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低分子RNAによる細胞または人工細胞モデルでの翻訳制御システム

国内特許コード P110004430
整理番号 I029P002JP
掲載日 2011年7月14日
出願番号 特願2009-542597
登録番号 特許第5405312号
出願日 平成20年11月21日(2008.11.21)
登録日 平成25年11月8日(2013.11.8)
国際出願番号 JP2008071214
国際公開番号 WO2009066758
国際出願日 平成20年11月21日(2008.11.21)
国際公開日 平成21年5月28日(2009.5.28)
優先権データ
  • 特願2007-303661 (2007.11.22) JP
発明者
  • 井上 丹
  • 齊藤 博英
  • 加藤 祐章
  • 吉川 研一
  • 山田 彩子
  • 山中 透
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 低分子RNAによる細胞または人工細胞モデルでの翻訳制御システム
発明の概要 本発明は、短い配列からなるRNAに特異的に応答し、かつ所望の遺伝子の翻訳を活性化、抑制、及び制御できるmRNAを構築し、かかるmRNAと無細胞翻訳系を内包したリポソームを用いて人工細胞モデルシステムを構築することを目的とする。リボソーム結合部位の5’側近傍に標的RNA結合部位を設け、該標的RNA結合部位の5’側にリボソーム結合部位と相補的な塩基配列を設けたmRNA、開始コドンの3’側にsmall RNA結合部位を設け、該small RNA結合部位の3’側に蛋白質をコードする塩基配列を設けたmRNA、及びこれらのmRNAを内包したリポソームを提供する。
従来技術、競合技術の概要


近年、RNA構造生物学の発展により、生体内の複雑なRNA分子は物理的に分割可能な機能単位であるRNAモジュールの集積により構成されていることが明らかとなってきた。天然に存在する複数のRNAモジュールを組み合わせる方法により人工的な機能性RNA分子が構築され、さらにin vitro selection法を用いることで、人工リボザイムの創製に成功するなどモジュラーエンジニアリングの有効性が既に提示されている。



一方、天然においては、mRNA上にアミノ酸や核酸などの代謝産物結合RNAモジュールを持ち、代謝産物濃度に依存して遺伝子の発現制御を行うリボスイッチが存在する。具体的には、アデニンリボスイッチ、グリシンリボスイッチ、SAMリボスイッチなどのリボスイッチが知られており、リボスイッチは、リガンドの結合によるmRNAの構造変化に伴うSD配列・開始コドンとリボソーム相互作用の制御、又はターミネーター構造の制御を行うことが解明されてきた。



また、近年マイクロRNAなどのsmall RNA分子が、細胞の発生、分化、癌化などにおいて重要な役割を果たすことがわかってきた。これらsmall RNA分子の発現は、細胞の状態や細胞内での局在に応じてダイナミックに変化する。したがって、これらsmall RNA分子の発現を検知し、その発現量に応じて細胞を検出する技術や、その発現量に応じて、細胞運命を制御する技術の開発が期待されている。



従来、標的核酸にハイブリダイズした時に構造変化を生じて分子内ハイブリダイズ部位と自己核酸酵素を含むステム部を形成する標的核酸を検出するための、HIV DNAを基質とした核酸プローブを用いたバイオセンサーが知られている(特許文献1を参照)。この技術はバイオセンサーの開発に主眼をおくもので、任意の入力因子(例えば、miRNA)を任意の出力に変換する(例えば、GFP)人工情報変換システムの構築に主眼をおくものではない。さらに、この技術においては、基質として使用されるのはDNAであって、miRNAなどのRNA基質に対する応答性の効果が未知であった。



また、人工RNAを用いて大腸菌内部での翻訳反応を制御する技術が知られている(非特許文献1を参照)。しかし、この技術は、あらかじめ細胞内部で構築したシステムであるため、翻訳制御に他因子が関与している可能性を否定できない。また、基質RNAと人工RNAの至適濃度を厳密に調整できない。



無細胞翻訳系と共にDNA、mRNAを静置水和法で作成したリポソームに内包する技術が知られている(非特許文献2、3を参照)。しかし、静置水和法で作成したリポソームでは、実際に翻訳反応を進行させたリポソームは全体の10%程度であり、全てのリポソーム内部で翻訳反応を進行させることが難しかった。



一方最近、マイクロメータスケールの細胞サイズの液滴であるエマルジョンから作成したリポソーム内部での無細胞翻訳系の発現が報告された(非特許文献4を参照)。しかしこの方法では、リポソームを遠心操作により回収するという作業を要するため、同時に複数種のリポソーム内での翻訳をリアルタイムでモニタリングすることが困難である。また従来技術では、細胞抽出物による翻訳系を用いているため、未知の因子の影響を排除できなかった。



さらに、リポソーム内で翻訳の制御をした例はない。
【特許文献1】
特開2005-341865号公報
【非特許文献1】
Isaacs FJ et al; Nat Biotechnol., 22(7):841-7,2004
【非特許文献2】
Ishikawa K et al;, FEBS Lett., 576(3):387-90, 2004
【非特許文献3】
Nomura SM et al; Chembiochem., 4(11):1172-5, 2003 Gene expression within cell-sized lipid vesicles
【非特許文献4】
Vincent Noireaux et al; Proc Natl Acad Sci U S A., 101(51):17669-74, 2004

産業上の利用分野



本発明は、細胞または人工細胞モデルにおける翻訳制御システムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
リボソーム結合部位の5’側にsmall RNA結合部位を設け、該small RNA結合部位の5’側にリボソーム結合部位と相補的な塩基配列を設けたmRNA。

【請求項2】
請求項1に記載のmRNAと、small RNA結合部位に相補的に結合するsmall RNAとを混合することによるmRNAの翻訳制御方法。

【請求項3】
請求項1に記載のmRNAを含んでなる、翻訳発現制御システム。

【請求項4】
開始コドンの3’側にsmall RNA結合部位を設け、該small RNA結合部位の3’側に蛋白質をコードする塩基配列を設けたmRNA。

【請求項5】
請求項4に記載のmRNAと、small RNA結合部位に相補的に結合するsmall RNAとを混合することによるmRNAの翻訳制御方法。

【請求項6】
請求項4に記載のmRNAを含んでなる、翻訳発現制御システム。

【請求項7】
請求項1に記載のmRNAと、請求項4に記載のmRNAとを含む翻訳発現制御システムであって、請求項1に記載のmRNAのsmall RNA結合部位と、請求項4に記載のmRNAのsmall RNA結合部位とが、同一の塩基配列である、翻訳発現制御システム。

【請求項8】
リボソーム結合部位の5’側にsmall RNA結合部位を設け、該small RNA結合部位の5’側にリボソーム結合部位と相補的な塩基配列を設け、該リボソーム結合部位と相補的な塩基配列の5’側に、前記small RNA結合部位と同一の塩基配列を設け、開始コドンの3’側に、small RNAの少なくとも連続した6塩基と同一の配列を設け、該small RNAの少なくとも連続した6塩基と同一の配列の3’側に、蛋白質をコードする塩基配列を設けたmRNA。

【請求項9】
請求項1に記載のmRNAを用いて、small RNAの発現量を検知する工程と、
目的蛋白質の翻訳を活性化する工程と
を含む、人工情報変換方法。

【請求項10】
請求項4に記載のmRNAを用いて、small RNAの発現量を検知する工程と、
目的蛋白質の翻訳を抑制する工程と
を含む、人工情報変換方法。

【請求項11】
請求項1に記載のmRNAを用いて、small RNAの発現量を検知する工程と、
請求項4に記載のmRNAを用いて、small RNAの発現量を検知する工程と、
請求項1に記載のmRNAがコードする目的蛋白質の翻訳を活性化する工程と、
請求項4に記載のmRNAがコードする目的蛋白質の翻訳を抑制する工程と
を含む、人工情報変換方法であって、
請求項1に記載のmRNAのsmall RNA結合部位と、請求項4に記載のmRNAのsmall RNA結合部位とが、同一の塩基配列である、人工情報変換方法。

【請求項12】
請求項1に記載のmRNAを内包したリポソーム。

【請求項13】
請求項4に記載のmRNAを内包したリポソーム。

【請求項14】
mRNA又はDNAと、無細胞翻訳系とを内包してなるリポソーム。

【請求項15】
油性液体中に、1種以上のリン脂質と、mRNA又はDNAと、無細胞翻訳系と、水性溶液とを混合し、前記mRNA又はDNAと前記無細胞翻訳系とが前記リン脂質小胞に内包されたWOエマルジョンを形成する工程と、
水相に外膜脂質を溶解した油性液体を加え、油水の分離界面に前記脂質が並んだ分子膜を形成させる工程と、
前記WOエマルジョンを前記分離界面における油相側に加え、前記WOエマルジョンを前記分離界面における水相側に移行させて前記WOエマルジョンの外側に前記外膜脂質を付加してリポソームを形成する工程と
を含む、mRNA又はDNAと無細胞翻訳系とを内包したリポソームの製造方法。

【請求項16】
請求項15に記載のリポソームを形成する工程の後に、前記リポソームを顕微鏡で観察する工程を含むリポソーム内での蛋白質翻訳反応をリアルタイムでモニタリングする方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
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