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シンボル挿入によるピーク電力低減および復号誤り率改善方法ならびに無線送受信装置 コモンズ

国内特許コード P110004991
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2007-217385
公開番号 特開2009-055111
登録番号 特許第4911521号
出願日 平成19年8月23日(2007.8.23)
公開日 平成21年3月12日(2009.3.12)
登録日 平成24年1月27日(2012.1.27)
発明者
  • 落合 秀樹
  • 棚橋 誠
出願人
  • 学校法人横浜国立大学
発明の名称 シンボル挿入によるピーク電力低減および復号誤り率改善方法ならびに無線送受信装置 コモンズ
発明の概要

【課題】トレリスシェイピングにおいては、送信符号系列を決定するために符号語探索が必要となる。符号語探索のためには、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)などによる送信側の信号処理の負担が非常に大きなものとなるため、送信側の変調処理回路が複雑となり、回路規模も大きくなるという問題点があった。信号処理の増加に伴ないにDSPの動作周波数が上がり、DSP消費電力が携帯型の端末装置の中で占める割合は増える。DSPにおける発熱量の増大が装置小型化の障害ともなっていた。
【解決手段】情報シンボルの間に、制御シンボルを挿入して、信号点間の位相遷移量を抑えるとともに、受信時に挿入シンボルを誤り訂正符号として利用する。リアルタイムの高速演算処理を必要とすることなく、予め決定された挿入シンボルパターンを記憶したルックアップテーブルを参照して、挿入シンボルを選択する。変調信号のピーク電力低減と、復号誤り率の改善とを同時に実現する。
【選択図】図2

従来技術、競合技術の概要


現在標準規格の決定が進められている第4世代移動通信システム(4G)においては、変調方式として、周波数選択フェージング特性に優れた耐性を持つOFDMの採用が有力となっている。OFDMは、周波数利用効率や周波数選択フェージング特性におけるメリットがある反面、PAR(Peak-to-Average Ratio)特性が非常に悪いという欠点を持っている。すなわち、平均電力に対して瞬時ピーク電力の変動幅が大きいという欠点がある。



PAR特性の悪い送信信号は、一般に広いダイナミックレンジを持つ。つまり、電力増幅器で増幅される変調送信信号の包絡線変動が、大きいことを意味する。第2世代移動通信システム(2G)では、包絡線変動の少ない線形変調方式であるπ/4シフトQPSK変調または定包絡線変調方式であるGMSK変調が採用されていた。包絡線変動が少ないかまたは包絡線が一定の変調信号を増幅する場合に、電力付加効率の高いB級増幅器やC級増幅器を使用することもできるからである。



一方、OFDMにおいては、平均電力と瞬時ピーク電力との比であるPAR値は、10dBにも達する。このOFDM特有のPAR特性は、送信機の最終段において使用される電力増幅器(PA)に非常に高い線形性を要求する。電力増幅器の線形性が十分でない場合、すなわち電力増幅器に非線形性がある場合には、送信信号のひずみの発生や帯域外の不要輻射電力を増大といった問題が生じてくる。



電力増幅器における非線形ひずみの発生を抑えるためには、電力増幅器を線形領域において動作させることが必要である。すなわち、電力増幅時に瞬時ピーク電力に対応する包絡線を保存するため、電力増幅器には大きな出力バックオフ(OBO:Output Back-Off)が必要となる。



一般に、出力バックオフを大きく確保すると、電力増幅器の電力付加効率が悪化する。バッテリ駆動する携帯端末においては、省電力が求められている。したがって、電力増幅器の電力付加効率の低下は重大な問題である。また、平均電力レベルを基準に考えると、出力バックオフの確保のためには、最大出力電力レベルの大きい電力増幅器を使用すること必要となる。最大出力電力レベルの大きい電力増幅器は一般に高価であり、一般の携帯端末に搭載をするのは、コストの点からも難しい。



このような理由から、第4世代移動通信システム(4G)において、上り回線にOFDMの代わりに、シングルキャリア方式を採用することが検討されている。一般に、シングルキャリア方式を用いた線形変調においては、波形整形フィルタからの出力信号には振幅変動が生じ、特にロールオフ率αが小さくなるとダイナミックレンジも大きくなる。ロールオフ係数が小さければ、周波数軸上において変調信号のスペクトル拡がりを抑えることができるので、周波数利用効率を向上させることができる。しかし、変調信号のダイナミックレンジは大きくなるため、瞬時ピーク電力が増大し、電力増幅器の付加効率の要請と相容れない。



上述のような瞬時ピーク電力の問題を背景に、送信電力を低減する技術としてシェイピングが知られている。このシェイピングは、変調後のシンボルの分布を正規分布に近づけ、平均電力を低減して、通信路容量に近づけることを指す。一般には、正規分布に近づけることに限らず、通信路の特性に対応して、シンボルの分布が好ましくなるように、入力ビット系列を符号化している。シェイピング技術としては、トレリスシェイピングがよく知られている(非特許文献1を参照のこと)。トレリスシェイピングでは、ビタビアルゴリズムにおける符号語検索メトリックを適切に定義することによって、任意のシェイピングが可能となる。トレリスシェイピングによって、平均電力の低減だけでなく、送信信号のダイナミックレンジを低減することが検討されている。トレリスシェイピングは、π/4シフトQPSK変調の考え方を発展させたものである。すなわち、送信シンボル系列に対し、連続する2シンボル間における信号点の遷移角度の合計が最小になるように送信系列を符号化するものである(非特許文献2を参照)。



本特許出願の発明者らは、トレリスシェイピングにおいてピーク電力の低減をさらに改善する方法として、シングルキャリアに対してQAM変調を適用するシングルキャリア変調において適切なメトリックを定めることを目的として、参照電力との統計的モーメントを使用したメトリックに基づいたシングルキャリア変調方法を提案している(非特許文献3を参照)。この方法では、瞬時ピーク電力の分散値をメトリックとする。さらに、発明者らはリミッタモデルを使用したメトリックについてもその概念を提案している(非特許文献4)。すなわち、リミッタ法の概念に基づいて波形整形フィルタ以降の出力信号波形の瞬時ピークが一定包絡線に近づくような符号語を選択できるメトリックを提案している。




【特許文献1】特許第3763023号 明細書

【非特許文献1】G. D. Forney, Jr., “Trellis shaping,” IEEE Trans. Inform. Theory, vol. 38, pp. 281-300, Mar. 1992.

【非特許文献2】I.S.Morrison: “Trellis shaping applied to reducing the envelope fluctuations of MQAM and band-limited MPSK”, Proc.Int/Conf. on Digital Satellite Commum. (ICDSC'92), pp.143-149 1992

【非特許文献3】棚橋、落合、「シングルキャリアQAMにおけるトレリスシェイピングを用いたピーク電力制御」、電子情報通信学会技術研究報告、無線通信システムRCS2006-35-58, Vol.106, No.119

【非特許文献4】棚橋誠、 落合秀樹, “トレリスシェイピングを用いたシングルキャリアPSK変調信号のピーク電力低減に関する検討”、 電子情報通信学会技術報告, WBS2006-49, pp.31-36, 横須賀リサーチパーク(YRP), 2007年3月

産業上の利用分野


本発明は、シングルキャリア変調方法および復号方法に関する。より詳細には、シングルキャリア変調における瞬時ピーク電力を低減し、誤り率を改善した復号方法ならびにシングルキャリア変調装置および復調装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
情報データに基づいて、所定のデジタル変調方式に応じて、信号空間に配置された信号点に対応する複数の情報シンボルを決定し、第1の出力シンボル列を出力するデジタル変調部と、
前記デジタル変調部からの前記第1の出力シンボル列の各情報シンボル間に、所定の交番パターンに従って少なくとも1つの挿入シンボルを挿入し、第2のシンボル列を出力するシンボル挿入部であって、前記第2のシンボル列の隣り合う各情報シンボル間の信号空間上の位相遷移は、前記所定のデジタル方式により決定される90度以下の遷移角度に制限され、かつ、前記挿入シンボルは、前記デジタル変調方式により変調された情報データの復調時に誤り訂正符号として利用されること
を備えたことを特徴とするシングルキャリア変調装置。

【請求項2】
前記挿入シンボルは、前記第1のシンボル列における連続する2つの情報シンボル組について、前記連続する2つの情報シンボル間に挿入する前記少なくとも1つの挿入シンボル含む一覧テーブルを記憶した記憶手段をさらに備え、前記記憶手段から読み出された前記挿入シンボル挿入して前記第2のシンボル列を出力することを特徴とする請求項1に記載のシングルキャリア変調装置。

【請求項3】
前記所定のデジタル変調方式は、複数種類の異なるデジタル変調方式を含み、前記記憶手段は前記複数種類のデジタル変調方式に対応した複数の一覧テーブルを記憶していることを特徴とする請求項2に記載のシングルキャリア変調装置。

【請求項4】
前記所定の交番パターンは、連続する2つの情報シンボル間に1つの前記挿入シンボルを1つ挿入して交互に繰り返すことを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載のシングルキャリア変調装置。

【請求項5】
前記複数種類のデジタル変調方式は、PSK変調およびQAM変調の少なくとも1つを含むこと特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のシングルキャリア変調装置。

【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載された変調装置により変調された変調送信波を受信する受信装置あって、
前記挿入シンボルを抽出し、前記情報シンボルおよび前記挿入シンボルにより規定されるトレリスに基づいて、抽出された挿入シンボル列を復号する第1のSISOデコーダと、
デインターリーバを介して接続され、前記第1のSISOデコーダと協働して復号された挿入シンボル列の尤度を出力する第2のSISOのデコーダであって、前記挿入シンボル列は前記情報データ復号時の誤り訂正に利用され、記第1のSISOデコーダおよび前記第2のSISOデコーダが協働して反復復号を行ない、前記情報データのビット列の尤度値を生成することと、
前記第2のデコーダからの前記尤度値に基づいて硬判定処理により前記情報データを復号する硬判定復号処理部と
を備えたことを特徴とする受信装置。

【請求項7】
情報データに基づいて、所定のデジタル変調方式による送信変調信号の瞬時ピーク電力を低減する方法であって、
前記所定のデジタル変調方式に応じて、信号空間に配置された信号点に対応する複数の情報シンボルを決定し、第1の出力シンボル列を決定するステップと、
前記決定するステップにおいて生成された前記第1の出力シンボル列の各情報シンボル間に、所定の交番パターンに従って少なくとも1つの挿入シンボルを挿入し、第2のシンボル列を決定するステップであって、前記第2のシンボル列の隣り合う各情報シンボル間の信号空間上の位相遷移は、前記所定のデジタル方式により決定される90度以下の遷移角度に制限され、かつ、前記挿入シンボルは、前記デジタル変調方式により変調された情報データの復調時に誤り訂正符号として利用されることと、
を備えることを特徴とする瞬時ピーク電力低減方法。

【請求項8】
第2のシンボル列を決定する前記ステップは、前記第1のシンボル列における連続する2つの情報シンボル組について、前記連続する2つの情報シンボル間に挿入する前記少なくとも1つの挿入シンボル含む一覧テーブルを記憶した記憶手段から読み出された前記挿入シンボル挿入するステップを含むことを特徴とする請求項7に記載の瞬時ピーク電力低減方法。

【請求項9】
前記所定のデジタル変調方式は、複数種類の異なるデジタル変調方式を含み、前記記憶手段は前記複数種類のデジタル変調方式に対応した複数の一覧テーブルを記憶していることを特徴とする請求項8に記載の瞬時ピーク電力低減方法。

【請求項10】
前記所定の交番パターンは、連続する2つの情報シンボル間に1つの前記挿入シンボルを1つ挿入して交互に繰り返すことを特徴とする請求項7乃至9いずれかに記載の瞬時ピーク電力低減方法。
産業区分
  • 電信
  • 基本電子回路
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2007217385thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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