
レーザー光の照射により試料をイオン化して質量分析するときに、試料を保持するために用いられ、レーザー光の照射を受ける表面側に開口する多数の細孔を有する試料保持面を備えている試料ターゲットの製造方法であって、
当該細孔の細孔径が30nm以上5μm未満、且つ、細孔深さ/(細孔周期-細孔径)が3.5以上50以下であるポーラスアルミナを鋳型に用いて該ポーラスアルミナの凹凸構造を転写したネガ型の構造物を作製する工程と、
該工程で得られたネガ型の構造物を鋳型に用いて上記凹凸構造を転写して、上記ポーラスアルミナの凹凸構造と同一の形状の凹凸構造を表面に有する試料保持面を得る工程と、該試料保持面の表面を金属または半導体で被覆する工程とを含むことを特徴とする試料ターゲットの製造方法。

【請求項10】
上記試料保持面は、金属または半導体からなることを特徴とする請求項9に記載の試料ターゲットの製造方法。

【請求項11】
請求項1~7のいずれか1項に記載の試料ターゲットを用いることを特徴とする質量分析装置。

【請求項12】
測定対象となる試料にレーザー光を照射することによって、当該試料をイオン化してその分子量を測定するレーザー脱離イオン化質量分析装置であることを特徴とする請求項11に記載の質量分析装置。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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