TOP > 国内特許検索 > 外来DNA断片由来の逆方向反復配列を含むDNA断片の調製方法及びDNA型RNAiライブラリの調製方法

外来DNA断片由来の逆方向反復配列を含むDNA断片の調製方法及びDNA型RNAiライブラリの調製方法

国内特許コード P110004671
掲載日 2011年8月2日
出願番号 特願2009-287565
公開番号 特開2011-125278
登録番号 特許第5665110号
出願日 平成21年12月18日(2009.12.18)
公開日 平成23年6月30日(2011.6.30)
登録日 平成26年12月19日(2014.12.19)
発明者
  • 田中 博光
  • 冨本 和也
出願人
  • 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
発明の名称 外来DNA断片由来の逆方向反復配列を含むDNA断片の調製方法及びDNA型RNAiライブラリの調製方法
発明の概要 【課題】種々の長さと配列を有する長鎖cDNAについて、一本の試験管内で同時的に高い形成率で逆方向反復配列を形成させることがでる方法、この方法を利用したDNA型RNAiライブラリの調製方法、このライブラリの利用方法を提供する。
【解決手段】標的遺伝子DR構造を有するプラスミドの調製方法。
(1)1つの標的遺伝子を有するプラスミド(プラスミドS:標的遺伝子の両側にニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位を有し、各ニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位の標的遺伝子側に、DR構造が形成された時に、その間のスペーサー領域に制限酵素認識部位が生成されるための制限酵素認識部位生成用部位を有する)を調製する工程、
(2)プラスミドSにニックを生じさせる工程、
(3)ニックを生じたプラスミドSに鎖置換反応及び引き続き行われるセルフライゲーション反応により、DR構造に変換した標的遺伝子を有するプラスミド(制限酵素認識部位生成用部位によって、2つの制限酵素認識部位が新たに形成される)を調製する工程、
(4)標的遺伝子DR構造を有するプラスミドを含むプラスミド群を、宿主に導入し、得られた形質転換体を用いてクローニングする工程、
(5)クローニングしたプラスミド群を新たに形成された2つの制限酵素認識部位に対する2つの制限酵素で消化する工程、および
(6)消化したプラスミド群から、制限酵素で消化されて直鎖状になったプラスミドを回収する工程、
を含む。
【選択図】なし
従来技術、競合技術の概要


近年、RNAi(RNA interference;RNA干渉)ライブラリを用いて機能的かつ網羅的に免疫反応などの生物の生命現象に関わる因子のスクリーニングが実施されている。RNAiライブラリを調製する方法としては、これまでに直接合成型RNAiライブラリ調製法とDNA型RNAiライブラリ調製法の二つのアプローチが試みられてきた。



直接合成型RNAiライブラリ調製法は、RNAiの標的遺伝子の塩基配列情報に基づいて、DNA/RNAシンセサイザーなどを利用して二本鎖RNAを合成することにより、RNAiライブラリを構築する方法である。本法によれば、種々の長さを持つ二本鎖RNAからなるRNAiライブラリを調製することができる。しかし、本法は、ゲノム配列が明らかになった一部の生物にしか利用できず、かつ作業性及び経済性の面から大規模なライブラリを調製することが困難であるなどの問題点がある。



DNA型RNAiライブラリは、種々の標的遺伝子の逆方向反復配列(inverted repeat;IR)を含む核酸を含有する組換えベクターから構成される。標的遺伝子の逆方向反復配列を含む組換えプラスミドが標的遺伝子を発現する宿主細胞に導入されると、上記逆方向反復配列の情報に基づいて細胞内にステムループRNAが産生され、その後スプライシングされた二本鎖RNAによるRNAi効果により標的遺伝子はノックダウンされる。



DNA型RNAiを簡便に調製する方法として、Gateway法が知られている(非特許文献1)。Gateway法を利用すれば、ある特定の核酸の塩基配列に基づいて特定の逆方向反復配列を持つ核酸を調製することができる。また、初めにDNA断片を発現プラスミドに挿入し、引き続きこのDNAと逆方向となるようなDNA断片を、初めに挿入されたDNA断片の上流または下流に挿入することでも調製できる(two-step法)。しかし、これらの手法では種々の核酸の塩基配列から同一調製条件下(例えば、一つの試験管内)で1回又は数回で逆方向反復配列を持つ核酸を同時的に調製することはできない。したがって、Gateway法あるいはtwo-step法を用いてRNAiライブラリを調製することは非常に困難とされている。



そこで、これら手法を用いない、DNA型RNAiを調製する方法として種々の方法がこれまでに試みられてきた(特許文献1及び2、非特許文献2)。



特許文献1に記載の方法によれば、組換えベクターに挿入した100塩基対以上の外来DNA断片の塩基配列を逆方向反復配列に変換できる。しかし、本法は、プラスミドDNAを一本鎖に調製しなければならず、さらにループ部分、外来DNA断片及びレプリコン部分の間でライゲーション反応をしなければならない。プラスミドDNAの一本鎖は不安定であり、容易に高次構造をとり得る。異なる三つの断片のライゲーション反応は、各断片の末端部の接近効率が悪いことから、反応効率の低い反応である。これらの理由によって、本発明者らは、本法を利用してDNA型RNAiライブラリを調製することは技術的に困難であると考えた。



特許文献2及び非特許文献2に記載の方法によれば、逆方向反復配列部分が20塩基対程度の短鎖DNA型RNAiライブラリを構築することができる。しかし、本法は、単離したDNA断片を逆方向反復配列に変換しこれを発現ベクターに挿入する方法であり、短鎖では可能でも長鎖の逆方向反復配列をもつDNAを発現ベクターに組み込ませることは困難であることから、長鎖DNA型RNAiライブラリの調製は困難である。

産業上の利用分野


本発明は、外来DNA断片由来の逆方向反復配列を含むDNA断片の調製方法に関する。さらに本発明は、上記DNA断片の調製方法に利用できる方法及び材料に関する。加えて本発明は、上記調製方法で調製されたDNA断片から、DNA型RNAiライブラリを調製する方法にも関する。このライブラリを細胞に導入して標的遺伝子に対するRNAiを細胞内で産生させて標的遺伝子をノックダウンした細胞を得る方法、このライブラリを利用して標的遺伝子に対してRNAi効果を有する逆方向反復配列を判定する方法、及びRNAi効果を有する逆方向反復配列をスクリーニングする方法も本発明には含まれる。

特許請求の範囲 【請求項1】
標的遺伝子ダイレクトリピート(以下、DRと表記する)構造を有するプラスミドの調製方法であって、
(1)1つの標的遺伝子を有するプラスミド(プラスミドSと呼ぶ)を調製する工程、
但し、前記プラスミドSは、標的遺伝子の両側のそれぞれにニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位を有し、かつ各ニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位の標的遺伝子側に、DR構造が形成された時に、その間のスペーサー領域に制限酵素認識部位が生成されるための一部配列(制限酵素認識部位生成用部位)を有する、
(2)前記プラスミドSにニックを生じさせる工程、
(3)ニックを生じたプラスミドSに鎖置換反応及び引き続き行われるセルフライゲーション反応により、DR構造に変換した標的遺伝子を有するプラスミドを調製する工程、
但し、調製した標的遺伝子DR構造を有するプラスミドには、前記制限酵素認識部位生成用部位によって、2つの制限酵素認識部位が新たに形成される、
(4)標的遺伝子DR構造を有するプラスミドを含むプラスミド群を、宿主に導入し、得られた形質転換体を用いてクローニングする工程、
(5)クローニングしたプラスミド群を前記新たに形成された2つの制限酵素認識部位に対する2つの制限酵素で消化する工程、及び
(6)消化したプラスミド群から、制限酵素で消化されて直鎖状になったプラスミドを回収する工程、
を含む、標的遺伝子DR構造を有するプラスミドの調製方法。

【請求項2】
(7)工程(6)で回収された直鎖状になったプラスミドにDNA断片を挿入して環状のプラスミドを得る工程をさらに含み、
上記挿入するDNA断片は、前記新たに形成された2つの制限酵素認識部位をこれらに対応する制限酵素で切断した際に生成される突出末端の塩基配列に相補的な塩基配列を有する突出末端が生成される制限酵素認識部位を両側に有する、請求項1に記載の方法。

【請求項3】
工程(3)において新たに形成される2つの制限酵素部位がNotI及びBgII、NotI及びBstAPI、FseI及びBsu36I、FseI及びEcoNI、AscI及びPflMI、又はAscI及びBccIである請求項1又は2に記載の方法。

【請求項4】
上流からプロモーター及びターミネーター領域に挟まれ領域に、プロモーター側からlox66配列、P部位(但し、P部位とは、この配列を認識する制限酵素の消化により3塩基又は4塩基の突出末端を生じかつ、この末端の配列が非パリンドローム配列となる部位である。)第1のニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位、第1のN部位((但し、N部位とはこの配列を認識する制限酵素の消化によりNNN又はNNNNの突出末端を生じる部位を意味する(Nは同一のいずれかの塩基である))、第2のN部位及び第2のニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位をこの順に含み、
第1のニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位及び第1のN部位の間、並びに第2のN部位及び第2のニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位の間に、ニッキング反応及び鎖置換反応、及び引き続き行われるセルフライゲーションによって、2つの制限酵素部位が新たに形成される配列をそれぞれさらに含む、遺伝子挿入用プラスミド。

【請求項5】
P部位がBstXI認識部位、AlwNI認識部位, BglI認識部位, BstAPI認識部位, PflMI認識部位, SfiI認識部位, DraIII認識部位, EarI認識部位,BsmBI認識部位,又はBsmFI認識部位である請求項に記載のプラスミド。

【請求項6】
ニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位がNt.BspQI 認識部位である請求項又はに記載のプラスミド。

【請求項7】
N部位がDraIII認識部位である請求項のいずれかに記載のプラスミド。

【請求項8】
第1のニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位及び第1のN部位の間の配列が5~15bpであり、第2のN部位及び第2のニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位の間の配列が5~15bpである、請求項のいずれかに記載のプラスミド。

【請求項9】
ニッキング及び鎖置換反応によるセルフライゲーションによって新たに形成される2つの制限酵素部位がNotI及びBgII、NotI及びBstAPI、FseI及びBsu36I、FseI及びEcoNI、AscI及びPflMI、又はAscI及びBccIである請求項のいずれかに記載のプラスミド。

【請求項10】
標的遺伝子逆方向反復配列(以下、IRと表記する)構造を有するプラスミドの調製方法であって、
(1)1つの標的遺伝子を有するプラスミドであって、標的遺伝子の両側のそれぞれにニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位を有し、かつ各ニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位の標的遺伝子側に、DR構造が形成されたときに、その間のスペーサー領域に制限酵素認識部位が生成されるための一部配列(制限酵素認識部位生成用部位)を有し、標的遺伝子の上流側のニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位の上流側にlox66配列を含むプラスミドを調製する工程、
(2)前記プラスミドにニックを生じさせる工程、
(3)ニックを生じたプラスミドに鎖置換反応及び引き続き行われるセルフライゲーション反応により、DR構造に変換した標的遺伝子を有するプラスミドを調製する工程、
但し、調製した標的遺伝子DR構造を有するプラスミドには、前記制限酵素認識部位生成用部位によって、2つの制限酵素認識部位が新たに形成される、
(4)標的遺伝子DR構造を有するプラスミドを含むプラスミド群を、宿主に導入し、得られた形質転換体を用いてクローニングする工程、
(5)クローニングしたプラスミド群を前記新たに形成された2つの制限酵素認識部位に対する2つの制限酵素で消化する工程、
(6)消化したプラスミド群から、制限酵素で消化されて直鎖状になったプラスミドを回収する工程、
(7)工程(6)で回収された直鎖状になったプラスミドにlox71配列を含むDNA断片を挿入して環状のプラスミドを得る工程、及び
(8)工程(7)で得られた環状のプラスミドにCreリコンビナーゼを作用させてIR構造を有するプラスミドを調製する工程、
を含む、標的遺伝子IR構造を有するプラスミドの調製方法。

【請求項11】
標的遺伝子IR構造を有するプラスミドの調製方法であって、
(1)1つの標的遺伝子を有するプラスミドであって、標的遺伝子の両側のそれぞれにニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位を有し、かつ各ニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位の標的遺伝子側に、DR構造が形成されたときに、その間のスペーサー領域に制限酵素認識部位が生成されるための一部配列(制限酵素認識部位生成用部位)を有し、標的遺伝子の上流側のニッキングエンドヌクレアーゼ認識部位の上流側にlox66配列及びP部位をこの順に含むプラスミドを調製する工程、但し、P部位は、この配列を認識する制限酵素の消化により3塩基又は4塩基の突出末端を生じかつ、この末端の配列が非パリンドローム配列となる部位であり、P部位を認識し、このような突出末端を生じさせる制限酵素をP型制限酵素と定義する、
(2)前記プラスミドにニックを生じさせる工程、
(3)ニックを生じたプラスミドに鎖置換反応及び引き続き行われるセルフライゲーション反応により、DR構造に変換した標的遺伝子を有するプラスミドを調製する工程、
但し、調製した標的遺伝子DR構造を有するプラスミドには、前記制限酵素認識部位生成用部位によって、2つの制限酵素認識部位が新たに形成される、
(4)標的遺伝子DR構造を有するプラスミドを含むプラスミド群を、宿主に導入し、得られた形質転換体を用いてクローニングする工程、
(5)クローニングしたプラスミド群を前記新たに形成された2つの制限酵素認識部位に対する2つの制限酵素で消化する工程、
(6)消化したプラスミド群から、制限酵素で消化されて直鎖状になったプラスミドを回収する工程、
(7)工程(6)で回収された直鎖状になったプラスミドに、lox71配列及びP部位をこの順に含み、かつ一方の側に、前記新たに形成された2つの制限酵素認識部位の一方の制限酵素認識部位を有し、他方の側に、前記新たに形成された2つの制限酵素認識部位の他方の制限酵素認識部位を有するDNA断片を挿入して環状のプラスミドを得る工程、
(8)工程(7)で得られた環状のプラスミドにCreリコンビナーゼを作用させてIR構造を有するプラスミドを調製する工程、
(9)工程(8)で得られたIR構造を有するプラスミドをP型制限酵素で消化する工程、及び
(10)工程(9)で消化したプラスミドをセルフライゲーションする工程
を含む、標的遺伝子IR構造を有するプラスミドの調製方法。

【請求項12】
(11)工程(10)においてセルフライゲーションしたプラスミドを含むプラスミド群を、宿主に導入し、得られた形質転換体を用いてクローニングして標的遺伝子IR構造を有するプラスミドを得る工程、
をさらに含む、請求項11に記載の方法。

【請求項13】
P型制限酵素が、BstXI、AlwNI, BglI, BstAPI, PflMI, SfiI, DraIII, BstXI、EarI,BsmBI, 又はBsmFIである請求項11又は12に記載の方法。

【請求項14】
工程(7)と(8)の間に以下の工程(7-2)と(7-3)をさらに含む、請求項1113のいずれかに記載の方法。
(7-2)工程(7)で得られた環状のプラスミドをBglIで消化する工程、
(7-3)工程(7-2)で消化したプラスミドを含むプラスミド群を宿主に導入し、得られた形質転換体を用いてクローニングしてlox71配列が導入されたプラスミドを得る工程

【請求項15】
請求項1114のいずれかに記載の方法で調製した標的遺伝子IR構造を有するプラスミドを培養細胞にトランスフェクションして培養細胞をノックダウンする方法。

【請求項16】
培養細胞は、昆虫、植物、又は酵母由来である請求項15に記載の方法。

【請求項17】
前記プラスミドは、以下のスペーサー配列を介してcDNAがIR構造を形成する請求項15又は16に記載の方法。
【化1】



【請求項18】
前記プラスミドは、IE1プロモーター下に前記IR構造を有する請求項15~17のいずれかに記載の方法。

【請求項19】
請求項1114のいずれかに記載の方法で調製した標的遺伝子IR構造を有するプラスミドを用いてホスト因子をスクリーニングする方法(ヒト個体での実施を除く。)。

【請求項20】
請求項1114のいずれかに記載の方法で調製した標的遺伝子IR構造を有するプラスミドを用いて標的遺伝子に対してRNAi効果を有する逆方向反復配列を判定する方法(ヒト個体での実施を除く。)。
国際特許分類(IPC)
Fターム
出願権利状態 登録


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close