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蛍光読取装置及び蛍光読取方法 新技術説明会

国内特許コード P110004399
整理番号 RX08P30
掲載日 2011年7月13日
出願番号 特願2009-500018
登録番号 特許第5093522号
出願日 平成19年8月27日(2007.8.27)
登録日 平成24年9月28日(2012.9.28)
国際出願番号 JP2007000910
国際公開番号 WO2008102417
国際出願日 平成19年8月27日(2007.8.27)
国際公開日 平成20年8月28日(2008.8.28)
優先権データ
  • 特願2007-038706 (2007.2.19) JP
発明者
  • 杉浦 忠男
  • 森 正人
  • 稲本 英次
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
発明の名称 蛍光読取装置及び蛍光読取方法 新技術説明会
発明の概要 【課題】 本発明は,プローブ物質とターゲット物質との相互作用に関与しない蛍光物質に由来する蛍光の影響を考慮したマイクロアレイ読取装置などの蛍光読取装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 上記の課題は,光源(7)からの光が基板(2)へ入射する際の入射角を調整する入射角調整手段(10)と;入射角調整手段(10)が調整する入射角の量を制御するとともに,入射角に関する情報と,複数の入射角における蛍光強度又は蛍光像に関する情報とが入力され,複数の入射角について,入射角に関する情報からエバネッセント場の侵入長を求める手段と,求められた複数の侵入長における蛍光強度に関する情報を求める手段と,を有する制御装置(11);を具備する,蛍光読取装置(12)により解決される。
【選択図】 図1
従来技術、競合技術の概要


DNAマイクロアレイは,基板に遺伝子断片などのDNAを配置し固定したものである。例えば,複数の遺伝子断片をそれぞれのスポットに固定することによりプローブを用意する。そして,ヒトの細胞から抽出したmRNAを逆転写酵素でcDNAに変換したものをターゲット物質とする。DNAマイクロアレイ読取装置は,ターゲット物質と基板に固定されたプローブとがハイブリダイズすることを観測し,これにより様々な遺伝子情報を解析することができる。ターゲット物質とプローブ物質とが相互作用したことを検出するために,例えば,蛍光物質が用いられる。蛍光物質は,ターゲット物質に付加されても良いし,ターゲット物質とプローブ物質とが相互作用した影響を受けて蛍光を発するようなものであっても良い。蛍光物質に由来する蛍光を観測するマイクロアレイ読取装置などの蛍光読取装置として,例えば,プローブ物質が固定されている領域にエバネッセント場を発生させて,蛍光物質を励起するものがある。これらは,ターゲット物質とプローブ物質とがハイブリダイズするために長時間を要するものであった。そこで,これらの物質が相互作用する様子を検出できる実時間型のマイクロアレイ読取装置が望まれた。



そのような要求に応えるため,特開2006-38816号公報(下記特許文献1)には,「プローブ物質が固定化された基板に対して,少なくとも蛍光物質とターゲット物質とを含む試料を接触させた場合の,上記プローブ物質と上記ターゲット物質との特異的な相互作用を検出するためのマイクロアレイ読取装置であって,光を照射するための光照射手段と,上記基板におけるプローブ物質が固定されている表面にエバネッセント場を発生させるように,上記光照射手段によって照射される光を上記基板に対して入射させる光入射手段と,上記エバネッセント場により励起された試料中に含まれる蛍光物質から出射される蛍光を検出するための光検出手段と,を備え,上記光検出手段は,対物レンズとして機能する光学レンズを有しており,該光学レンズが上記光入射手段として機能することを特徴とするマイクロアレイ読取装置」が開示されている(同文献の請求項1を参照)。



特開2006-38816号公報(下記特許文献1)に開示されたマイクロアレイ読取装置は,迅速かつ高精度にターゲット物質とプローブ物質とがハイブリダイズすることを観測できるので,優れたものである。しかしながら,ターゲット物質とプローブ物質とがハイブリダイズしたことに由来する発光のみならず,フロースルーセル中を流れる蛍光物質に由来する蛍光などのノイズを観測してしまうという問題があった。



すなわち,従来の実時間型のマイクロアレイ読取装置では,発光物質が励起されるのに十分な強度のエバネッセント場が,基板表面から100nm程度の領域まで生ずる。そして,プローブ物質には,試料として蛍光物質を含むものを接触させ続けるため,その基板表面から100nm以内の領域には,ターゲット物質とプローブ物質とが相互作用したことによらないで発光する発光物質も多数存在する。このため,従来のマイクロアレイ読取装置では,ターゲット物質とプローブ物質とがハイブリダイズしない場合であっても,強い蛍光が観測される場合が多々あり,そのためターゲット物質とプローブ物質とが相互作用したかどうか正確に判断できない場合があった。



さらに,従来のマイクロアレイ読取装置では,ターゲット物質とプローブ物質とが相互作用したことよる発光のみを観測することはできなかったため,プローブ物質と相互作用したターゲット物質の量を定量的に評価することはできなかった。



また,従来のマイクロアレイ読取装置では,基板からどの程度の位置においてターゲット物質とプローブ物質とが相互作用したかを示す,蛍光を発する蛍光物質の分布を把握することはされていなかった。



特開2006-189741号公報(下記特許文献2)には,エバネッセント光のしみ出し深さを所望の量に設定するように入射角調整手段を制御する発明が開示されている(たとえば,請求項12を参照)。しかしながら,同文献に開示された発明では,レーザ光源が変わってもエバネッセント光のしみ出し深さを一定量にするために入射角を制御するものである。すなわち,同文献では,できる限りエバネッセント場の侵入長を一定することを,本質とするものであるから,様々なエバネッセント場の侵入長において,蛍光測定を行うための動機付けとなるものがない。



特開2001-194310号公報(下記特許文献3)は,表面プラズモン分光装置に関する。そして同文献では,ひとつの対物レンズしか用いないものの,一度に複数の試料を測定することが開示されている。



米国公開特許US2003/0205681号明細書(下記特許文献4)には,2つの光を用いて,2種類のエバネセント場の侵入長を得る,マイクロアレイを用いた蛍光分析装置が開示されている(段落[0069],請求項41)。しかしながら,同文献には,多数のエバネッセント場の侵入長における蛍光観測を行って,ハイブリダイズの有無を効果的に観測することは,開示されていない。
【特許文献1】
特開2006-38816号公報
【特許文献2】
特開2006-189741号公報
【特許文献3】
特開2001-194310号公報
【特許文献4】
米国公開特許US2003/0205681号明細書

産業上の利用分野


本発明は,プローブ物質とターゲット物質との相互作用に関与しない蛍光物質に由来する蛍光の影響を考慮した蛍光読取装置に関する。より詳しく説明すると,本発明は,エバネッセント場の侵入長を変化させ,複数の侵入長における蛍光強度を求めることで,プローブ物質とターゲット物質とが相互作用したかどうかを精度よく判断できるマイクロアレイ読取装置及び読取方法などに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】 プローブ物質(1)が固定された基板(2)と,
前記プローブ物質(1)を収容するとともに,蛍光物質(3)とターゲット物質(4)とを含む試料(5)を,前記プローブ物質(1)と接触するように収容できる試料室(6)と,
光源(7)と,
前記光源(7)からの光を,前記基板(2)に導き,エバネッセント場を発生させるための,光学系(8)と,
前記エバネッセント場により励起された前記蛍光物質(3)が発する蛍光強度又は蛍光像を検出するための蛍光検出部(9)と
を具備する,プローブ物質とターゲット物質との特異的な相互作用を検出するための蛍光読取装置において,
前記光学系(8)は,前記光源(7)からの光が前記基板(2)へ入射する際の入射角を調整する入射角調整手段(10)と,
前記入射角調整手段(10)が調整する入射角の量を制御する制御装置(11),
を具備し,
前記制御装置(11)は,
前記入射角調整手段(10)が調整した入射角に関する情報と,複数の入射角における前記蛍光検出部(9)が検出した蛍光強度又は蛍光像に関する情報とが入力され,
前記複数の入射角について,前記入射角に関する情報からエバネッセント場の侵入長を求める手段と,求められた複数の侵入長における前記蛍光強度に関する情報を求める手段と,を具備する,
蛍光読取装置(12)であって,
前記制御装置は,前記複数の侵入長についてのエバネッセント場の侵入長と蛍光強度との関係を用いて,一方の軸を蛍光強度,もう一方の軸をエバネッセント場の侵入長としたグラフを求める手段を具備する,
蛍光読取装置(12)。
【請求項2】 前記光学系(8)は,前記光源(7)からの光が入射する光学素子(13)と,前記光学素子を経由した光が入射する対物レンズ(14)とを具備し,
前記入射角調整手段(10)は,
前記光学素子(13)を,前記対物レンズ(14)との相対的な位置が変化するように,移動させる光学素子移動手段を具備する,
請求項1に記載の蛍光読取装置(12)。
【請求項3】 前記基板(2)の位置を移動させるための基板移動手段(15)を具備する,
請求項1に記載の蛍光読取装置(12)。
【請求項5】 前記制御装置は,
さらに,前記グラフ上の各点を用いて,エバネッセント場の侵入長が0の場合の仮想的な蛍光強度を求める手段と,
前記エバネッセント場の侵入長が0の場合の仮想的な蛍光強度と,設定された閾値とを比較する手段と,
前記比較結果を用いて,前記プローブ物質(1)と前記ターゲット物質(4)とが相互作用したかどうかを判断する手段と,
を具備する,
請求項1に記載の蛍光読取装置(12)。
【請求項6】 前記制御装置は,経過時間を観測する手段を具備する,
請求項1に記載の蛍光読取装置(12)。
【請求項7】 プローブ物質(1)が固定された基板(2)と,
前記プローブ物質(1)を収容するとともに,蛍光物質(3)とターゲット物質(4)とを含む試料(5)を,前記プローブ物質(1)と接触するように収容できる試料室(6)と,
光源(7)と,
前記光源(7)からの光を,前記基板(2)に導き,エバネッセント場を発生させるための,光学系(8)と,
前記エバネッセント場により励起された前記蛍光物質(3)が発する蛍光強度又は蛍光像を検出するための蛍光検出部(9)と
を具備する,プローブ物質とターゲット物質との特異的な相互作用を検出するための蛍光読取装置において,
前記光学系(8)は,前記光源(7)からの光が前記基板(2)へ入射する際の入射角を調整する入射角調整手段(10)と,
前記入射角調整手段(10)が調整する入射角の量を制御する制御装置(11),
を具備し,
前記制御装置(11)は,
前記入射角調整手段(10)が調整した入射角に関する情報と,複数の入射角における前記蛍光検出部(9)が検出した蛍光強度又は蛍光像に関する情報とが入力され,
前記複数の入射角について,前記入射角に関する情報からエバネッセント場の侵入長を求める手段と,求められた複数の侵入長における前記蛍光強度に関する情報を求める手段と,を具備する,
蛍光読取装置(12)であって,
前記基板(2)は,前記プローブ物質(1)が固定されたスポット(21)を有し,
前記蛍光検出部(9)は,前記蛍光物質(3)が発する蛍光像を取得するものであり,
前記制御装置(11)は,前記蛍光像を走査して,蛍光強度が変化する境界(21)を算出する手段と,
前記境界の形状から,蛍光像のうちスポット内の領域(23)とスポット外の領域(24)を把握する手段と,
前記スポット内の蛍光強度を求める手段と,を具備する,
蛍光読取装置(12)。
【請求項8】 プローブ物質(1)が固定された基板(2)と,
前記プローブ物質(1)を収容するとともに,蛍光物質(3)とターゲット物質(4)とを含む試料(5)を,前記プローブ物質(1)と接触するように収容できる試料室(6)と,
光源(7)と,
前記光源(7)からの光を,前記基板(2)に導き,エバネッセント場を発生させるための,光学系(8)と,
前記エバネッセント場により励起された前記蛍光物質(3)が発する蛍光強度又は蛍光像を検出するための蛍光検出部(9)と
を具備する,プローブ物質とターゲット物質との特異的な相互作用を検出するための蛍光読取装置において,
前記光学系(8)は,前記光源(7)からの光が前記基板(2)へ入射する際の入射角を調整する入射角調整手段(10)と,
前記入射角調整手段(10)が調整する入射角の量を制御する制御装置(11),
を具備し,
前記制御装置(11)は,
前記入射角調整手段(10)が調整した入射角に関する情報と,複数の入射角における前記蛍光検出部(9)が検出した蛍光強度又は蛍光像に関する情報とが入力され,
前記複数の入射角について,前記入射角に関する情報からエバネッセント場の侵入長を求める手段と,求められた複数の侵入長における前記蛍光強度に関する情報を求める手段と,を具備する,
蛍光読取装置(12)であって,
前記プローブ物質(1)が固定された基板(2)は,試料室の下流域に位置するに従って,プローブ物質の濃度が大きくなる蛍光読取装置(12)。
【請求項9】 ターゲット物質を蓄える試料庫と試料室とを接続する接続管が,試料室の最上流領域と接続されるのみならず,試料室の中流域にも1つ又は2つ以上接続される請求項1に記載の蛍光読取装置(12)。
【請求項10】 複数の対物レンズを具備するとともに,前記複数の対物レンズに光を導入するための光学系を具備する請求項1に記載の蛍光読取装置(12)。
【請求項11】 ターゲット物質を蓄える試料庫と,前記試料庫と複数の試料室とを接続する接続管とを有し,前記接続管は分岐部を有し,前記接続管の分岐部により分岐されるそれぞれの接続管の下流部は,前記複数の試料室にそれぞれ接続される請求項1に記載の蛍光読取装置(12)。
【請求項12】 プローブ物質(1)が固定された基板(2)と,前記プローブ物質(1)を収容するとともに,蛍光物質(3)とターゲット物質(4)とを含む試料(5)を,前記プローブ物質(1)と接触するように収容できる試料室(6)と,光源(7)と,前記光源(7)からの光を,前記基板(2)に導き,エバネッセント場を発生させるための,光学系(8)と,前記エバネッセント場により励起された前記蛍光物質(3)が発する蛍光強度又は蛍光像を検出するための蛍光検出部(9)とを具備する,プローブ物質とターゲット物質との特異的な相互作用を検出するための蛍光読取装置を用いた蛍光読取方法において, 前記エバネッセント場の侵入長を変化させる工程と,前記エバネッセント場の侵入長を変化させた後に蛍光強度を求める工程とを繰り返し行い,
複数のエバネッセント場の侵入長における蛍光強度を求めることを特徴とする蛍光読取方法であって,
前記複数の侵入長についてのエバネッセント場の侵入長と蛍光強度との関係を用いて,一方の軸を蛍光強度,もう一方の軸をエバネッセント場の侵入長としたグラフを求める蛍光読取方法。
【請求項13】 前記エバネッセント場の侵入長を変化させる工程は,基板(2)へ入射する入射光の入射角を調整することにより,前記エバネッセント場の侵入長を変化させる請求項12に記載の蛍光読取方法。
【請求項15】 前記基板(2)は,前記プローブ物質(1)が固定されたスポット(21)を有し,
あるスポット(21)について前記複数の侵入長についてのエバネッセント場の侵入長と蛍光強度との関係を求めた後,所定時間後にそのスポット(21)について前記複数の侵入長についてのエバネッセント場の侵入長と蛍光強度との関係を求める
請求項12に記載の蛍光読取方法。
【請求項16】 プローブ物質(1)が固定された基板(2)と,
前記プローブ物質(1)を収容するとともに,蛍光物質(3)とターゲット物質(4)とを含む試料(6)を,前記プローブ物質(1)と接触するように収容できる試料室(6)と,
光源(7)と,
前記光源(7)からの光を,前記基板(2)に導き,エバネッセント場を発生させるための,光学系(8)と,
前記エバネッセント場により励起された前記蛍光物質(3)が発する蛍光強度又は蛍光像を検出するための蛍光検出部(9)と
を具備する,プローブ物質とターゲット物質との特異的な相互作用を検出するための蛍光読取装置において,
前記プローブ物質(1)が固定された基板(2)は,試料室の下流域に位置するに従って,プローブ物質の濃度が大きくなることを特徴とする蛍光読取装置(12)。
国際特許分類(IPC)
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