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特定の塩基配列の標的核酸類を検出する方法、及び検出のための核酸類セット コモンズ

国内特許コード P110004139
整理番号 N081P34
掲載日 2011年7月7日
出願番号 特願2007-545326
登録番号 特許第4712814号
出願日 平成18年11月17日(2006.11.17)
登録日 平成23年4月1日(2011.4.1)
国際出願番号 JP2006323031
国際公開番号 WO2007058326
国際出願日 平成18年11月17日(2006.11.17)
国際公開日 平成19年5月24日(2007.5.24)
優先権データ
  • 特願2005-332424 (2005.11.17) JP
発明者
  • 藤本 健造
  • 吉村 嘉永
  • 小笠原 慎治
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 特定の塩基配列の標的核酸類を検出する方法、及び検出のための核酸類セット コモンズ
発明の概要

試料混合物中に存在する特定の塩基配列の標的核酸類を、相補鎖とのハイブリッド形成を検出原理としつつ、高い特異性と感度を両立させて検出する方法、及び該検出のための核酸類を提供することを目的とする。本発明は、塩基部分として、請求項に記載された式I、式II、式III、式IV又は式Vで表される基を、5’末端又は3’末端に有する核酸類(ただし、核酸類には、核酸、ペプチド核酸が含まれる)からなる光連結性核酸類と、光連結性核酸類と光連結可能な塩基部分として炭素-炭素二重結合を有する塩基を、3’末端又は5’末端に有する、被光連結性核酸類とからなり、光連結性核酸類及び被光連結性核酸類のうちのいずれか一方が標識部分を有し、残る一方が基材に固定化された、特定の塩基配列の標的核酸類を検出するための核酸類セット、及び該核酸類セットを使用して特定の塩基配列を有する標的核酸類を検出する方法に関するものである。

従来技術、競合技術の概要


遺伝子工学において重要な基本的手段の一つとして、試料混合物中に存在する特定の塩基配列の核酸類(核酸類には、核酸、及びペプチド核酸が含まれる)の検出(検出には、同定、及び定量を含む)がある。特定の塩基配列の核酸類あるいは遺伝子の存在を検出することで、着目する遺伝子の発現を解明して新規に創薬することが可能となったり、遺伝子組み換えにおいて目的の遺伝子が導入された細胞や個体を選択することが可能になり、あるいは、遺伝子診断を行って病気の原因となるヒトの遺伝子欠陥や変化を検出することで病気の発症前やその初期段階で診断や予測が可能となったりする。



このように、試料混合物中に存在する特定の塩基配列の核酸類の検出は、遺伝子工学において広く使用されている基本的な手段であり、例えば次のような方法が知られている。
最初に、調査したい細胞等から核酸類を抽出して試料混合物溶液を得る。必要があれば、適当な制限酵素で切断した後、電気泳動を行い、得られたゲルからメンブレンへブロッティングを行う。次に、検出の目的とする特定の塩基配列を有する核酸類に対して、特定の塩基配列と相補的な塩基配列を有する核酸プローブを用意する。そして、これとプロットされた核酸類とをハイブリッド形成させる。この核酸プローブは、検出可能となるようにあらかじめ標識をしておく。例えばラジオアイソトープにより標識をしておく。これによって核酸プローブとハイブリッド形成した核酸類のバンドを、オートラジオグラフィーにより検出し、標的とする特定の塩基配列を有する核酸類の存在を確認する。この方法は、RNAについてはノザンブロッティング、DNAについてはサザンブロッテイングと呼ばれ、種々の変形をなされつつ、今なお使用されている(例えば、「細胞の分子生物学」第四版、中村桂子・松原謙一監訳、ニュートンプレス刊、2004年、494~500頁に記載されている)。
また、特に最近の遺伝子診断技術においては、DNAチップ(DNAマイクロアレイ)が、特定の塩基配列の核酸類の検出に使用されている。DNAチップの基板上には、多数の区画のそれぞれに種々の塩基配列のDNAプローブが固定化され、アレイ状に配置されている。そして、被験者由来のDNAの混合物をあらかじめ標識して、例えば蛍光色素による標識をして用意する。この被験者由来のDNA混合物をDNAチップに滴下して、ハイブリッド形成させる。被験者由来のDNA混合物中のうち、DNAプローブと相補性のある塩基配列を含むDNAは、ハイブリッド形成によりDNAチップの基板上に固定される。この固定された被験者由来のDNAを例えば先の蛍光色素による標識で検出する。この方法では、DNAの調整やRNAの使用、あるいはハイブリッド形成を競合的に行うことで正規化をするなどの種々の変形が行われている(例えば、「細胞の分子生物学」第四版、中村桂子・松原謙一監訳、ニュートンプレス刊、2004年、533~535頁に記載されている)。



このように従来の方法から最近の技術に至るまで、特定の塩基配列の核酸類の検出には、相補的な塩基配列を有する核酸プローブとのハイブリッド形成が、相補的な塩基配列の特異的な認識を可能にする基本的原理として永らく利用されてきている。しかしながら、実際のハイブリッド形成の条件下においては、核酸プローブ分子との結合は、完全な相補鎖としてハイブリッド形成する標的塩基配列の核酸類のみで生じることは難しい。すなわち、相補鎖として不完全な非標的塩基配列の核酸類に対しても、一定のミスマッチを含む不完全なハイブリッド形成をしてしまい、核酸プローブ分子との結合が生じることが知られている。このような核酸プローブとの意図しない結合は、検出段階でノイズとして出現する。このようなノイズが出現しないように、検出の特異性を高めようとすれば、不完全なハイブリッド形成を排除することが必要となる。



しかし、ハイブリッド形成による識別は熱的安定性の差を利用しているものであって、完全なハイブリッド形成も不完全なハイブリッド形成もその違いは熱的安定性の違いに過ぎない。そのために、両者を区別する適切な条件は目的の塩基配列によって異なり、さらに適切な条件下でもなお、熱的安定性を変化させる条件は両者に均等に作用する。すなわち、ハイブリッド形成の熱的安定性の差のみを、両者の区別の原理として使用する限りは、検出の特異性と感度のバランスで妥協して一定のノイズを甘受せざるを得なかった。
さらに、近年では、新規創薬や遺伝子診断のために、一塩基置換した塩基配列を有する核酸類を、検出することが求められている。特に、DNAの一塩基多型をタイピングする技術には、医療診断の分野での期待が大きい。このためには、一塩基の置換を検出するほどの特異性と、実用可能な感度(S/N比)とを両立させることが特に求められている。




【非特許文献1】「細胞の分子生物学」第四版、中村桂子・松原謙一監訳、ニュートンプレス刊、2004年、494~500頁

【非特許文献2】「細胞の分子生物学」第四版、中村桂子・松原謙一監訳、ニュートンプレス刊、2004年、533~535頁

産業上の利用分野


本発明は、試料混合物中に存在する特定の塩基配列の標的核酸類を、光連結を使用して特異的に検出する方法、及び該検出のための核酸類セットに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】塩基部分として次の式I、式II、式III、式IV又は式V:
式I
【化学式12】
(ただし、式Iにおいて、ZはO又はNHを示し、X及びYの少なくとも一方は、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、置換アミド基及びシアノ基からなる群より選択された電子吸引性基を示し、X及びYの残りの基は水素原子を示す)
式II
【化学式13】
(ただし、式IIにおいて、Rは、水素原子であり、
及びRの少なくとも一方は、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R及びRの残りの基は水素原子又はシアノ基を示す)
式III
【化学式14】
(ただし、式IIIにおいて、Rは、水素原子又は低級アルキル基であり、
及びRの少なくとも一方は、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R及びRの残りの基は水素原子又はシアノ基を示す)
式IV
【化学式15】
(ただし、式IVにおいて、Rは、水素原子又は低級アルキル基であり、
及びRの少なくとも一方は、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R及びRの残りの基は水素原子又はシアノ基を示す)
式V
【化学式16】
(ただし、式Vにおいて、R10は、水素原子又は低級アルキル基であり、
11及びR12の少なくとも一方は、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R11及びR12の残りの基は水素原子又はシアノ基を示す)
で表される基を、5’末端又は3’末端に有する核酸からなる光連結性核酸と
光連結性核酸と光連結可能な塩基部分として炭素-炭素二重結合を有する塩基を、
3’末端又は5’末端に有する、被光連結性核酸と、からなり、
ここで、核酸は核酸又はペプチド核酸であり、
光連結性核酸及び被光連結性核酸のうちのいずれか一方が、標識部分を有し、
光連結性核酸及び被光連結性核酸のうちの標識部分を有さない一方が、あらかじめ基材に固定化されており、
光連結性核酸と被光連結性核酸とが、光連結されることによって、特定の塩基配列を有する標的核酸の塩基配列と相補的な塩基配列を有する1本の核酸を生成可能であり、
光連結性核酸と被光連結性核酸とが光連結されることによって生成可能な核酸は、相補的二重鎖の解離する洗浄条件で洗浄可能である、特定の塩基配列の標的核酸を検出するための核酸セット、を使用して、核酸混合物中に含まれる、特定の塩基配列を有する標的核酸を検出、同定又は定量する方法、であって、
光連結性核酸及び被光連結性核酸と、核酸混合物中に含まれる、特定の塩基配列を有する標的核酸とを、ハイブリッド形成させる工程と、
特定の塩基配列を有する標的核酸を鋳型とするハイブリッド形成によって、光連結可能に隣接された光連結性核酸と被光連結性核酸に、光照射して光連結させ、標識部分を有する核酸を基材に固定化する工程と、
光連結により基材に固定化された、標識部分を有する核酸を、ハイブリッド形成した相補的二重鎖が解離する洗浄条件で洗浄することによって、光連結により基材に固定化されなかった、標識部分を有する核酸を、除去する工程と、
光連結により基材に固定化された、標識部分を有する核酸を検出するために、標識部分を検出する工程と、
を含み、
洗浄条件が、80~100℃の範囲の洗浄温度での洗浄であり、
ハイブリッド形成させる工程、及び光連結させて標識部分を有する核酸を基材に固定化する工程が、緩衝作用のある塩を含む反応溶液の中で行われ、反応溶液が20~60%(体積比)の水分散性有機溶媒を含み、
緩衝作用のある塩が、カコジル酸塩である、
酸混合物中に含まれる、特定の塩基配列を有する標的核酸を検出、同定又は定量する方法。
【請求項2】塩基部分が式Iで表される基であり、式Iにおいて、ZがOで、Xが水素原子で、Yがカルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、置換アミド基又はシアノ基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】塩基部分が式IIで表される基であり、式IIにおいて、R及びRの少なくとも一方が、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R及びRの残りの基が水素原子である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】塩基部分が式IIIで表される基であり、式IIIにおいて、R及びRの少なくとも一方が、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R及びRの残りの基が水素原子である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】塩基部分が式IVで表される基であり、式IVにおいて、R及びRの少なくとも一方が、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R及びRの残りの基が水素原子である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】塩基部分が式Vで表される基であり、式Vにおいて、R11及びR12の少なくとも一方が、カルボキシル基、低級アルコキシカルボニル基、置換アミド基、アミド基、シアノ基及び水素原子からなる群より選択された基を示し、R11及びR12の残りの基が水素原子である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】標識部分の標識として、ビオチン標識、色素標識(蛍光色素標識を含む)、RI標識からなる群より選択された何れかの標識を有している、請求項1~6の何れかに記載の方法。
【請求項8】光連結性核酸及び被光連結性核酸のうちの、あらかじめ基材に固定化された一方の核酸が、リンカー部分を介して基材に固定化されている、請求項1~7の何れかに記載の方法。
【請求項9】リンカー部分が、ポリエチレングリコール又はアルカン類を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】基材が、ガラスプレート、CPG、ポリスチレンビーズからなる群より選択された何れかである、請求項1~9の何れかに記載の方法。
【請求項11】炭素-炭素二重結合を有する塩基が、シトシン、チミン又はウラシルである請求項1~10の何れかに記載の方法。
【請求項12】光連結性核酸が、オリゴヌクレオチドである請求項1~11の何れかに記載の方法。
【請求項13】光連結性核酸が、DNAである請求項1~11の何れかに記載の方法。
【請求項14】光連結性核酸が、RNAである請求項1~11の何れかに記載の方法。
【請求項15】光連結性核酸が、ペプチド核酸である請求項1~11の何れかに記載の方法。
【請求項16】被光連結性核酸が、オリゴヌクレオチドである請求項1~15の何れかに記載の方法。
【請求項17】被光連結性核酸が、DNAである請求項1~15の何れかに記載の方法。
【請求項18】被光連結性核酸が、RNAである請求項1~15の何れかに記載の方法。
【請求項19】被光連結性核酸が、ペプチド核酸である請求項1~15の何れかに記載の方法。
【請求項20】光連結性核酸と被光連結性核酸が、同じ種類の核酸である請求項1~19の何れかに記載の方法。
【請求項21】光連結性核酸及び被光連結性核酸のうちの、標識部分を有さない一方が、あらかじめ基材に固定化され、DNAマイクロアレイを形成する、請求項1~20の何れかに記載の方法。
【請求項22】ハイブリッド形成させる工程、及び光連結させて標識部分を有する核酸を基材に固定化する工程が、20~30℃の温度で行われる、請求項1~21の何れかに記載の方法。
【請求項23】反応溶液のpHが6.5~8.5の範囲にある、請求項1~22の何れかに記載の方法。
【請求項24】緩衝作用のある塩の濃度が、5~250mMの範囲にある、請求項1~23の何れかに記載の方法。
【請求項25】水分散性有機溶媒が、アセトニトリルである、請求項1~24の何れかに記載の方法。
【請求項26】反応溶液が、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩を含み、
該塩の濃度が、標的核酸の濃度に対して最適化されている、請求項1~25の何れかに記載の方法。
【請求項27】アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の塩として、塩化ナトリウム及び/又は塩化マグネシウムを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】光照射が、330nm以上の波長の光の照射により行われる、請求項1~27の何れかに記載の方法。
【請求項29】洗浄条件が、95~100℃の範囲の洗浄温度での洗浄である、請求項1~28の何れかに記載の方法。
【請求項30】洗浄条件が、変性剤を含む洗浄溶液での洗浄である、請求項1~29の何れかに記載の方法。
【請求項31】洗浄条件が、界面活性剤を含む洗浄溶液での洗浄である、請求項1~30の何れかに記載の方法。
【請求項32】標識部分の標識が蛍光色素標識であり、
標識部分の検出をする工程において、レーザースキャナを使用した蛍光測定を行う工程が含まれる、請求項1~31の何れかに記載の方法。
【請求項33】標識部分の標識がビオチン標識であり、
標識部分の検出をする工程において、
蛍光色素標識されたアビジンによって、ビオチン-アビジン結合反応を行う工程と、
レーザースキャナを使用した蛍光測定を行う工程が含まれる、請求項1~32の何れかに記載の方法。
【請求項34】基配列点変異を有する標的核酸を検出するのに用いられる、請求項1~33の何れかに記載の方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 高分子化合物
  • 治療衛生
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
画像

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JP2007545326thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ 情報、バイオ、環境とナノテクノロジーの融合による革新的技術の創製 領域
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