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タンパク質および細胞が内壁に固定された中空構造体 コモンズ

国内特許コード P110004896
整理番号 P20060319
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2007-022637
公開番号 特開2008-187906
登録番号 特許第4982752号
出願日 平成19年2月1日(2007.2.1)
公開日 平成20年8月21日(2008.8.21)
登録日 平成24年5月11日(2012.5.11)
発明者
  • 梶 弘和
  • 西澤 松彦
出願人
  • 国立大学法人東北大学
発明の名称 タンパク質および細胞が内壁に固定された中空構造体 コモンズ
発明の概要

【課題】レディーメードの中空構造体の内壁表面の局所にタンパク質および細胞が固定された中空構造体を提供する。
【解決手段】正電荷を帯びた中空構造体内壁表面に負電荷を帯びたタンパク質非吸着性物質を積層して形成したタンパク質非吸着性の内壁表面を有する中空構造体の外部からその内部に刺入した電極に酸化電位もしくは酸化電流を印加して生成される活性化学種により、タンパク質非吸着性表面を局所的にタンパク質吸着性表面に改質し、局所的に改質した領域に細胞接着性タンパク質を吸着させ、該細胞接着性表面に細胞が固定されている中空構造体。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


実際の生体組織の多くは、異種細胞からなる3次元的な秩序構造を形成しており、生体内では様々な生化学的・力学的刺激を受けることによって、分化・増殖・代謝などの生理機能を発揮している。生体外においても、生体内を模したストレス環境下で細胞培養を行うことで、細胞の生理機能が発現することが実証されてきており、より生体内に近い環境下で細胞を培養できるシステムが求められている。さらに、そのような人為的に作り出した環境下で異種細胞間の相互作用を系統的に解析する手法、さらには細胞組織の生理機能を効果的に活用する手法が広く求められている。



血管の内側を一層に覆っている内皮細胞は、血圧や血流による力学的刺激を受けて形態や機能を変化させている。それらの力学的刺激が動脈硬化の発生や進展に関与している可能性があり、力学的刺激に対する内皮細胞の応答機構と疾患の発生機構の解明を目的に培養細胞を用いた様々な研究が行われている。



血圧の拍動に伴う血管壁の伸展による引張り力を内皮細胞に負荷する培養システムが提案されている(非特許文献1)。このシステムは、シリコンゴム膜のように伸展性のある材料の上で内皮細胞を培養し、基質の伸びが内皮細胞の形態に及ぼす効果を調べるものである。繰返しの引張り刺激を基質に加えると、引張り軸に対して直行するように内皮細胞が配向することが明らかにされている。



内皮細胞に流れによるせん断応力を負荷する培養システムとしては、平行平板型のフローチャンバーを用いる方法が提案されている(非特許文献2)。フローチャンバーの底面に内皮細胞を培養することで、一方向的な定常流を負荷できる。これにより、内皮細胞は流れの方向に伸長、配向することが明らかにされている。さらに、内皮細胞にせん断応力を負荷して培養することで、有用な生理活性物質であるトロンボモジュリンの発現量が増加することが明らかにされ、バイオリアクターへの応用展開も進められている(特許文献1)。



さらに、柔軟性のあるチューブ状構造体の内壁に内皮細胞を培養し、拍動流を細胞に負荷する培養システムも提案されている(特許文献2)。このシステムでは、チューブ状構造体に拍動流を流入させることで、せん断応力と伸展張力を同時に細胞に負荷することができる。



上記のような生体内に近いストレス環境下で正常細胞と変性細胞の間の相互作用を系統的に調べるためには、固体表面上で異なる種類の細胞を任意のパターンにて培養育成するパターン培養が望まれる。この培養細胞のパターニングを制御する方法について、数多くの研究や検討がなされてきており、代表的な手法としてゴム状のマイクロスタンプを利用するものが挙げられる(非特許文献3)。このパターン培養法は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)で作製した微細構造を有する表面を利用して、細胞接着性物質を基板に転写しておき、細胞の培養に用いる。1種類目の細胞を配置した後に、細胞非接着性の領域を接着性に変換し、2種類目の細胞を播種することで、それぞれの細胞種の接着位置を制御するパターン化共培養が可能である(非特許文献4)。従来の手法が、細胞の培養に先立って乾燥した基板上に細胞接着領域をパターニングするものであったのに対し、本願の発明者は、マイクロ電極による局所的な電気化学反応を利用して培養環境下において細胞接着領域を書き込む方法を提案している(特許文献3、4)。この手法は、細胞非接着性物質が固定化された基板の近傍に配置されたマイクロ電極で活性酸化種を生成し、細胞非接着表面を段階的に細胞接着性に変換することで異種細胞のパターニングを行うものである。以上のような異種細胞のパターン化共培養は、例えば、肝臓などの代謝系組織の細胞機能を長期間維持できる手法としても有用であり、培養細胞を利用するバイオリアクターの開発においても注目されている(非特許文献5)。



しかしながら、上記のような公知技術は、いずれも開放系において平坦な基板上に細胞をパターニングする技術であり、半閉鎖的な中空構造体への適用は困難である。これらの技術を用いて細胞を平坦な基板上にパターニング後、非特許文献2、特許文献1に記載のようなフローチャンバーに組み込む方法も考えられるが、チャンバー組立て時に細胞に与えるダメージが大きいなどの問題があった。さらに、いずれの公知技術を用いても、レディーメードの中空構造体の内壁への細胞パターニングは原理的に困難であり、タンパク質や細胞が内壁表面の適所に固定された中空構造体を提供することはできなかった。




【特許文献1】特開平7-274994号公報

【特許文献2】特開2006-000105号公報

【特許文献3】特開2005-21082号公報

【特許文献4】WO 2005/111630 A1

【非特許文献1】V. P. Shirinsky et al., J. Cell. Biol. 109; 331-339, 1989

【非特許文献2】M. J. Levesque and R. M. Nerem, ASME J. Biomech. Eng. 107; 341-347, 1985

【非特許文献3】R. S. Kane et al., Biomaterials 20; 2363-2376, 1999

【非特許文献4】A. Khadmhosseini et al., Biomaterials 25; 3583-3592, 2004

【非特許文献5】J. Park et al., Microfluid Nonofluid 2; 525-535, 2006

産業上の利用分野


本発明は、タンパク質および細胞が内壁に固定された中空構造体に関するものである。



さらに詳しくは、タンパク質非吸着性の内壁表面を有する中空構造体の外部から中空構造体の内部に刺入した電極を用いて、タンパク質非吸着性表面を局所的にタンパク質吸着性表面に改質し、局所的に改質した領域にタンパク質および細胞が固定されている中空構造体に関するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
正電荷を帯びた中空構造体内壁表面に負電荷を帯びたタンパク質非吸着性物質を積層し
て形成したタンパク質非吸着性の内壁表面を有する中空構造体の外部からその内部に刺入
した電極に酸化電位もしくは酸化電流を印加して生成される活性化学種により、タンパク
質非吸着性表面を局所的にタンパク質吸着性表面に改質し、局所的に改質した領域にタン
パク質が固定されていることを特徴とする中空構造体。

【請求項2】
正電荷を帯びた中空構造体内壁表面に負電荷を帯びたタンパク質非吸着性物質を積層し
て形成したタンパク質非吸着性の内壁表面を有する中空構造体の外部からその内部に刺入
した電極に酸化電位もしくは酸化電流を印加して生成される活性化学種により、タンパク
質非吸着性表面を局所的にタンパク質吸着性表面に改質し、局所的に改質した領域に細胞
接着性タンパク質を吸着させ、該細胞接着性表面に細胞が固定されていることを特徴とす
る中空構造体。

【請求項3】
正電荷を帯びた中空構造体内壁表面がカチオン性ポリマーで形成されていることを特徴
とする請求項1または2に記載の中空構造体。

【請求項4】
活性化学種は、ハロゲン化物イオンを酸化させて生成された活性ハロゲン種であること
を特徴とする請求項1に記載の中空構造体。

【請求項5】
活性ハロゲン種は、次亜臭素酸(HBrO)または次亜塩素酸(HClO)であることを特徴と
する請求項4に記載の中空構造体。

【請求項6】
細胞接着性タンパク質は、フィブロネクチン、コラーゲンおよびラミニンからなる群か
ら少なくとも1つが選択されることを特徴とする請求項2に記載の中空構造体。
産業区分
  • 微生物工業
  • 高分子化合物
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2007022637thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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