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受信アレーアンテナの校正行列の算出方法、受信アレーアンテナの自己校正方法、受信アレーアンテナの校正行列算出装置、および自己校正装置 コモンズ

国内特許コード P110004975
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2006-303514
公開番号 特開2008-124595
登録番号 特許第4734574号
出願日 平成18年11月9日(2006.11.9)
公開日 平成20年5月29日(2008.5.29)
登録日 平成23年5月13日(2011.5.13)
発明者
  • 佐藤 正知
  • 河野 隆二
出願人
  • 国立大学法人横浜国立大学
発明の名称 受信アレーアンテナの校正行列の算出方法、受信アレーアンテナの自己校正方法、受信アレーアンテナの校正行列算出装置、および自己校正装置 コモンズ
発明の概要

【課題】アレーアンテナにおけるアレー素子間の相互結合の影響を除去してアレー単体で自己校正する。
【解決手段】複数のアレー素子の端子電流を、アレー素子が単独で存在し動作したときに流れる真の受信電流と、相互結合に起因して流れる再放射電流とに区分して再放射電流が流れる端子対回路モデルを定め、端子対回路モデルのアレー素子の入力インピーダンスZinに再放射電流が流れることで生じる電圧と、他のアレー素子に流れる再放射電流によって誘起される受信開放電圧とを合わせた電圧を求め、求めた電圧とこのアレー素子に流れる再放射電流との間の電圧-電流関係を表す再放射インピーダンス行列を求め、求めた再放射インピーダンス行列と、アレー素子の負荷インピーダンスと、アレー素子の入力インピーダンスを用いて、L個のアレー素子からなるアレーアンテナの校正行列Cを算出する。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


アレーアンテナの自己校正において、アレーアンテナを端子対回路としてモデル化し、インピーダンス行列を求めることで校正行列を求める手法が知られている。



アレーアンテナを用いた空間信号処理技術としてビームフォーミングや到来方向推定等の研究が古くから行われている。近年では,MIMO伝送や時空間符号化に代表されるように送受信システムの両端や片端にアレーアンテナを用いた高度な無線通信技術が活発に研究されている。



アレーアンテナの性能を最大限に発揮させるためには、劣化要因を取り除く必要がある。主な劣化要因としては,アンテナ素子の性能のばらつき、アンテナ素子の配置位置の誤差、アンテナ素子間の相互結合などがある。



前記劣化要因の内で、アンテナ素子の性能のばらつき、およびアンテナ素子の配置位置の誤差による劣化要因は製作誤差に起因するものであるため、製作段階で改善することが可能である。一方、残るアンテナ素子間の相互結合による劣化はアンテナに流れる電流がアンテナ素子間で電磁結合する現象であるため、結合の弱いアンテナを用いたり、アンテナ素子配置を工夫することで相互結合の影響を軽減できるものの、アンテナ素子間の相互結合は本質的に存在するものであるため、軽減できる程度は制限される。



したがって、アレーアンテナの本質的な性能劣化要因である素子間相互結合を要因とするアレーアンテナの性能の劣化の影響を補償することが求められている。



アンテナの素子間相互結合などの影響を補償するアレー校正方法は、従来様々な方法が提案されている。



従来提案される校正方法を大別すると、アレー単体で行う自己校正法(非特許文献1,2,3参照)、電磁界解析などの数値計算結果を利用する数値解析方法(非特許文献4、5参照)、外部参照波を用いる参照波方法(非特許文献6参照)に分類できる。



数値解析法では、実際のアレーアンテナと数値解析で用いるアレーアンテナのモデルに差があると校正誤差の原因になるという問題点がある。校正を行うには、測定したデータを基に校正できる方法が望ましい。



また、参照波法は非常に精度の高い校正結果が得られるが、暗室や入射波を発生するアンテナ等が必要となるため校正システムの規模が大きくなるという問題点がある。校正では、実用的で簡易に実現できる自己校正法が望ましい。



自己校正法では、全ての素子の端子電圧・電流をインピーダンス行列で関係づける回路方程式を利用して校正行列の導出を行う。非特許文献1で提案されるopen-circuit voltage法は、端子が開放状態にある素子の影響を受けないという仮定に基づいて校正を行うため、精度の高い校正を実現できるアレーアンテナは限られるという問題がある。



近年では、アンテナの素子間相互結合の影響を考慮した正確なインピーダンス行列に基づく校正法が提案されている(例えば非特許文献2,7参照)。また、給電素子(電源を持つ素子)に関係する相互インピーダンスと無給電素子(電源を持たない素子)に関係する相互インピーダンスが異なることを考慮して回路方程式を再定義し、高い校正精度を実現する校正行列を導出することも提案されている(非特許文献3参照)。



しかしながら、受信アレーの回路方程式に含まれる受信開放電圧は相互結合の影響を含んだ電圧である。そのため、正確なインピーダンス行列に基づいて生成した校正行列を用いても、相互結合の影響を取り除くことはできないという問題がある。



したがって、従来提案されている回路方程式はアレー校正を扱うのに適するものではない。




【非特許文献1】I.J. Gupta and A.A. Ksienski, "Effect of mutual coupling on the performance of adaptive arrays,"[EEE Trans. Antennas Propagat., vol. AP-31, pp.795-791, Sept. 1983.

【非特許文献2】H.T. Hui, "Reduction the mutual coupling effect in adaptive nulling using a re-defined mutual impedance," IEEE Microwave and Wireless Components Lett., vol.12, no.5, pp.178-180, May 2002.

【非特許文献3】山田寛喜,小川恭孝,山口芳雄,"受信アレーアンテナの相互インピーダンスとその校正行列について," 進学技法 vol.AP2004-332, pp.173-178, 2005年 3月.

【非特許文献4】R.S. Adve and T.K. Sarkar,"Compensation for the effects of mutual coupling on direct data domain adaptive algorithms,"IEEE Trans. Antennas and Propagat., vol.48, pp.86-94, Jan. 2000.

【非特許文献5】H.T. Hui, "A practical approach to compensate for the mutual coupling effect in an adaptive dipole array," IEEE Trans. Antennas and Propagat., vol.52, pp.1262-1269, May 2004.

【非特許文献6】新井隆宏,原 六蔵,山田寛喜,山口芳雄,"既知の波源を用いたスーパレゾリューションアレー校正法について," 信学論, vol.J-86-B no.3, pp.527-535, 2003年 3月.

【非特許文献7】山田寛喜,原 六蔵,小川恭孝,山口芳雄,"アレーアンテナの素子間相互結合校正法とその精度に関する比較検討," 進学技法 vol.AP2002-218, pp.179-186, 2003年 3月.

【非特許文献8】W.L. Stutzman and G.A. Thiele, Antenna Theory and Design, 2nd ed., Wiley, New York. 1998.

【非特許文献9】虫明康人,アンテナ・電波伝搬,38版,コロナ社,東京,2001年.

【非特許文献10】R. O. Schmidt,"Multiple emitter location and signal parameter estimation," IEEE Trans. Antennas Propagat., vol. AP-34, no.3, pp.276-281, Mar. 1986.

【非特許文献11】B.D. Rao and K.V.S. Hari, "Performance analysis of root-music," IEEE Trans. Acoust., Speech, Signal Processing., vol. ASSP-37, no.12, pp.1939-1949, Dec. 1989.

産業上の利用分野


本発明は、受信アレーアンテナの自己校正に関し、特に、アレーアンテナにおけるアレー素子間の相互結合の影響をアレー単体で自己校正する方法、自己校正に用いる校正行列を算出する方法および装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
受信アレーアンテナのアレー素子間相互結合を補償する自己校正に用いる校正行列を算出する方法であって、
入力インピーダンスZinを有するL個の同一形状のアレー素子の端子対に負荷インピーダンスZを直列接続してなる端子対回路モデルにおいて、
受信電流Iとの積によって、再放射電流I(s)を含まない真の受信電流I(r)を算出する、L個の同一形状のアレー素子からなるアレーアンテナの校正行列Cを、
前記負荷インピーダンスZと、
前記入力インピーダンスZinと、
相互結合に起因する再放射電流I(s)に係わるインピーダンスを表す再放射インピーダンス行列Z(s)とを用いて、
C=(Z(s)+Z)/(Zin+Z) (Eは単位行列)
の演算により算出することを特徴とする受信アレーアンテナの校正行列の算出方法。

【請求項2】
受信アレーアンテナのアレー素子間相互結合を補償する自己校正に用いる校正行列を算出する方法であって、
アレーアンテナを構成するL個の同一形状の全アレー素子に負荷インピーダンスを接続した状態において、アレー素子の1素子ずつに一定の電源電圧を給電し、
各給電時において各アレー素子に流れる端子電流を測定して端子電流I…Iを求め
送信アレーのアレー素子の端子電圧の電圧-電流関係を表す回路行列方程式
VE=V(Z(t)-Z(s))/(Zin+Z)+(Z(s)+Z)[I…I
求めた前記端子電流…Iからなる行列[I…Iを代入して得られる連立方程式を解き、Zinを含む再放射インピーダンス行列Z(s)の各成分を求め、
求めた再放射インピーダンス行列Z(s)と、アレー素子の負荷インピーダンスZと、アレー素子の入力インピーダンスZinと、単位行列Eとから、
C=(Z(s)+Z)/(Zin+Z
により、L個の同一形状のアレー素子からなるアレーアンテナの校正行列Cを算出することを特徴とする受信アレーアンテナの校正行列の算出方法。

【請求項3】
受信アレーアンテナのアレー素子間相互結合を補償する自己校正方法であって、
相互結合により生じる電流を含む受信電流を、前記請求項1又は請求項2に記載の校正行列の算出方法で求めたアレーアンテナの校正行列Cによって校正し、アレー素子間相互結合を補償して電流を得ることを特徴とする、受信アレーアンテナの自己校正方法。

【請求項4】
受信アレーアンテナのアレー素子間相互結合を補償する自己校正に用いる校正行列を算出する装置であって、
アレーアンテナを構成するL個の同一形状の全アレー素子の1素子ずつに個別に一定の電源電圧を給電する電圧供給手段と、
前記各給電時において各アレー素子に流れる端子電流を測定する端子電流測定手段と、
前記端子電流測定手段で測定した端子電流から得られる端子電流I…Iからなる行列[I…Iを、送信アレーの回路行列方程式
VE=V(Z(t)-Z(s))/(Zin+Z)+(Z(s)+Z)[I…I
に代入して得られる連立方程式を解き、Zinを含む再放射インピーダンス行列Z(s)の各成分を算出し、算出した再放射インピーダンス行列Z(s)と、アレー素子の負荷インピーダンスZと、アレー素子の入力インピーダンスZinと、単位行列Eとから、C=(Z(s)+Z)/(Zin+Z の演算を行い、L個の同一形状のアレー素子からなるアレーアンテナの校正行列Cを算出する演算手段を備えることを特徴とする受信アレーアンテナの校正行列算出装置。

【請求項5】
受信アレーアンテナのアレー素子間相互結合を補償する自己校正装置であって、
受信アレーアンテナの各アレー素子の受信電流を測定する測定手段と、
前記測定した受信電流をアレーアンテナの校正行列Cを用いて校正する校正手段とを備え、
前記校正行列Cは前記請求項1又は請求項2に記載の校正行列の算出方法で求めた校正行列であることを特徴とする、自己校正装置。
産業区分
  • 伝送回路空中線
  • その他通信
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2006303514thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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