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動物細胞を無血清培養するための培地用添加剤、キット及びこれらの利用 実績あり

国内特許コード P110004151
整理番号 RX04P30
掲載日 2011年7月7日
出願番号 特願2007-553929
登録番号 特許第4385076号
出願日 平成19年1月11日(2007.1.11)
登録日 平成21年10月2日(2009.10.2)
国際出願番号 JP2007050232
国際公開番号 WO2007080919
国際出願日 平成19年1月11日(2007.1.11)
国際公開日 平成19年7月19日(2007.7.19)
優先権データ
  • 特願2006-006706 (2006.1.13) JP
発明者
  • 加藤 幸夫
  • 邵 金昌
  • 桂 由紀
  • 辻 紘一郎
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 株式会社ツーセル
発明の名称 動物細胞を無血清培養するための培地用添加剤、キット及びこれらの利用 実績あり
発明の概要 特定の増殖因子及び少なくとも1つのリン脂質を含有する培地、並びに当該培地を作製するための組成物、キット及び方法を提供する。これにより、無血清培地又は低血清培地でありながら血清含有培地に匹敵する動物細胞増殖促進効果を有する技術を実現する。
従来技術、競合技術の概要


間葉系幹細胞は、骨髄等の組織中に存在する体性幹細胞の一つであり、脂肪細胞、骨細胞、軟骨細胞等へ分化する多分化能、及び自己増殖能を有する幹細胞として知られている。現在、間葉系幹細胞は、再生医療分野において移植用細胞として利用されており、間葉系幹細胞の適用対象である疾患は、骨欠損、軟骨欠損、歯周病、心筋梗塞、難治性皮膚疾患、骨粗しょう症、変形性関節病、脊髄損傷、造血支持、臓器移植での拒絶反応抑制等、多岐にわたる。今後、間葉系幹細胞の適用対象となる疾患は、さらに増えるものと予想される(例えば、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症、腎臓疾患等)。



この間葉系幹細胞は、骨髄、骨膜等の組織中に存在している。これらの生体組織から採取された間葉系幹細胞を、増殖させ、さらに所望の細胞へと分化させることにより、組織再生医療において利用され得る組織を調製する。しかしながら、生体組織中に存在する間葉系幹細胞の数は少量であるので、間葉系幹細胞を移植用細胞として用いるためには、組織から採取された細胞を十分に増殖させる必要がある。



通常、動物細胞の培養は、ウシ胎仔血清等の非ヒト動物由来の血清が5~20%添加された培地を用いて行われる。この血清は、生体外での細胞の成長及び/又は増殖を促進するための栄養源、又はホルモン等の生理活性物質の供給源として用いられている。しかしながら、血清は、非常に高価であり、また天然製品であるがゆえにロット毎に成分の差が生じる。また、培養後の細胞から血清由来のタンパク質等を除去するために精製する必要があり、作業が煩雑になる。さらに、血清中に混入している未知の病原体(ウイルス、病原性プリオン等)により培養細胞が汚染される危険性がある。



一方、非ヒト動物由来の血清を用いることなく動物細胞を培養する技術が開発されている。例えば、自家移植治療(すなわち、患者から採取した細胞を培養後に同じ患者へと戻す治療法)において用いられる細胞の培養には、その同じ患者から得た自家ヒト血清を用いる。これにより、培養細胞の汚染は回避される。しかし、血清作製のために大量の血液が必要となるため、患者に多大な負担を与える。



これらの問題を回避するために、血清を含まない培地(無血清培地)又は血清含有量の低い培地(低血清培地)の開発が進められている。培地中の血清濃度を低下させることにより、細胞はその増殖性を著しく低下させるか又は死滅する。このため、細胞の増殖性を失うことなく培養することが可能な培地を作製するために、血清に替わる細胞増殖因子を培地中に添加する必要がある。従来、血清に替わる細胞増殖因子として、各種ペプチドホルモン、増殖因子等が用いられている(例えば、特許文献1及び2を参照のこと)。このような無血清培地として、例えば、HAMのF12培地を基礎培地とし、この培地中にインスリン、トランスフェリン等を添加した無血清培地が知られている。



無血清培地に増殖因子以外に脂肪酸を含ませることにより、治療に適用するための軟骨細胞を培養する方法もまた知られている(例えば、特許文献3及び4を参照のこと)。さらに、特許文献5には、神経幹細胞を長期培養するための方法及び組成物が記載されている。
〔特許文献1〕
日本国公開特許公報「特開平8-308561号公報(公開日:1996年11月26日)」
〔特許文献2〕
日本国公開特許公報「特開平9-191874号公報(公開日:1997年7月29日)」
〔特許文献3〕
日本国公開特許公報「特表2005-515777号公報(平成17年6月2日公開)」
〔特許文献4〕
日本国公開特許公報「特表2002-529071号公報(平成14年9月10日公開)」
〔特許文献5〕
日本国公開特許公報「特表2003-516141号公報(平成15年5月13日公開)」

産業上の利用分野


本発明は、動物細胞の培養培地に添加する組成物、キット及びその利用に関するものであり、より詳細には、動物細胞を、無血清条件下又は低血清条件下において培養するための組成物、キット及びその利用に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
FGF、
PDGF、
TGF-β、
HGF、
EGF、
少なくとも1つのリン脂質、並びに
少なくとも1つの脂肪酸を含有することを特徴とする間葉系幹細胞又はサル腎臓由来未分化細胞株COS7細胞を無血清培養するための培地用添加剤。

【請求項2】
前記リン脂質が、フォスファチジン酸、リゾフォスファチジン酸、フォスファチジルイノシトール、フォスファチジルセリン、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルコリン、及びフォスファチジルグリセロールからなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の培地用添加剤。

【請求項3】
前記脂肪酸がリノール酸、オレイン酸、リノレイン酸、アラキドン酸、ミリスチン酸、パルミトイル酸、パルミチン酸、及びステアリン酸からなる群より選択されることを特徴とする請求項1又は2に記載の培地用添加剤。

【請求項4】
コレステロールをさらに含有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の培地用添加剤。

【請求項5】
CTGF、VEGF及びアスコルビン酸化合物からなる群より選択される少なくとも1つの因子をさらに含有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の培地用添加剤。

【請求項6】
脂質酸化防止剤をさらに含有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の培地用添加剤。

【請求項7】
前記脂質酸化防止剤がDL-α-トコフェロールアセテート(ビタミンE)、L-グルタチオン(L-glutathione)又は2-メルカプトエタノール(2-mercaptoethanol)であることを特徴とする請求項6に記載の培地用添加剤。

【請求項8】
塩化リチウムをさらに含有することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の培地用添加剤。

【請求項9】
界面活性剤をさらに含有することを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の培地用添加剤。

【請求項10】
前記界面活性剤がPluronic(登録商標) F-68又はTween(登録商標) 80であることを特徴とする請求項9に記載の培地用添加剤。

【請求項11】
インスリン、トランスフェリン(transferrin)及びセレネート(selenate)をさらに含有することを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の培地用添加剤。

【請求項12】
デキサメタゾン(Dexamethasone)をさらに含有することを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の培地用添加剤。

【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の培地用添加剤を含有していることを特徴とする間葉系幹細胞又はサル腎臓由来未分化細胞株COS7細胞を無血清培養するための培養培地。

【請求項14】
請求項13に記載の培養培地中にて間葉系幹細胞又はサル腎臓由来未分化細胞株COS7細胞を培養する工程を包含することを特徴とする間葉系幹細胞又はサル腎臓由来未分化細胞株COS7細胞を無血清培養するための培養方法。

【請求項15】
請求項1に記載の培地用添加剤を備えていることを特徴とする間葉系幹細胞又はサル腎臓由来未分化細胞株COS7細胞を無血清培養するための培地用添加剤キット。

【請求項16】
FGF、
PDGF、
TGF-β、
HGF、
EGF、
少なくとも1つのリン脂質、並びに
少なくとも1つの脂肪酸を別々に備えていることを特徴とする間葉系幹細胞又はサル腎臓由来未分化細胞株COS7細胞を無血清培養するための培地用添加剤キット。

【請求項17】
前記リン脂質が、フォスファチジン酸、リゾフォスファチジン酸、フォスファチジルイノシトール、フォスファチジルセリン、フォスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルコリン、及びフォスファチジルグリセロールからなる群より選択されることを特徴とする請求項16に記載の培地用添加剤キット。

【請求項18】
前記脂肪酸がリノール酸、オレイン酸、リノレイン酸、アラキドン酸、ミリスチン酸、パルミトイル酸、パルミチン酸、及びステアリン酸からなる群より選択されることを特徴とする請求項16又は17に記載の培地用添加剤キット。

【請求項19】
コレステロールをさらに備えていることを特徴とする請求項16~18のいずれか1項に記載の培地用添加剤キット。

【請求項20】
CTGF、VEGF及びアスコルビン酸化合物からなる群より選択される少なくとも1つの因子をさらに備えていることを特徴とする請求項16~19のいずれか1項に記載の培地用添加剤キット。

【請求項21】
脂質酸化防止剤をさらに備えていることを特徴とする請求項16~20のいずれか1項に記載の培地用添加剤キット。

【請求項22】
前記脂質酸化防止剤がDL-α-トコフェロールアセテート(ビタミンE)、L-グルタチオン(L-glutathione)又は2-メルカプトエタノール(2-mercaptoethanol)であることを特徴とする請求項21に記載の培地用添加剤キット。

【請求項23】
塩化リチウムをさらに含有することを特徴とする請求項16~22のいずれか1項に記載の培地用添加剤キット

【請求項24】
界面活性剤をさらに備えていることを特徴とする請求項16~23のいずれか1項に記載の培地用添加剤キット。

【請求項25】
前記界面活性剤がPluronic(登録商標) F-68又はTween(登録商標) 80であることを特徴とする請求項24に記載の培地用添加剤キット。

【請求項26】
インスリン、トランスフェリン及びセレネートをさらに備えていることを特徴とする請求項16~25のいずれか1項に記載の培地用添加剤キット。

【請求項27】
デキサメタゾン(Dexamethasone)をさらに備えていることを特徴とする請求項16~26のいずれか1項に記載の培地用添加剤キット。

【請求項28】
請求項16~27のいずれか1項に記載の培地用添加剤キットに備えられた成分を全て含有していることを特徴とする間葉系幹細胞又はサル腎臓由来未分化細胞株COS7細胞を無血清培養するための培養培地。

【請求項29】
請求項28に記載の培養培地中にて間葉系幹細胞又はサル腎臓由来未分化細胞株COS7細胞を培養する工程を包含することを特徴とする間葉系幹細胞又はサル腎臓由来未分化細胞株COS7細胞を無血清培養するための培養方法。

【請求項30】
間葉系幹細胞又はサル腎臓由来未分化細胞株COS7細胞を無血清培養するための培養方法であって、
FGF、
PDGF、
TGF-β、
HGF、
EGF、
少なくとも1つのリン脂質、並びに
少なくとも1つの脂肪酸を、基礎培地に同時に添加する工程を包含することを特徴とする培養方法。

【請求項31】
分化能を維持したまま間葉系幹細胞を連続継代培養するための培地用添加剤であって、
FGF、
PDGF、
TGF-β、
HGF、
EGF、
少なくとも1つのリン脂質、並びに
少なくとも1つの脂肪酸を含有することを特徴とする培地用添加剤。

【請求項32】
分化能を維持したまま間葉系幹細胞を連続継代培養するための培地用添加剤キットであって、
FGF、
PDGF、
TGF-β、
HGF、
EGF、
少なくとも1つのリン脂質、並びに
少なくとも1つの脂肪酸を含有することを特徴とする培地用添加剤キット。

【請求項33】
分化能を維持したまま間葉系幹細胞を連続継代培養する培養方法であって、
FGF、
PDGF、
TGF-β、
HGF、
EGF、
少なくとも1つのリン脂質、並びに
少なくとも1つの脂肪酸を、基礎培地に同時に添加する工程を包含することを特徴とする培養方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
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