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流体輸送機構及び流体輸送方法 コモンズ

国内特許コード P110004964
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2006-128752
公開番号 特開2007-298010
登録番号 特許第4843786号
出願日 平成18年5月3日(2006.5.3)
公開日 平成19年11月15日(2007.11.15)
登録日 平成23年10月21日(2011.10.21)
発明者
  • 奥山邦人
  • 森昌司
出願人
  • 国立大学法人横浜国立大学
発明の名称 流体輸送機構及び流体輸送方法 コモンズ
発明の概要

【課題】直管型又は直線的流路を輸送流体の流路として使用するとともに、駆動力を得るための熱が輸送流体に影響するのを防止しつつ、沸騰伝播現象により発生する駆動力を搬送動力として利用して任意の流体を輸送する。
【解決手段】流体輸送機構(1) は、輸送流体(4)の流路(5) 、駆動液収容域(3) 及びダイヤフラム(6) を有する。駆動液(2) を加熱する発熱面(10a) を備えた発熱体(10)が、駆動液収容域に配設される。発熱面の過熱温度よりも高い過熱温度に昇温したトリガー部(11)が、トリガー気泡(P) を発熱体端部に発生させ、発熱面上に沸騰伝播現象を誘起する。駆動液収容域、発熱体及びダイヤフラムは、流路に沿って延び、気泡(B)が、沸騰伝播現象によって収容域に発生する。ダイヤフラムは、流路内に隆起し且つ流路に沿って遷移する変形部(6a)を形成する。
【選択図】図2

従来技術、競合技術の概要


流体輸送の用途に使用されるマイクロアクチュエータ、マイクロポンプ等の流体輸送機構においては、駆動力発生源として、圧電素子、形状記憶合金、沸騰気泡等が使用される。圧電素子又は形状記憶合金を用いた流体輸送機構では、その構造や、駆動電気信号の制御が複雑化する。これに対し、沸騰気泡を利用した流体輸送機構は、構造及び駆動信号を単純化し得ることから、小型化に適し、しかも、応答性及び再現性に優れることから、バブルジェット(登録商標)式プリンターの液体吐出ヘッド等の用途に使用されている。近年、このような流体輸送機構を回路基板作成や、膜コーティング、或いは、DNA合成等の多様の用途に応用することが提案されている。



しかし、沸騰気泡を用いた流体輸送機構においては、パルス加熱に応答した気泡発生及び気泡消滅の現象が繰り返し発生するにすぎず、マイクロ流路内に特定方向の流体流を形成するには、ノズル・デフューザー等の非対称構造(断面積の一方向への連続的変化)を流路に形成するか、或いは、流路に沿って配置した複数のヒータを時系列的に加熱し、気泡発生及び気泡消滅に位相差を与えるといった方法を採用しなければならない(W.J.Yang,Thermal Science and Engineering,9-4(2001),pp.3-8 、及びT.K.Jun & C.J.Kim, J.Applied Physics,83-11(1998),pp.5658-5664)。



このような流体輸送機構に関し、吐出液(インク)及び発泡液を可動分離膜によって分離し、発泡液の発泡によって生起した圧力を可動分離膜の変形によって吐出液に伝達するように構成したインクジェットプリンタの液体吐出ヘッドが、特開2000-85129号公報に開示されている。発泡液の気泡発生領域に位置する可動分離膜の部分には、凹部が形成され、凹部は、発泡液の泡発生圧力によって変形する。気泡発生領域には、発泡液の給排流路が接続され、給排流路は、発泡・消泡時に気泡発生領域の液圧を均等化するように発泡液を気泡発生領域から流出させ又は気泡発生領域に流入させる。従って、可動分離膜は、確実且つ安定的に上下動し、可動分離膜の凹部を変形させるので、特開2000-85129号公報に記載される如く、液体吐出ヘッドの吐出安定性を向上し得るかもしれない。

【特許文献1】特開2000-85129号公報

【非特許文献1】W.J.Yang,Thermal Science and Engineering,9-4(2001),pp.3-8

【非特許文献2】T.K.Jun & C.J.Kim, J.Applied Physics,83-11(1998),pp.5658-5664

産業上の利用分野


本発明は、流体輸送機構及び流体輸送方法に関するものであり、より詳細には、沸騰伝播現象により発生する駆動力を搬送動力として利用するとともに、沸騰伝播時に発生する熱が輸送流体に作用するのを防止し、任意流体の輸送を可能にする流体輸送機構及び流体輸送方法に関するものである。なお、本願において、「沸騰伝播現象」とは、液体過熱温度の発熱面上に生じる液体の突沸によって発熱面上に発生した気泡が、発熱面から熱供給を受ける側に移動するとともに、発熱面から受熱して成長又は膨張しながら更に加熱されることにより、発熱面に沿って移動して消泡する現象を意味する。

特許請求の範囲 【請求項1】
輸送すべき流体の流路と、駆動液の突沸により該駆動液に気泡を生成する駆動液収容域と、前記流路及び収容域を分離するダイヤフラムとを有する流体輸送機構において、
前記収容域に配設され、該収容域に封入した前記駆動液を加熱する発熱面を備えた発熱体と、
該発熱面の過熱温度よりも高い過熱温度に昇温し、前記発熱体の端部に気泡を発生させ、前記発熱面上に沸騰伝播現象を誘起するトリガー部とを有し、
前記収容域、発熱体及びダイヤフラムは、前記流路に沿って延び、前記トリガー部は、前記発熱体の端部に配置され、前記ダイヤフラムは、前記沸騰伝播現象により前記発熱面上を移動する気泡によって前記流路内に隆起し且つ該流路に沿って遷移する変形部を形成することを特徴とする流体輸送機構。

【請求項2】
前記トリガー部を前記発熱体の両端部に対をなして配置したことを特徴とする請求項1に記載の流体輸送機構。

【請求項3】
前記発熱体及びトリガー部は、通電発熱する電熱体からなり、該電熱体にパルス電圧信号を通電する電気回路が設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載の流体輸送機構。

【請求項4】
前記収容域は、前記発熱体の前方の駆動液を該発熱体の後方に還流させる還流路を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の流体輸送機構。

【請求項5】
複数の前記収容域が、前記流路に対して並列に配置されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の流体輸送機構。

【請求項6】
前記電熱体は、基板に製膜した金属薄膜からなり、該金属薄膜は、細長い有効発熱部と、該有効発熱部の両端に配置された一対の電極部と、前記有効発熱部の端部に接続された電圧タップの縮小部とを有し、前記電圧回路は、前記電極に接続された主回路と、前記電圧タップに接続されたトリガー回路とを含み、前記縮小部は、前記トリガー部を構成し、前記トリガー回路は、パルス電圧信号を前記縮小部に通電し、該縮小部を発熱させることを特徴とする請求項3に記載の流体輸送機構。

【請求項7】
輸送すべき流体の流路にダイヤフラムを介して接した駆動液収容域に駆動液を封入し、該駆動液の突沸により駆動液内に気泡を生成し、前記ダイヤフラムの変形によって前記流路の流体を輸送する流体輸送方法において、
第1過熱温度に昇温する発熱面を備えた発熱体を前記収容域に配設するとともに、第1過熱温度よりも高い第2過熱温度に昇温するトリガー部を前記発熱体の端部に配置し、該トリガー部によって前記駆動液に突沸気泡を発生させて、前記発熱面上に沸騰伝播現象を誘起し且つ進行させ、
前記発熱面上を移動し且つ成長する気泡によって、前記ダイヤフラムを変形させるとともに、該ダイヤフラムの変形部を前記流体の輸送方向に遷移させ、該変形部によって前記流体を輸送することを特徴とする流体輸送方法。

【請求項8】
前記トリガー部を前記発熱体の両端部に配置し、該トリガー部の選択的加熱によって沸騰伝播現象の進行方向を設定し、流体の輸送方向を制御することを特徴とする請求項7に記載の流体輸送方法。

【請求項9】
前記発熱体及びトリガー部を構成する電熱体にパルス電圧信号を通電し、該パルス電圧信号のパルス幅、パルス電圧及び位相を制御し、発熱面上の沸騰伝播現象を制御することを特徴とする請求項7又は8に記載の流体輸送方法。

【請求項10】
前記流路に対して並列に配置した複数の前記収容域によって複数の前記変形部を形成し、該変形部の挙動を同期させることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の流体輸送方法。

【請求項11】
前記第1過熱温度は、前記駆動液の沸点温度に対し、50K以上の過熱度を有する温度に設定されることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の流体輸送方法。
産業区分
  • 流体移送
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2006128752thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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