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人工二重らせん型不斉触媒

国内特許コード P110004405
整理番号 E071P23
掲載日 2011年7月13日
出願番号 特願2009-510758
登録番号 特許第5248484号
出願日 平成20年3月13日(2008.3.13)
登録日 平成25年4月19日(2013.4.19)
国際出願番号 JP2008000574
国際公開番号 WO2008129785
国際出願日 平成20年3月13日(2008.3.13)
国際公開日 平成20年10月30日(2008.10.30)
優先権データ
  • 特願2007-105245 (2007.4.12) JP
発明者
  • 長谷川 剛史
  • 古荘 義雄
  • 八島 栄次
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 人工二重らせん型不斉触媒
発明の概要

本発明は、二重らせん構造による不斉を利用し、熱などの環境変化にも安定な金属錯体からなる触媒を提供する。
本発明は、人工的に合成された二重鎖らせん構造を有する化合物であって、当該二重らせん構造を形成する主鎖構造中に白金族金属原子を含有してなる白金族金属原子含有合成二重らせん構造を形成してなる有機金属化合物より具体的には、下記の一般式(II)、
(式中、Mは白金族金属原子を示し、Q、Q、Q、及びQはそれぞれ独立して白金族金属原子の配位子を示し、Q及びQ、Q及びQ、並びにQ及びQ、Q及びQとはそれぞれ一緒になって2座配位の配位子を示してもよく、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~5のアルキル基からなるトリアルキルシリル基を示し、Rはそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を示す。)
で表される有機金属化合物を含有してなる触媒、及び当該触媒を使用してなる光学活性シクロプロパン化合物の製造方法、並びに2座配位の配位子で架橋されてなる一般式(I)で表される有機金属化合物、及びその製造方法に関する。

従来技術、競合技術の概要


不斉化学反応は、生物に特有な極めて選択性の高い化学反応として自然界では普通に起こる現象であり、生成する化学物質の特殊性、固有性こそが抗原抗体反応を始めとする多くの複雑な生命活動を滞りなく進める源であると言える。不斉化学反応を人工的に制御することは人類の夢であり、L-DOPA(L-ドパ,パーキンソン病治療薬)、カルパペネム系抗生物質(パニペネム・ベタミプロン,メロペネム,イミペネム・シラスタチン)等の医薬、医薬品原料、香料等々、多くの研究が行なわれ多数の成果を生み出してきた。



一方、DNAやRNAそのものが触媒能を示すDNAzyme(非特許文献1)やRNAzyme(非特許文献2)が知られており研究されてきた。更に最近では、DNAに金属錯体を担持させた不斉触媒も提案されている(非特許文献3)。
また、天然のDNAを用いてナノスケールの金属微粒子や金属ワイヤーを製造する方法も多数開発されてきており(特許文献1等参照)、これらのナノスケールの金属ワイヤーなどを用いて電子回路を製造することも検討されている(特許文献2参照)。
しかし、これらは何れも、天然のDNAそのものか、その修飾体であって、熱等の環境変化に対する安定性の点で劣り、さらに分子設計の困難さの点でも欠点を有しており、実用上の難点が多い。



天然のDNAのような二重らせん構造を人工的に構築するための試みも行われてきており、例えば、多中ら(非特許文献4)は、キラルなアミジンとカルボニル基を持つm-ターフェニル誘導体が有機溶媒中でアミジニウム-カルボキシレート塩橋を介して一方向巻きの二重鎖会合体を形成することを明らかにしている。さらに、池田ら(非特許文献5)は、同様の化合物を金属の配位結合を利用して長く繋げることに成功している。
また、アシル化アニリン誘導体と芳香族アミンとからなるラセン状繊維を鋳型にして金属酸化物ナノチューブを製造する方法(特許文献3参照)や、第四級ビスフェノレートからなる二重らせん構造体に金属を配位させる方法(特許文献4参照)などが提案されている。しかし、これらのものは、会合した低分子化合物に金属原子を配位させたものであり、熱その他の環境の変化に対し不安定であり、工業的利用は難しいと言わざるを得ない。さらに、触媒や磁性材料として有用な二重らせん型複核錯体についても報告されているが(特許文献5参照)、これは数個の配位子を共有結合で環状に結合させて大環状配位子にすることにより、配位子としてのらせん構造を安定化したものである。
これらのものは、らせん構造に金属原子が配位しているものであり、らせん構造の維持や安定性に問題があるものである。




【特許文献1】特開2006-169544号公報

【特許文献2】特開2003-26643号公報

【特許文献3】特開2004-26509合公報

【特許文献4】特開平10-139753号公報

【特許文献5】特開2003-176278号公報

【非特許文献1】S. K. Silverman Org. Biomol. Chem. 2, 2701-2706 (2004).

【非特許文献2】G. F. Joyce Annu. Rev. Biochem. 73, 791-836 (2004)

【非特許文献3】G. Roelfes & B. L. Feringa Angew. Chem. Int. Edn. 44, 3230-3232 (2005).

【非特許文献4】Y. Tanaka et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2005, 44, 3867-3870.

【非特許文献5】M. Ikeda et al. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 6806.

産業上の利用分野


本発明は、人工的に合成された二重鎖らせん構造を有する化合物であって、当該二重らせん構造を形成する主鎖構造中に白金族金属原子を含有してなる白金族金属原子含有合成二重らせん構造を形成してなる有機金属化合物を含有してなる触媒、及び当該触媒を使用してなる光学活性シクロプロパン化合物の製造方法、並びに2座配位の配位子で架橋されてなる一般式(I)で表される有機金属化合物、及びその製造方法に関する。
本発明は、人工二重鎖らせん分子を反応場とする選択的不斉化学反応に使用される工業上有用な触媒を提供するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
次の一般式(I)、
【化学式8】


(式中、Mは白金族金属原子を示し、Q及びQはそれぞれ独立して白金族金属原子の2座配位の配位子を示し、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~5のアルキル基からなるトリアルキルシリル基を示し、Rはそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を示す。)
で表される有機金属化合物を含有してなる、不斉シクロプロパン化反応における触媒。

【請求項2】
白金族金属原子の2座配位の配位子が、次の一般式(III)
(ArP-R-P(Ar (III)
(式中、Arはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基を示し、Rは炭素数1~10のアルキレン基又は炭素数2~10のアルケニレン基を示す。)
で表されるジホスフィノアルカン誘導体である請求項に記載の触媒。

【請求項3】
白金族金属の2座配位の配位子が、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタンである請求項又はに記載の触媒。

【請求項4】
白金族金属原子が、白金である請求項1~のいずれかに記載の触媒。

【請求項5】
請求項1~のいずれかに記載の触媒の存在下に、炭素-炭素二重結合を有する化合物と有機ジアゾ化合物とを反応させて光学活性シクロプロパン化合物を製造する方法。

【請求項6】
炭素-炭素二重結合を有する化合物がスチレンであり、有機ジアゾ化合物がジアゾ酢酸エステルである請求項に記載の方法。

【請求項7】
次の一般式(I)、
【化学式9】


(式中、Mは白金族金属原子を示し、Q及びQはそれぞれ独立して白金族金属原子の2座配位の配位子を示し、R及びRはそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~5のアルキル基からなるトリアルキルシリル基を示し、Rはそれぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基を示す。)
で表される有機金属化合物。

【請求項8】
白金族金属原子の2座配位の配位子が、次の一般式(IV)
(ArP-R-P(Ar (IV)
(式中、Arはそれぞれ独立して置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基を示し、Rは炭素数1~10のアルキレン基を示す。)
で表されるジホスフィノアルカン誘導体である請求項に記載の有機金属化合物。

【請求項9】
白金族金属原子が、白金である請求項7又はに記載の有機金属化合物。

【請求項10】
主鎖構造中に白金族金属錯体を含有してなるアミジン2量体とこれに相補的なカルボン酸2量体とからなる一方向巻きの二重鎖らせん構造の有機金属化合物を、2座配位の配位子の存在下に、当該白金族金属錯体の配位子交換反応により2座配位の配位子に交換して架橋することからなる、請求項のいずれかに記載の有機金属化合物を製造する方法。

【請求項11】
白金族金属錯体が、光学活性な配位子を有するものである請求項10に記載の方法。

【請求項12】
光学活性な配位子が、2-ジフェニルホスフィノ-2‘-メトキシ-1,1’-ビナフチルであり、2座配位子がビス(ジフェニルホスフィノ)メタンである請求項11に記載の方法。
産業区分
  • その他無機化学
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009510758thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 八島超構造らせん高分子プロジェクト 領域
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