TOP > 国内特許検索 > 牛の判別方法、及び牛の判別用キット

牛の判別方法、及び牛の判別用キット

国内特許コード P110004474
整理番号 RJ109P38
掲載日 2011年7月15日
出願番号 特願2010-507193
登録番号 特許第4722224号
出願日 平成21年3月4日(2009.3.4)
登録日 平成23年4月15日(2011.4.15)
国際出願番号 JP2009054045
国際公開番号 WO2009125637
国際出願日 平成21年3月4日(2009.3.4)
国際公開日 平成21年10月15日(2009.10.15)
優先権データ
  • 特願2008-100138 (2008.4.8) JP
発明者
  • 松本 和也
  • 森本 康一
  • 池上 春香
  • 永井 宏平
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
  • 学校法人近畿大学
発明の名称 牛の判別方法、及び牛の判別用キット
発明の概要

プロテオーム解析によって肉用牛の経済形質に関与する蛋白質を同定し、これらの蛋白質をバイオマーカーとして有用な経済形質を有する牛個体を判別する牛個体の判別方法及びこれに使用する牛個体の判別用キットを提供する。
この発明の牛個体の判別方法は、(1)牛から体組織を採取する採取工程と、(2)採取した体組織から全蛋白質を抽出する抽出工程と、(3)抽出した全蛋白質中に含まれるアネキシンA5の野生型蛋白質、アネキシンA5の野生型蛋白質のアイソフォーム、アネキシンA5の野生型蛋白質又はそのアイソフォームの修飾蛋白質を検出する検出工程と、(4)検出したアネキシンA5の種類に基づいて、牛の平均枝肉重量が大きくなるか否かを判別する判別工程と、を含む方法である。なお、アネキシンA5の野生型蛋白質、そのアイソフォーム及びそれらの修飾蛋白質の検出には二次元電気泳動や抗原抗体反応を利用する。

従来技術、競合技術の概要


現在、肉用牛、特に日本固有の肉用専門種である黒毛和種牛の育種改良は、これまで蓄積された表現型情報と血統情報に基づく統計遺伝学的解析を基盤として牛の遺伝的能力を推定する統計遺伝学的育種改良方法に基づいて行われている。そして、この育種改良方法の確立は、黒毛和種の遺伝的能力の向上に多大な貢献をしている。



ただ、この統計遺伝学的育種改良方法は、肉用牛集団で有する優良遺伝子型が後代の集団に受け継がれる確率を推定する方法であり、個々の肉用牛が有する脂肪交雑、枝肉重量、ロース芯面積、バラ厚などの経済形質に関する遺伝的情報を把握することはできなかった。



また、経済形質は遺伝的要因だけではなく環境の影響を受けることも多いため、遺伝的要因に基づいて優良な個体を厳格に選抜するのは困難であった。さらに、統計的遺伝学的方法に基づく育種改良方法は、牛の交配・肥育などプロセスを必要とするため、育種には多大なコストと時間が掛かっていた。



そこで、1980年代後半から、遺伝子を利用した育種方法、具体的には、肉用牛の経済形質などの量的形質に関与する遺伝子の数やそれらの連鎖地図上での位置を明らかにする量的形質遺伝子座(QTL)解析が行われている。この解析方法は、肉用牛の経済形質に関する責任遺伝子の同定に画期的な成果をもたらすものとして期待されており、ウシDNAマーカーを利用した育種方法の開発を目指した研究が進められている(非特許文献1及び2を参照。)。



ただ、これまでのところ、この方法はクローディン16欠損症など劣性遺伝病の原因遺伝子の同定には寄与しているものの、経済形質に関与する責任遺伝子を同定し、それを利用した肉用牛の育種改良法を確立するまでには至っていない。



また、最近、経済形質の表現型には、責任遺伝子だけでなく、その遺伝子の発現を調節する遺伝子、DNAのメチル化などのエピジェネティック修飾も関与しており、解析を行う際にはこれらについても考慮しなければならないと考えられている。さらに、QTL解析は、適当な交配親を選択するのが困難であり、家系育成というプロセスを必要とするため、育種には統計遺伝学的方法と同じように多大なコストと時間を必要とする。



一方、現在の生命科学全体の研究の流れは、ゲノム研究の次の段階の研究(ポストゲノム研究)、具体的には、トランスクリプトーム解析、プロテオーム解析、メタボローム解析などの解析手法を利用した研究に注目が集まっており、中でも、網羅的・系統的に蛋白質の機能やその関連性を分析するプロテオーム解析が注目され、研究開発が進められている。



この理由として、遺伝子の最終産物である蛋白質は、直接生理学的機能を発揮する分子であり、その発現量や分子修飾によって変化した蛋白質が、細胞・組織・個体レベルで生理機能に直接に関与していることが挙げられている。また、別の理由として、プロテオーム解析では、交配・飼育や家系育成などの時間とコストの掛かるプロセスを必要としないことが挙げられている。



プロテオーム解析は様々な分野で応用が広がっているが、特に、医学分野での研究が進んでいる。例えば、遺伝子の変異と病態との因果関係が少ない遺伝子疾患以外の疾患では、細胞内プロセスの蛋白質機能の変化が発症に直接の引き金となっていると考えられているため、プロテオーム解析により疾患で変化する蛋白質を捉えて、疾患の有無や病態を診断するためのバイオマーカーの同定と開発が活発に行われている(特許文献1~4及び非特許文献3を参照。)。



しかし、プロテオーム解析の畜産分野への応用は大変遅れており、肉用牛の経済形質に関与する蛋白質の同定や、これらの蛋白質を利用して有用な経済形質を有する牛の判別は現在に至るまでも行われていない。

産業上の利用分野


この発明は、枝肉重量などの経済形質が優れた牛を判別する牛の判別方法及びそれに使用する牛の判別用キットに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】(1)牛から体組織を採取する採取工程と、
(2)採取した体組織から全蛋白質を抽出する抽出工程と、
(3)抽出した全蛋白質中に含まれるアネキシンA5の野生型蛋白質、アネキシンA5の野生型蛋白質のアイソフォーム、アネキシンA5の野生型蛋白質又はそのアイソフォームの修飾蛋白質を検出する検出工程と、
(4)検出工程において、アネキシンA5蛋白質の野生型蛋白質、そのアイソフォーム、及びこれらに由来する修飾蛋白質の何れか一方だけが検出されたか、A5蛋白質の野生型蛋白質、そのアイソフォーム、及びこれらに由来する修飾蛋白質の両方が検出されたかに基づいて、体組織を採取した牛の平均枝肉重量が大きいか否かを判別する判別工程と、
を含む牛の判別方法。
【請求項2】 検出工程において、アネキシンA5の野生型蛋白質、アネキシンA5の野生型蛋白質のアイソフォーム、アネキシンA5の野生型蛋白質又はそのアイソフォームの修飾蛋白質を電気泳動により検出する請求項1に記載の牛の判別方法。
【請求項3】 検出工程において、アネキシンA5の野生型蛋白質、アネキシンA5の野生型蛋白質のアイソフォーム、アネキシンA5の野生型蛋白質又はそのアイソフォームの修飾蛋白質を抗原抗体反応により検出する請求項1に記載の牛の判別方法。
【請求項4】 アネキシンA5の野生型蛋白質及びその修飾蛋白質の何れかに特異的に結合する抗体と、
アネキシンA5の野生型蛋白質のアイソフォーム及びその修飾蛋白質の何れかに特異的に結合する抗体と、
を含む牛の判別用キット。
産業区分
  • 治療衛生
  • 食品
  • 有機化合物
  • 試験、検査
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2010507193thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、問合せボタンを押してください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close