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符号化変調システムおよび受信装置ならびに符号化変調方法および復号方法 コモンズ

国内特許コード P110004988
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2007-179777
公開番号 特開2008-154202
登録番号 特許第4883582号
出願日 平成19年7月9日(2007.7.9)
公開日 平成20年7月3日(2008.7.3)
登録日 平成23年12月16日(2011.12.16)
優先権データ
  • 特願2006-315937 (2006.11.22) JP
発明者
  • 落合 秀樹
  • 棚橋 誠
出願人
  • 国立大学法人横浜国立大学
発明の名称 符号化変調システムおよび受信装置ならびに符号化変調方法および復号方法 コモンズ
発明の概要

【課題】シングルキャリアをデジタル変調する場合において、瞬時ピーク電力を効果的に低減する適切なメトリックは存在しなかった。PAR値の大きい送信信号を電力増幅するとき、電力付加効率の低下が避けられず、非線形ひずみ発生と低消費電力の両立は困難であった。また、トレリスシェイピングに特有のシンボル変調特性を利用し、誤り特性を改善した復号方法が望まれていた。
【解決手段】瞬時ピーク電力を抑圧するために、波形整形フィルタ出力点における連続的なI信号およびQ信号から部分波形を求める。部分波形は、複数の連続するシンボルを考慮して決定される。部分波形とリミッタしきい値との差分に基づいてメトリック値を付与し、このメトリックを最小とするパスに対応する送信シンボルを決定する。また、トレリスシェイピングをマルコフ過程とみなし、新規なトレリスに基づいて、軟判定復号処理を利用した反復復号方法を提供する。
【選択図】図1

従来技術、競合技術の概要


現在標準規格の決定が進められている第4世代移動通信システム(4G)においては、変調方式として、周波数選択フェージング特性に優れた耐性を持つOFDMの採用が有力となっている。OFDMは、周波数利用効率や周波数選択フェージング特性におけるメリットがある反面、PAR(Peak-to-Average Ratio)特性が非常に悪いという欠点を持っている。すなわち、平均電力に対して瞬時ピーク電力の変動幅が大きいという欠点がある。



PAR特性の悪い送信信号は、一般に広いダイナミックレンジを持つ信号である。つまり、電力増幅器で増幅される変調送信信号の包絡線変動が大きいことを意味している。第2世代移動通信システム(2G)では、包絡線変動の少ない線形変調方式であるπ/4シフトQPSK変調または定包絡線変調方式であるGMSK変調が採用されていた。包絡線変動が少ないかまたは包絡線が一定の変調信号を増幅する場合に、電力付加効率の高いB級増幅器やC級増幅器を使用することもできるからである。



一方、OFDMにおいては、平均電力と瞬時ピーク電力との比であるPAR値は、10dBにも達する。これは、π/4シフトQPSK変調のPAR値が約3dB程度であるのと比較して、非常に大きい値である。このOFDM特有のPAR特性は、送信機の最終段において使用される電力増幅器(PA)に非常に高い線形性を要求することになる。電力増幅器の線形性が十分でない場合、すなわち電力増幅器に非線形性がある場合には、送信信号のひずみの発生や帯域外の不要輻射電力を増大といった問題が生じてくる。



電力増幅器における非線形ひずみの発生を抑えるためには、線形領域において電力増幅器を動作させることが必要である。すなわち、電力増幅時に瞬時ピーク電力に対応する包絡線を保存するため、電力増幅器には大きな出力バックオフ(OBO:Output Back-Off)が必要となる。一般的に言えば、PAR値以上のバックオフ領域において電力増幅器を動作させる必要がある。例えば、非特許文献2には、出力バックオフと非線形増幅によるひずみ発生量との関係が開示されている。



一般に、出力バックオフを大きく確保すると、電力増幅器の電力付加効率が悪化する。バッテリ駆動する携帯端末においては、省電力が求められている。したがって、電力増幅器の電力付加効率の低下は重大な問題である。また、平均電力レベルを基準に考えると、出力バックオフの確保のためには、最大出力電力レベルの大きい電力増幅器を使用すること必要となる。最大出力電力レベルの大きい電力増幅器は一般に高価であり、一般の携帯端末にこれを搭載するのは、コストの点からも難しい。



このような理由から、第4世代移動通信システム(4G)において、上り回線にOFDMを使用するのは困難であり、その代わりに、シングルキャリア方式を採用することが検討されている。



第4世代移動通信システム(4G)では、静止時で1[Gbps]、移動時でも100[Mbps]という高速通信が目標として掲げられている。周波数資源の枯渇を考慮すると、変調において高い周波数利用効率が求められる。例えば、1[Hz]あたり4~10[bit/sec]が周波数利用効率の目標とされている。このような高い周波数利用効率を持つ変調を実現するためには、QAMなどの多値変調を用いる必要がある。しかし、シングルキャリア方式においても、QAM変調を用いる場合にはOFDMほどではないがPAR特性が劣化するという問題がある。大容量伝送のためにQAM変調を用いると、大きな瞬時ピーク電力が生じる。このため、電力増幅器の動作点を下げて、電力増幅器の出力バックオフを大きく確保する必要が生じる。結果として、電力増幅器の電力付加効率は低下する。



一般に、シングルキャリア方式を用いた線形変調においては、波形整形フィルタからの出力信号には振幅変動が生じ、特にロールオフ率αが小さくなるとダイナミックレンジも大きくなる。ロールオフ係数が小さければ、周波数軸上において変調信号のスペクトル拡がりを抑えることができるので、周波数利用効率を向上させることができる。しかし、変調信号のダイナミックレンジは大きくなるため、瞬時ピーク電力が増大し、電力増幅器の付加効率の要請と相容れない。



上述のような瞬時ピーク電力の問題を背景に、送信電力を低減する技術としてシェイピングが知られている。このシェイピングは、変調後のシンボルの分布を正規分布に近づけ、平均電力を低減して、通信路容量に近づけることを指す。一般には、正規分布に近づけることに限らず、通信路の特性に対応して、シンボルの分布が好ましくなるように、入力ビット系列を符号化している。シェイピング技術としては、トレリスシェイピングがよく知られている(非特許文献4を参照のこと)。トレリスシェイピングでは、ビタビアルゴリズムにおける符号語検索メトリックを適切に定義することによって、任意のシェイピングが可能となる。トレリスシェイピングによって、平均電力の低減だけでなく、送信信号のダイナミックレンジを低減することが検討されている。トレリスシェイピングは、π/4シフトQPSK変調の考え方を発展させたものである。すなわち、送信シンボル系列に対し、連続する2シンボル間における信号点の遷移角度の合計が最小になるように送信系列を符号化するというものである(非特許文献3を参照)。




【非特許文献1】棚橋、落合,「シングルキャリアQAMにおけるトレリスシェイピングを用いたピーク電力制御」、電子情報通信学会技術研究報告、無線通信システムRCS2006-35-58, Vol.106, No.119

【非特許文献2】H. Ochiai, “Power efficiency comparison of OFDM and single-carrier signals,” in Proc. 2002 IEEE Fall Vehicular Technology Conf., pp. 899-903, 2002.

【非特許文献3】I.S.Morrison: “Trellis shaping applied to reducing the envelope fluctuations of MQAM and band-limited MPSK”, Proc.Int/Conf. on Digital Satellite Commum. (ICDSC'92), pp.143-149 1992

【非特許文献4】G. D. Forney, Jr., “Trellis shaping,” IEEE Trans. Inform. Theory, vol. 38, pp. 281-300, Mar. 1992.

【非特許文献5】L. Bahl, J. Cocke, F. Jelinek, and J. Raviv, “Optimum decoding of linear codes for minimizing symbol error rate,” IEEE Trans. Inform. Theory, vol. IT-20, pp. 284287, Mar. 1974.

【非特許文献6】S. Benedetto, D. Divsalar, G. Montorsi, and F. Pollara, “Serial concatenation of interleaved codes: Performance analysis, design, and iterative decoding,” IEEE Trans. Inform. Theory, vol. 44, pp. 909926, May 1998.

産業上の利用分野


本発明は、トレリスシェイピングを使用したシングルキャリア変調に関する。より詳細には、シングルキャリア変調における瞬時ピーク電力の低減方法およびシングルキャリア変調装置ならびにこれらに好適な受信装置および復号方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
トレリスシェイピングを用い、QAM方式またはPSK変調方式のいずれかを含むデジタル変調によってシングルキャリアを変調した送信信号の瞬時ピーク電力を低減する方法であって、
(a) シェイピング符号によって決定されるトレリスにおいて、取り得る枝に対応する符号系列により生成される複数の連続するシンボルの組を求めるステップと、
(b) 1つのシンボル区間について、前記複数の連続するシンボルの組に基づいて生成され、前記送信信号の瞬時ピーク電力を表す部分波形を求めるステップであって、前記部分波形は、波形整形フィルタの出力における前記複数の連続するシンボルの各々に対する連続的なI信号波形およびQ信号波形に基づいて決定され、前記連続的なI信号波形およびQ信号波形は、前記1つのシンボル区間において、前記複数の連続するシンボルの各々に対応する離散的なI信号およびQ信号に対する前記波形整形フィルタのインパルス応答畳み込み波形を加算することによってそれぞれ求められるステップと、
(c) 前記部分波形に対して、前記部分波形の振幅値が所定のリミッタしきい値を越える場合に、前記リミッタしきい値と前記振幅値との差分に対応するメトリックを求めるステップであって、前記リミッタしきい値を越えない場合はメトリック演算値を0とするステップと、
(d) 前記取り得る枝の中から、前記メトリック最小となる枝を選択するステップと、
(e) 前記選択された枝に対応する符号系列に基づいて、前記1つのシンボル区間に対するシンボルを出力するステップと、
(f) 各シンボル区間に対して、前記(a)ステップから前記(e)ステップを繰り返し、送信信号を出力するステップと
を備え
前記デジタル変調において取り得る全てのシンボルに対して、所定の複数のシンボル区間に渡って、各シンボル区間に対する前記連続的なI信号波形およびQ信号波形のサンプル値データを予め記憶しておき、前記記憶されたサンプル値データを用いて前記部分波形を求めることを特徴とする送信信号の瞬時ピーク電力を低減する方法。

【請求項2】
前記1つのシンボル区間において、前記連続的なI信号波形およびQ信号波形に対する所定のオーバサンプリング数のサンプル値をそれぞれ求め、前記I信号波形のサンプル値および前記Q信号波形のサンプル値に基づいて、前記部分波形のサンプル値を求めること特徴とする請求項に記載の送信信号の瞬時ピーク電力を低減する方法。

【請求項3】
前記メトリックにおける前記差分は、前記部分波形の前記サンプル値が前記リミッタしきい値を越えるときに、前記部分波形の前記サンプル値の各々と前記リミッタしきい値との差分を合計して求められることを特徴とする請求項に記載の送信信号の瞬時ピーク電力を低減する方法。

【請求項4】
トレリスシェイピングを用いてシングルキャリアを、QAM方式またはPSK変調方式のいずれかを含む方式でデジタル変調するシングルキャリア変調装置において
シェイピングを施す符号系列のビットを符号化するインバースシンドロームと、
前記符号化したビットと、シェイピングを施さない符号系列のビットとに基づいて、ビタビアルゴリズムに基づいてメトリックを最小にする符号語を求めるジェネレータであって、
波形整形フィルタの出力における前記複数の連続するシンボルの各々に対する連続的なI信号波形およびQ信号波形に基づいて前記部分波形を決定する部分波形演算部であって、前記連続的なI信号波形およびQ信号波形は、前記1つのシンボル区間において、前記複数の連続するシンボルの各々に対応する離散的なI信号およびQ信号に対する前記波形整形フィルタのインパルス応答畳み込み波形を加算することによってそれぞれ求められる部分波形演算部と、
前記部分波形に対して、前記部分波形の振幅値が所定のリミッタしきい値を越える場合に、前記リミッタしきい値と前記振幅値との差分に対応する前記メトリックを決定するメトリック演算部であって、前記リミッタしきい値を越えない場合はメトリック演算値を0とするメトリック演算部と、
前記メトリックを最小とするトレリスの枝を求めるトレースバック部と、
前記求められた枝から符号語を求めるデコーダと
を含むジェネレータと、
前記符号化したビットに前記符号語を加算した情報を複素シンボル点にマッピングするマッピング器とを備え、
前記ジェネレータのシェイピング符号によって決定されるトレリスにおいて、取り得る枝に対応する符号系列により生成される複数の連続するシンボルの組に基づいて、1つのシンボル区間について、前記送信信号の瞬時ピーク電力を表す部分波形を求め、前記部分波形に対して、前記部分波形の振幅値が所定のリミッタしきい値を越える場合に、前記リミッタしきい値と前記振幅値との差分に対応して前記メトリックが決定され
前記デジタル変調において取り得る全てのシンボルに対して、所定の複数シンボル区間に渡って、各シンボル区間に対する前記連続的なI信号波形およびQ信号波形のサンプル値データを予め記憶する記憶手段をさらに備え、前記記憶されたサンプル値データを用いて前記部分波形を求めることを特徴とするシングルキャリア変調装置。

【請求項5】
前記1つのシンボル区間において、前記連続的なI信号波形およびQ信号波形に対する所定のオーバサンプリング数のサンプル値をそれぞれ求め、前記I信号波形のサンプル値および前記Q信号波形のサンプル値に基づいて、前記部分波形のサンプル値を求めること特徴とする請求項に記載のシングルキャリア変調装置。

【請求項6】
前記メトリックにおける前記差分は、前記部分波形の前記サンプル値が前記リミッタしきい値を越えるときに、前記部分波形の前記サンプル値の各々と前記リミッタしきい値との差分を合計して求められることを特徴とする請求項に記載のシングルキャリア変調装置。
産業区分
  • 電信
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2007179777thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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