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二重らせん構造を有する合成高分子化合物及びその製造法 コモンズ

国内特許コード P110004401
整理番号 E071P22
掲載日 2011年7月13日
出願番号 特願2009-503905
登録番号 特許第5301426号
出願日 平成20年3月10日(2008.3.10)
登録日 平成25年6月28日(2013.6.28)
国際出願番号 JP2008000507
国際公開番号 WO2008111301
国際出願日 平成20年3月10日(2008.3.10)
国際公開日 平成20年9月18日(2008.9.18)
優先権データ
  • 特願2007-061115 (2007.3.10) JP
発明者
  • 前田 壮志
  • 古荘 義雄
  • 八島 栄次
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 二重らせん構造を有する合成高分子化合物及びその製造法 コモンズ
発明の概要

本発明は、非生物的、非生物化学的方法により、熱安定性の一方向巻きの二重鎖らせん構造を有する高分子化合物、及びその製造方法を提供する。
本発明は、共有結合で結合された一本鎖の合成高分子化合物の主鎖単位構造が、メタ-ターフェニル誘導体を含有し、かつ極性の官能基を有する一重鎖のらせん構造を有する合成高分子化合物が、当該極性の官能基の相互作用により当該合成高分子化合物が相互に会合して、人工的に一方向巻きの二重鎖らせん構造を形成してなる合成高分子化合物、及びその製造方法に関する。

従来技術、競合技術の概要


核酸は生体内に広くみられ、遺伝現象や特異的タンパク質合成に関連する重要な生体高分子であることは周知の通りだが、その構造、機能が明らかになるにつれ、核酸における相補的な二重らせん構造が合成化学者にとっても、大きな興味の対象となってきた(非特許文献1)。



これまでに二重らせん構造を有する多くの低分子化合物が、配位結合(非特許文献2)、水素結合(非特許文献3)やπ-πスタッキング(非特許文献4)を利用して合成されてきた。しかし、それらは核酸に見られるような選択的な相互作用により生成する相補的な二重らせん構造ではなく、一本鎖が絡まり合って二重鎖になっているにすぎない。また低分子化合物であり、成形体としてそのまま工業的に利用する事は難しい。
また、金属錯体により1本鎖DNAをスタッキングさせ相補的な二重らせんとする方法(非特許文献5)や、相補的な塩基を側鎖に有するポリペプチドから形成される相補的な二重らせん(非特許文献6)が知られているが、これらは何れも既存の天然高分子であるDNAやポリペプチドの一本鎖を二重らせんにする研究であって、完全に人工的に合成された非天然高分子に関するものではない。
最近、多中ら(非特許文献7)は、キラルなアミジンとカルボニル基を持つm-ターフェニル誘導体が有機溶媒中でアミジニウム-カルボキシレート塩橋を介して一方向巻きの二重鎖会合体を形成することを明らかにしている。しかしながらこの化合物は、低分子化合物が単なる会合体となった2量体に過ぎず、学問的には極めて優れた業績ではあるものの、そのまま工業的に利用することは難しい。一方、池田ら(非特許文献8)は、同様の化合物を金属の配位結合を利用して長く繋げることに成功している。しかしながら、これは所謂、超分子と言われる会合体で共有結合で結合されている分子ではなく、熱その他の環境の変化に対し不安定であり、これもまた優れた研究ではあるものの工業的利用は難しいと言わざるを得ない。



このように、二重らせん構造をとる合成高分子物質は未だ見出されておらず、天然の核酸のような二重らせん構造をとり、しかも材料としての強度を有する物質の開発が要望されてきていた。
一方、一本鎖のらせん構造を有する高分子物質については、人工的に合成されたらせん高分子が数多く知られている。しかし、一方向巻きに片寄った安定ならせん高分子を不斉合成で作ることは困難であり、従来は、いずれか一方の向きのらせん構造を有する物質は、構造中にいずれか一方の光学活性体を不斉源として用いられていた(特許文献1参照)。また、温度、溶媒、光学活性添加物等によって容易にそのらせんの巻き方向を反転させることができ、室温付近において右巻きと左巻きの両方の高分子を観察することが可能な高分子物質も提案されている(特許文献2参照)。しかし、如何せんそのらせんは動的であるため、外部環境によって容易にらせんの巻き方が再反転し、機能性材料としての実用性は非常に低かった。さらに、らせん高分子は多くの場合、非常に剛直な主鎖構造を持つため溶液中、もしくは溶融状態においてコレステリック液晶相を示す(特許文献3参照)。本発明者らも剛直な主鎖構造を持つ高分子化合物や、その液晶としての利用を開発してきた(特許文献4及び5参照)。
しかしながら、2本鎖のらせん構造をとる合成高分子物質は未だ見出されていない。




【特許文献1】特開昭56-106907号公報

【特許文献2】特開2001-294625号公報

【特許文献3】特開2001-164251号公報

【特許文献4】WO 01/79310号公報

【特許文献5】WO 2005/080500号公報

【非特許文献1】L. Stryer et al. Biochemistry 5th ed. W. E. Freeman & Co., New York 2002.

【非特許文献2】J.-M. Lehn et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1987, 84, 2565.

【非特許文献3】J.-M. Lehn et al. Nature 2000, 407, 721.

【非特許文献4】I. Huc Eur. J. Org. Chem. 2004, 17.

【非特許文献5】M. Shionoya et al. Science 2003, 299, 1212.

【非特許文献6】P. E. Nielsen et al. Science 1991, 254, 1497.

【非特許文献7】Y. Tanaka et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 3867-3870.

【非特許文献8】M. Ikeda et al. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 6806.

産業上の利用分野


本発明は、酵素反応によらない合成二重鎖らせん高分子ならびにその合成方法に関する。特に、剛直主鎖型二重鎖らせん構造を有する高分子とこれを溶媒中で簡便に合成する方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(8)
【化学式10】


(式中、Rは水素原子又は炭素数1~30の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、Rは炭素数1~30の炭化水素基を示し、kはそれぞれ繰り返し回数を示す。)
又は一般式(9)
【化学式11】


(式中、Rは前記と同じであり、Rはそれぞれ独立して炭素数1~40の炭化水素基を示し、Rは前記したものと同じであり、mは繰り返し回数を示す。)で表わされる、人工的に一方向巻きの二重鎖らせん構造を形成してなる合成高分子化合物。

【請求項2】
、炭素数6~30のアルキル基である請求項に記載の合成高分子化合物。

【請求項3】
k及びmが、10以上である請求項1又は2に記載の合成高分子化合物。

【請求項4】
一般式(6)
【化学式12】


(式中、R、R、及びkは前記と同じである。)
で表わされるカルボキシル基を有する一本鎖の合成高分子化合物及び/又は一般式(7)
【化学式13】


(式中、R、R、及びmは前記と同じである。)
で表わされるアミジノ基を有する一本鎖の合成高分子化合物を、溶媒中で混合することにより、当該カルボキシル基又はアミジノ基の相互作用により当該合成高分子化合物が相互に会合させて、請求項1~のいずれかに記載の人工的に一方向巻きの二重鎖らせん構造を形成してなる合成高分子化合物を製造する方法。

【請求項5】
溶媒が、有機溶媒である請求項に記載の方法。

【請求項6】
有機溶媒が、極性溶媒である請求項に記載の方法。

【請求項7】
有機溶媒が、テトラヒドロフランである請求項又はに記載の方法。

【請求項8】
有機溶媒が、非極性溶媒である請求項に記載の方法。

【請求項9】
有機溶媒が、クロロフォルム又はトルエンである請求項に記載の方法。

【請求項10】
合成高分子化合物の合計の濃度が、1mg/ml以下である請求項のいずれかに記載の方法。

【請求項11】
合成高分子化合物の合計の濃度が、0.001~0.3mg/mlである請求項10に記載の方法。

【請求項12】
カルボキシル基を有する一本鎖の合成高分子化合物のモル数と、アミジノ基を有する一本鎖の合成高分子化合物のモル数の比が、1対2から2対1である請求項11のいずれかに記載の方法。

【請求項13】
一般式(6)
【化学式14】


(式中、Rは水素原子又は炭素数1~30の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、Rは炭素数1~30の炭化水素基を示し、kは繰り返し回数を示す。)
で表わされるカルボキシル基を有する一本鎖の合成高分子化合物。

【請求項14】
一般式(7)
【化学式15】


(式中、Rはそれぞれ独立して炭素数1~40の炭化水素基を示し、Rは炭素数1~30の炭化水素基を示し、mは繰り返し回数を示す。)
で表わされるアミジノ基を有する一本鎖の合成高分子化合物。
産業区分
  • 高分子化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 八島超構造らせん高分子プロジェクト 領域
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