TOP > 国内特許検索 > レドックス活性重合物およびそれを用いた電極

レドックス活性重合物およびそれを用いた電極 実績あり

国内特許コード P110004632
整理番号 Y99-P075
掲載日 2011年7月25日
出願番号 特願平11-248086
公開番号 特開2001-072865
登録番号 特許第3969906号
出願日 平成11年9月1日(1999.9.1)
公開日 平成13年3月21日(2001.3.21)
登録日 平成19年6月15日(2007.6.15)
発明者
  • 三谷 忠興
  • 岩佐 義宏
  • 上町 裕史
出願人
  • 独立行政法人科学技術振興機構
発明の名称 レドックス活性重合物およびそれを用いた電極 実績あり
発明の概要 この発明は、酸化還元反応が可逆的に行われるレドックス活性重合物及びこの重合物を電極材料として用いた電極に関する。特に、電池の電極に使用した場合に、室温においても適切な充放電反応が行われ、大きな電流での充放電が可能になると共に、高容量で高エネルギー密度の電池が得られるようにすることを課題とする。
本願発明者は、ポリマー主鎖に1、3-ジチオケトとジアミンを導入した重合反応物を開発して、この課題を解決した。この発明は、2以上のチオウレア基を有する芳香族化合物又は複素環式化合物と2以上のイソチオシアナート基を有する芳香族化合物又は複素環式化合物が重合されてなるレドックス活性重合物である。また、還元形が次の式1で表され、酸化形が式2で表される構造を有するレドックス活性重合物である。
式1【化6】(式中、nは、2以上の整数であり、ベンゼン環に置換基R;低級アルキル基、アミノ基、ハロゲン基、水酸基、スルフオン基が結合されていてもよい。)
式2【化7】(式中nは、2以上の整数であり、ベンゼン環に置換基R;低級アルキル基、アミノ基、ハロゲン基、水酸基、スルフオン基が結合されていてもよい。)
このレドックス活性重合物は、従来の有機硫黄化合物で課題となっていた容量劣化や反応速度の本質的な改善をもたらすことができた。つまり、還元時にS-S結合が開裂しても、従来の有機硫黄化合物のようにポリマー主鎖が分解し低分子化するわけではなく、硫黄はチオール乃至チオケトの形で側鎖として残るので、電解質溶液への溶解拡散に伴う容量劣化などがない。また、通常の無機化合物のような結晶構造の崩壊にともなう容量劣化もない。
従来技術、競合技術の概要
近年、高出力、高エネルギー密度の新型電池として、リチウムの酸化、還元を利用した高起電力のリチウム二次電池が利用されるようになった。このようなリチウム二次電池においては、その正極材料として、コバルト,ニッケル,マンガン,鉄,バナジウム,ニオブ等の金属酸化物が一般に使用される。
【0003】
しかし、このような金属酸化物を正極材料に用いた場合、その重量が大きくなると共にそのコストも高くつき、また反応電子数が少なく、単位重量当たりにおける容量が必ずしも十分であるとはいえず、高容量で高エネルギー密度のリチウム二次電池を得ることが困難であった。
【0004】
一方、最近においては、導電性高分子を電気化学素子として用い、これを軽量で高エネルギー密度の電池用電極材料や、大面積のエレクトロクロミック素子や、微小電極を用いた生物化学センサーに利用することが検討され、従来、ポリアニリン,ポリピロール,ポリアセン,ポリチオフェン等の導電性高分子を電池の電極に使用することが研究されてきた。
【0005】
米国特許第4,833,048号明細書には、高容量で高エネルギー密度が得られる高分子として、有機硫黄化合物を正極材料として使用することが開示されている。これは、有機ジスルフィド化合物のS-S結合を電解還元により切断して有機チオレートを形成し、有機ジスルフィドを有機チオレートの電解酸化により再形成するという可逆的な電極材料である。
【0006】
有機硫黄化合物は、硫黄の酸化還元反応を利用して充放電を行うものであり、正極材料に使用して、高エネルギー密度のリチウム二次電池を得ることが検討されている。しかし、有機硫黄化合物の場合、室温下での使用においては、酸化還元反応が遅くて、単独では大きな電流を取り出すことは困難で、充放電電流が小さくなり、絶縁体であり、室温では反応速度が小さく、100℃以上の高温での使用に限られる等の問題があった。また、還元時(放電時)に低分子状態であるため、電極外に溶解拡散してしまい、電極反応の効率劣化をもたらす。
【0007】
有機硫黄化合物のこのような問題を解決する方法として、導電性高分子を組み合わせることが、特開平4-264363号公報、特開平4-272659号公報、特開平4-359866号公報、特開平5-6708号公報、特開平5-82133号公報、特開平5-135767号公報、特開平5-135768号公報、特開平5-135769号公報、米国特許第5,324,599号明細書等に開示されている。
【0008】
特開平6-231752号公報は、ジスルフィド系化合物のうち、特に、4,5ジアミノ-2,6-ジメルカプトピリミジンとπ電子共有系導電性高分子と複合した電極を、特開平7-57723号公報は、特に、7-メチル-2,6,8-トリメルカプトプリンとπ電子共有系導電性高分子と複合した電極を開示している。
【0009】
また、特開平5-74459号公報は、ジスルフィド基を有する導電性高分子を有する電極材料を、特開平5-314979号公報は、芳香族系炭素原子に硫黄原子を導入した有機硫黄芳香族系化合物からなる電極材料を、特開平6-283175号公報は、2,5-ジメルカプト1,3,4-チアジアゾール(DMcT)もしくはチオシアヌル酸の単独重合体または両者の共重合体からなる電極材料を開示している。
【0010】
さらに、特に、有機ジスルフィドの酸化還元速度を加速する役目を果たす導電性ポリマーであるポリアニリンとの複合体を用いた電極については、特開平8-213021号公報、特開平8-222207号公報、特開平9-82329号公報、特開平9-106820号公報、特開平10-27615号公報に開示されており、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール(DMcT)とポリアニリンとを複合化させることにより、有機硫黄化合物を常温で作動する二次電池の正極材料として用いることが可能であることが示されている(「現代化学」1996年10月,第34~41頁)。
【0011】
しかし、この複合体においては、化学結合を伴うような化合物が新しくできるわけではないので、容量劣化を完全に抑えることはできない。また、電極内でもポリアニリンとDMcTの分離がおこり、電子の移動が阻まれ、電極反応速度が低下する可能性がある。
【0012】
その他、有機ジスルフィド電極のサイクル特性を向上させるために、有機ジスルフィドの金属錯体を使用すること(米国特許第5,516,598号明細書、米国特許第5,665,492号明細書、特開平9-259864号公報、特開平9-259865公報、特開平10-241661号公報、特開平10-241662号公報)や、電解酸化によりS-S結合を生成するS-Liイオン結合を有するリチウムチオレート化合物と導電性高分子との混合物よりなる正極を使用すること(特開平5-314964号公報)なども知られている。
産業上の利用分野
本発明は、酸化還元反応が可逆的に行われるレドックス活性重合物及びこの重合物を電極材料として用いた電極に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】 還元状態の一般式が式1で表され、酸化状態の一般式が式2で表される構造を有することを特徴とするレドックス活性重合物。
【化学式1】
式中において、nは、2以上の整数であり、ベンゼン環に置換基R;低級アルキル基、アミノ基、ハロゲン基、水酸基、スルフオン基が結合されていてもよい。
【化学式2】
式中において、nは、2以上の整数であり、ベンゼン環に置換基R;低級アルキル基、アミノ基、ハロゲン基、水酸基、スルフオン基が結合されていてもよい。
【請求項2】 N,N´-1,4-フェニレンビスチオウレアとフェニレン-1,4- ジイソチオシアネートが重合されてなることを特徴とする式3で表される構造を有することを特徴とするレドックス活性重合物。
【化学式3】
式中において、nは、2以上の整数である。
【請求項3】2以上のS-アルキル化チオウレア基を有する芳香族化合物又は複素環式化合物と2以上のイソチオシアナート基を有する芳香族化合物又は複素環式化合物が重合されてなることを特徴とする式4で表される構造を有することを特徴とするレドックス活性重合物。
【化学式4】
式中において、nは、2以上の整数であり、R1は、アルキル基であり、ベンゼン環に置換基R2,R3が結合されていてもよい。R2,R3は、低級アルキル基、アミノ基、ハロゲン基、水酸基、スルフオン基、R1は、保護基として導入するアルキル基である。
【請求項4】 N,N´-1,4-フェニレンビスチオウレア-S,S´-ベンジルエーテルとフェニレン-1,4-ジイソチオシアネートが重合されてなることを特徴とする式5で表される構造を有することを特徴とするレドックス活性重合物。
【化学式5】
式中において、nは、2以上の整数である。
【請求項5】 請求項1~の何れか1項に記載したレドックス活性重合物を電極材料とすることを特徴とする電極。
【請求項6】 リチウム二次電池用正極であることを特徴とする請求項記載の電極。
産業区分
  • 高分子化合物
  • その他電子
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 権利存続中
ライセンスをご希望の方、特許の内容に興味を持たれた方は、問合せボタンを押してください。


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close