TOP > 国内特許検索 > 制御された主鎖らせん構造を有するポリイソシアニド誘導体

制御された主鎖らせん構造を有するポリイソシアニド誘導体 コモンズ

国内特許コード P110004146
整理番号 E071P15
掲載日 2011年7月7日
出願番号 特願2007-548025
登録番号 特許第5189368号
出願日 平成18年12月1日(2006.12.1)
登録日 平成25年2月1日(2013.2.1)
国際出願番号 JP2006324115
国際公開番号 WO2007063994
国際出願日 平成18年12月1日(2006.12.1)
国際公開日 平成19年6月7日(2007.6.7)
優先権データ
  • 特願2005-347943 (2005.12.1) JP
  • 特願2006-238533 (2006.9.4) JP
発明者
  • 大越 研人
  • 八島 栄次
  • 尾之内 久成
  • 櫻井 慎一郎
  • 梶谷 孝
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 制御された主鎖らせん構造を有するポリイソシアニド誘導体 コモンズ
発明の概要 本発明は、同一の単量体から右巻き、又は左巻きの安定ならせん構造を持つ高分子を自在に作り分け、さらにその右巻き、又は左巻きの割合を制御する方法を提供することである。また、本発明は、このようないずれの方向のらせん構造を製造することが可能な高分子材料を提供することである。
本発明は、芳香族環に-CONH-構造を有する置換基を有し、炭素数6以上の疎水性部分を有する芳香族イソシアネートを、重合溶媒中で重合させることにより、重合溶媒の極性により同一の単量体から右巻き、若しくは左巻きのいずれか、又はこれらの混合物からなる安定な主鎖らせん構造を持つポリイソシアニド誘導体を製造する方法、及び当該方法により製造され得るポリ芳香族イソシアニド誘導体、並びに当該ポリ芳香族イソシアニド誘導体を製造するための単量体である芳香族イソシアニド誘導体に関する。
従来技術、競合技術の概要


らせん構造によるキラリティーは高分子物質特有のコンフォメーションに由来するキラリティーであり、代表的ならせん高分子物質であるDNAやたんぱく質は、二重らせんやαヘリックスと呼ばれる特定のらせん構造を形成する。これらは、いずれも一方の鏡像異性体のみから構成されており、より安定な右巻きのらせん構造をとっている。反対の左巻きのらせん構造を構築するには、自然界に殆んど存在しない反対の鏡像異性体を構成単位として用いなければならない。
また近年、人工的に合成されたらせん高分子も数多く知られているが、一方向巻きに片寄った安定ならせん高分子を不斉合成で簡便に作ることは非常に困難であり、従来は、いずれか一方の向きのらせん構造を有する物質は、構造中にいずれか一方の光学活性体を不斉源として用いており(特許文献1参照)、他方のらせん構造は他方の光学活性体を原料として使用しなければならかった。



一方、動的らせん高分子と呼ばれる一群の高分子では、溶液中で右巻きと左巻きのらせんの反転が非常に早く起こり、ごく少量の光学活性な部位を側鎖に導入する事によって高分子全体を一方向巻きのらせん構造に変える事が可能である(非特許文献1参照)。これらの高分子群は、温度、溶媒、光学活性添加物等によって容易にそのらせんの巻き方向を反転させるため、室温付近において右巻きと左巻きの両方の高分子を観察することが可能であるが(特許文献2参照)、如何せんそのらせんは動的であるため、外部環境によって容易にらせんの巻き方が再反転し、機能性材料としての実用性は非常に低い。
この様に、右巻きか、左巻きかの一方向の安定ならせん構造を持つ高分子を同一の単量体から作り分けることはこれまで不可能であった。
静的で安定な一方向巻きのらせん高分子は、光学分割カラムクロマトグラフィー用の充填剤、不斉合成用触媒、光学活性配位子材料等として用いることができ、右巻き、左巻きの2種類を安価、簡便に調製することは分離効率の向上や、不斉合成での望みの光学活性体を得る上で非常に重要である。



さらに、らせん高分子は多くの場合、非常に剛直な主鎖構造を持つため、溶液中もしくは溶融状態においてコレステリック液晶相を示す(特許文献3参照)。本発明者らも剛直な主鎖構造を持つ高分子化合物や、その液晶としての利用を開発してきた(特許文献4及び5参照)。
このように、主鎖らせんの巻き方向における右巻き、又は左巻きの割合を自由に制御することができれば、形成されるコレステリック液晶相のらせんピッチ(らせん構造の周期)も自在に制御することが可能となる。この構造をフィルム中に固定化すれば、様々な光学デバイスへの応用が簡便にかつ安価で可能となる。
前記のような剛直棒状らせん構造を持つポリマーの他の例としては、長いn-アルキル鎖、例えばn-デシル基を持つポリグルタミン酸も多数報告されている(非特許文献2~5参照)。また、ここにおいて、n-デシル基以上の長鎖のアルキル基を有するポリグルタミン酸では、コレステリック液晶特性ばかりでなくヘキサゴナルカラムナーおよびスメクチック相が観察されるとの報告がされている。
更に、前記ポリグルタミン酸と同様に、いくつかの他の剛直または半剛直ポリマーである、セルロース、ポリイソシアネート、ポリシランおよび全芳香族ポリマーにおいても、サーモトロピック液晶性、およびリオトロピック液晶性を示すことが報告されている。



【特許文献1】
特開昭56-106907号公報
【特許文献2】
特開2001-294625号公報
【特許文献3】
特開2001-164251号公報
【特許文献4】
WO 01/79310号公報
【特許文献5】
WO 2005/080500号公報
【非特許文献1】
八島栄次、現代化学, 52 (2000),
【非特許文献2】
Y.Fukuda,R.Gehani and I.Uematsu,Macromolecules,17,1004 (1984).
【非特許文献3】
H.Ono,A.Abe and I.Uematsu,Macromoleccules,18,2141 (1986).
【非特許文献4】
T.Nagase,H.Itoh,T.Ishii and T.Satoh,Mol. Cryst.Liq.Cryst.,160,432 (1988).
【非特許文献5】
A.Teramoto,M.Kobayashi and T.Norisue,Eds.,Springer-Verlag,Berlin,Heidelberg,p99-108 (1994).

産業上の利用分野


本発明は、静的で安定ならせん高分子であるポリイソシアニド誘導体において、単一の単量体から重合溶媒、温度等の重合反応条件に応じて主鎖のらせん構造の巻き方向が反転した重合体を製造する方法、及び当該方法により製造された重合体に関する。より詳細には、本発明は、芳香族環に-CONH-構造を有する置換基を有し、炭素数6以上の疎水性部分を有する芳香族イソシアニドを、重合溶媒中で重合させることにより、重合溶媒の極性により同一の単量体から右巻き、若しくは左巻きのいずれか、又はこれらの混合物からなる安定な主鎖らせん構造を持つポリイソシアニド誘導体を製造する方法、及び当該方法により製造され得るポリ芳香族イソシアニド誘導体、並びに当該ポリ芳香族イソシアニド誘導体を製造するための単量体である芳香族イソシアニド誘導体に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
下記の一般式(1)
【化1】


(式中、Arは芳香環を示し、Rは、炭素数6~30のアルキル基でエステル化された光学活性アミノ酸エステルのアミノカルボニル基、又は炭素数6~30のアルキル基を有するアシル基でN-アシル化されたN-アシル光学活性アミノ酸のカルボニルアミノ基を示し、前記光学活性アミノ酸は左手型(S)又は右手型(R)のいずれかのキラル体であり、xはポリイソシアニド基の繰り返しを示す正の数である。)
で表される安定な主鎖らせん構造を有するポリ芳香族イソシアニド誘導体。

【請求項2】
芳香環が、ベンゼン環である請求項1に記載のポリ芳香族イソシアニド誘導体。

【請求項3】
光学活性アミノ酸が、天然のα-アミノ酸である請求項1又は2に記載のポリ芳香族イソシアニド誘導体。

【請求項4】
ポリ芳香族イソシアニド誘導体が、側鎖上で隣接するアミド基とアミド基との間で水素結合を形成することができるポリ芳香族イソシアニド誘導体である請求項1~3のいずれかに記載のポリ芳香族イソシアニド誘導体。

【請求項5】
ポリ芳香族イソシアニド誘導体の持続長が、100nm以上である請求項1~4のいずれかに記載のポリ芳香族イソシアニド誘導体。

【請求項6】
右巻きらせん構造及び左巻きらせん構造からなる主鎖構造を有するポリ芳香族イソシアニド誘導体の異性体のジアステレオ異性体の過剰率が、90%以上である請求項1~5のいずれかに記載のポリ芳香族イソシアニド誘導体。

【請求項7】
重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比で表される分子量分散Mw/Mnが、1.20より小さいことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載のポリ芳香族イソシアニド誘導体。

【請求項8】
ポリ芳香族イソシアニド誘導体が、溶液中、又は溶融状態においてコレステリック液晶相及び/又はネマチック液晶相を示すことができる請求項1~7のいずれかに記載のポリ芳香族イソシアニド誘導体。

【請求項9】
ポリ芳香族イソシアニド誘導体が、スメクチック液晶相を形成するものである請求項1~8のいずれかに記載のポリ芳香族イソシアニド誘導体。

【請求項10】
その形状が膜状であることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載のポリ芳香族イソシアニド誘導体。

【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載のポリ芳香族イソシアニド誘導体の少なくとも1種を含有してなる液晶組成物。

【請求項12】
液晶組成物が、スメクチック液晶相を形成するものである請求項11に記載の液晶組成物。

【請求項13】
芳香族環に-CONH-構造を有する置換基を有し、炭素数6~30の疎水性部分を有する芳香族イソシアニド同一の単量体を、重合触媒の存在下で重合溶媒中で重合させて、右巻き若しくは左巻きのいずれか、又はこれらの一方の異性体が過剰に存在する混合物からなる安定な主鎖らせん構造を持つポリ芳香族イソシアニド誘導体を製造する方法。

【請求項14】
重合溶媒の極性により同一の単量体から右巻き、若しくは左巻きのいずれか、又はこれらの一方の異性体が過剰に存在する混合物からなる安定な主鎖らせん構造を持つポリイソシアニド誘導体を製造する請求項13に記載の方法。

【請求項15】
芳香族環の-CONH-構造を有する置換基が、炭素数6~30のアルキル基でエステル化された光学活性アミノ酸エステルに由来するアミノカルボニル基である請求項13又は14に記載の方法。

【請求項16】
芳香族環の-CONH-構造を有する置換基が、炭素数6~30のアルキル基を有する基でN-アシル化されたN-アシル光学活性アミノ酸に由来するカルボニルアミノ基である請求項13又は14に記載の方法。

【請求項17】
安定な主鎖らせん構造を持つポリ芳香族イソシアニド誘導体が、右巻き、又は左巻きのいずれか一方向のらせん構造を有するものである請求項13~16のいずれかに記載の方法。

【請求項18】
重合溶媒が、非極性溶媒である請求項13~17のいずれかに記載の方法。

【請求項19】
重合溶媒が、四塩化炭素、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、トルエン、又はこれらの混合物から選ばれる溶媒である請求項13~18のいずれかに記載の方法。

【請求項20】
重合溶媒が、非極性溶媒と極性溶媒の混合溶媒である請求項13~19のいずれかに記載の方法。

【請求項21】
極性溶媒が、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトン、メタノール、エタノール、又はこれらの混合物から選ばれる溶媒である請求項13~20のいずれかに記載の方法。

【請求項22】
アミド基を有する芳香族イソニトリルを、イソニトリルのリビング重合特性を有する触媒の存在下で重合させて、同一の単量体からなる安定な右巻きらせん構造及び左巻きらせん構造からなる主鎖構造を有するポリイソシアニド重合体を製造し、次いで得られた右巻きらせん構造及び左巻きらせん構造からなる主鎖構造を有するポリイソシアニド重合体の混合物を有機溶媒で処理することによりこれらの混合物を分離することからなる同一の単量体からなる安定な右巻きらせん構造、又は左巻きらせん構造からなる主鎖構造を有するポリイソシアニド重合体を製造する方法。

【請求項23】
有機溶媒の処理が、有機溶媒に対する溶解性の差である請求項22に記載の方法。

【請求項24】
イソニトリルのリビング重合特性を有する触媒が、有機金属錯体触媒である請求項13又は22に記載の方法。

【請求項25】
イソニトリルのリビング重合特性を有する触媒が、下記(式2)
【化2】


で表される、アセチレンで架橋した複核の白金-パラジウム-μ-エチンジイル錯体である請求項13、22、又は23のいずれかに記載の方法。

【請求項26】
下記の一般式(3)
【化3】


(式中、Arは芳香環を示し、Rは、炭素数6~30のアルキル基でエステル化された光学活性アミノ酸エステルのアミノカルボニル基、又は炭素数6~30のアルキル基を有するアシル基でN-アシル化されたN-アシル光学活性アミノ酸のカルボニルアミノ基を示し、前記光学活性アミノ酸は左手型(S)又は右手型(R)のいずれかのキラル体である。)
で表される芳香族イソシアニド誘導体。

【請求項27】
Arが、ベンゼン環である請求項26に記載の芳香族イソシアニド誘導体。

【請求項28】
光学活性アミノ酸が、天然のα-アミノ酸である請求項26又は27に記載の芳香族イソシアニド誘導体。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 八島超構造らせん高分子プロジェクト 領域
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、問合せボタンを押してください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close