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植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチドおよびその利用

国内特許コード P110004409
整理番号 A181P224
掲載日 2011年7月13日
出願番号 特願2009-512948
登録番号 特許第4998809号
出願日 平成20年4月24日(2008.4.24)
登録日 平成24年5月25日(2012.5.25)
国際出願番号 JP2008057918
国際公開番号 WO2008136345
国際出願日 平成20年4月24日(2008.4.24)
国際公開日 平成20年11月13日(2008.11.13)
優先権データ
  • 特願2007-117725 (2007.4.26) JP
発明者
  • 西澤 直子
  • 森 敏
  • 小林 高範
  • 小郷 裕子
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチドおよびその利用
発明の概要

鉄獲得機構に関与する遺伝子が有しているシスエレメントに結合するポリペプチドを提供する。上記ポリペプチドは、鉄獲得機構に関与する遺伝子の発現を亢進させることができる。これにより、鉄欠乏耐性が向上した植物を取得する。

従来技術、競合技術の概要


ほとんどの生物は自らの成長および繁殖のために鉄を必要としている。植物は、土壌中から可溶化した鉄を吸収し、これが動物および人間へと供給される。しかし、土壌中において鉱物鉄は豊富に存在するものの、有酸素下の高pHの条件では鉄は殆ど可溶化していない。そのため、世界の耕作地の30%を占めるアルカリ土壌において、植物はしばしばクロローシス(クロロフィルの欠陥による黄色化)と称される鉄欠乏症を示し、収量および品質の低減をもたらしている。したがって、鉄欠乏耐性が高い植物が強く求められている。



高等植物は、鉄欠乏下において鉄を吸収するための戦略を有している。すなわち、キレーション(戦略II)および還元(戦略I)である。これらのうち、戦略IIはイネ科植物特有のものであり、天然の鉄キレーターであるムギネ酸類ファイトシデロフォア(MAs)を用いて土壌中の鉄をキレートし、根の細胞の細胞膜に存在するトランスポーター(YS1)を経由して鉄を細胞内へ取り込むものである。



これまで、広範囲の生理学的、生化学的、および分子的な研究により、MAsの生合成経路および生合成酵素の遺伝子が同定されている:例えば、ニコチアナミン合成酵素(NAS)、ニコチアナミンアミノ基転移酵素(NAAT)、IDS2、IDS3等。これらの生合成酵素は、鉄欠乏に応答して発現が亢進することが知られている。



しかしながら、上記の鉄欠乏への応答、すなわち鉄欠乏時における鉄の吸収に関与する遺伝子の発現亢進のための分子的な機構はほとんど判明していなかった。本発明者らは、鉄欠乏時に発現が誘導されるオオムギのIDS2遺伝子のプロモーター領域を解析し、新規の鉄欠乏応答性シスエレメントIDE1(Fe-deficiency responsive element1)およびIDE2(Fe-deficiency responsive element2)を同定した。IDE1およびIDE2は、タバコの根、ならびにイネの根および葉において、協働して鉄欠乏への応答に関与する遺伝子の発現を誘導する(特許文献1)。

【特許文献1】日本国公開特許公報「特開2005-6599号公報(公開日:平成17年1月13日)」

産業上の利用分野


本発明は、植物の鉄欠乏耐性に関するものであり、詳細には、植物の鉄欠乏耐性を向上させる働きを有するポリペプチドに関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】 下記(A)~(G)のいずれかのポリヌクレオチドを植物に導入する工程を含むことを特徴とする鉄欠乏耐性が向上した植物の作出方法
(A)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(B)配列番号1に示されるアミノ酸配列において1個もしくは数個のアミノ酸が置換、付加もしくは欠失されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(C)配列番号1に示されるアミノ酸配列の第243番目~第355番目が、配列番号10、13、16、19、22、25、もしくは28のいずれか1つに示されるアミノ酸配列により置換されてなるアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(D)配列番号2に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(E)配列番号2に示される塩基配列において1個もしくは数個のヌクレオチドが置換、付加もしくは欠失された塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(F)配列番号2に示される塩基配列の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(G)配列番号2に示される塩基配列の第727番目~第1065番目が、配列番号11、14、17、20、23、26、もしくは29のいずれか1つに示される塩基配列により置換されてなる塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項2】 下記(A)~(G)のいずれかのポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドを含んでいるベクターを含んでいることを特徴とする鉄欠乏耐性が向上した植物の作出用組成物
(A)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(B)配列番号1に示されるアミノ酸配列において1個もしくは数個のアミノ酸が置換、付加もしくは欠失されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(C)配列番号1に示されるアミノ酸配列の第243番目~第355番目が、配列番号10、13、16、19、22、25、もしくは28のいずれか1つに示されるアミノ酸配列により置換されてなるアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(D)配列番号2に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(E)配列番号2に示される塩基配列において1個もしくは数個のヌクレオチドが置換、付加もしくは欠失された塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(F)配列番号2に示される塩基配列の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(G)配列番号2に示される塩基配列の第727番目~第1065番目が、配列番号11、14、17、20、23、26、もしくは29のいずれか1つに示される塩基配列により置換されてなる塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項3】 下記(A)~(G)のいずれかのポリヌクレオチド、または当該ポリヌクレオチドを含んでいるベクターを備えていることを特徴とする鉄欠乏耐性が向上した植物の作出用キット
(A)配列番号1に示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(B)配列番号1に示されるアミノ酸配列において1個もしくは数個のアミノ酸が置換、付加もしくは欠失されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(C)配列番号1に示されるアミノ酸配列の第243番目~第355番目が、配列番号10、13、16、19、22、25、もしくは28のいずれか1つに示されるアミノ酸配列により置換されてなるアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(D)配列番号2に示される塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(E)配列番号2に示される塩基配列において1個もしくは数個のヌクレオチドが置換、付加もしくは欠失された塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(F)配列番号2に示される塩基配列の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(G)配列番号2に示される塩基配列の第727番目~第1065番目が、配列番号11、14、17、20、23、26、もしくは29のいずれか1つに示される塩基配列により置換されてなる塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項4】 植物からの抽出物に含まれる、下記(A)~(C)のいずれかのポリペプチドを検出する工程を包含していることを特徴とする鉄欠乏耐性が向上した植物を選抜する方法
(A)配列番号1、4もしくは7のいずれか1つに示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチド;
(B)配列番号1、4もしくは7のいずれか1つに示されるアミノ酸配列において1個もしくは数個のアミノ酸が置換、付加もしくは欠失されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチド;
(C)配列番号1に示されるアミノ酸配列の第243番目~第355番目が、配列番号10、13、16、19、22、25、もしくは28のいずれか1つに示されるアミノ酸配列により置換されてなるアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチド。
【請求項5】 植物からの抽出物に含まれる、下記(A)~(G)のいずれかのポリヌクレオチドまたは配列番号12、15、18、21、24、もしくは27のいずれか1つに示される塩基配列からなるポリヌクレオチドを検出する工程を包含していることを特徴とする鉄欠乏耐性が向上した植物を選抜する方法
(A)配列番号1、4もしくは7のいずれか1つに示されるアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(B)配列番号1、4もしくは7のいずれか1つに示されるアミノ酸配列において1個もしくは数個のアミノ酸が置換、付加もしくは欠失されたアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(C)配列番号1に示されるアミノ酸配列の第243番目~第355番目が、配列番号10、13、16、19、22、25、もしくは28のいずれか1つに示されるアミノ酸配列により置換されてなるアミノ酸配列からなるポリペプチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチド、をコードするポリヌクレオチド;
(D)配列番号2、5もしくは8のいずれか1つに示される塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(E)配列番号2、5もしくは8のいずれか1つに示される塩基配列において1個もしくは数個のヌクレオチドが置換、付加もしくは欠失された塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(F)配列番号2、5もしくは8のいずれか1つに示される塩基配列の相補配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得る塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;または
(G)配列番号2に示される塩基配列の第727番目~第1065番目が、配列番号11、14、17、20、23、26、もしくは29のいずれか1つに示される塩基配列により置換されてなる塩基配列からなるポリヌクレオチドであって、植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項6】 植物の鉄欠乏耐性を向上させるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを検出するための検出方法であって、
候補ポリヌクレオチドと、配列番号12、15、18、21、24、または27のいずれか1つに示される塩基配列からなるポリヌクレオチドとをハイブリダイズさせる工程を包含することを特徴とする検出方法。
産業区分
  • 微生物工業
  • 農林
  • 有機化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 植物の機能と制御 領域
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