TOP > 国内特許検索 > らせん構造が制御された合成高分子、及びそれからなるホストゲスト化合物、並びにそれらの製造方法

らせん構造が制御された合成高分子、及びそれからなるホストゲスト化合物、並びにそれらの製造方法

国内特許コード P110004410
整理番号 E071P21
掲載日 2011年7月13日
出願番号 特願2009-513980
登録番号 特許第5392844号
出願日 平成20年3月18日(2008.3.18)
登録日 平成25年10月25日(2013.10.25)
国際出願番号 JP2008000636
国際公開番号 WO2008139674
国際出願日 平成20年3月18日(2008.3.18)
国際公開日 平成20年11月20日(2008.11.20)
優先権データ
  • 特願2007-125098 (2007.5.9) JP
発明者
  • 河内 岳大
  • 熊木 治郎
  • 八島 栄次
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 らせん構造が制御された合成高分子、及びそれからなるホストゲスト化合物、並びにそれらの製造方法
発明の概要 本発明は、らせん構造の巻き方向が制御されたらせん高分子を廉価な汎用高分子から簡便に製造する方法、及び巻き方向が制御されたらせん高分子を提供する。
本発明は、シンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系ポリマー、及びキラル化合物を溶媒に溶解させ、好ましくは加熱して溶解させ、次いでこれを冷却又は濃縮して生成する固形分を分離することからなる、らせん構造の巻き方向が制御された、シンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系ポリマーらせん高分子化合物を製造する方法などに関する。
従来技術、競合技術の概要


シンジオタクチックポリメタクリル酸メチル(以下、st-PMMAと略記することもある。)は、トルエンやアセトンなどの有機溶媒を取り込んでらせん構造を形成し、ゲル化・結晶化することが知られている(非特許文献1~3参照)。その結晶構造は、通常、18/1程度のゆるく巻いたらせんコンフォメーションを取り、そのらせんの内部には直径1nm程度の空間を有し、その空間に溶媒分子が包接されている。
本発明者らは既に、シンジオタクチックポリメタクリレート系もしくはシンジオタクチックポリアクリレート系ポリマーのらせんコンフォメーションの内部にフラーレンを包接したフラーレン高分子複合体、及びその製造法に関する発明を完成し特許を出願している(特許文献1参照)。
これまでに報告されている汎用ポリマーを用いてらせんの巻き方向を制御した例としては、ポリメタクリレート系又はポリアクリレート系のイソタクチックポリマーに限られており、しかも、嵩高い側鎖構造を有する高分子に限定されていた。得られたらせんポリマーの巻き方向は、重合反応時に用いるキラルな開始剤又は助剤により決定され、その後の変更ができない静的ならせん構造であった(非特許文献4)。
こうした一方向巻きのらせん構造を有するメタクリル酸エステルポリマーとして、イソタクチックポリメタクリル酸トリフェニルメチルがよく知られている(例えば、非特許文献5)。この一方向巻きポリマーは、キラル化合物の分離用カラムとして実用化されている。ところが、これらのポリマーは、嵩高い3級エステル基が加水分解されカルボン酸へ容易に変化してしまい易く、その結果、簡単にらせん構造が壊れてしまうという欠点がある(非特許文献6)。また、原料が、トリフェニルメチルエステルという特殊なエステルであり汎用モノマーではないため、合成過程が繁雑であり、かつ製造コストが高くなるという欠点があり、実用上大きな課題になっている。



【特許文献1】
特願2006-238368号
【非特許文献1】
Kusuyama, H.; Takase, M.; Higashihata, Y.; Tseng, H.; Chatani, Y.; Tadokoro, H. Polymer, 1982, 23, 1256.
【非特許文献2】
Kusuyama, H.; Miyamoto, N.; Chatani, Y.; Tadokoro, H. Polymer 1983, 24, 119.
【非特許文献3】
Berghmans, M.; Thihs, S.; Cornette, M.; Berghmans, H.; Schryver, F. C. Macomolecules 1994, 27, 7669.
【非特許文献4】
Nakano, T.; Okamoto, Y. Chem. Rev. 2001, 101, 4013.
【非特許文献5】
Okamoto, Y.; Suzuki, K.; Ohta, K.; Hatada, K.; Yuki, H. J. Am. Chem. Soc. 1979, 101, 4763.
【非特許文献6】
Okamoto, Y.; Yashima, E.; Ishikura, M.; Hatada, K. Polym. J. 1987, 19, 1183.
【非特許文献7】
Spevacek, J.; Schneider, B. Adv. Colloid Interface Sci. 1987, 27, 81.
【非特許文献8】
Yoshida, Z.; Takekuma, H.; Takekuma, S.; Matsubara, Y. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1994, 33, 1597

産業上の利用分野



本発明は、シンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系らせん高分子化合物のらせん構造のらせんの向きが制御されたらせん高分子化合物を製造する方法、及びらせん構造のらせんの向きを制御する方法、並びにこれらの方法で製造されたらせん高分子化合物に関する。詳しくは、これらのらせん高分子化合物において少量のキラル化合物を利用することによりらせんの向きを制御する方法、及び制御されたらせん高分子に関する。さらには、らせんの向きを制御されたらせん高分子の内部にゲスト化合物を包接したホストゲスト化合物、及びその製造法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
シンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系ポリマー、及びキラル化合物を溶媒に溶解させ、次いでこれを冷却又は濃縮して生成する固形分を分離することからなる、らせん構造の巻き方向が制御されたシンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系ポリマーらせん高分子化合物を製造する方法。

【請求項2】
シンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系ポリマーの分子量が、1,000から10,000,000である請求項1に記載の方法。

【請求項3】
シンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系ポリマーが、シンジオタクチックポリメチルメタクリレートである請求項1又は2に記載の方法。

【請求項4】
冷却又は濃縮して生成する固形分が、ゲル化物又は結晶化物である請求項1~3のいずれかに記載の方法。

【請求項5】
キラル化合物を溶解させた溶液に、シンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系ポリマーを添加した後、これを加熱して溶解させ、次いでこれを冷却又は濃縮してゲル化させるものである請求項1~4のいずれかに記載の方法。

【請求項6】
生成した固形分を洗浄してキラル化合物を除去する工程を、さらに含有してなる請求項1~5のいずれかに記載の方法。

【請求項7】
キラル化合物が、次の一般式(1)
Ar-C(R)(R)-Z (1)
(式中、Arは置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアラルキル基を表し、Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアラルキル基を表し、Rは置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、又は置換基を有してもよいアラルキル基を表し、Zは水酸基、アミノ基、カルボキシル基、ハロゲン原子、又はスルホン酸基を表し、Cは当該炭素原子が不斉炭素原子であることを表す。)
で表されるキラル化合物である請求項1~6のいずれかに記載の方法。

【請求項8】
キラル化合物が、光学活性な1-フェニルエタノール又は1-フェニルエチルアミンである請求項7に記載の方法。

【請求項9】
溶媒が、トルエン、1,2-ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ベンゼン、酢酸ブチル、及びジメチルホルムアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1~8のいずれかに記載の方法。

【請求項10】
シンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系ポリマーの濃度が、1×10-7g/mLから5g/mLである請求項1~9のいずれかに記載の方法。

【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の方法において、さらにゲスト化合物を添加して、当該ゲスト化合物をらせん構造中に取り込ませることからなる、らせん構造の巻き方向が制御されたシンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系ポリマーらせん高分子化合物のらせん構造の内部にゲスト分子を包接したホストゲスト化合物を製造する方法。

【請求項12】
ゲスト化合物の添加が、冷却又は濃縮する前である請求項11に記載の方法。

【請求項13】
ゲスト化合物の添加が、冷却又は濃縮した後である請求項11に記載の方法。

【請求項14】
ゲスト分子が、フラーレンである請求項11~13のいずれかに記載の方法。

【請求項15】
溶媒中で、シンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系ポリマーに、キラル化合物を共存させることにより、シンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系らせん高分子化合物のらせん構造の巻き方向を、当該キラル化合物のキラリティーに応じて制御させることからなる、シンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系らせん高分子化合物のらせん構造の巻き方向を制御する方法。

【請求項16】
キラル化合物を溶解させた溶液に、シンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系ポリマーを添加してなる請求項15に記載の方法。

【請求項17】
シンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系ポリマーを含有する溶液に、キラル化合物を添加してなる請求項15に記載の方法。

【請求項18】
さらにゲスト化合物の存在下である請求項15~17のいずれかに記載の方法。

【請求項19】
ゲスト化合物が、フラーレンである請求項18に記載の方法。

【請求項20】
らせん構造の巻き方向が制御され、円二色性測定で吸収円二色性が観察されるものである、シンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系らせん高分子化合物。

【請求項21】
請求項1~10のいずれかに記載の方法により製造され得る巻き方向が制御されたシンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系らせん高分子化合物である請求項20に記載のらせん高分子化合物。

【請求項22】
シンジオタクチックポリメタクリレート系ポリマーが、シンジオタクチックポリメチルメタクリレートである請求項20又は21に記載のらせん高分子化合物。

【請求項23】
らせん構造の巻き方向が制御され、円二色性測定で吸収円二色性が観察されるものである、シンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系らせん高分子化合物のらせん構造の内部にゲスト分子を包接したホストゲスト化合物。

【請求項24】
請求項11~14のいずれかに記載の方法により製造され得るらせん構造の巻き方向が制御されたシンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系ポリマーらせん高分子化合物のらせん構造の内部にゲスト分子を包接したホストゲスト化合物である請求項23に記載のホストゲスト化合物。

【請求項25】
ゲスト化合物が、フラーレンである請求項23又は24に記載のホストゲスト化合物。

【請求項26】
シンジオタクチックポリメタクリレート系ポリマーが、シンジオタクチックポリメチルメタクリレートである請求項23~25のいずれかに記載のホストゲスト化合物。

【請求項27】
らせん構造の巻き方向が制御され、円二色性測定で吸収円二色性が観察されるものである、シンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系らせん高分子化合物、及びイソタクチックポリメタクリレート又はイソタクチックポリアクリレートからなるステレオコンプレックス。

【請求項28】
らせん構造の巻き方向が制御されたシンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系らせん高分子化合物が、請求項1~10のいずれかに記載の方法により製造され得る巻き方向が制御されたシンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系らせん高分子化合物である請求項27に記載のステレオコンプッレクス。

【請求項29】
らせん構造の巻き方向が制御されたシンジオタクチックポリメタクリレート系らせん高分子化合物、及びイソタクチックポリメタクリレートからなる請求項27又は28に記載のステレオコンプレックス。

【請求項30】
シンジオタクチックポリメタクリレート系ポリマーが、シンジオタクチックポリメチルメタクリレートであり、イソタクチックポリメタクリレートがイソタクチックポリメタクリル酸メチルである請求項29に記載のステレオコンプレックス。

【請求項31】
らせん構造の巻き方向が制御され、円二色性測定で吸収円二色性が観察されるものである、シンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系ポリマーらせん高分子化合物と、イソタクチックポリメタクリレートの溶液を混合し、撹拌して、らせん構造の巻き方向が制御されたシンジオタクチックポリメタクリレート系又はシンジオタクチックポリアクリレート系ポリマーらせん高分子化合物とイソタクチックポリメタクリレートポリマーとのステレオコンプレックスを製造する方法。

【請求項32】
溶媒がトルエンである請求項31に記載の方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 八島超構造らせん高分子プロジェクト 領域
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、問合せボタンを押してください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close