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RNA型非天然ヌクレオシド誘導体を調製するための中間体化合物の製造方法

国内特許コード P110004721
整理番号 S2010-0194-N0
掲載日 2011年8月16日
出願番号 特願2010-017182
公開番号 特開2011-153111
登録番号 特許第5594722号
出願日 平成22年1月28日(2010.1.28)
公開日 平成23年8月11日(2011.8.11)
登録日 平成26年8月15日(2014.8.15)
発明者
  • 磯部 寛之
出願人
  • 国立大学法人東北大学
発明の名称 RNA型非天然ヌクレオシド誘導体を調製するための中間体化合物の製造方法
発明の概要 【課題】 高収率、高純度のRNA型非天然ヌクレオシド誘導体を低コストで製造するために好適な中間体化合物を製造するための方法を提供する。
【解決手段】 式(IA):



[式中、
Xは、それぞれ独立して、ピリミジン塩基及びプリン塩基から選択され;
R1は、ヒドロキシル又はその保護形態であり;
R3は、エチニル又はその保護形態である]
で表される化合物の製造方法であって、
D-キシロースを出発原料として、D-キシロースの3α-ヒドロキシルを3β-アジド化し、5-ヒドロキシルをエチニル化し、且つ1-位にピリミジン塩基又はプリン塩基を結合させることを含む、前記方法。
【選択図】 なし
従来技術、競合技術の概要



核酸は、遺伝情報の蓄積及び伝達を担う重要な生体高分子である。天然に存在する核酸は、リン酸ジエステルにより連結したフラノース骨格上に核酸塩基を配し、その配列により遺伝情報が記述される。核酸塩基の配列は、遺伝情報の記述のみならず、リボザイムなどにみられるような核酸の機能発現に重要な役割を果たしている。最近、ヒトの全塩基配列が解読され、この情報をもとに遺伝子療法が発展するものと期待されている。遺伝子療法として発展が期待されるいくつかの手法のうち、アンチセンス法及びアンチジーン法は、遺伝子の複写及び転写経路を阻害するものである。この手法では、特定の核酸塩基配列に対して、高選択的且つ高効率的に結合する配列認識能を有する分子が必要となる。これらの治療法開発においては、当初、天然型核酸を利用した試みが行われてきたが、主に以下の3つの点で問題があった。すなわち、1)標的塩基配列に対する結合力の弱さ、2)標的塩基配列に結合した後の複合体の、酵素などの生体物質に対する安定性、3)細胞内に移行してさらに標的塩基配列に到達するため生体膜透過性の問題である。特に、細胞内の核酸分解酵素による分解が大きな問題であった。





現在では、アンチセンス分子として、非天然型骨格上に核酸塩基を配置した人工核酸を用いて検討が行われている。これまで知られているアンチセンス分子としては、1)リン酸ジエステル部位を修飾した人工核酸、2)フラノース部位のグリコシル結合やヒドロキシル基を修飾した人工核酸、3)核酸塩基部位を修飾した人工核酸、及び4)糖・リン酸骨格以外の構造を利用した人工核酸などがあり、具体的には以下のようなものが知られている。1)リン酸部位の酸素原子を硫黄原子で置換したホスホロチオエート型やホスホロジチオエート型、ホスホロジアミデート型、メチルホスホネート型、メチルホスホノチオエート型の人工核酸、2)フラノース環上の置換基修飾型、糖環骨格が1炭素増炭したピラノース型、多環式糖骨格型の人工核酸、3)塩基間スタッキングの強化や核酸鎖間静電反発の抑制を行う修飾塩基としてピリミジンC-5位修飾塩基型、プリンC-7位修飾塩基型、環拡張修飾塩基型の人工核酸、及び4)ペプチド鎖を基礎骨格としたペプチド核酸(PNA)などである(例えば、非特許文献1及び2、特許文献1~3)。





これらの人工核酸のうち、PNAは、中性のペプチド鎖を骨格に利用するため特異的塩基配列に対する結合力が高く、さらに加水分解酵素に対する安定性も高いなど多くの利点を有している。さらにその合成に既存のオリゴペプチド合成手法が利用出来るため固相上で簡便に製造でき、もっとも注目されている人工核酸となっている。しかし、疎水的な骨格を利用するために溶解性が低いなどの短所も報告されている。また合成的にもペプチド鎖の伸長、核酸塩基をもつペプチド鎖の導入と多工程を要し、またこれらの工程に関わる置換基の保護・脱保護の工程が必要であり、合成が簡便であるとはいえない。





これに対し、本発明者らは、核酸のリン酸ジエステル結合に代えて、1,2,3-トリアゾール環を介する結合を有する新規非天然ヌクレオシド誘導体を開発した(特許文献4)。この非天然ヌクレオシド誘導体は、1,2,3-トリアゾール環を介する結合を主骨格とするため、生体内で分解され難く、且つ相補鎖に対する結合力が高いという利点を有する。さらに、合成反応における鎖長伸長段階に、3-位アジドと5-位エチニルの付加環化反応を採用しているため、簡便な反応条件で鎖長伸長が可能であるという利点も有する(非特許文献3~6)。





上記の非天然ヌクレオシド誘導体のうち、RNA型非天然ヌクレオシド誘導体は、下記の一般式:

【化1】




[式中、

「塩基」は、それぞれ独立して、ピリミジン塩基及びプリン塩基から選択され;

mは、1~500の整数である]

で表される。





特許文献4に記載の方法では、式(1)で表されるRNA型非天然ヌクレオシド誘導体は、以下のスキームにしたがって製造される。





【化2】








まず、式(2)で表される1-位に塩基を有するリボヌクレオシドを出発原料とし、式(3)、(4)及び(5)で表されるリボヌクレオシド誘導体をそれぞれ調製し、式(3)で表される化合物の保護誘導体を5’-末端側の伸長始点として、これに複数の式(4)で表される化合物の保護誘導体を順次付加環化反応させ、最後に3’-末端側を形成するために、式(5)で表される化合物を付加環化反応させることにより、各リボヌクレオシドが1,2,3-トリアゾール環を介して互いに結合された、RNA型非天然ヌクレオシド誘導体を製造することが出来る。或いは、式(5)で表される化合物を3’-末端側の伸長始点として、これに複数の式(4)で表される化合物を順次付加環化反応させ、最後に5’-末端側を形成するために、式(3)で表される化合物を付加環化反応させることによっても製造することが出来る。





式(1)において、各リボヌクレオシドを連結する1,2,3-トリアゾール環は無電荷である。このため、上記の式(1)で表されるRNA型非天然ヌクレオシド誘導体は、負電荷を有するリン酸ジエステル結合を主骨格とする天然型核酸と比較して静電相互作用が低くなるため、相補鎖に対する結合力が高くなる。





加えて、1,2,3-トリアゾール環を介した結合は、リン酸ジエステル結合と異なり核酸加水分解酵素によって分解されない。それ故、上記の式で表されるRNA型非天然ヌクレオシド誘導体は、生体内においてより安定に存在することが出来る。





上記のような特徴から、上記の一般式で表されるRNA型非天然ヌクレオシド誘導体は、PCRプライマー、アンチセンス分子、RNA干渉分子のような生命科学分野における機能性材料としてだけでなく、医薬、農薬及び植物生長調節剤の有効成分としても有用である。

産業上の利用分野



本発明は、RNA型非天然ヌクレオシド誘導体を調製するための中間体化合物の製造方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
式(IA):
【化1】


[式中、
Xは、それぞれ独立して、ピリミジン塩基及びプリン塩基から選択され;
R1は、ヒドロキシル又はその保護形態であり;
R3は、エチニル又はその保護形態である]
で表される化合物の製造方法であって、
D-キシロースを出発原料として、D-キシロースの3α-ヒドロキシルを3β-アジド化し、5-ヒドロキシルをエチニル化し、且つ3β-アジド化及びエチニル化を行った後、2-ヒドロキシル基が保護化された中間体に、ピリミジン塩基又はプリン塩基に対するグリコシル化反応を用いてピリミジン塩基又はプリン塩基を導入することにより1-位にピリミジン塩基又はプリン塩基を結合させることを含む、前記方法。

【請求項2】
式(IB):
【化2】


[式中、
Xは、それぞれ独立して、ピリミジン塩基及びプリン塩基から選択され;
R1は、ヒドロキシル又はその保護形態であり;
R2は、ヒドロキシル、又はその保護形態若しくは固定化形態であり;
R3は、エチニル又はその保護形態である]
で表される化合物の製造方法であって、
D-キシロースを出発原料として、D-キシロースの3α-ヒドロキシルを3β-ヒドロキシル化し、5-ヒドロキシルをエチニル化し、且つエチニル化を行った後、2-ヒドロキシル基が保護化された中間体に、ピリミジン塩基又はプリン塩基に対するグリコシル化反応を用いてピリミジン塩基又はプリン塩基を導入することにより1-位にピリミジン塩基又はプリン塩基を結合させることを含む、前記方法。

【請求項3】
式(IA)で表される化合物が、式(Ia):
【化3】


[式中、
Xは、それぞれ独立して、ピリミジン塩基及びプリン塩基から選択され;
PG1は、酸性条件下において安定で、且つアルカリ処理で脱保護される保護基であり;
PG2は、酸性条件下において安定で、且つ脱シリル化条件で脱保護される保護基である]
で表される化合物である、請求項1の方法であって、
(a) 式(II):
【化4】


[式中、
PG3及びPG4は、塩基性条件下において安定で、且つ酸処理によって脱保護される保護基であって、
但し、PG3及びPG4は、それぞれ同一若しくは異なる独立した基であるか、又は
それらが一緒になって形成される1個の基であり;
L1は、脱離基である]
で表される化合物を、塩基で処理して分子内環化反応させて、式(III):
【化5】


[式中、PG3及びPG4は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(b) 式(III)で表される化合物を、式(IV):
【化6】


[式中、PG2は上記と同義である]
で表されるアセチレンの保護誘導体と反応させて、式(V):
【化7】


[式中、PG2~PG4は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(c) 式(V)で表される化合物をアジド化して、式(VI):
【化8】


[式中、PG2~PG4は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(d) 式(VI)で表される化合物を酸処理することによってPG3及びPG4を脱保護し、式(VII):
【化9】


[式中、PG2は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(e) 式(VII)で表される化合物を保護化して、式(VIII):
【化10】


[式中、PG1及びPG2は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(f) 式(VIII)で表される化合物に、ピリミジン塩基又はプリン塩基に対するグリコシル化反応を用いてピリミジン塩基又はプリン塩基を導入して、式(Ia)で表される化合物を形成させる工程;
を含む、前記方法。

【請求項4】
式(IB)で表される化合物が、式(Ib):
【化11】


[式中、
Xは、それぞれ独立して、ピリミジン塩基及びプリン塩基から選択され;
Ybは、酸性条件下において安定で、且つアルカリ処理で脱保護される保護基又は固相であり;
PG1は、酸性条件下において安定で、且つアルカリ処理で脱保護される保護基であり;
PG2は、酸性条件下において安定で、且つ脱シリル化条件で脱保護される保護基である]
で表される化合物である、請求項2の方法であって、
(a) 式(II):
【化12】


[式中、
PG3及びPG4は、塩基条件下において安定で、且つ酸処理によって脱保護される保護基であって、
但し、PG3及びPG4は、それぞれ同一若しくは異なる独立した基であるか、又は
それらが一緒になって形成される1個の基であり;
L1は、脱離基である]
で表される化合物を、塩基で処理して分子内環化反応させて、式(III):
【化13】


[式中、PG3及びPG4は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(b) 式(III)で表される化合物を、式(IV):
【化14】


[式中、PG2は上記と同義である]
で表されるアセチレンの保護誘導体と反応させて、式(V):
【化15】


[式中、PG2~PG4は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(c-1) 式(V)で表される化合物の3β-ヒドロキシルをケトンに酸化して、式(V’):
【化16】


[式中、PG2~PG4は上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(c-2) 式(V’)で表される化合物の3-位のケトンを3α-ヒドロキシルに還元して、式(VIb):
【化17】


[式中、PG2~PG4及びYbは上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(d) 式(VIb)で表される化合物を酸処理することによってPG3及びPG4を脱保護し、式(VIIb):
【化18】


[式中、PG2及びYbは上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(e) 式(VIIb)で表される化合物を保護化して、式(VIIIb):
【化19】


[式中、PG1、PG2及びYbは上記と同義である]
で表される化合物を形成させる工程;
(f) 式(VIIIb)で表される化合物に、ピリミジン塩基又はプリン塩基に対するグリコシル化反応を用いてピリミジン塩基又はプリン塩基を導入して、式(Ib)で表される化合物を形成させる工程;
を含む、前記方法。
国際特許分類(IPC)
Fターム
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