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ヒト正常型c-Ha-ras遺伝子トランスジェニックラット 実績あり

国内特許コード P110004597
整理番号 A031P23
掲載日 2011年7月21日
出願番号 特願平11-046594
公開番号 特開平11-313575
登録番号 特許第3463061号
出願日 平成11年2月24日(1999.2.24)
公開日 平成11年11月16日(1999.11.16)
登録日 平成15年8月22日(2003.8.22)
優先権データ
  • 特願平10-062130 (1998.2.25) JP
発明者
  • 津田 洋幸
  • 朝元 誠人
  • 鳥山 弘靖
  • 落谷 孝広
  • 関谷 剛男
出願人
  • 国立研究開発法人科学技術振興機構
  • 独立行政法人国立がん研究センター
発明の名称 ヒト正常型c-Ha-ras遺伝子トランスジェニックラット 実績あり
発明の概要 【課題】 本発明は、ヒト正常型c-Ha-ras遺伝子(human c-Ha-rasproto-oncogene)をラットに導入して遺伝子導入ラットを提供するものである。
【解決手段】 本発明は、正常型ヒトc-Ha-ras遺伝子を導入したラット、及び、当該ラットを用いて、発がん性物質、発がんプロモーター、又は、がん予防・抑制物質をスクリーニングする方法に関する。
従来技術、競合技術の概要


c-Ha-rasはヒトのがん組織に種々の頻度で活性型が検出されている。正常型のヒトc-Ha-ras遺伝子導入マウスは、既に勝木らによってras-H2マウスとして作成されており、発がんと導入遺伝子の活性化との関係が検索され、現在発がん物質の短期間でのスクリーニング動物としての有用性が検討されている。しかし、このマウスで腫瘍の発生する臓器は、肺、皮膚、前胃などに限られており、他の消化器、泌尿器、生殖器、内分泌器などの多くの重要な臓器のがんの発生はなく、これらの臓器を標的とする発がん物質のスクリーニングを行うことは不可能であり、新たなモデル動物の作出が望まれていた。
一方、ラットにおいては、多くの臓器で発がんモデルが確立されており、前がん病変ならびに腫瘍性病変の生物学的特性やそれらの発生に対する修飾要因等についてマウスより多くの情報が得られている。さらに、ラットにおいては、マウスでは誘発することが困難な発がんモデルが多数開発されてきている。特に、肝発がんモデルでは、GST-P陽性巣が前がん病変マーカーとして有用であり、発がん物質ならびにがん予防物質の検索系に利用されている。また、ラットではN-メチル-N-ニトロソウレア(MNU)で誘発された乳がんに高率にHa-rasの点突然変異が生起していることが確認されてきている。この変異は、MNUにより誘発されたものと考えられていたが、最近正常乳腺内にこの変異が存在するとの報告もあり、ラット乳腺発がんにおけるMNU処置とHa-rasの点突然変異との関連は明らかではない。さらに、ラットではウイルスフリーでN-メチル-N-ニトロソ尿素(MNU)により乳腺がんを容易に誘発することができるが、マウスでは誘発が困難である。このように、モデルとしてのラットはマウスに比べて種々の利点を有しているが、腫瘍の研究のための遺伝子導入ラットは余り報告されていない。報告されている数少ない遺伝子導入ラットとしては、肝臓における前癌病変に関与するGST-P(Glutathione S-transferase placental form)の発現の研究のために、サルウイルス40T(simian virus 40T)抗原遺伝子にアルブミンプロモーターを縮合させた遺伝子を導入したラットや、ラットの肝臓がんの発症におけるGST-Pの転写制御の研究のためにクロランフェンコールアセチルトランスフェラーゼの遺伝子にGST-Pプロモーターを縮合させた遺伝子を導入したラットなどが知られている。
ヒト正常型c-Ha-ras遺伝子を受精卵に導入した動物において、特にラットで発がん感受性試験を行う利点として、次の点が挙げられる。ラットでは前述のように肝発がんにおいて、前がん病変マーカーとしてGST-P陽性細胞巣を利用できる点である。乳腺発がんにおいては、ウイルスフリーの乳腺発がん実験が行え、MNUによるc-Ha-rasの点突然変異の解析が可能である。また、乳腺発がんにおけるホルモンの関与についての解析をすることも可能である。さらに、膀胱発がんについては、ラットではN-ブチル-N-(4-ヒドロキシブチル)ニトロサミン(BBN)による表在性膀胱腫瘍のモデルが存在するので、この解析を行うことができる。食道発がんにおいては食物の直接の影響を解析できる。このように、ヒト正常型c-Ha-ras遺伝子を受精卵に導入したラットでは、従来の遺伝子導入マウスではできなかった多くのがんに対する発がん物質のスクリーニングや、発がんプロモーター及びがん予防・抑制物質のスクリーニングが可能となるのみならず、多種のがんの発がん機構の解析も可能となるなどの多くの利点を有し、本遺伝子導入ラットの作成が望まれていた。
本発明者らは、ヒト正常型c-Ha-ras遺伝子(human c-Ha-ras proto-oncogene)を導入したマウスを生成させるときに用いた遺伝子と同じ遺伝子を用いて、これをラット受精卵に導入して遺伝子導入ラットを生成させた。この遺伝子は、蛋白質をコードする領域において変異しておらず、NIH3T3細胞の形質転換活性を有さないものであった。この遺伝子導入ラット(Hras128ラット)の乳腺がん誘発特性を確認するために、このラットをMNUで処理した。MNUの投与を開始して8週後に、全てのこのラットにおいて、多発性の大きな乳腺がんの発症がみられた。遺伝子の変異を解析したところ、野生型ラットにおいては内在性遺伝子に変異が観察されたのに対して、遺伝子導入ラットにおいては、がん誘発性の強化に重要な役割を果たしていなかった。
本発明は、正常型ヒトc-Ha-ras遺伝子を受精卵に導入したラットに関する。また、本発明は、当該ラットを用いて、発がん性物質、発がんプロモーター、又は、がん予防・抑制物質をスクリーニングする方法に関する。
本発明で使用される正常型ヒトc-Ha-ras遺伝子は、本発明者らが開発した公知の方法で作成することができる(関谷ら、ジャパニーズ ジャーナルオブ キャンサー リサーチ、第76巻、第851-855頁(Sekiya, T., etal., Jpn. J. Cancer Res., 76, 851-855))。図1の上段に、導入されるヒト正常型c-Ha-ras遺伝子の構造を示す。6.9kbの長さの遺伝子である。図中の右端のB及びSは、それぞれ制限酵素Bam HI及びSacIの位置を示している。また、黒星印は最後のイントロン内における点突然変異の位置を示している。

産業上の利用分野


本発明は、ヒト正常型c-Ha-ras遺伝子を受精卵に導入したラット、並びに、当該ラットを用いて発がん性物質、発がんプロモーター、及び、がん予防・抑制物質をスクリーニングする方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
ヒト正常型c-Ha-ras遺伝子(human c-Ha-ras proto-oncogene)をSDラットの受精卵に導入して作出された、当該遺伝子が3コピー導入されたMNU誘発乳腺がんに高感受性のトランスジェニックラット。

【請求項2】
請求項1に記載のラットを用いて、MNU投与により短期間で高頻度に乳腺がんを発生させる方法。

【請求項3】
請求項1に記載のラットを用いて、発がん性物質、発がんプロモーター、又は、がん予防・抑制物質をスクリーニングする方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録
参考情報 (研究プロジェクト等) CREST 生体防御のメカニズム 領域
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