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表面粗化による高効率窒化ガリウムベースの発光ダイオード 実績あり

国内特許コード P110004468
整理番号 E067P04-1
掲載日 2011年7月14日
出願番号 特願2011-013852
公開番号 特開2011-082587
登録番号 特許第5702165号
出願日 平成23年1月26日(2011.1.26)
公開日 平成23年4月21日(2011.4.21)
登録日 平成27年2月27日(2015.2.27)
発明者
  • 藤井 哲雄
  • ヤン・ガオ
  • イーブリン・エル・フー
  • シュウジ・ナカムラ
出願人
  • ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
発明の名称 表面粗化による高効率窒化ガリウムベースの発光ダイオード 実績あり
発明の概要 【課題】 GaNベースのLEDの表面を粗くすることによって、光取り出し効率を向上させる手段を提供する。
【解決手段】
窒化ガリウム(GaN)ベースの発光ダイオード(LED)で、光はLEDの窒素面(N面)(42)を介して取り出される。また、N面(42)の表面は1つ以上の六角形状円錐に粗くされる。表面を粗くすると、LED内部で繰り返し起こる光の反射が減り、そのため、より多くの光をLEDから取り出せる。N面(42)の表面は、異方性エッチングによって粗くされる。この異方性エッチングとしては、乾式エッチング、PECエッチングが挙げられ得る。
【選択図】 図3
従来技術、競合技術の概要



関連技術の説明

(注:本出願は、本明細書全体を通して一つ以上の参照番号で示される、多数の様々な文献を参照する。これら様々な文献は、参照番号順に、リストとして「参考文献」の項目で以下に示される。これらの文献のそれぞれは、本明細書で、参考として援用される)。

窒化ガリウム(GaN)ベースの大きなバンドギャップの半導体発光ダイオード(LED)は、約10年前から利用可能になってきた。このLED開発の進歩によって、LED技術に大きな変化がもたらされ、フルカラーLEDディスプレイ、LED信号機、白色LEDなどが実現されてきた。





近年、高効率の白色LEDが、蛍光灯に置き換わる可能性があるものとして、大きな関心を集めている。特に、白色LEDの効率(74lm/W)(非特許文献1)は、普通の蛍光灯(75lm/W)に近づきつつある。それにも関わらず、更なる効率改善が望ましい。

LEDの効率を改善するためには、主として二つのアプローチがある。第一のアプローチは、内部量子効率(ηi)を上げることであり、これは結晶品質やエピタキシャル層の構造によって決定される。一方、第二のアプローチは、光取り出し効率(η取り出し)を上げることである。





内部量子効率を上げることは、容易にできることではない。典型的なηi値は、青色LEDでは、約70%を超え(非特許文献2)、低転位GaN基板に成長した紫外線(UV)LEDでは、最近、約80%のηi値を示している(非特許文献3)。これには改善の余地はほとんどない。

その一方、光取り出し効率を改善する余地は、十分にある。内部光の損失を抑えるために、数多くの課題が挙げられている。例えば、高反射鏡、粗い表面などの低反射表面、非常に熱散乱しやすい構造などである。





例えば、GaN(n~2.5)と空気の屈折率を考え(非特許文献4)、光脱出円錐(light escape cone)に対する臨界角が約23°の場合を考える。光は側壁から発生し、後壁は無視されるものと仮定すると、内部光の約4%のみ取り出され得ることが期待される。脱出円錐の外の光は、側壁を介して脱出しない限り、基板の中に反射されるか、活性層または電極に繰り返し反射されるか、吸収されるかである。





LED構造は、光がどの程度発生されるかに影響を及ぼす。光取り出し効率におけるLED構造の影響は、実施例によって、好適に記載される。以下の実施例で、LED構造の幾つかの種類を記載する。

図1は、従来型LED構造の模式的な断面図である。この構造はp型パッド電極10、半透明電極12、p型層14、活性領域16、n型層18、n型電極20および基板22を含む。GaNは通常、例えば、サファイアのような絶縁体基板に成長されるため、p型電極10およびn型電極20は同一平面上に製造される必要があり、その結果得られる電極10と20のデバイス構造は、電流の流れを長手方向に拘束してきた。p型GaNは抵抗率が高いため、薄い金属膜が、p型GaNに電流を広げるための半透明電極12として用いられた。半透明電極12の透明性は100%であるべきことが望ましい。しかしながら、GaNベースのLEDで使われている薄い金属電極におけるその値は、せいぜい70%である。さらに、パッド電極10は、ワイヤボンディング用に形成されなくてはならず、そのワイヤボンディングはLED内部から発生される光を暗くする。その結果、光取り出し効率は、極めて低くなることが予想される。





図2は、フリップチップ型LED構造の模式的な断面図である。この構造は、透明なサファイア基板24、n型層26、n型電極28、活性領域30、p型層32、p型電極34、ハンダ36およびホストサブマウント(host submount)38を含む。外部効率を上げるためには、光はフリップチップ型LED構造の透明なサファイア基板24を介して取り出しされ得る。本方法は、薄い金属膜とパッド電極による光吸収が減少する従来型LEDに比べ、有利である。しかしながら、活性領域から発する光のほとんどは、基板24とn型層26の界面、および、基板24と空気との間の界面で反射される。





サファイア基板からGaN膜を剥がす方法は「レーザリフトオフ」(LLO)技術と呼ばれている。この方法をフリップチップ型GaNベースのLEDに適用することで、サファイア基板のないGaNのLEDが実現され得る。この結果得られるGaN表面は非平面の配向に加工されると仮定すると、光取り出し効率の著しい向上が期待される。

光取り出し効率を上げる別のアプローチは、LEDの表面を粗くすることである特許文献1)。このアプローチは、内部の光反射を弱め、光を上方に散乱させる。しかしながら、表面の粗いLEDは、材料がリン化ガリウム(GaP)系との関連でのみ述べられてきた。なぜなら、GaNは非常に耐久性ある材料で、通常のウェットエッチング方法では大した効果が出ないからである。このように、光散乱のために半導体表面を粗くしようというアイデアは、1970年代に最初に考えられたにも関わらず、この種のLED構造で製造するのは、困難でコスト高であると信じられてきた。





しかしながら、上述のように、典型的なGaNベースのLEDは、サファイアまたは炭化ケイ素(SiC)基板の上に、薄いp-GaN/活性層/n-GaN膜で構成されている。粗い表面を製造するためには、ある程度のGaN厚さが必要である(非特許文献5)が、p-GaNは抵抗率が比較的高いため、厚いp-GaNを成長させることは望ましいことではない。そのため、光がp-GaNを介して取り出されるなら、p-GaN表面に半透明なコンタクトが必要である。また、表面を粗くするためのドライエッチング(非特許文献6)のような処理は、電気的特性の劣化を招き得る。有機金属化学気相成長法(MOCVD)によって、p側を下にする構造を成長させることも、望ましくない。なぜなら、マグネシウム(Mg)メモリ効果(非特許文献7)によって、活性層が劣化するからである。





最近、レーザリフトオフ(LLO)方法が、基板に成長したGaN膜から、サファイア基板を剥がすために使われている(非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10)。さらに、LLOはGaNベースのLED構造にも用いられてきている(非特許文献11、非特許文献12)。しかしながら、この技術が表面形状や光取り出し効率に与える影響についての文献はない。





一方、本発明において、フリップチップ技術(非特許文献13)とLLO方法を利用すると、基板のない窒素(N)側を上とするGaNベースのLED構造が作成できる。その後、異方性エッチングプロセスは、N側を上とするGaNベースのLEDの表面を粗くするために、用いられ得る。この結果得られる六角形状「擬円錐」表面は、光取り出しには優位である。表面を最適に粗くしたLEDの光取り出し効率は、粗くする前のLEDに比べ、100%を超す増加率を示す。





かねてから、GaNは異方性エッチングが難しいと考えられていることには注意したい。これは、GaNが他の半導体材料に比べ、化学的に安定な材料だからである。乾式エッチングを用いると、ざらつきある(textured)表面波可能であるが、フォトリソグラフィなどの特殊処理を必要とし、GaN上に細かい擬円錐表面を作ることは不可能である。





フォトエンハンスト化学(photo-enhanced chemical)(PEC)エッチングは、ガリウム面(Ga面)GaNに用いられ、小さなピットが表面に形成される。このことは、PECエッチングが窒素面(N面)GaNに使われた場合、はっきりとした擬円錐の形態が得られるのと、対照的である。LLO技術を用いて製造したGaNベースのLEDについては、小数の報告がなされているが、本発明は異方性エッチング方法を用いて、GaNベースのLEDのN-面GaN表面上に擬円錐構造を製造する。

産業上の利用分野


本発明は、発光ダイオードに関する。より特定的には、表面粗化による高効率の窒化ガリウムベースの発光ダイオードに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
少なくとも一つのn型層、発光層、およびp型層からなる(Al,Ga,In)N発光ダイオード(LED)であって、
該発光層から放射された光が、基板の除去により露出しフォトエンハンストエッチング(PEC)によりエッチングされた該発光ダイオードのn型層の窒素面(N面)表面を介して取り出され、それにより、該発光ダイオードの該N面表面、該発光ダイオードのN面表面からの光取り出し効率を増加させるような該発光ダイオードの光の波長とほぼ同じサイズを有する錐体構造からなることを特徴とする、(Al,Ga,In)N発光ダイオード(LED)。

【請求項2】
前記発光層からの光は、前記発光ダイオードの前記発光層とは異なる層のN面表面を介して取り出されることを特徴とする、請求項1に記載の発光ダイオード。

【請求項3】
前記発光ダイオードは、さらにp型層上のp型電極を具備し、該p型電極は高反射特性を有し、n型層のN面表面へ向かう光反射を増加させることを特徴とする、請求項1に記載の発光ダイオード。

【請求項4】
前記発光ダイオードは、さらにn型層上のn型電極と、電流が該n型電極の下に集中しないようにし、該n型電極下での光放射の吸収を避け、光取り出し効率を増やすために該n型電極の下に位置合わせした電流ブロック層を具備することを特徴とする、請求項1に記載の発光ダイオード。

【請求項5】
前記構造は複数のエッチングされた錐体をからなることを特徴とする、請求項1に記載の発光ダイオード。

【請求項6】
前記エッチングされた錐体は、前記発光ダイオードの光の波長よりも大きいことを特徴とする、請求項5に記載の発光ダイオード。

【請求項7】
前記エッチングされた錐体が、
2sin-1(nair/ns
以下の傾斜角度を有する複数の六角形状の錐体であり、ここで、nairは大気の屈折率で、nsはN面表面の屈折率であることを特徴とする、請求項5に記載の発光ダイオード。

【請求項8】
前記エッチングされた錐体が、
2sin-1(nenc/ns
以下の傾斜角度を有する複数の六角形状の錐体からなり、ここでnencは前記N面表面に堆積されたエポキシの屈折率で、nsはN面表面の屈折率であることを特徴とする、請求項5に記載の発光ダイオード。

【請求項9】
前記n型層、前記発光層および前記p型層は、それぞれ(Al,Ga,In)N合金からなることを特徴とする、請求項1に記載の発光ダイオード。

【請求項10】
前記発光ダイオードのN面表面からの光取り出し効率の増加が、構造物のないN面表面に比べて100%を超えることを特徴とする、請求項1に記載の発光ダイオード。

【請求項11】
前記光は、前記発光ダイオードの成長方向に沿って形成される空洞により生じる空洞モード、干渉効果、または縦モードを示さないことを特徴とする、請求項1に記載の発光ダイオード。

【請求項12】
前記発光ダイオードは、発光面積を著しく減らすことなく、前記発光ダイオードの側壁を流れるリーク電流を抑制する、絶縁体から作成された電流閉じ込め枠を含むことを特徴とする、請求項1に記載の発光ダイオード。

【請求項13】
前記発光ダイオードは、熱伝導性の高い材料上に設置されることを特徴とする、請求項1に記載の発光ダイオード。

【請求項14】
(Al,Ga,In)N発光ダイオード(LED)を製造する方法であって、
基板上に該(Al,Ga,In)N発光ダイオードの少なくとも一つのn型層、発光層、およびp型層を作製する工程と、
該層から該基板を除去することにより、該発光ダイオードのn型層の窒素面(N面)表面を露出させる工程と、
該露出した発光ダイオードのN面表面を、フォトエンハンストエッチング(PEC)により、該発光ダイオードのN面表面からの光取り出し効率を増加するように前記発光ダイオードの光の波長とほぼ同じサイズの錐体構造を作製するように構築する工程とを含むことを特徴とする、(Al,Ga,In)N発光ダイオードの製造方法。

【請求項15】
前記発光ダイオードのN面表面が、前記発光ダイオードのN面表面を粗面化またはパターニングすることにより構築されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。

【請求項16】
前記発光層からの光が、前記発光ダイオードの前記発光層とは異なる層のN面から取り出されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。

【請求項17】
前記発光ダイオードはさらにp型層上のp型電極を具備し、該p型電極は高反射特性を有し、n型層のN面表面へ向かう光反射を増加させることを特徴とする、請求項14に記載の方法。

【請求項18】
前記発光ダイオードは、さらにn型層上のn型電極と、電流が該n型電極の下に集中しないようにし、該n型電極下での光放射の吸収を避け、光取り出し効率を増やすために該n型電極の下に位置合わせした電流ブロック層を具備することを特徴とする、請求項14に記載の方法。

【請求項19】
前記構造は複数のエッチングされた錐体をからなることを特徴とする、請求項14に記載の方法。

【請求項20】
前記エッチングされた錐体は、前記発光ダイオードの光の波長よりも大きいことを特徴とする、請求項19に記載の方法。

【請求項21】
前記エッチングされた錐体が、
2sin-1(nair/ns
以下の傾斜角度を有する複数の六角形状の錐体であり、ここで、nairは大気の屈折率で、nsはN面表面の屈折率であることを特徴とする、請求項19に記載の方法。

【請求項22】
前記エッチングされた錐体が、
2sin-1(nenc/ns
以下の傾斜角度を有する複数の六角形状の錐体からなり、ここでnencは前記N面表面に堆積されたエポキシの屈折率で、nsはN面表面の屈折率であることを特徴とする、請求項19に記載の方法。

【請求項23】
前記n型層、前記発光層および前記p型層は、それぞれ(Al,Ga,In)N合金からなることを特徴とする、請求項14に記載の方法。

【請求項24】
前記発光ダイオードのN面表面からの光取り出し効率の増加が、構造物のないN面表面に比べて100%を超えることを特徴とする、請求項14に記載の方法。

【請求項25】
前記光は、前記発光ダイオードの成長方向に沿って形成される空洞により生じる空洞モード、干渉効果、または縦モードを示さないことを特徴とする、請求項14に記載の方法。

【請求項26】
前記発光ダイオードは、発光面積を著しく減らすことなく、前記発光ダイオードの側壁を流れるリーク電流を抑制する、絶縁体から作製された電流閉じ込め枠を含むことを特徴とする、請求項14に記載の方法。

【請求項27】
前記発光ダイオードは、熱伝導性の高い材料上に設置されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
産業区分
  • 半導体
  • 固体素子
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) ERATO 中村不均一結晶プロジェクト 領域
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