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撥水性超分子組織体およびその製造方法

国内特許コード P110004344
整理番号 K025P13
掲載日 2011年7月12日
出願番号 特願2009-081977
公開番号 特開2010-235651
登録番号 特許第5268742号
出願日 平成21年3月30日(2009.3.30)
公開日 平成22年10月21日(2010.10.21)
登録日 平成25年5月17日(2013.5.17)
発明者
  • 中西 尚志
出願人
  • 独立行政法人物質・材料研究機構
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 撥水性超分子組織体およびその製造方法
発明の概要


【課題】 強度および耐環境特性に優れた撥水性超分子組織体およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の撥水性超分子組織体は、フラーレン構造体が層状に組織化されており、上記フラーレン構造体は、フラーレン誘導体が組織化された二分子膜構造からなり、フレーク構造の粒子状の形状を有し、上記フラーレン誘導体のそれぞれは互いに重合されていることを特徴する。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンに代表されるナノカーボンは、電子材料、触媒、生体材料への応用が期待され、注目されている。



近年、本願発明者は、このようなナノカーボンの中でもフラーレン誘導体を単位として種々の次元(0次元~3次元)の構造体を任意に製造できることを報告している(例えば、特許文献1を参照。)。



特許文献1によれば、フラーレン誘導体は、球状のフラーレン部位と、アルキル鎖部位と、それらを結合する結合部位とからなり、アルキル鎖部位が平面性を保持することができる。それにより、フラーレン部位のπ-π相互作用による集合力と、アルキル鎖部位の疎水性相互作用およびファンデルワールス力による集合力との間のバランスを利用して、種々の次元を有するナノサイズの構造体の構築が可能となる。



さらに本願発明者は、特許文献1に記載のフラーレン誘導体を用い、ハスの葉の表面構造を真似た超分子組織体を開発した(例えば、特許文献2を参照。)。特許文献2によれば、本願発明者は、特許文献1に記載のフラーレン誘導体が形成する二分子膜構造を組織化したフラーレン構造体に着目し、このフラーレン構造体を層状に組織化することによって得られる超分子組織体は、ハスの葉の表面構造に類似するフラクタル構造を有し、超撥水性を発現することを見出した。



また、特許文献2によれば、超分子組織体は、100℃程度までの熱耐性、エタノールまたはアセトンに対する耐薬品(有機溶媒)性、および、耐酸・アルカリ性を有していることが分かっている。しかしながら、このような超分子組織体の構造は、フラーレン誘導体におけるフラーレンのπ-π相互作用、および、フラーレン誘導体におけるアルキル鎖の疎水性相互作用およびファンデルワールス力によって維持されているに過ぎない。したがって、このような超分子組織体は、比較的脆く、実用に十分な強度を有していない。



一方、有機材料における強度を向上させる技術が知られている(例えば、特許文献3および4を参照。)。特許文献3は、有機ゲル化剤に関するが、分子中に含有させたジアセチレン基を、紫外線照射によって光重合させることにより、有機ゲル化剤の強度を向上させる技術を開示している。特許文献4は、光等の重合エネルギーを付与し、フラーレンを重合させたフラーレン重合体を示している。このようなフラーレン重合体は、フラーレン本来の特性を有するとともに、導電率が高く、機械的強度が高いことが知られている。



しかしながら、特許文献3に示されるようなジアセチレン基の導入による強度の向上は、物質本来の構造が損なわれる場合もあり、確実とはいえない(例えば、非特許文献1および2を参照。)。



非特許文献1は、ジアセチレン基を有する重合性両親媒性分子の分子集合体に関し、紫外線照射によってジアセチレン基を重合させることを開示している。また、非特許文献1によれば、重合成両親媒性分子が有するアルキル鎖からなるスペーサの長さによって、紫外線照射後の分子集合体の構造の規則性が変化することが示されており、必ずしも、紫外線照射前後で分子集合体の構造が維持されるとは限らないことが分かる。



非特許文献2は、ツイストラメラ構造を有するジアセチレン基含有キラル脂質とシリカとのハイブリッドからなるらせん状チューブ体またはリボン体に関する。このようなチューブ体およびリボン体に紫外線を照射すると、本来の構造が変化することが示されている(例えば、非特許文献2のFigure 4d))。これら非特許文献1および2から、複雑な材料系において、重合によって本来の構造を維持するか否か、さらに本来の特性を維持するか否かを特定することは、困難であることが分かる。



上記特許文献3または4に記載の技術をフラーレン誘導体に適用した例もなく、当然のことながら、上述のフラーレン誘導体を用いた超分子組織体を重合させ、強度および耐環境特性を改善した報告はない。

産業上の利用分野


本発明は、撥水性超分子組織体およびその製造方法に関し、詳細には、強度および耐環境特性に優れた撥水性超分子組織体およびその製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
フラーレン構造体が層状に組織化された撥水性超分子組織体であって
前記フラーレン構造体は、フラーレン誘導体が組織化された二分子膜構造からなり、フレーク構造の粒子状の形状を有し、
前記フラーレン誘導体は、互いに重合されており、
前記フラーレン誘導体は、式(1)で示され、式(2)で示されるフラーレン部位Aと、前記フラーレン部位に結合したベンゼン環と、前記ベンゼン環の3,4,5位それぞれに結合した官能基Rとを含み、
【化学式1】


【化学式2】


ここで、前記式(1)において、前記官能基Rのそれぞれは、少なくとも20個の炭素原子および重合性官能基を含む、アルキル基、アルコキシ基またはアルキルチオ基のいずれかであり、前記官能基Rのそれぞれは、前記重合性官能基を介して重合しており、
前記式(2)において、(Fu)はフラーレンを、Xは水素原子またはメチル基を示し、前記フラーレン部位Aの含窒素5員環に前記ベンゼン環が結合しており、前記フラーレン部位は前記フラーレンを介して互いに重合していることを特徴とする、撥水性超分子組織体。

【請求項2】
請求項1に記載の撥水性超分子組織体において、前記重合性官能基は、ジアセチレン基であることを特徴とする、撥水性超分子組織体。

【請求項3】
請求項1に記載の撥水性超分子組織体において、前記官能基Rは、-O(CHC≡C-C≡C(CH13CHで表されるアルコキシ基であることを特徴とする、撥水性超分子組織体。

【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の撥水性超分子組織体の製造方法であって、
フラーレン誘導体と、テトラヒドロフランと、メタノールとの混合物を加熱し、フラーレン構造体を析出させるステップであって、前記フラーレン誘導体は、式(1)で示され、式(2)で示されるフラーレン部位Aと、前記フラーレン部位に結合したベンゼン環と、前記ベンゼン環の3,4,5位それぞれに結合した官能基Rとを含み、
【化学式3】


【化学式4】


ここで、前記式(1)において、前記官能基Rのそれぞれは、少なくとも20個の炭素原子、および、重合性官能基を含む、アルキル基、アルコキシ基またはアルキルチオ基のいずれかである、ステップと、
前記フラーレン構造体を冷却・保持し、安定化させるステップと、
前記フラーレン構造体を層状化するステップと、
前記フラーレン構造体に光を照射するステップと
からなることを特徴とする、製造方法。

【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記加熱し、析出させるステップは、40℃~60℃の温度範囲で行うことを特徴とする、方法。

【請求項6】
請求項4に記載の方法において、前記冷却・保持し、安定化させるステップは、-10℃~-90℃の温度範囲で12時間~24時間の間行うことを特徴とする、方法。

【請求項7】
請求項4に記載の方法において、前記光を照射するステップは、脱酸素雰囲気で行うことを特徴とする、方法。

【請求項8】
請求項4に記載の方法において、前記官能基Rは、-O(CHC≡C-C≡C(CH13CHで表されるアルコキシ基であることを特徴とする、方法。

【請求項9】
請求項4に記載の方法において、前記加熱し、析出させるステップの後、かつ、前記層状化するステップおよび光照射するステップの前に、前記混合物に前記フラーレン誘導体に対する貧溶媒を添加するステップをさらに包含することを特徴とする、方法。
産業区分
  • 高分子化合物
  • その他無機化学
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009081977thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) さきがけ 構造制御と機能 領域
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