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ヨーレート制御装置および制御方法 コモンズ

国内特許コード P110004990
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2007-213185
公開番号 特開2009-050077
登録番号 特許第4925455号
出願日 平成19年8月17日(2007.8.17)
公開日 平成21年3月5日(2009.3.5)
登録日 平成24年2月17日(2012.2.17)
発明者
  • 藤本 博志
  • 狩野 岳史
出願人
  • 国立大学法人横浜国立大学
発明の名称 ヨーレート制御装置および制御方法 コモンズ
発明の概要

【課題】ヨーレート制御のみでは車体の姿勢を制御できない路面においても安定に走行することが可能な、車輪速度制御に基づくスリップ率制御とヨーレート制御の協調制御を行うスリップ率制御に基づくヨーレート制御装置及びその方法を提供すること。
【解決手段】YMOを用いたヨーレート制御器を含む走行安定化制御系にスリップ率制御器を組み込み、上位のヨーレート制御系から与えられた駆動力指令を、低μ路のドライビングスティフネスを用いてスリップ率の指令値に換算し、下位のスリップ率制御系に与える。ドライビングスティフネスは、リアルタイムに推定しスリップ率制御に用いることにより、路面変化に対してよりロバストなスリップ率制御を行うことができる。
【選択図】図4

従来技術、競合技術の概要


電気自動車(EV)の特徴はモータを動力とする点である。モータには内燃機関に比べて、トルク応答が速い、発生するトルクが正確に把握できる、小型軽量であるため分散配置して独立駆動できるなどの利点がある(非特許文献1参照)。これまでに、インホイールモータを持つ電気自動車に対して、低μ路において安定して走行するためのトラクション制御(アンチスリップコントロール:ASC)や、走行中のヨー外乱の影響を抑圧するヨーレート制御(ヨーモーメントオブザーバ:YMO)が提案され、シミュレーションや実験により、その有効性が確認されている(非特許文献2参照)。またYMOに基づいたコーナリングスティフネス推定法が提案され、さらにASCと組み合わせることで低μ路においても外乱の影響を抑えられることも確認されている(非特許文献3参照)。さらに、車両の前後輪のコーナリングスティフネスの独立推定に基づいた車体横滑り角推定法なども提案されている(非特許文献4参照)。



低μ路においては、車輪が空転しやすいため、YMOの要求するヨーモーメントが左右のインホイールモータの駆動力差により充分に発生できない状況が考えられ、このような時ではASCによる空転抑制が効果的となる。しかし空転の可能性の低い高μ路においては、ASCにより瞬発的な駆動力を削がれることで速やかなヨーモーメント生成を妨げ、ヨーレート制御に悪影響をもたらすことが考えられる。このように、YMOとASCを組み合わせた場合、YMOの要求する駆動力指令にASCが干渉する、すなわち、YMOの要求する駆動力に対してASCがスリップ防止のために駆動力を抑制することで、ヨーレート制御の性能が低下することについては、YMOとASCの干渉の影響を軽減する手法が提案されている(非特許文献5参照)。さらに、路面状況に応じてASCのゲインをチューニングし乾燥路でのヨーレート制御性能の低下を抑制する方法も提案されている(非特許文献6参照)。




【非特許文献1】Y. Hori: “Future Vehicle Driven by Electricity and Control-Research on Four-Wheel-Motored: UOT Electric March II”, IEEE Trans. IE, Vol. 51, No. 5, 2004.

【非特許文献2】Y. Hori、 “Future Vehicle Driven by Electricity and Control-Research on Four-Wheel-Motored: UOT Electric March II”、 IEEE Trans. IE、 Vol. 51、 No. 5、 2004.

【非特許文献3】T. Saito、 H. Fujimoto、 T. Noguchi、 “Traction and Steering Stabilization Control for Electic Vehicle Based on Slip and Yaw-Moment Observers”、 Proc. IEEE of Japan、 Technical Meeting Record、 IIC-03-52、 pp. 41-46、 2003. (in Japanese)

【非特許文献4】A. Tsumasaka、 H. Fujimoto、 T. Noguchi、 “Running Stabilization Control of Electric Vehicle Based on Cornering Stiffness Estimation”、 IEEE Trans. IA、 Vol. 126、 No. 7、 pp. 996-1002、 2006. (in Japanese)

【非特許文献5】N. Takahashi、 H. Fujimoto、 A. Tsumasaka、 T. Noguchi、 “Proposal of Body Slip Angle Estimation for Electric Vehicle Based on Identification of Front and Rear cornering Stiffness Coefficients”、 IIC-05-73、 pp. 89-94、 2005. (in Japanese)

【非特許文献6】T. Kanou、 H. Fujimoto、 “Experimental Study on Cooperative Traction Control with Yaw-rate Control for Electric Vehicle”、 IIC-07-83、 pp. 77-82、 2007. (in Japanese)

【非特許文献7】K. Fujii, H. Fujimoto, “Slip ratio Control Based on Wheel Speed Control without Detection Vehicle Speed for Electric Vehicle”, VT-07-05, pp. 27-32, 2007. (in Japanese)

【非特許文献8】Hideo Sado, Shin-ichiro Sakai and Yoichi Hori: “Road ConditionEstimation for Traction Control in Electic Vehicle”, In Proc. 1999 IEEE International Symposium on Industrial Electronics,pp.973-978, 1999.

産業上の利用分野


本発明は、スリップ率制御に基づくヨーレート制御装置および制御方法に関し、より詳細には、スリップ率を適切に保つことで車輪の空転を防ぎ、車両の旋回能力を高めるスリップ率制御に基づくヨーレート制御装置および制御方法に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
トルク指令に基づき第1および第2のモータを制御するモータ制御手段を有した、前記第1および第2モータで第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動する自動車のヨーレートを制御するスリップ率制御に基づくヨーレート制御装置において、
所与の舵角から所定のヨーレート指令値を算出するヨーレート演算手段と、
入力されたヨーレートからモーメントを算出するモーメント演算手段と、
外乱を抑圧するヨーレートオブザーバ(YMO)であって、計測されたヨーレートと前記モーメントからヨー軸周りのモーメントである駆動力モーメントを生成するYMOと、
前記駆動力モーメントと前記第1および第2の駆動輪に対する駆動力指令の和であるアクセル指令値とに基づいて第1の駆動輪に対応する第1の駆動力指令値と第2の駆動輪に対応する第2の駆動力指令値を算出するトルク分配演算手段と、
前記第1および第2の各駆動力指令値をそれぞれ第1および第2のスリップ率指令値に変換するトルク・スリップ率変換手段と、
前記第1および第2のスリップ率指令値からスリップ率検出或いは推定に基づいてスリップ率制御された第1および第2のトルク指令値を算出するスリップ率制御手段と
を備え、前記YMOは、タイヤの横力が発生するコーナリングフォースによるモーメント及び横風などによる外乱モーメントを外乱として扱い、前記モータ制御手段は、前記第1のトルク指令値に基づいて前記第1の駆動輪の第1のモータを制御し、前記第2のトルク指令値に基づいて前記第2の駆動輪の第2のモータを制御することを特徴とするスリップ率制御に基づくヨーレート制御装置。

【請求項2】
前記トルク・スリップ率変換手段は、スリップ率を一定値として算出したドライビングスティフネスに基づいてトルク・スリップ率変換を行うことを特徴とする請求項1に記載のスリップ率制御に基づくヨーレート制御装置。

【請求項3】
前記トルク・スリップ率変換手段は、前記スリップ率制御手段においてオンラインで推定されたスリップ率から算出されたドライビングスティフネスに基づいてトルク・スリップ率変換を行うことを特徴とする請求項1に記載のスリップ率制御に基づくヨーレート制御装置。

【請求項4】
前記トルク・スリップ率変換手段は、前記第1および第2の両駆動輪に対応するドライビングスティフネスを算出することを特徴とする請求項2又は3に記載のスリップ率制御に基づくヨーレート制御装置。

【請求項5】
前記トルク・スリップ率変換手段は、前記第1の駆動輪に対応する第1のドライビングスティフネスと前記第2の駆動輪に対応する第2のドライビングスティフネスとをそれぞれ算出することを特徴とする請求項2又は3に記載のスリップ率制御に基づくヨーレート制御装置。

【請求項6】
トルク指令に基づき第1および第2のモータを制御するモータ制御ステップを有した、前記第1および第2モータで第1および第2の駆動輪をそれぞれ駆動する自動車のヨーレートを制御するスリップ率制御に基づくヨーレート制御ステップにおいて、
所与の舵角から所定のヨーレート指令値を算出するヨーレート演算ステップと、
入力されたヨーレートからモーメントを算出するモーメント演算ステップと、
ヨーレートオブザーバ(YMO)を構成して外乱を抑圧する外乱抑圧ステップであって、計測されたヨーレートと前記モーメントからヨー軸周りのモーメントである駆動力モーメントを生成する外乱抑圧ステップと、
前記駆動力モーメントと前記第1および第2の駆動輪に対する駆動力指令の和であるアクセル指令値とに基づいて前記第1の駆動輪に対応する第1の駆動力指令値と前記第2の駆動輪に対応する第2の駆動力指令値を算出するトルク分配演算ステップと、
前記第1および第2の各駆動力指令値をそれぞれ第1および第2のスリップ率指令値に変換するトルク・スリップ率変換ステップと、
前記第1および第2のスリップ率指令値からスリップ率推定に基づいてスリップ率制御された第1および第2のトルク指令値を算出するスリップ率制御ステップと
を有し、前記外乱抑圧ステップは、タイヤの横力が発生するコーナリングフォースによるモーメント及び横風などによる外乱モーメントを外乱として扱い、前記モータ制御ステップは、前記第1のトルク指令値に基づいて前記第1の駆動輪の第1のモータを制御し、前記第2のトルク指令値に基づいて前記第2の駆動輪の第2のモータを制御することを特徴とするスリップ率制御に基づくヨーレート制御方法。

【請求項7】
前記トルク・スリップ率変換ステップは、スリップ率を一定値として算出したドライビングスティフネスに基づいてトルク・スリップ率変換を行うことを特徴とする請求項6に記載のスリップ率制御に基づくヨーレート制御方法。

【請求項8】
前記トルク・スリップ率変換ステップは、前記スリップ率制御手段においてオンラインで推定されたスリップ率から算出されたドライビングスティフネスに基づいてトルク・スリップ率変換を行うことを特徴とする請求項6に記載のスリップ率制御に基づくヨーレート制御方法。

【請求項9】
前記トルク・スリップ率変換ステップは、前記第1および第2の両駆動輪に対応するドライビングスティフネスを算出することを特徴とする請求項7又は8に記載のスリップ率制御に基づくヨーレート制御方法。

【請求項10】
前記トルク・スリップ率変換ステップは、前記第1の駆動輪に対応する第1のドライビングスティフネスと前記第2の駆動輪に対応する第2のドライビングスティフネスとをそれぞれ算出することを特徴とする請求項7又は8に記載のスリップ率制御に基づくヨーレート制御方法。

【請求項11】
トルク指令に基づき第1から第4のモータを制御するモータ制御手段を有した、前記第1から第4モータで第1から第4の駆動輪をそれぞれ駆動する自動車のヨーレートを制御するスリップ率制御に基づくヨーレート制御装置において、
所与の舵角から所定のヨーレート指令値を算出するヨーレート演算手段と、
入力されたヨーレートからモーメントを算出するモーメント演算手段と、
外乱を抑圧するヨーレートオブザーバ(YMO)であって、計測されたヨーレートと前記モーメントからヨー軸周りのモーメントである駆動力モーメントを生成するYMOと、
前記駆動力モーメントと前記第1から第4の駆動輪に対する駆動力指令の和であるアクセル指令値とに基づいて第1から第4の駆動輪に対応する第1から第4の駆動力指令値を算出するトルク分配演算手段と、
前記第1から第4の各駆動力指令値をそれぞれ第1から第4のスリップ率指令値に変換するトルク・スリップ率変換手段と、
前記第1から第4のスリップ率指令値からスリップ率検出或いは推定に基づいてスリップ率制御された第1から第4のトルク指令値を算出するスリップ率制御手段と
を備え、前記YMOは、タイヤの横力が発生するコーナリングフォースによるモーメント及び横風などによる外乱モーメントを外乱として扱い、前記モータ制御手段は、前記第1から第4のトルク指令値に基づいて前記第1から第4の駆動輪の第1から第4のモータを制御することを特徴とするスリップ率制御に基づくヨーレート制御装置。

【請求項12】
トルク指令に基づき第1から第4のモータを制御するモータ制御ステップを有した、前記第1から第4モータで第1から第4の駆動輪をそれぞれ駆動する自動車のヨーレートを制御するスリップ率制御に基づくヨーレート制御ステップにおいて、
所与の舵角から所定のヨーレート指令値を算出するヨーレート演算ステップと、
入力されたヨーレートからモーメントを算出するモーメント演算ステップと、
ヨーレートオブザーバ(YMO)を構成して外乱を抑圧する外乱抑圧ステップであって、計測されたヨーレートと前記モーメントからヨー軸周りのモーメントである駆動力モーメントを生成する外乱抑圧ステップと、
前記駆動力モーメントと前記第1から第4の駆動輪に対する駆動力指令の和であるアクセル指令値とに基づいて前記第1から第4の駆動輪に対応する第1から第4の駆動力指令値を算出するトルク分配演算ステップと、
前記第1から第4の各駆動力指令値をそれぞれ第1から第4のスリップ率指令値に変換するトルク・スリップ率変換ステップと、
前記第1から第4のスリップ率指令値からスリップ率推定に基づいてスリップ率制御された第1から第4のトルク指令値を算出するスリップ率制御ステップと
を有し、前記外乱抑圧ステップは、タイヤの横力が発生するコーナリングフォースによるモーメント及び横風などによる外乱モーメントを外乱として扱い、前記モータ制御ステップは、前記第1から第4のトルク指令値に基づいて前記第1から第4の駆動輪の第1から第4のモータを制御することを特徴とするスリップ率制御に基づくヨーレート制御方法。
産業区分
  • 鉄道
  • 自動車
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2007213185thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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