TOP > 国内特許検索 > 光造形法によって作製され細胞適合化処理を施された3次元物体

光造形法によって作製され細胞適合化処理を施された3次元物体 コモンズ

国内特許コード P110004240
整理番号 AF02P005
掲載日 2011年7月8日
出願番号 特願2008-279411
公開番号 特開2010-104285
登録番号 特許第5114362号
出願日 平成20年10月30日(2008.10.30)
公開日 平成22年5月13日(2010.5.13)
登録日 平成24年10月19日(2012.10.19)
発明者
  • 生田幸士
  • 井上佳則
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 光造形法によって作製され細胞適合化処理を施された3次元物体 コモンズ
発明の概要 【課題】光造形法にて作製された3次元物体を、ポストキュア処理により無毒化し、細胞適合性(材料が細胞に対して無毒性であり細胞の生存活動に悪影響を与えない材料の性質)を付与された3次元構造物を提供する。
【解決手段】光造形法で成形した3次元物体を、1時間UVランプに照射し硬化を促進させた後、その3次元物体を少なくとも175°Cにて少なくとも6時間の加熱処理する、ポストキュア処理を行う方法。この際加熱処理温度が採用材料の熱軟化温度の指標であるガラス転移温度を上回る温度であっても問題ない。本法は光造形法で成形された微細構造を持つ3次元物体を対象としているが、微小な構造体であれば寸法則により熱処理した際に問題となる自重による変形が減少され、その結果得られる3次元物体の寸法は熱処理の前後でほとんど変化しない。
【選択図】図5
従来技術、競合技術の概要


マイクロ光造形法は光硬化性樹脂にレーザ照射して任意の立体的なマイクロ構造を作製可能な微細加工の手法である。1992年、本発明者である生田らにより世界で初めて5μmの3次元分解能が達成され(非特許文献1参照)、その後多くの研究が展開されてきた(非特許文献2参照)。さらにサブミクロンの分解能を有したナノ光造形法も開発されている。近年では微細流路内で化学反応や分析を行うμ-TAS やMEMSデバイスの開発に応用も試みられ始めている(非特許文献3~5参照)。
しかし、市販されている光造形樹脂には生体適合性がないため、生体や細胞に直接触れるデバイスには使用できないという根本的な問題があった(非特許文献6~8参照)。
この問題を解決するため、本発明者らは生体適合性を持ち、かつ十分な硬化特性と硬化精度を有する新規の光硬化性樹脂を開発する研究アプローチではなく、光硬化特性が保証され、特性が安定している市販のエポキシ系光造形樹脂に細胞適合性を付与するという、より汎用性と実用性にこだわった研究アプローチに挑戦した。
従来、光造形物が直接細胞や生体と接触する応用としては、以下の研究が存在する。
第1の研究は、細胞毒性の高い光重合開始剤を避け、caprolactoneやpoly(propylene fumarate)などの生分解性の高分子を素材に使用して光造形を行う手法である(非特許文献8~11参照)。この手法は樹脂の合成工程や調合工程が不可欠となる。さらに、再生医療用の生分解性の細胞の足場作製を目的にしているため、本研究の目的である非分解性のデバイスには適用できない。
第2の研究は、Polyethylene grycolなどのhydrogelを材料に細胞の足場を作製する手法である(非特許文献7、13参照)。hydrogelの表面や内部で細胞培養が可能であることが報告されているが、hydrogelは強度が低いため、デバイス作製には適用困難である。さらに、乾燥収縮に起因した加工精度の問題もあり本研究の目的を満たさない。
第3の研究は市販の光造形樹脂を用いて立体的な格子構造の表面に細胞を培養した研究がある。しかし平面構造での細胞培養には失敗している(非特許文献14)。



1)非特許文献 Ikuta K, Hirowatari K. Real three dimensional micro fabrication using stereo lithography and metal molding. Proceedings of the IEEE Workshop on Microelectromechanical Systems, MEMS'93. 1993:42-47.
2)非特許文献 Bertsch A, Jiguet S, Bernhard P, Renaud P. Microstereolithography: a Review. Mat. Res. Soc. Symp. Proc. 2003,LL1.1.1-LL1.1.13
3)非特許文献 Maruo S, Ikuta K, Korogi H. Submicron manipulation tools driven by light in a liquid. Appl Phys Lett 2003;82:133-135
4)非特許文献 Kawata S, Sun HB, Tanaka T, Takada K. Finer features for functional microdevices. Nature 2001;412:697-698
5)非特許文献 Maruo S, Ikuta K. Submicron stereolithography for the production of freely movable mechanism by using single-photon polymerization. Sensor Actuat A-phys 2002;100:70-76.
6)非特許文献 Lu Y, Chen SC. Micro and nano-fabrication of biodegradable polymers for drug delivery. Adv Drug Deliv Rev. 2004 ;11:1621-33.
7)非特許文献 Tsang VL, Bhatia SN. Three-dimensional tissue fabrication. Adv Drug Deliv Rev. 2004;11:1635-47.
8)非特許文献 Popov VK, Evseev AV, Ivanov AL, Roginski VV, Volozhin AI, Howdle SM. Laser stereolithography and supercritical fluid processing for custom-designed implant fabrication.J Mater Sci Mater Med. 2004 ;2:123-8.
9非特許文献 Lee JW, Lan PX, Kim B, Lim G, Cho DW. 3D scaffold fabrication with PPF/DEF using macro-stereolithography. Microelectron Eng 2007;84:1702-1705.
10)非特許文献 Matsuda T, Mizutani M. Liquid acrylate-endcapped biodegrable poly(e-caprolacton-co-trimethyrene carbonate). II. Computer-aided stereolithographic microarchitectual surface photoconstructs. J Biomed Mater Res. 2002;3:395-403.
11)非特許文献 Lee KW, Wang S, Fox BC, Ritman EL, Yaszemski MJ, Lu L. Poly(propylene fumarate) bone tissue engineering scaffold fabrication using stereolithography: effects of resin formulations and laser parameters. Biomacromolecules. 2007;4:1077-84.
12)非特許文献 Cooke MN, Fisher JP, Dean D, Rimnac C, Mikos AG. Use of stereolithography to manufacture critical-sized 3D biodegradable scaffolds for bone ingrowth. J Biomed Mater Res B Appl Biomater. 2003;2:65-9.
13)非特許文献 Arcaute K, Mann BK, Wicker RB, Stereolithography of Three-Dimensional Bioactive Poly(Ethylene Glycol) Constructs with Encapsulated Cells. Ann Biomed Eng 2006;34:1429-1441.
14非特許文献 Lee SJ,Kang HW, Kang TY, Kim B, Lim G, Rhie JW, Cho DW, Development of scaffold fabrication system using an axiomatic approach. J Micromech Microeng 2007;17:147-153.
15)非特許文献 Jones CE, Underwood CK, Coulson EJ, Taylor PJ. Copper induced oxidation of serotonin: analysis of products and toxicity. J Neurochem 2007;102:1035-1043.

産業上の利用分野


本発明は光造形法が属する固体自由形状製造法分野、それに用いられる光硬化性材料分野、及び材料の細胞適合性付与分野の技術に関するものであり、特に物体が長期にわたり単離された細胞と接触しながら細胞適合性に関して無毒化された物体に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
光造形法により作製された3次元物体であって、前記物体は物体の少なくとも1つの部位のx、y、zのいずれかの寸法が少なくとも1mm未満の部分を有し、かつ物体の温度が物体の少なくともガラス転移温度を超えた場合に自重によって生じる変形を、寸法則の効果により減少させるものであり、
前記物体に後露光とポストベイキングの両者を併用したポストキュア処理を行うに際し、前記物体を約175°C~200°C、かつ6時間~24時間加熱する条件下でポストベイキングを行うことにより、前記ポストキュア処理された物体が少なくとも生体外において単離培養された細胞が前記物体表面で接触培養可能な細胞適合性を備えるよう無毒化されていることを特徴とする3次元物体。

【請求項2】
前記物体の成型材料は主剤をアクリレート、エポキシ、アクリレート・エポキシ複合体、オキセタンからなる群より選択される光硬化性物質から成形されていることを特徴とする請求項1に記載の3次元物体。

【請求項3】
前記物体を無毒化する際に、物体を紫外線によってさらに硬化させた後、少なくとも物体のガラス転移点温度にすることによって行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の3次元物体。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2008279411thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 生命現象の解明と応用に資する新しい計測・分析基盤技術 領域
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、問合せボタンを押してください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close