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単結晶薄膜の製造方法

国内特許コード P110004457
整理番号 Y04-P043-1
掲載日 2011年7月14日
出願番号 特願2010-223441
公開番号 特開2011-023742
登録番号 特許第5330349号
出願日 平成22年10月1日(2010.10.1)
公開日 平成23年2月3日(2011.2.3)
登録日 平成25年8月2日(2013.8.2)
優先権データ
  • 特願2004-007754 (2004.1.15) JP
発明者
  • 野田 優
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 単結晶薄膜の製造方法
発明の概要 【課題】 単結晶シリコン膜のリフトオフが良好であり、かつ高純度の太陽電池用単結晶シリコン膜を得ることができる単結晶薄膜の製造方法及びその単結晶薄膜デバイスを提供する。
【解決手段】 単結晶シリコン基板71を用意し、この単結晶シリコン基板71上に同一の物質で結晶欠陥を含んだ単結晶シリコン犠牲層72を形成し、この単結晶シリコン犠牲層72上に同一の物質でこの単結晶シリコン犠牲層72より結晶欠陥の少ない単結晶シリコン薄膜73を形成し、前記単結晶シリコン犠牲層72を溶解し、結晶欠陥の少ない単結晶シリコン薄膜73を製造する。
【選択図】 図6
従来技術、競合技術の概要


従来の単結晶シリコン薄膜の製造方法について説明する。
(a)酸素イオン注入法
単結晶シリコン基板に酸素イオンを注入した後、熱処理を施すことで、単結晶シリコン/二酸化珪素/単結晶シリコン基板の構造を作製する。
しかしながら、単結晶シリコン基板への酸素イオン注入に際して、上部単結晶シリコンに欠陥が多く入ることや、イオン注入のコストが高いといった問題がある(下記特許文献1参照)。
(b)水素イオン注入法
単結晶シリコン基板に水素イオン(H+ およびH- )を注入し、支持基板に貼り合わせた後、熱処理を施し、水素イオンが注入された層を破壊し、はぎとることで、サブμmオーダーの単結晶シリコン薄膜を支持基板上に形成することができる。



しかしながら、水素の注入深さがサブμmオーダーに留まるため、例えば、太陽電池の用途では1000℃以上の高温で化学蒸着法又は物理蒸着法により単結晶シリコン薄膜を10μm前後に厚膜化することが必要となるが、耐熱性・熱膨張力の要件を満たす安価な基板を得ることが困難である。また、水素イオン注入層を基板から剥がす前に厚膜化する方法については、厚膜化条件下で水素イオン注入層が壊れてしまうので不可能である(下記特許文献2参照)。
(c)ポーラスシリコン法
単結晶シリコン基板表面を陽極酸化すると、細孔を高密度に形成できる。この細孔表面に酸化処理を施し、フッ酸により外表面に近い部分のみ酸化層を除去した後、水素雰囲気下でアニールすると、最表面が単結晶の連続膜に戻り、その下に空隙を多数含んだ構造ができる。これを支持基板に貼り付けた後、空隙を含んだ層を液相法により化学的に溶解することや、ウォータージェット等により機械的に破壊することで、単結晶シリコン薄膜を分離することができる(下記特許文献3参照)。



しかしながら、上部シリコン膜厚は表面張力の寄与する1μm前後にしかならず、太陽電池に応用するには、CVD法による厚膜化が必須である。更に、機械的破壊による剥離の際、単結晶シリコン基板も傷んでしまい、繰り返し利用が制限されるという問題もある。また、プロセス的にも多数のステップが必要で、複雑である。
(d)溶融再結晶化法・溶融結晶化法
シリコン基板上に、二酸化シリコン膜、多結晶ないしアモルファスシリコン薄膜、二酸化珪素からなる保護膜の順に積層させ、ランプ加熱等による線状の溶融帯のスキャンを行うことで、面内方向に結晶粒径の発達した多結晶シリコン薄膜を作製できる。その後、保護膜を薬液により除去し、CVD法により多結晶シリコン薄膜を厚膜化した後、二酸化シリコン膜をフッ酸によりエッチングすることにより、多結晶シリコン薄膜を分離できる(下記特許文献4参照)。



しかしながら、得られるのはあくまでも多結晶シリコン薄膜であるため、発電効率が劣る上、溶融帯のスキャニングの際、シリコン基板まで劣化してしまうという問題があり、さらに、プロセス的にも多数のステップからなり複雑である。
(e)元素組成の異なる犠牲層を用いたエピタキシャルリフトオフ(ELO)法
エピタキシャルリフトオフ(ELO)法とは、単結晶基板を鋳型に用い、その上に犠牲層をエピタキシャル成長させ、更にその上に目的膜をエピタキシャル成長させ、犠牲層を除去することで目的材料の単結晶薄膜を得る方法のことである。



ところで、単結晶シリコン薄膜は、太陽電池として用いる場合には発電効率や安全性・安定性等で優れているが、そのコストが高いことが問題となっている。太陽電池に用いられる超高純度シリコンとしては、半導体産業で作られたものの規格外品を安価に購入しているが、それでもシリコン基板がコストの多くを占め、かつ半導体産業でのシリコンの余剰もなくなってきているのが現状である。従って単結晶シリコンを、基板から薄膜に置き換えることができれば、コストと原料量の問題を解決できる。



そこで、本願発明者は、単結晶シリコン薄膜をELO法で製造する方法を提案した(下記特許文献5参照)。ここでは、犠牲層として、金属シリサイドやドープシリコン層といった「元素組成の異なる材料」を用いることで、シリコンでもELO法の適用が可能になることを提案した。
具体的には、単結晶シリコン基板上に、純シリコンとは組成の異なる層、具体的には金属シリサイドや高濃度ドープシリコンを犠牲層(中間層)としてエピタキシャル成長させ、更にその上にシリコンをエピタキシャル成長させることで単結晶シリコン薄膜を成膜し、犠牲層を化学的にエッチング・除去することで、単結晶シリコン基板と単結晶シリコン薄膜を分離し、単結晶シリコン基板を繰り返し再利用しながら、単結晶シリコン薄膜を製造する方法を提案した。



しかしながら、上記したような犠牲層を用いる方法でも問題があった。即ち、金属シリサイド等の材料を用いると、単結晶シリコン薄膜に不純物が混入するため、太陽電池の発電効率に問題が生じる。一方、ドープシリコン層を用いると、単結晶シリコン薄膜をエピタキシャル成長させるプロセスにおいて、ドーパントが、単結晶シリコン薄膜および基板方向に拡散してしまい、高濃度のドープ層を保てなくなるという問題があった。

産業上の利用分野


本発明は、単結晶薄膜の製造方法に係り、特に、高純度の太陽電池用単結晶シリコン薄膜の製造方法に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
(a)単結晶基板を準備し、
(b)該単結晶基板上に該単結晶基板と同一の物質で結晶欠陥を含んだ犠牲層をエピタキシャル成長させ、
(c)該犠牲層上に該犠牲層と同一の物質で前記犠牲層より結晶欠陥の少ない単結晶薄膜をエピタキシャル成長させ、
(d)前記犠牲層をエッチングし、結晶欠陥の少ない単結晶薄膜を製造することを特徴とする単結晶薄膜の製造方法。

【請求項2】
請求項1記載の単結晶薄膜の製造方法において、前記(b)工程に次いで前記犠牲層の表面の結晶欠陥を消失させることを特徴とする単結晶薄膜の製造方法。

【請求項3】
請求項1又は2記載の単結晶薄膜の製造方法において、前記単結晶基板が単結晶シリコン基板、前記犠牲層がシリコン犠牲層、前記単結晶薄膜が単結晶シリコン薄膜であることを特徴とする単結晶薄膜の製造方法。

【請求項4】
請求項1又は2記載の単結晶薄膜の製造方法において、前記単結晶基板が単結晶GaAs基板であることを特徴とする単結晶薄膜の製造方法。

【請求項5】
請求項1又は2記載の単結晶薄膜の製造方法において、前記単結晶基板が単結晶MgO基板であることを特徴とする単結晶薄膜の製造方法。

【請求項6】
請求項1記載の単結晶薄膜の製造方法において、前記(b)工程を、400~1200℃で物理蒸着法又は化学蒸着法で行うことにより、結晶欠陥を含んだシリコン犠牲層をエピタキシャル成長させることを特徴とする単結晶薄膜の製造方法。

【請求項7】
請求項3又は6記載の単結晶薄膜の製造方法において、前記結晶欠陥が双晶、空孔、格子間原子、刃状転位、螺旋転位であることを特徴とする単結晶薄膜の製造方法。

【請求項8】
請求項3、6又は7記載の単結晶薄膜の製造方法において、前記結晶欠陥の数密度が、前記単結晶シリコン基板と前記シリコン犠牲層との界面において、1/μm2 ~1/nm2 であることを特徴とする単結晶薄膜の製造方法。

【請求項9】
請求項3又は6~8の何れか一項記載の単結晶薄膜の製造方法において、前記単結晶シリコン基板と前記シリコン犠牲層との界面において、1/μm2 ~1/nm2 の数密度で双晶が存在することを特徴とする単結晶薄膜の製造方法。

【請求項10】
請求項3又は6~9の何れか一項記載の単結晶薄膜の製造方法において、前記(b)工程に次いで、還元性雰囲気下、温度1000~1400℃で熱アニールを行うことにより、前記シリコン犠牲層の表面の結晶欠陥を消失させることを特徴とする単結晶薄膜の製造方法。

【請求項11】
請求項10記載の単結晶薄膜の製造方法において、前記アニール処理後に、前記シリコン犠牲層表面における双晶の数密度が、前記シリコン犠牲層と前記単結晶シリコン基板との界面における双晶の数密度の、100分の1以下であることを特徴とする単結晶薄膜の製造方法。

【請求項12】
請求項3又は6~11の何れか一項記載の単結晶薄膜の製造方法において、前記(c)工程を、基板温度1000~1400℃で物理蒸着法又は化学蒸着法で行うことにより、結晶欠陥の少ない単結晶シリコン薄膜をエピタキシャル成長させることを特徴とする単結晶薄膜の製造方法。

【請求項13】
請求項3又は6~12の何れか一項記載の単結晶薄膜の製造方法において、前記(c)工程に次いで前記単結晶シリコン薄膜を支持基材に保持した後、前記シリコン犠牲層をエッチングし、単結晶シリコン薄膜を製造することを特徴とする単結晶薄膜の製造方法。

【請求項14】
請求項3又は6~13の何れか一項記載の単結晶薄膜の製造方法において、前記単結晶シリコン基板に間隔をとって穴を形成することを特徴とする単結晶薄膜の製造方法。

【請求項15】
請求項3又は6~14の何れか一項記載の単結晶薄膜の製造方法において、前記シリコン犠牲層の厚さを100nm以下にすることで、前記単結晶シリコン薄膜の下面の凹凸を100nm以下に抑えることを特徴とする単結晶薄膜の製造方法。

【請求項16】
請求項3又は6~14の何れか一項記載の単結晶薄膜の製造方法において、前記シリコン犠牲層の厚さを100nm以上にすることで、前記単結晶シリコン薄膜の下面に100nm以上のテクスチャ構造を導入することを特徴とする単結晶薄膜の製造方法。

【請求項17】
請求項3又は6~16の何れか一項記載の単結晶薄膜の製造方法において、前記単結晶シリコン基板の表面に凹凸を形成することを特徴とする単結晶薄膜の製造方法。

【請求項18】
請求項3又は6~17の何れか一項記載の単結晶薄膜の製造方法において、前記シリコン犠牲層のエッチングをフッ酸と酸化剤の混合溶液で行うことを特徴とする単結晶薄膜の製造方法。
国際特許分類(IPC)
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出願権利状態 登録
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