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フェナントロリン誘導体を用いた光電変換素子およびその製造方法

国内特許コード P110004373
整理番号 E079P35
掲載日 2011年7月12日
出願番号 特願2009-224305
公開番号 特開2011-077107
登録番号 特許第5102818号
出願日 平成21年9月29日(2009.9.29)
公開日 平成23年4月14日(2011.4.14)
登録日 平成24年10月5日(2012.10.5)
発明者
  • 佐藤 佳晴
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 三菱化学株式会社
発明の名称 フェナントロリン誘導体を用いた光電変換素子およびその製造方法
発明の概要 【課題】フェナントロリン誘導体を用いた光電変換素子およびその製造方法の提供。
【解決手段】基板1上に、少なくとも一方が透明である2つの電極2、6間に、電子供与体と電子受容体を含む活性層4を有する光電変換素子において、活性層4と陰極6との間に、フェナントロリン誘導体を含む陰極バッファ層5を有する光電変換素子。
【選択図】図1
従来技術、競合技術の概要


従来、多結晶シリコンを用いた太陽電池が開発され実用化されている。このような太陽電池の製造には高純度シリコンが必要であり、その製造工程は高温プロセスを要する。したがって、多結晶シリコンを用いた太陽電池を製造に要するエネルギーを考慮すると、必ずしも、省エネルギー技術への貢献度は十分に高いものとは言えない。
また、一般的な屋外の発電用途以外の太陽電池(たとえば、可搬型の太陽電池)に要求されるプラスチック基板上への素子作製にも課題がある。



さらに、光センサーとしては、ファクシミリや複写機におけるイメージセンサー等において、シリコン結晶を用いた一次元センサーによるスキャナーによる画像読み取り装置が実用化されているが、スキャン不要で大面積の二次元センサーは実用化されていない。



近年、上記問題点の改良のため、省エネルギーで製造が可能であり、大面積化が比較的容易な塗布プロセスが適用可能な有機材料を用いた太陽電池の開発が行われるようになってきた。



有機材料を用いた湿式太陽電池として、たとえば色素増感型太陽電池があるが、電解質溶液を用いた系であるため、液漏れや液中のヨウ素抜け等の問題があり、実用化には至っていない。



全固体型の有機材料を用いた有機薄膜太陽電池は、活性層の設計により、「ヘテロ接合型」と「バルクへテロ接合型」に分類される。



ヘテロ接合型太陽電池は、電子供与体からなる層と電子受容体からなる層を積層して、接合界面における光誘起による電荷移動を利用するものである。
C.W. Tang:Appl. Phys. Lett., 48巻,183-185頁,1986年(非特許文献1)では、電子供与体として銅フタロシアニンを、電子受容体としてペリレン誘導体を用いて、変換効率1%が報告されている。この他にも、電子供与体としてペンタセンやテトラセン等の縮合多環芳香族化合物が検討されており、電子受容体としてはC60のようなフラーレン誘導体が使用されている。



バルクへテロ接合型太陽電池は、電子供与体と電子受容体を適当な比率で混合して活性層とするものである。したがって、活性層が混合されているバルクへテロ接合型太陽電池は、活性層が2層構造を形成するヘテロ接合型太陽電池とは構造が異なっている。
バルクへテロ接合型太陽電池では、電子供与体と電子受容体の接合が混合活性層のバルク中に一様に存在し、太陽光を有効に活用することができる。このバルクへテロ接合型素子を作製する方法として、真空蒸着により電子供与体と電子受容体を共蒸着して活性層を形成するものと、両者の混合溶液からスピンコートや印刷法により塗布して形成するものとがある。真空蒸着法では銅フタロシアニンとC60からなる活性層が報告されており(S. Uchidaら:Appl. Phys. Lett., 84巻,4218-4220頁,2004年(非特許文献2))、湿式塗布法では、共役系高分子であるポリチオフェンとフラーレンの可溶性誘導体である[6,6]-フェニルC61-ブチリックアシッドメチルエステル(略称:PCBM)を混合した系が代表的なものとしてあげられる(S.E. Shaheenら:Appl. Phys. Lett., 78巻,841-843頁,2001年(非特許文献3))。



バルクヘテロ接合型太陽電池において、効率をさらに高めるために、活性層を、電子供与体層(活性層(p-層))、電子供与体と電子受容体の混合層(活性層(i-層))、電子受容体層(活性層(n-層))とp-i-n型の3層構造にすることも行われている(M. Hiramotoら:Appl. Phys. Lett., 58巻,1062-1064頁,1991年(非特許文献4))



上記のいずれの素子構造においても、光吸収により生成した光キャリア(正孔と電子)を、電極まで効率良く輸送して高い変換効率を得るために、電極と活性層との間にバッファ層を設けることが行われている。陽極との間には導電性高分子が使われることが多く、ポリ(3, 4-エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホン酸)(略称,PEDOT:PSS)などが挙げられる(非特許文献3)。また、陰極と活性層との間には、フッ化リチウムのような無機物や(非特許文献3)、バソクプロイン(略称,BCP)(非特許文献2)が用いられている。

産業上の利用分野


本発明は、フェナントロリン誘導体を用いた光電変換素子、当該光電変換素子を用いた太陽電池、および、光電変換素子の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
基板上に、少なくとも一方が透明である2つの電極間に、電子供与体と電子受容体を含む活性層を有する光電変換素子において、
活性層と陰極との間に、下記一般式(I)で表わされるフェナントロリン誘導体を含む陰極バッファ層を有する光電変換素子。
【化1】


(R1~R8はそれぞれ独立して水素原子、置換基を有してもよいC~C30脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよいC~C30アルコキシ基、置換基を有してもよい芳香族環基であり、R1~R8の少なくとも一つは、置換基を有してもよい芳香族縮合環基である。)

【請求項2】
透明基板上に、(1)透明電極、(2)陽極バッファ層、(3)活性層、(4)陰極バッファ層および(5)陰極が順に積層された構造を有する光電変換素子であって、
陰極バッファ層が下記一般式(I)で表わされるフェナントロリン誘導体を含む光電変換素子。
【化2】



(R1~R8はそれぞれ独立して水素原子、置換基を有してもよいC~C30脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよいC~C30アルコキシ基、置換基を有してもよい芳香族環基であり、R1~R8の少なくとも一つは、環の数が2個以上からなる置換基を有してもよい芳香族縮合環基である。)

【請求項3】
活性層が、電子供与体として下記一般式(II)または(III)で表わされるベンゾポルフィリン化合物を含有する、請求項1または2に記載の光電変換素子。
【化3】



【化4】



(式(II)および(III)中、Z1a、Z1b、Z2a、Z2b、Z3a、Z3b、Z4aおよびZ4bは各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基または1価の有機基であり、Z1aとZ1b、Z2aとZ2b、Z3aとZ3bまたはZ4aとZ4bが結合して環を形成していてもよく;
9~R12は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基または1価の有機基であり;
Mは2価の金属原子または3価以上の金属と他の原子の結合した原子団である。)

【請求項4】
ベンゾポルフィリン化合物が溶解性前駆体からの熱転換により形成されることを特徴とする請求項に記載の光電変換素子。

【請求項5】
溶解性前駆体が下記一般式(IV)または(V)で表される化合物である、請求項に記載の光電変換素子。
【化5】



【化6】


(式(IV)および(V)中、Z1a、Z1b、Z2a、Z2b、Z3a、Z3b、Z4aおよびZ4bは各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基または1価の有機基であり、Z1aとZ1b、Z2aとZ2b、Z3aとZ3bまたはZ4aとZ4bが結合して環を形成していてもよく;
9~R12は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、水酸基または1価の有機基であり;
Mは2価の金属原子または3価以上の金属と他の原子の結合した原子団であり;
1~Y4は、それぞれ独立して、1価の原子または原子団である。)

【請求項6】
基板上に、少なくとも一方が透明である2つの電極間に存在する電子供与体と電子受容体とからなる活性層を有する光電変換素子において、該活性層が、電子供与体として共役系高分子を含有し、電子受容体としてフラーレンまたはフラーレン誘導体を含有することを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の光電変換素子。

【請求項7】
請求項1~のいずれかに記載の光電変換素子を含む太陽電池。

【請求項8】
透明基板上に透明電極を設ける工程、透明電極上に陽極バッファ層を設ける工程、陽極バッファ層上に活性層を設ける工程、活性層上に陰極バッファ層を設ける工程および陰極バッファ層上に陰極6を設ける工程を含み、
陰極バッファ層が下記一般式(I)で表わされるフェナントロリン誘導体を含む、光電変換素子の製造方法。
【化7】


(R1~R8はそれぞれ独立して水素原子、置換基を有してもよいC~C30脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよいC~C30アルコキシ基、置換基を有してもよい芳香族環基であり、R1~R8の少なくとも一つは、置換基を有してもよい芳香族縮合環基である。)

【請求項9】
活性層上に陰極バッファ層を設ける工程以降に、基板を50~250℃の温度範囲で、アニール処理する工程を含む、請求項に記載の光電変換素子の製造方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009224305thum.jpg
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 中村活性炭素クラスタープロジェクト 領域
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