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機能性RNA-蛋白質複合体の分子デザイン コモンズ

国内特許コード P110004246
整理番号 I029P007
掲載日 2011年7月8日
出願番号 特願2008-297752
公開番号 特開2009-142273
登録番号 特許第5308787号
出願日 平成20年11月21日(2008.11.21)
公開日 平成21年7月2日(2009.7.2)
登録日 平成25年7月5日(2013.7.5)
優先権データ
  • 特願2007-303660 (2007.11.22) JP
発明者
  • 井上 丹
  • 齊藤 博英
  • 倉光 祥平
  • 菊田 雅之
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 機能性RNA-蛋白質複合体の分子デザイン コモンズ
発明の概要 【課題】任意の蛋白質を、RNA基盤上に、蛋白質およびRNAなどの基盤の機能構造を損なわずに固定する手法を提供する。
【解決手段】RNA-蛋白質複合体1相互作用モチーフ由来の塩基配列(boxB配列、RRE配列)23,24を有する基盤RNA2と、蛋白質(Nペプチド、Rev蛋白質)30,40と前記塩基配列に非共有結合的に、かつ特異的に結合するRNA-蛋白質複合体相互作用モチーフ由来のアミノ酸配列31,41とを含む融合蛋白質3,4とを含んでなるRNA-蛋白質複合体1。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


ポストゲノム時代となった現在、多くのゲノム情報が蓄積されており、我々はそれらを利用できる状況にある。また、DNAや蛋白質を網羅的に解析するDNAアレイやプロテインアレイなどが普及し、医療などへの応用が望まれている。



RNA構造生物学の発展により、RNAの複雑な立体構造には階層性があり、それぞれが特定の機能を有するモジュールに分割できる事が示唆されてきた。その知見に基づき、RNAのモジュールを人工的に組み合わせ新たな機能性分子を構築する「モジュラーエンジニアリング」と、「in vitro selection法」を併用し、高いライゲーション活性を有するリボザイム(DSL)が創製された(非特許文献1を参照)。さらに近年、生体内のリボソームに代表されるRNA-蛋白質複合体(RNP)の高度な機能は、その構造に基づいている事が明らかになってきた。



いっぽう、蛋白質が機能を発揮する場合、他の蛋白質と結合して複合体を形成していることが多い。特に、その機能を複数同時に調節しようとする時には、蛋白質間の相対位置すなわち距離や配向は厳密に制御されている。その顕著な例が、細胞内のシグナル伝達系で見られる。分裂促進因子によって活性化されるタンパクキナーゼはMAPK(mitogen-activatedprotein kinase)と呼ばれている。MAPKの完全な活性化にはトレトニンとチロシンのリン酸化が必要であるが、このリン酸化を触媒するキナーゼはMAPKKと呼ばれており、さらにこのキナーゼもMAPKKKと呼ばれる酵素によってリン酸化され活性化される。活性化したMAPKは他のタンパクキナーゼや遺伝子調節蛋白質などをリン酸化し、下流にシグナルを伝える。この三つのキナーゼは足場蛋白質に結合している。足場蛋白質が無い状態では、キナーゼは自由に拡散し、ランダムあるいは非特異的な活性化で、シグナル伝達効率が低下する。足場蛋白質存在化では、基質の活性化が容易になり、特異的なシグナルカスケードを引き起こす。また、足場蛋白質の構造がアロステリックに変化し、さらにシグナル伝達が活性化されたり、足場蛋白質が細胞膜のアダプター蛋白質と結合し、部位特異的に機能したりもしている。この種の相互作用を解析するには、蛋白質間の距離や配向を調節し、制御する必要がある。



蛋白質を基盤上に並べる技術は、蛋白質を網羅的に解析するプロテインアレイの普及とともに必要不可欠なものとなってきた。現在では、蛋白質の末端にタグをつけプレート上の分子と結合させる方法、ガラスや特殊な膜を用いて固定する方法が一般的である。しかし、蛋白質の機能を損なわず基盤上に固定することは非常に困難である。また、思い通りの場所に並べることができたとしても、ほとんどの場合が二次元的であり、蛋白質間の相対位置を調節したような三次元的なものではない。



一方近年、生体内で機能する様々なノンコーディングRNAが発見され、その役割に注目が集まっている。しかしながらこれらRNAは生体内で多くの場合、蛋白質と複合体(RNP)を形成している。このことから、人工RNPは、細胞機能を制御できる新しいナノブロックとして期待されている。天然に存在するRNPは、比較的短い配列から構成されるRNA-蛋白質相互作用モチーフ(RNP motif)を利用して、多くの複合体を形成していることがわかる。例えばHIV Rev蛋白質は、Revを認識するRNAモチーフと、高い親和性で相互作用している。これらRNP相互作用モチーフを効果的に抽出し、リボザイム上に配置することで、RNA結合蛋白質存在下でのみ触媒活性をもつ、人工RNP酵素の作成に成功した研究も存在する(非特許文献2を参照)。したがってRNPは、シンセティックバイオロジー(生体分子を人工的に創り出す作業を通して生体分子や生命システムを再構築し、新しいテクノロジーを誘発する分野)研究の素材としての利用が期待されている(非特許文献3を参照)。
【非特許文献1】
Ikawa et al.Proc Natl Acad Sci U S A.;101(38):13750-5, 2004
【非特許文献2】
Atsumi et al. EMBO Journal, 20, 5453, 2001
【非特許文献3】
Saito et al. Journal of Biotechnology,132,1,1-7 2007

産業上の利用分野


本発明は、RNA-蛋白質複合体、およびRNA上への蛋白質の固定化方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
RNA-蛋白質複合体相互作用モチーフ由来の塩基配列を2以上有する基盤RNAと、
蛋白質と、前記塩基配列に非共有結合的にかつ特異的に結合するRNA-蛋白質複合体相互作用モチーフ由来のアミノ酸配列とを含む2以上の融合蛋白質と
を含んでなるRNA-蛋白質複合体であって、
前記基盤RNAが、人工のRNA配列に、前記基盤RNAとは異なるRNA由来の配列であり、天然に存在するRNA-蛋白質複合体相互作用モチーフ由来の塩基配列を導入してなるセルフフォールディングするRNAである、RNA-蛋白質複合体。

【請求項2】
前記蛋白質が蛍光蛋白質、発光蛋白質、アポトーシス誘導蛋白質、酵素、抗体から選択される機能性蛋白質である、請求項1に記載のRNA-蛋白質複合体。

【請求項3】
前記融合蛋白質が、前記蛋白質と、前記アミノ酸配列との間にさらにリンカーを含んでなる請求項1または2に記載のRNA-蛋白質複合体。

【請求項4】
前記天然のRNA-蛋白質複合体相互作用モチーフ由来の塩基配列が、バクテリオファージλ由来のboxB配列であり、前記天然のRNA-蛋白質複合体相互作用モチーフ由来のアミノ酸配列が、バクテリオファージλ由来のNペプチド配列である請求項1~3のいずれかに記載のRNA-蛋白質複合体。

【請求項5】
前記天然のRNA-蛋白質複合体相互作用モチーフ由来の塩基配列が、HIV由来のRRE配列であり、前記天然のRNA-蛋白質複合体相互作用モチーフ由来のアミノ酸配列が、HIVRev蛋白質由来の配列である請求項1~3のいずれかに記載のRNA-蛋白質複合体。

【請求項6】
前記セルフフォールディングするRNAが、typeB RNAを含む、請求項1に記載のRNA-蛋白質複合体。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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