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非縮退偏光量子もつれ光子対生成装置及び非縮退偏光量子もつれ光子対生成方法

国内特許コード P110004438
整理番号 A241P82
掲載日 2011年7月14日
出願番号 特願2009-550439
登録番号 特許第5240864号
出願日 平成20年12月10日(2008.12.10)
登録日 平成25年4月12日(2013.4.12)
国際出願番号 JP2008072441
国際公開番号 WO2009093391
国際出願日 平成20年12月10日(2008.12.10)
国際公開日 平成21年7月30日(2009.7.30)
優先権データ
  • 特願2008-014938 (2008.1.25) JP
発明者
  • 枝松 圭一
  • 清水 亮介
  • 長能 重博
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 非縮退偏光量子もつれ光子対生成装置及び非縮退偏光量子もつれ光子対生成方法
発明の概要

非縮退偏光量子もつれ光子対を効率よく簡便に生成する非縮退偏光量子もつれ光子対生成装置(1)は、互いに周期が異なる周期分極反転構造(3a・3b)をその内部に形成した単一の結晶を有する量子もつれ光子対生成体(2)と、周期分極反転構造(3a)を通過した後、周期分極反転構造(3b)を通過する光を量子もつれ光子対生成体(2)に入射させる入射ユニット(4)とを備え、周期分極反転構造(3a)の周期と周期分極反転構造(3b)の周期とは、周期分極反転構造(3a)に入射した光に基づいて出射される偏光光子の放出角と波長との関係を示す放物線と、周期分極反転構造(3b)に入射した光に基づいて出射される偏光光子の放出角と波長との関係を示す放物線とが位相整合条件の許容する範囲内で接するように異なっている。

従来技術、競合技術の概要


近年、電子商取引や電子メール等による情報通信技術の進展が著しく、これに伴い、情報伝送における暗号技術についても研究開発が行われている。該暗号技術として、最近注目を集めているものとして、量子暗号がある。



量子暗号では、量子力学におけるハイゼンベルグの不確定性原理により、物理現象によって安全性が保証される。該不確定性原理では、観測によってその状態は変化するため、通信が盗聴(観測)されると、必ずそれが明らかになり、それに応じて通信を遮断するなどの処置が可能なため、盗聴が物理学的に不可能とされる。また、粒子を複製することも不確定性原理によって不可能である。



量子暗号における重要な要素として量子テレポーテーションがあげられる。量子テレポーテーションは、粒子の量子的な情報だけを別の場所に移す技術である。該量子テレポーテーションは、量子の絡み合い(量子もつれ)を利用して、光子同士が情報をやり取りすることにより実現される。量子もつれの状態にある光子対は、一方の量子的状態が決まると、他方の量子状態も決まるという性質があり、この性質は、2光子間の距離に依存しない。



上記量子テレポーテーションの技術では、量子もつれの状態にある光子対が必要不可欠である。



次に、2光子の偏光量子もつれ状態を説明する。偏光を用いた2量子ビット(2光子)の量子もつれ状態として,以下の4つの状態が知られている。



【数式1】




ここで,光子のモードiを決定する物理量として、光子の光路や角周波数が考えられる。



次に、2光子の生成方法(パラメトリック下方変換)について説明する。2光子状態を生成するための物理過程として、パラメトリック下方変換過程がしばしば用いられる。パラメトリック下方変換過程では、結晶中に入射した1つのポンプ光子(角周波数ωp、波数ベクトルk)がある確率でシグナル光子(角周波数ωs、波数ベクトルk)とアイドラー光子(角周波数ωi、波数ベクトルk)との光子対に変換される。この際、パラメトリック下方変換過程が引き起こされるためには位相整合条件



【数式2】




を満足しなければならない。



位相整合条件には、各々の光子の偏光によって以下の3種類が存在する。
1.type-0の位相整合条件
ポンプ光子とシグナル光子とアイドラー光子との偏光が全て同一の場合である。
2.type-Iの位相整合条件
シグナル光子とアイドラー光子とが同一の偏光を有し、ポンプ光子がこれらと直交した偏光状態を有する場合である。
3.type-IIの位相整合条件
シグナル光子とアイドラー光子との偏光が直交しており、ポンプ光子がどちらか一方の偏光を有する場合である。



次に、擬似位相整合法について説明する。任意の波長において位相整合条件を満たす方法として、擬似位相整合法が知られている。擬似位相整合法では、周期的に2次の非線形感受率を変調することによって、位相整合条件を満たす。この際の上記位相整合条件(4)式は以下のように書き換えられる。



【数式3】




この式において、Λは2次の非線形感受率の変調周期を表す。2次の非線形感受率の周期的な変調方法としては、結晶の持つ自発分極を周期的に反転させる「周期分極反転法」が実現されている。



次に、既存の偏光量子もつれ状態の生成方法について説明する。2光子が同一の角周波数を持つ偏光量子もつれ状態の生成方法としては幾つかの手法が報告されている(例えば非特許文献1)。この方法では、2つの光子の角周波数は同一であり区別がつかないため、光子の光路によってモードを決定している。つまり、2つの光子は別々の光路に放出されなければならない。



一方で、角周波数の違った2光子により偏光量子もつれ状態を生成する方法も提案されている。この方法では角周波数によって光子のモードを区別しているため、2つの光子が同一の光路上に存在していても良い。



このような、角周波数の異なる2光子より構成される偏光量子もつれ光子対の生成方法としては、以下の方法が報告されている。



1.type-0もしくはtype-Iのパラメトリック下方変換を利用する方法(非特許文献2)
この方法では、同一の偏光状態を有する2光子を発生させるtype-0もしくはtype-Iの位相整合条件の非線形光学結晶を、互いに90度回転させて直列に並べる方法が実現されている。この場合、2つの結晶に同一のポンプ光源からの光を照射し、ポンプ光と同軸方向に角周波数の異なる2光子(ω、ω)を生成させる。



2.単一の結晶中に2種類の周期分極反転構造を作製する方法(特許文献2)
この方法では、type-0とtype-Iという異なる位相整合条件を用いる。



3.光ファイバー中で起こる3次の非線形光学現象である4光波混合過程を利用した方法(非特許文献3)
この方法では、光ファイバーを干渉計中に設置して偏光量子もつれ状態を生成する。



また、半導体中の二光子共鳴励起過程を利用して非縮退偏光量子もつれ光子対を作り出す方法も知られている(特許文献1)。

【特許文献1】特開2005-309012号公報(平成17年11月4日(2005.11.4)公開)

【特許文献2】特開2007-114464号公報(平成19年5月10日(2007.5.10)公開)

【非特許文献1】“New high-intensity source of polarization-entangled photon pairs.” P.G. Kwiat et.al., Phys. Rev. Lett. 75, 4337 (1995).

【非特許文献2】“Bright, single-spatial-mode source of frequency non-degenerate, polarization-entangled photon pairs using periodically poled KTP.” M. Pelton et. al., Opt. Express 12, 3573 (2004).

【非特許文献3】“Generation of polarization-entangled photon pairs and violation of Bell’s inequality using spontaneous four-wave mixing in a fiber loop,” H. Takesue and Kyo Inoue, Phys. Rev. A 70, 031802 (2004).

産業上の利用分野


本発明は、非縮退偏光量子もつれの状態にある光子対を生成する非縮退偏光量子もつれ光子対生成装置及び非縮退偏光量子もつれ光子対生成方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
互いに周期が異なる第1及び第2周期分極反転構造をその内部に形成した単一の結晶を有する量子もつれ光子対生成体と、
前記第1周期分極反転構造を通過した後、前記第2周期分極反転構造を通過するポンプ光を前記単一の結晶に入射させる入射手段とを備え
前記第1周期分極反転構造は、前記ポンプ光を、第1偏光を有する第1シグナル光と前記第1偏光に直交する第2偏光を有する第1アイドラー光とに変換し、前記第2周期分極反転構造は、前記ポンプ光を、前記第1偏光を有する第2シグナル光と前記第2偏光を有する第2アイドラー光とに変換し、前記ポンプ光は、前記第1偏光と前記第2偏光とのいずれかを有し、
前記第1周期分極反転構造は、前記第1偏光の第1シグナル光が第1角周波数を有し、前記第2偏光の第1アイドラー光が第2角周波数を有するように調整され、
前記第2周期分極反転構造は、前記第1偏光の第2シグナル光が前記第2角周波数を有し、前記第2偏光の第2アイドラー光が前記第1角周波数を有するように調整されていることを特徴とする非縮退偏光量子もつれ光子対生成装置。

【請求項2】
前記第1周期分極反転構造の周期と前記第2周期分極反転構造の周期とは、前記第1周期分極反転構造に入射した光に基づいて出射される偏光光子の放出角と波長との関係を示す放物線と、前記第2周期分極反転構造に入射した光に基づいて出射される偏光光子の放出角と波長との関係を示す放物線とが位相整合条件の許容する範囲内で接するように異なっている請求項1記載の非縮退偏光量子もつれ光子対生成装置。

【請求項3】
前記単一の結晶は、ニオブ酸リチウム結晶である請求項1記載の非縮退偏光量子もつれ光子対生成装置。

【請求項4】
ポンプ光を得るための第3周期分極反転構造をさらに備えており、
前記入射手段は、前記第3周期分極反転構造を通過した後、前記第1及び第2周期分極反転構造を通過する光を前記第3周期分極反転構造に入射させる請求項1記載の非縮退偏光量子もつれ光子対生成装置。

【請求項5】
前記第3周期分極反転構造は、前記単一の結晶の内部に形成されている請求項4記載の非縮退偏光量子もつれ光子対生成装置。

【請求項6】
互いに周期が異なる第1及び第2周期分極反転構造をその内部に形成した単一の結晶の前記第1周期分極反転構造を通過した後、前記第2周期分極反転構造を通過するポンプ光を前記単一の結晶に入射させ、
前記第1周期分極反転構造は、前記ポンプ光を、第1偏光を有する第1シグナル光と前記第1偏光に直交する第2偏光を有する第1アイドラー光とに変換し、前記第2周期分極反転構造は、前記ポンプ光を、前記第1偏光を有する第2シグナル光と前記第2偏光を有する第2アイドラー光とに変換し、前記ポンプ光は、前記第1偏光と前記第2偏光とのいずれかを有し、
前記第1周期分極反転構造は、前記第1偏光の第1シグナル光が第1角周波数を有し、前記第2偏光の第1アイドラー光が第2角周波数を有するように調整され、
前記第2周期分極反転構造は、前記第1偏光の第2シグナル光が前記第2角周波数を有し、前記第2偏光の第2アイドラー光が前記第1角周波数を有するように調整されていることを特徴とする非縮退偏光量子もつれ光子対生成方法。
産業区分
  • 光学装置
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2009550439thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 新しい物理現象や動作原理に基づくナノデバイス・システムの創製 領域
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