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グルカン量を低減させることなくリグニン量およびセルロース量を低減させた植物体およびその生産方法、並びにこれらの利用 新技術説明会

国内特許コード P110004266
整理番号 A181P219
掲載日 2011年7月11日
出願番号 特願2008-503790
登録番号 特許第4831370号
出願日 平成19年2月27日(2007.2.27)
登録日 平成23年9月30日(2011.9.30)
国際出願番号 JP2007053673
国際公開番号 WO2007102346
国際出願日 平成19年2月27日(2007.2.27)
国際公開日 平成19年9月13日(2007.9.13)
優先権データ
  • 特願2006-053331 (2006.2.28) JP
  • 特願2006-346684 (2006.12.22) JP
発明者
  • 高木 優
  • 光田 展隆
  • 岩瀬 哲
  • 平津 圭一郎
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
  • 独立行政法人産業技術総合研究所
発明の名称 グルカン量を低減させることなくリグニン量およびセルロース量を低減させた植物体およびその生産方法、並びにこれらの利用 新技術説明会
発明の概要

リグニン量およびセルロース量に関与する遺伝子の転写を促進する転写因子の機能を阻害することによりグルカン量を低減させることなくリグニン量およびセルロース量を低減させた植物体を生産する。なお、この植物体では得られる細胞壁成分中のグルカンは非常に糖化しやすい状態になっている。また、この植物体では鞘の自然開裂が抑制されている。上記転写因子を阻害する方法としては、上記転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドとのキメラ遺伝子を植物細胞に導入して、上記転写因子と上記機能性ペプチドとを融合させたキメラタンパク質を植物細胞内で生産させる方法、あるいは、ノックアウト法またはRNAi法などのような該転写因子の発現を阻害する方法が挙げられる。これにより、グルカン量を低減させることなくリグニン量およびセルロース量を低減させた植物体を提供する。

従来技術、競合技術の概要


バイオマスから製造されるエタノールは、二酸化炭素の排出削減に関わる、極めて重要な低級アルコール燃料である。これまで実用化されているバイオマスエタノールとしては、サトウキビ、トウモロコシなどのデンプン糖をエタノール発酵して得られているものが挙げられる。



バイオマス資源であるセルロースは、その大部分がリグノセルロース(木質資源)を構成している。また、リグニンは、セルロースと同様に木本の支持構造における主要成分である。近年、木本などの木質系バイオマスの利用が注目されており、木本からグルコースを効率良く生成し、木本由来のグルコースからエタノールを製造する技術についての研究が行われている。中でも、セルロースおよびリグニンから構成されているリグノセルロースから単糖またはオリゴ糖を製造する技術の開発が進んでいる。



紙および/またはパルプを製造したり、リグノセルロースを糖類の原料として用いたりするためには、セルロースと強固に結合しているリグニンを木本から除去または分解してセルロースを得る必要がある。しかし、リグニンの除去/分解には多大な時間と費用が必要である。よって、リグニン低含量樹木の作出が求められている。



植物体でのリグニン含量および/またはセルロース含量を改変する技術が知られている。特に、リグニン生合成経路であるフェニルプロパノイド生合成経路が着目されている(例えば、特許文献1および2など参照)。特許文献1には、フェニルプロパノイド生合成経路において機能する酵素の発現を促進する転写因子の機能を抑制することによって植物のリグニン含有量を低減させることが記載されている。特許文献2には、フェニルプロパノイド生合成経路由来の複数の遺伝子で植物を形質転換する技術が記載されている。



また、セルロース合成経路に関わる酵素を植物に発現させて、セルロースの生合成を増強しかつリグニンの生合成を低減させる技術も知られている(特許文献3参照)。

【特許文献1】日本国公開特許公報「特開平11-276181号公報(公開日:平成11年10月12日)」

【特許文献2】日本国公表特許公報「特表2004-515224号公報(公表日:平成16年5月27日公開)

【特許文献3】日本国公表特許公報「特表2003-509009号公報(公表日:平成15年3月11日公開)

【特許文献4】日本国公開特許公報「特開2001-269177号公報(公開日:平成13年10月2日)」

【特許文献5】日本国公開特許公報「特開2001-269178号公報(公開日:平成13年10月2日)」

【特許文献6】日本国公開特許公報「特開2001-292776号公報(公開日:平成13年10月2日)」

【特許文献7】日本国公開特許公報「特開2001-292777号公報(公開日:平成13年10月23日)」

【特許文献8】日本国公開特許公報「特開2001-269176号公報(公開日:平成13年10月2日)」

【特許文献9】日本国公開特許公報「特開2001-269179号公報(公開日:平成13年10月2日)」

【特許文献10】WO03/055903パンフレット(平成15年(2003)7月10日公開)

【特許文献11】日本国公開特許公報「特開2005-278422号公報(公開日:平成17年10月13日)」

【非特許文献1】Mitsuda,N.,Seki,M.,Shinozuka,K. and Ohme-Takagi,M.,The Plant Cell, Vol.17,2993-3006,November,2005

【非特許文献2】Ohta,M.,Matsui,K.,Hiratsu,K.,Shinshi,H. and Ohme-Takagi,M.,The Plant Cell, Vol.13,1959-1968,August,2001

【非特許文献3】Hiratsu,K.,Ohta,M.,Matsui,K.,Ohme-Takagi,M.,FEBS Letters 514(2002)351-354

産業上の利用分野


本発明は、グルカン量を低減させることなくリグニン量およびセルロース量を低減させた植物体およびその生産方法、並びにこれらの利用に関するものであり、より詳細には、リグニン量およびセルロース量に関与する遺伝子の転写を促進する転写因子の機能を阻害することによりグルカン量を低減させることなくリグニン量およびセルロース量を低減させた植物体を生産する方法およびこれを用いて得られる植物体、並びにその利用に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】 植物体内において、配列番号74に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの機能を阻害する工程を包含することを特徴とするグルカン量を低減させることなくリグニン量およびセルロース量を低減させた植物体の生産方法であって、
上記タンパク質の機能を阻害する工程が、配列番号74に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドと、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとの融合タンパク質を植物体において産生させることによって行われることを特徴とする植物体の生産方法。
【請求項2】 配列番号72に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドと、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとの融合タンパク質を植物体においてさらに産生させることによって行われることを特徴とする請求項1に記載の植物体の生産方法。
【請求項3】 植物体内において、配列番号74に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドの機能を阻害する工程を包含することを特徴とするグルカン量を低減させることなくリグニン量およびセルロース量を低減させた植物体の生産方法であって、
上記タンパク質の機能を阻害する工程が、配列番号73に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドと、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドとをインフレームで連結したキメラDNAを植物体に発現させることによって行われることを特徴とする植物体の生産方法。
【請求項4】 配列番号71に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドと、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドとをインフレームで連結したキメラDNAを植物体にさらに発現させることによって行われることを特徴とする請求項3に記載の植物体の生産方法。
【請求項5】 前記機能性ペプチドが、以下:
(1)X1-Leu-Asp-Leu-X2-Leu-X3;
(2)Y1-Phe-Asp-Leu-Asn-Y2-Y3;
(3)Z1-Asp-Leu-Z2-Leu-Arg-Leu-Z3;または
(4)Asp-Leu-Z4-Leu-Arg-Leu
(但し、式中、X1は0~10個のアミノ酸残基を表し、X2はAsnまたはGluを表し、X3は少なくとも6個のアミノ酸残基を表し、Y1は0~10個のアミノ酸残基を表し、Y2はPheまたはIleを表し、Y3は少なくとも6個のアミノ酸残基を表し、Z1はLeu、Asp-LeuまたはLeu-Asp-Leuを表し、Z2はGlu、GlnまたはAspを表し、Z3は0~10個のアミノ酸残基を表し、Z4はGlu、GlnまたはAspを表す。)
で表されるアミノ酸配列からなることを特徴とする請求項1またはに記載の植物体の生産方法。
【請求項6】 前記機能性ペプチドが、配列番号1~17のいずれか1つに示されるアミノ酸配列からなることを特徴とする請求項1またはに記載の植物体の生産方法。
【請求項7】 前記機能性ペプチドが、以下:
(a)配列番号18または19に示されるいずれかのアミノ酸配列;あるいは
(b)配列番号18または19に示されるいずれかのアミノ酸配列において、1個または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、および/または付加されているアミノ酸配列
からなることを特徴とする請求項1またはに記載の植物体の生産方法。
【請求項8】 前記機能性ペプチドが、以下:
(5)α1-Leu-β1-Leu-γ1-Leu
(但し、式中α1は、Asp、Asn、Glu、Gln、ThrまたはSerを示し、β1は、Asp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、SerまたはHisを示し、γ1は、Arg、Gln、Asn、Thr、Ser、His、LysまたはAspを示す。)
で表されるアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項1またはに記載の植物体の生産方法。
【請求項9】 前記機能性ペプチドが、以下:
(6)α1-Leu-β1-Leu-γ2-Leu;
(7)α1-Leu-β2-Leu-Arg-Leu;または
(8)α2-Leu-β1-Leu-Arg-Leu
(但し、各式中α1は、Asp、Asn、Glu、Gln、ThrまたはSerを示し、α2は、Asn、Glu、Gln、ThrまたはSerを示し、β1は、Asp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、SerまたはHisを示し、β2はAsn、Arg、Thr、SerまたはHisを示し、γ2はGln、Asn、Thr、Ser、His、LysまたはAspを示す。)
で表されるアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項1またはに記載の植物体の生産方法。
【請求項10】 前記機能性ペプチドが、配列番号117、120、123、126、129、132、135、138、141、144、147、150、153、156、159、162、171、174または177に示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項1またはに記載の植物体の生産方法。
【請求項11】 前記機能性ペプチドが、配列番号165または168に示されるアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項1またはに記載の植物体の生産方法。
【請求項12】 請求項1またはに記載の生産方法により生産された、植物体。
【請求項13】 成育した植物個体、植物細胞、植物組織、カルス、種子の少なくとも何れかであることを特徴とする請求項12に記載の植物体。
【請求項14】 植物体のグルカン量を低減させることなくリグニン量およびセルロース量を低減するためのキットであって、
(a)任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチド、および
(b)配列番号73に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド
を備えていることを特徴とするキット。
【請求項15】 (c)配列番号71に示される塩基配列からなるポリヌクレオチド
をさらに備えていることを特徴とする請求項14に記載のキット。
【請求項16】 (d)目的のポリペプチドを植物体内にて発現させるための発現ベクター
をさらに備えていることを特徴とする請求項14に記載のキット。
【請求項17】 (e)前記発現ベクター(d)を植物細胞に導入するための試薬群
をさらに備えていることを特徴とする請求項14に記載のキット。
産業区分
  • 微生物工業
  • 農林
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 植物の機能と制御 領域
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