TOP > 国内特許検索 > 通信端末、通信方法および通信システム

通信端末、通信方法および通信システム コモンズ

国内特許コード P110004853
整理番号 05-083JP01
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2007-557920
登録番号 特許第4790734号
出願日 平成19年2月9日(2007.2.9)
登録日 平成23年7月29日(2011.7.29)
国際出願番号 JP2007052805
国際公開番号 WO2007091738
国際出願日 平成19年2月9日(2007.2.9)
国際公開日 平成19年8月16日(2007.8.16)
優先権データ
  • 特願2006-034598 (2006.2.10) JP
発明者
  • 長谷川 圭吾
  • 藤井 威生
出願人
  • 国立大学法人電気通信大学
発明の名称 通信端末、通信方法および通信システム コモンズ
発明の概要

端末Aの制御部A-11は、DIFS時間およびバックオフ時間の間、受信電力監視部A-8に周囲の電力を監視させて、キャリアセンスを行う。DIFS時間およびバックオフ時間が終了したら、データパケットのIDを付加したRequestパケットをブロードキャストする。Requestパケットを受信した端末は、Requestパケットに付加しているデータパケットのIDを見て、未受信のデータパケットであれば、reply信号を送信する。端末Aが受信するreply信号の受信電力が閾値を越えた場合、制御部A-11はデータパケットをブロードキャストする。これにより、アドホックネットワークにおけるブロードキャストにおいて、無駄な送信の削減をし、端末がブロードキャストをしたデータパケットが確実かつ短時間で効率よく受信する通信端末、通信方法および通信システムを提供できる。

従来技術、競合技術の概要


近年、集中制御局を必要とせず自律分散的に形成されるアドホックネットワークが注目を集めている。アドホックネットワークは移動端末だけで構成することが可能であるため、柔軟性に優れており、現在多く用いられているセルラ通信や無線LAN、今後急速な発展が予想されるITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)など様々なネットワークに対応することでシームレスな通信を実現でき、これまでサービスの提供が困難であった場所でも手軽に情報を得ることができるようになると考えられている。



災害時において基地局などのインフラが被害を受けた際、緊急の通信網として、端末間の通信のみですむアドホックネットワークは有用であると考えられる。
アドホックネットワークでは、送信元(ソース)となる端末と直接通信を行うことができない端末は、マルチホップ通信により他の端末が中継を行うことで情報の受信を可能とする。



しかしアドホックネットワークは、インフラが無いために、送信開始時間を制御するアクセス制御が難しいことや、近隣の端末や受信する端末の正確な位置情報を特定するルート制御が困難といった技術的課題が挙げられる。



そこで、基本的な通信方法として、まずは自端末の通信可能領域内にある全端末にデータを送信するブロードキャストを行う手法がある。このブロードキャストはルーティングや全端末への情報配信を行う場合に利用され、そのデータ転送をフラッディングと呼ぶ。フラッディングは、ブロードキャストパケットを受信した端末が、必ず1回リブロードキャストを行うことで全端末にブロードキャストパケットを行きわたらせる手法である。しかし、単純にブロードキャストパケットを受信した端末が全て、パケットをリブロードキャストしてしまうと、トラヒックが急増して、パケットが衝突する確率が増え、全体のデータ伝送が滞ってしまう(ブロードキャストストーム問題)。
よって、最小のブロードキャスト数で全ての端末にデータを送信することが課題となる。



ブロードキャストストーム問題を解決するために、従来の技術では、確率的に中継を行うか行わないかを決定する手法、中継を行う前に同じデータパケットを一定回数以上重複して受け取った場合は中継を中止する手法、端末間の距離を既知と仮定し、データパケットを受け取った端末との距離が一定以上ならば中継、それ以下ならば中止するという手法、GPSを使って、データパケットを受け取った端末との位置関係を調べ、自身のブロードキャストによってブロードキャストの範囲が一定面積以上に拡大できるならば中継する手法、あらかじめアドホックネットワーク内にクラスタと呼ばれる小さなネットワークを複数構成しておき、クラスタ内の特定の端末だけがブロードキャストを行う手法が提案されている(Yu-Chee Tseng, Sze-Yao Ni, Yuh-Shyan Chen, and Jang-Ping Sheu, “The Broadcast Storm Problem in a Mobile Ad Hoc Network,” Proceedings of the 5th annual ACM/IEEE international conference on Mobile computing and networking, Washington, United States, pp. 151≡162, 1999.参照)。しかし、上記手法では、重複中継数は減少するものの確実に全端末にデータを届けることができない可能性が生じてしまう。



ところで、アドホックネットワークにおけるMACプロトコルの主な種類として、CSMA/CA方式(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance:衝突回避機能付き搬送波感知多重アクセス方式)とRTS/CTS方式(Request to Send/Clear to Send)がある(LAN MAN Standard committee of the IEEE Computer Society, “Information technology≡ Telecommunications and information exchange between systems≡ Local and metropolitan area networks≡ Specific requirements≡ Part11: Wireless LAN Medium Access Control (MAC) and Physical Layer (PHY) Specifications,” ANSI/IEEE Standard 802.11-1999(R2003), June 2003.参照)。



CSMA/CA方式とは、同一チャネルに複数の端末が通信をする際の競合を回避する手法である。動作例を図18に示す。パケットの送信を試みる端末A、Bは、まずチャネルが使用中であるビジーから使用中でないアイドルに代わった後、DIFS(Distributed Inter Frame Space:分散制御用フレーム間隔)の時間をおいて、他端末のチャネルの使用状況をセンスする(キャリアセンス)。チャネルが空き状態であれば、端末A、Bは乱数によりコンテンションウインドウ(CW)を設定する。一方、もしチャネルが使用中であれば、チャネルが空くまで待ち、チャネルが空き状態になった後、再度DIFS時間の時間をおく。その後、前述のチャネルが空き状態だった場合と同様に端末A、Bは乱数によりCWを設定する。



このCWは、端末が同時にパケットを送信することによるパケットの衝突を低減させるために用いられる。このCWは通常端末毎に乱数により確率的に大きさが与えられ、そのCWに一定時間(Slot Time)を掛けたバックオフ時間の間送信を待機して、端末同士の衝突の確率を下げるようにしている。



チャネルが空いている間、端末のバックオフ時間は一定時間(Slot Time)毎に減少(カウントダウン)する。このカウントダウンにより、CWの大きさが0になった端末が送信権を持つこととなる。図18において、もし端末Aのバックオフ時間が0にならない間に端末Bのバックオフ時間が0になって、端末Bがパケットを送信しチャネルが使用中になると、再び端末Aは待機状態となり、端末Bのパケット送信が終了すると、端末Aは、アイドル状態になった後、DIFSの期間が経過するまで、バックオフ時間をそのまま保持する。DIFS経過後、再度カウントダウンを開始し、端末Aのバックオフ時間が0になったとき、端末Aはパケットの送信を開始する。ここで、もし複数の端末(端末A、端末C)のバックオフ時間が同時に0になると、衝突が発生する。そして、衝突を起こしてパケットの送信ができなかった端末は、新たにバックオフ時間を設定することで再度の送信機会をうかがう。



この方式では、送信端末の通信範囲外に端末があった場合、その端末が送信端末からの通信を知らずに送信してしまい、パケットが衝突してしまう隠れ端末問題が生じてしまう。



RTS/CTS方式とは、ユニキャスト通信において、特定の受信端末へのデータ送信が可能か確認をしてデータを送信する手法である。図19に動作例を示す。送信端末Aが受信端末BにRTS(送信要求)メッセージを送る。受信端末BがRTSメッセージを受信し、データの受信が可能であれば、送信端末AへCTS(受信準備完了)メッセージを返す。CTSメッセージを受信した送信端末Aは受信端末Bへデータを送信する。
通信に関与しない端末C、DがRTSまたはCTSを受信した場合は、通信に関与しないので送信を控える。この通信を控えるフラグとなるものがNAVであり、このNAVが設定されている場合は、当該端末は送信禁止状態となる。



しかし、RTS/CTS方式はユニキャスト通信を想定しているため、ブロードキャストでこの方式を行うと、CTSメッセージを受ける際に、同時に複数の端末からCTSメッセージが返されることになり、CTSメッセージが衝突してしまう。



よって、ブロードキャストにおいても、RTS/CTS方式のようにパケットの送信が可能かどうか確認をし、かつCSMA/CA方式でキャリアセンスをして他端末から送信されたパケットとの衝突を防ぐシステムが必要とされる。

産業上の利用分野


本発明は、アドホックネットワークにおいてブロードキャスト通信を行う通信端末、通信方法および通信システムに関する。

特許請求の範囲 【請求項1】ブロードキャストによりデータパケットのマルチホップ通信を行う通信端末において、
送信元の通信端末からブロードキャスト送信された、データパケットのID情報を含む第1のRequestパケットを受信するRequest受信手段と、
既に受信済みのデータパケットのID情報を記憶する受信パケットID記憶手段と、
前記Request受信手段で受信した、前記第1のRequestパケットが有するデータパケットのID情報と、前記受信パケットID記憶手段に記憶されている既に受信済みのデータパケットのID情報とから、前記第1のRequestパケットが有するID情報によって識別されるデータパケットを既に受信しているか否かの判断を行う判断手段と、
前記判断手段により、前記データパケットを受信していない場合、前記第1のRequestパケット内のデータパケットのID情報を記録し、制御信号であるreply信号を送信するreply送信手段と、
前記送信元の通信端末によって受信された、前記第1のRequestパケットを受信した通信端末からの前記reply信号が所定の閾値を超えた場合に、前記送信元の通信端末によってブロードキャストされた前記データパケットを受信するデータパケット受信手段と、
前記データパケット受信手段で前記データパケットを受信した後、任意に設定された検出時間内で周囲の通信状況を検出する検出手段と、
前記検出手段により前記検出時間内で周囲に通信があることを検出しなかった場合、前記データパケット受信手段によって受信されたデータパケットのID情報を含む第2のRequestパケットをブロードキャストするRequest送信手段と、
前記Request送信手段でブロードキャストした前記第2のRequestパケットに応答するreply信号を受信するreply受信手段と、
前記reply受信手段により受信した前記reply信号が所定の閾値をえた場合、前記データパケットをブロードキャストするデータパケット送信手段と、
を備えたことを特徴とする通信端末。
【請求項2】前記判断手段により、前記データパケット受信済みと判断された場合、前記Request送信手段で送信されたRequestパケットを破棄する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】前記検出時間は乱数によって設定する、
ことを特徴とする請求項または2に記載の通信端末。
【請求項4】前記検出手段により検出時間内で周囲に通信があること検出された場合、前記検出時間を一時停止して送信を待機する、
ことを特徴とする請求項から何れかに記載の通信端末。
【請求項5】受信したデータパケットのSNRを検知するデータパケットSNR検知手段を更に有し、
前記データパケットSNR検知手段により検知された当該データパケットのSNRが所定の閾値より小さければ、前記検出時間を短く成るべく設定する、
ことを特徴とする請求項から何れかに記載の通信端末。
【請求項6】送信したデータパケットの回数を計測する送信回数計測手段を更に有し、
前記送信回数計測手段で計測したデータパケットの回数が一定回数より多ければ、前記検出時間を短く成るべく設定する、
ことを特徴とする請求項から何れかに記載の通信端末。
【請求項7】複数の端末で同じデータパケットのID情報を付加したRequestパケットを保持し、該複数の端末がreply信号を受信した場合に、協調ダイバーシチ送信を行う、
ことを特徴とする請求項から何れかに記載の通信端末。
【請求項8】パケットの衝突を通知する緊急信号送信手段を更に有し、
前記Requestパケット受信手段またはデータパケット受信手段でRequestパケットまたはデータパケットを受信する際に、パケットが衝突して受信できなかった場合、前記緊急信号送信手段により緊急信号を送信する、
ことを特徴とする請求項から何れかに記載の通信端末。
【請求項9】前記検出時間内に受信したRequestパケットが有するデータパケットのID情報が、前記第2のRequestパケットに含まれる、既に有しているデータパケットのID情報と同一の場合に、当該受信したRequestパケットのSNRを検知するRequestパケットSNR検知手段を更に有し、
前記RequestパケットSNR検知手段により検知された当該RequestパケットのSNRが所定の閾値より大きい場合、前記検出時間を延長する、
ことを特徴とする請求項から何れかに記載の通信端末。
【請求項10】ブロードキャストによりデータパケットのマルチホップ通信を行う通信方法において、各通信端末は、
送信元の通信端末からブロードキャスト送信された、データパケットのID情報を含む第1のRequestパケットを受信するRequest受信ステップと、
前記第1のRequestパケットが有するデータパケットのID情報と、メモリに記憶されている既に受信済みのデータパケットのID情報とから、前記第1のRequestパケットが有するID情報によって識別されるデータパケットを既に受信しているか否かの判断を行うステップと、
前記データパケットを受信していない場合、前記第1のRequestパケット内のデータパケットのID情報を記録し、制御信号であるreply信号を送信するステップと、
前記送信元の通信端末によって受信された、前記第1のRequestパケットを受信した通信端末からの前記reply信号が所定の閾値を超えた場合に、前記送信元の通信端末によってブロードキャストされた前記データパケットを受信するステップと、
前記データパケットを受信した後、任意に設定された検出時間内で周囲の通信状況を検出するステップと、
前記検出時間内で周囲に通信があることを検出しなかった場合、前記データパケット受信ステップにおいて受信されたデータパケットのID情報を含む第2のRequestパケットをブロードキャストするステップと、
ブロードキャストした前記第2のRequestパケットに応答するreply信号を受信するステップと、
受信した前記reply信号が所定の閾値をえた場合、前記データパケットをブロードキャストするステップと、
行うことを特徴とする通信方法。
【請求項11】複数の通信端末から構成され、データパケットをブロードキャスト送信するアドホック・マルチホップ通信システムにおいて、
前記複数の通信端末のうち、データパケットを保有している送信元の通信端末は、当該データパケットのID情報を含むRequestパケットをブロードキャスト送信し、
前記複数の通信端末のうち、前記Requestパケットを受信した通信端末は、受信したRequestパケットが有するデータパケットのID情報と、当該通信端末のメモリに記憶されている既に受信済みのデータパケットのID情報とから、前記Requestパケットが有するID情報によって識別されるデータパケットを既に受信しているか否かの判断を行い、既に前記データパケットを受信しているときは応答しないが、未だ前記データパケットを受信していないときは当該データパケットの受信を必要としていることを意味するreply信号を送信し、
前記送信元の通信端末は、所定の閾値以上の前記reply信号を受信したときにのみ、前記データパケットをブロードキャストする
ことを特徴とする通信システム。
【請求項12】前記送信元の通信端末は、前記データパケットを受け取った場合において、前記データパケットを送信した通信端末との距離を判断する機能(装置)を備え、前記距離が遠いほど短く成るべく設定された前記待ち時間が経過した後に、前記Requestパケットをブロードキャスト送信する、
ことを特徴とする請求項11記載の通信システム。
【請求項13】前記各通信端末は、所与の待ち時間が経過した後に前記Requestパケットをブロードキャスト送信するものであり、
前記各通信端末が、他の通信端末が送信する前記Requestパケットの受信電力をモニタする装置(機能)をさらに備え
前記データパケットを保有している前記各通信端末は、他の通信端末から受信した前記Requestパケットが有するデータパケットのID情報が、当該各通信端末が既に有しているデータパケットのID情報と同一の場合に、当該各通信端末が備える前記受信電力をモニタする装置(機能)によって当該受信したRequestパケット受信電力を検知し、検知された受信電力の大きさが大きいときは前記待ち時間を長く成るべく設定し、当該受信したRequestパケットの受信電力の大きさが小さいときは前記待ち時間を短く成るべく設定する、
ことを特徴とする請求項11または12記載の通信システム。
【請求項14】前記各通信端末は、所与の待ち時間が経過した後に前記Requestパケットをブロードキャスト送信するものであり、
前記各通信端末は、前記データパケットの送信回数を累積して記憶し、
前記累積した送信回数が多いときに前記待ち時間を短く成るべく設定し、
前記累積した送信回数が少ないときに前記待ち時間を長く成るべく設定する、
ことを特徴とする請求項11から13の何れかに記載の通信システム。
【請求項15】前記通信端末のうち2つの通信端末がダイバーシチ送信における2つのアンテナとして機能することを特徴とする請求項11から14の何れかに記載の通信システム。
【請求項16】前記各通信端末は、複数のRequestパケットまたはデータパケットを同時受信したときは、前記reply信号を送信せずに、reply信号に割り当てられている時間と重複しないように、Requestパケットの再送要求を送信し、
前記Requestパケットの再送要求を受信した前記通信端末は、Requestパケットを再送する、
ことを特徴とする請求項11記載の通信システム。
【請求項17】前記各通信端末は、複数の前記Requestパケットまたはデータパケットを同時受信したときは、reply信号を送信せずに、当該reply信号に割り当てられている時間にReqestパケットの再送要求をreply信号とは異なる符号化をして送信する
ことを特徴とする請求項11記載の通信システム。
産業区分
  • 伝送方式
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

※ 画像をクリックすると拡大します。

JP2007557920thum.jpg
出願権利状態 権利存続中


PAGE TOP

close
close
close
close
close
close
close