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B細胞におけるCD22機能を抑制することから成る免疫応答の促進方法 コモンズ 新技術説明会

国内特許コード P110004311
整理番号 A261P40
掲載日 2011年7月11日
出願番号 特願2008-551076
登録番号 特許第5243269号
出願日 平成19年12月21日(2007.12.21)
登録日 平成25年4月12日(2013.4.12)
国際出願番号 JP2007074634
国際公開番号 WO2008078673
国際出願日 平成19年12月21日(2007.12.21)
国際公開日 平成20年7月3日(2008.7.3)
優先権データ
  • 特願2006-349458 (2006.12.26) JP
発明者
  • 鍔田 武志
  • 小野寺 大志
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 B細胞におけるCD22機能を抑制することから成る免疫応答の促進方法 コモンズ 新技術説明会
発明の概要

【課題】本発明の目的は、CD22によるシグナル制御の解除とIgG-BCRによるB細胞の迅速な応答との関係等を解明し、迅速な免疫応答を誘導しワクチンに代わって感染防御ができる方法を提供すること。
本発明は、B細胞におけるCD22機能を抑制することによって、IgM-BCR及びIgD-BCRを発現するナイーブB細胞においても、記憶免疫応答時に認められるような強力なクローン増殖と大量の抗体産生細胞の産生が起こさせる免疫応答の促進方法、及び、B細胞におけるCD22機能の変化に基づき、免疫応答を促進させる物質のスクリーニング方法等に関する。

従来技術、競合技術の概要


通常のT細胞依存性抗原に反応したIgMおよびIgD陽性のナイーブB細胞は免疫応答初期において赤脾髄及びBridging channelに移動して増殖し、extrafollicular fociを形成する。ここで増殖したplasmablastは抗体産生細胞へと分化して抗体を産生し、抗原排除に働く。この初期に生成された抗体産生細胞の多くは短寿命であり、一部はIgGクラスなどへのクラススイッチを起こす。抗原に反応したB細胞の一部は濾胞内で増殖し胚中心を形成する。胚中心反応時にB細胞は免疫グロブリンV領域に点突然変異を蓄積して抗原に対してより親和性をあげる。また、胚中心B細胞の多くはクラススイッチを起こす。この胚中心反応を経た抗体産生細胞がその後の抗体産生を担う。初回免疫応答の際に抗原刺激によって活性化したB及びTリンパ球の一部は記憶リンパ球となる。記憶B細胞は胚中心B細胞の一部から生成する。記憶リンパ球は長期間生存し、同じ抗原に再度暴露された時、ナイーブB細胞に比し迅速に増殖してbridging channel及び赤脾髄にplasmablastとplasma cellの巨大なfociを形成し、その結果迅速かつ大量の抗体産生がおこる。ワクチンは免疫記憶を誘導することにより感染防御を行うものである。



B細胞抗原受容体(B cell receptor; BCR)は膜型免疫グロブリンとシグナルコンポーネントIgα/Igβ分子分子からなる。抗原と反応するとIgα/Igβ分子(クラスII抗原)を通して細胞内にシグナルを伝達する。BCRの共受容体であるCD19やCD22、CD72またFcγR2BはこのBCRシグナル伝達を正もしくは負に制御することで、適切なシグナルの閾値を調節し、細胞増殖や抗体産生細胞への分化、もしくは不応答やアポトーシスを起こすなどB細胞の運命決定を左右する。この中でもCD22はBCRシグナル伝達を負に制御する分子として知られる。CD22の細胞内領域には3つはITIMモチーフが存在しており、BCR架橋の後に直ちにリン酸化されフォスファターゼであるSHP-1をBCR近傍にリクルートし活性化することで、BCRシグナル伝達を負に制御する。



記憶B細胞は主にIgGにクラススイッチした細胞から分化し、膜型IgGをBCRとして発現する。IgG-BCRはナイーブB細胞が発現するIgM-BCRおよびIgD-BCRと同様にIgα/Igβ分子を介してシグナルを伝達する。しかし、近年、IgG-BCRが記憶B細胞の迅速な応答に関与することを示唆する知見が得られた(Wakabayashi, C., et al., Science, 2002. 298(5602): p. 2392-5)。Goodnowらのグループは、ほぼすべてのB細胞がHEL特異的なIgGを発現するトランスジェニックマウスを作成し、IgG陽性ナイーブB細胞の免疫応答について解析した。彼らは、抗原刺激の際にIgG陽性ナイーブB細胞が、記憶免疫応答の際と同様に迅速に増殖し、巨大なplasmablast のfociを形成し、さらに、多量の抗体産生をすることを明らかにした(Martin, S.W. and C.C. Goodnow, Nat Immunol, 2002. 3(2): p. 182-8)。この結果は、IgG-BCRがIgM-BCRやIgD-BCRの機能とは異なった機能を持ち、記憶応答の際の迅速なB細胞の活性化に関与することを示す。



一方、本発明者らは、IgM-BCRおよびIgD-BCRがCD22による負の制御を受けるが、IgG-BCRはCD22による制御を受けず、その結果、IgG-BCRが効率よくシグナル伝達をすることを明らかにした(Wakabayashi, C., et al., Science, 2002. 298(5602): p. 2392-5)。

【非特許文献1】Nitschke, L. and T. Tsubata,. Trends Immunol, 2004. 25(10): p. 543-50.

【非特許文献2】Tedder, T.F., et al., Annu Rev Immunol, 1997. 15: p. 481-504.

産業上の利用分野


本発明は、CD22機能を抑制することから成る免疫応答の促進方法等に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
人体以外におけるか、又は、インビトロにおける、IgM及びIgD陽性のナイーブB細胞におけるCD22機能を抑制することから成る免疫応答初期における免疫応答の促進方法であって、以下に記載のいずれかの方法又は手段
(1)遺伝子ターゲッティングによるCD22遺伝子のノックアウト;
(2)CD22遺伝子に特異的なRNA干渉(RNAi)による遺伝子ノックダウン;
(3)CD22遺伝子に特異的なアンチセンスRNA;及び、
(4)CD22遺伝子に特異的なリボザイム、
によってCD22機能を抑制する、前記方法

【請求項2】
免疫応答の促進が免疫応答初期におけるB細胞の増殖、分裂及び/又は生存の亢進を含む、請求項1記載の方法。

【請求項3】
B細胞がIgG1+B細胞IgM+B細胞及び胚中心B細胞を含む、請求項2記載の方法。

【請求項4】
免疫応答の促進がB細胞のクラススイッチ及び/又は分化の早期化を含む、請求項1記載の方法。

【請求項5】
IgG1+陽性細胞へのクラススイッチであり、又は、抗体産生細胞数及び胚中心B細胞への分化である、請求項4記載の方法。

【請求項6】
免疫応答初期が抗原による免疫後3~5日である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。

【請求項7】
免疫応答の促進が抗体産生細胞数及び産生抗体量の増大及び/又は早期化を含む、請求項1記載の方法。

【請求項8】
産生が増大及び又は早期化される抗体がIgG及び/又はIgMである、請求項7記載の方法。

【請求項9】
CD22機能の抑制がCD22遺伝子の欠損又は変異による機能障害によるものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。

【請求項10】
CD22機能の抑制がCD22遺伝子の発現の抑制によるものである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。

【請求項11】
CD22遺伝子の発現の抑制が転写レベルで行われる、請求項10記載の方法。

【請求項12】
CD22遺伝子に特異的な siRNAによる遺伝子ノックダウンを用いる、請求項11記載の方法。

【請求項13】
siRNAがCD22遺伝子の塩基配列又はその一部の連続する塩基配列を含む21~23個の塩基から成るオリゴヌクレオチド及びその相補的オリゴヌクレオチドから成る二本鎖RNAである、請求項12記載の方法:

【請求項14】
B細胞及び/又はCD22若しくはCD22遺伝子が哺乳動物由来である、請求項1ないし13のいずれか一項に記載の方法。

【請求項15】
B細胞及び/又はCD22若しくはCD22遺伝子がマウス由来である、請求項14に記載の方法。

【請求項16】
B細胞がT細胞依存性抗原に反応して活性化され抗体産生細胞に分化するような能力を潜在的に有する、請求項1ないし15のいずれか一項に記載の方法

【請求項17】
IgM及びIgD陽性のナイーブB細胞におけるCD22機能の変化に基づき、免疫応答初期における免疫応答を促進させる物質のスクリーニング方法
であって、以下の工程:
(a) 被検物質とIgM及びIgD陽性のナイーブB細胞を接触させる工程、
(b)該細胞におけるCD22遺伝子発現の抑制の程度を測定することによってCD22機能の変化を検出する工程、及び
(c)該CD22遺伝子発現の抑制をおこさせる物質を選択する工程、を含む方法。

【請求項18】
B細胞及び/又はCD22若しくはCD22遺伝子が哺乳動物由来である、請求項17に記載のスクリーニング方法。
産業区分
  • 薬品
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 糖鎖の生物機能の解明と利用技術 領域
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