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スリップ率推定装置及びスリップ率制御装置 コモンズ

国内特許コード P110005000
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2007-317599
公開番号 特開2009-142108
登録番号 特許第4936552号
出願日 平成19年12月7日(2007.12.7)
公開日 平成21年6月25日(2009.6.25)
登録日 平成24年3月2日(2012.3.2)
発明者
  • 藤本 博志
  • 鈴木 亨
出願人
  • 国立大学法人横浜国立大学
発明の名称 スリップ率推定装置及びスリップ率制御装置 コモンズ
発明の概要

【課題】車体速度の検出を必要としない制動時のスリップ率推定装置を提供すること。
【解決手段】スリップ率推定装置は、モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車に実装され、駆動輪の回転速度ωおよび回転加速度ωdotを算出する車両モデル演算装置と、モータトルク測定手段が測定したトルクTと車両モデル演算装置が算出した回転速度ωおよび回転加速度ωdotを用いて、スリップ率λhatを算出するスリップ率演算装置からなる。スリップ率演算装置がスリップ率の時間変化を考慮した常微分方程式を解くことにより、車体速度を検出することなく高精度なスリップ率推定を行うことができる。
【選択図】図12

従来技術、競合技術の概要


現在、モータを駆動力として利用した電気自動車に注目が集まっている。これは、燃費・環境問題の他にも、モータを駆動力とすることにより得られる利点がある。その利点として以下の3つが挙げられる。
・モータがエンジンに比べて小さいため、各車輪に分散配置が可能
・モータがエンジンに対して、トルク応答が数百倍速い
・発生トルクを正確に把握できる



電気自動車は環境問題の視点から大きな注目を集めているが、以上のようなモータ特性により車両制御の点からも非常に有利であるといえる。上記の優位点を利用した、トラクションコントロールの研究が発表されている(非特許文献1、2、3参照)。



トラクション制御を行う際、車輪速度と車体速度によって定義されるスリップ率は非常に重要な値であるが、車輪速度に比べて車体速度は測定が困難な場合が多い。通常は非駆動輪の車輪速度、加速度センサの積分、光学センサ等から測定する。しかし、非駆動輪を用いた測定においては、機械ブレーキを使って減速した場合、制動力が四輪全てに働くため、非駆動輪が存在せず車体速度は測定できない。また四輪駆動車であればもともと非駆動輪が存在しないので、この場合も車体速度を測定することができない。これらを解消するために非駆動の第五輪を取付けるのは一般車では現実的でない。加速度センサの積分から求める場合、加速度センサの値にオフセットがあると、オフセットを積分し続けるので推定値が発散してしまう。また、光学センサは信頼できるが、高価であり実用向きでない。



従って、検出困難な車体速度を用いることなく正確なスリップ率を得るスリップ率推定法は極めて実用的であるといえる。非特許文献1ではスリップ率を制御しトラクションコントロールを行っているが、検出困難な車体速度を必要としている。非特許文献2では車体速度情報を用いていないが、空転検出を行うのみでスリップ率の過渡的変化は考慮していない。これに対して発明者らのグループは非特許文献3で、駆動時(加速時)における車体速度検出不要なスリップ率推定法と制御法を提案した。




【非特許文献1】佐渡秀夫、坂井真一郎、内田利之、堀洋一:「路面状態推定とスリップ率制御を用いた電気自動車の高性能トラクションコントロール」、平成10 年電気学会産業応用部門全国大会講演論文集、1998年、3、pp321-324

【非特許文献2】坂井真一郎、佐渡秀夫、堀洋一:「電気自動車における車体速度情報不要の新しいタイヤ空転検出法」、電学論、2000年、D.120、2、pp281-287

【非特許文献3】藤井淳、藤本博志:「車体速度検出不要なスリップ率推定に基づく電気自動車のトラクション制御に関する研究」、横浜国立大学学位論文、2007年

【非特許文献4】小竹元基、永井正夫:「操安性向上を目指した超小型電気自動車の車輪駆動トルク制御」、自動車技術会論文集、2003年、34、4、pp169-174

【非特許文献5】H.B.Pacejka、 and E.Bakker、 “The Magic FormulaTyre Model”、 Tyre models for vehicle dynamic analysis:proceedings of the 1st International Colloquium onTyre Models for Vehicle Dynamics Analysis、 held inDelft、 The Netherlands、 Oct 21-22 (1991)

産業上の利用分野


本発明は、スリップ率推定装置及びスリップ率制御装置に関し、より詳細には、スリップ率の時間変化を考慮した車体速度検出不要な減速時におけるスリップ率推定装置及びスリップ率制御装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】
モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車に用いるスリップ率測定装置において、
前記モータのトルクTを測定するモータトルク測定手段
駆動輪の回転速度ωおよび回転加速度
【数式1】


(ωdot)を算出する車両モデル演算手段と、
前記モータトルク測定手段が測定したトルクTと前記車両モデル演算手段が算出した回転速度ωおよび回転加速度ωdotを用いて、スリップ率に関する常微分方程式(A)を計算することにより推定スリップ率
【数式2】


(λhat)を算出するスリップ率演算手段と
を備えたことを特徴とするスリップ率推定装置。
【数式3】


(r:駆動輪のタイヤ半径、M:車両重量、Jω:駆動輪回転部慣性モーメント)

【請求項2】
モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車に用いるスリップ率測定装置において、
前記モータのトルクTを測定するモータトルク測定手段と、
前記自動車の車体加速度axを測定する加速度測定手段と、
駆動輪の回転速度ωおよび回転加速度ωdotを算出する車両モデル演算手段と、
前記自動車の駆動力Fdの推定値を算出する駆動力演算手段と、
前記駆動力演算手段が算出した推定駆動力
【数式4】


(Fdhat)と前記加速度測定手段が測定した前記車体加速度axとから走行抵抗Fdrの推定値を算出する走行抵抗演算手段と、
前記モータトルク測定手段が測定したトルクTと、前記車両モデル演算手段が算出した回転速度ωおよび回転加速度ωdotと、前記走行抵抗演算手段が算出した推定走行抵抗
【数式5】


(Fdrhat)を用いて、スリップ率に関する常微分方程式(B)を計算することにより推定スリップ率λhatを算出するスリップ率演算手段と
を備えたことを特徴とするスリップ率推定装置。
【数式6】


(r:駆動輪のタイヤ半径、M:車両重量、Jω:駆動輪回転部慣性モーメント)

【請求項3】
モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車に用いるスリップ率測定装置において、
予め指定された駆動輪の回転速度から前記モータに対するトルク指令を演算する手段と、
前記モータのトルクを当該トルク指令に基づき制御する手段と、
請求項1又は2に記載のスリップ率推定装置を備え、当該スリップ率推定装置が算出する推定スリップ率が所望の値をとるようにモータの当該トルクを制御することを特徴とするスリップ率制御装置。

【請求項4】
モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車に用いるスリップ率測定装置において、
予め指定された駆動輪の回転速度から前記モータに対するトルク指令を演算する手段と、
前記モータのトルクを前記トルク指令に基づき制御する手段と、
入力される駆動輪の回転速度から目標トルクTを算出する比例積分制御手段と、
前記目標トルクTから前記駆動輪の回転速度ω及び回転加速度ωdotを算出する車両モデル演算手段と、
前記比例積分制御手段が算出した目標トルクT、前記車両モデル演算手段が算出した駆動輪の回転速度ω及び回転加速度ωdotを用いてスリップ率に関する常微分方程式(A)を計算して推定スリップ率λhatを算出するスリップ率演算手段と、
前記スリップ率推定装置が算出した推定スリップ率から車体速度を算出し、当該車体速度から目標スリップ率に対する駆動輪の目標回転速度を算出する車輪速度演算手段とを備え、
前記比例積分制御手段は、前記スリップ率演算手段が算出した推定スリップ率に応じて当該制御ゲインを変化させ、前記トルク指令を演算する手段は、当該比例積分制御手段から算出された前記目標トルクTに基づいて演算することを特徴とするスリップ率制御装置。
【数式7】


(r:駆動輪のタイヤ半径、M:車両重量、Jω:駆動輪回転部慣性モーメント)

【請求項5】
モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車に用いるスリップ率測定装置において、
前記モータに対するトルク指令を演算する手段と、
前記モータのトルクTを当該トルク指令に基づき制御する手段と、
前記自動車の車体加速度axを測定する加速度測定手段と、
入力される駆動輪の回転速度から目標トルクTを算出する比例積分制御手段と、
前記目標トルクTから前記駆動輪の回転速度ω及び回転加速度ωdotを算出する車両モデル演算手段と、
前記自動車の駆動力Fdの推定値を算出する駆動力演算手段と、
前記駆動力演算手段が算出した推定駆動力Fdhatと前記加速度測定手段が測定した前記車体加速度axとから走行抵抗Fdrの推定値を算出する走行抵抗演算手段と、
前記比例積分制御手段が算出したトルクTと、前記車両モデル演算手段が算出した駆動輪の回転速度ωおよび回転加速度ωdotと、前記走行抵抗演算手段が算出した推定走行抵抗Fdrhatを用いて、スリップ率に関する常微分方程式(B)を計算することにより推定スリップ率λhatを算出するスリップ率演算手段と
前記スリップ率演算手段が算出した推定スリップ率λhatから車体速度を算出し、当該車体速度から目標スリップ率λ*に対する駆動輪の目標回転速度を算出する車輪速度演算手段とを備え、
前記比例積分制御手段は、前記スリップ率演算手段が算出した推定スリップ率に応じて当該制御ゲインを変化させ、前記トルク指令を演算する手段は、当該比例積分制御手段から算出された前記トルクTに基づいて演算することを特徴とするスリップ率制御装置。
【数式8】


(r:駆動輪のタイヤ半径、M:車両重量、Jω:駆動輪回転部慣性モーメント)

【請求項6】
モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車において、請求項1又は2に記載のスリップ率推定装置を備え、当該スリップ率推定装置が算出する推定スリップ率が所望の値をとるようにモータの前記トルクを制御することを特徴とする自動車。

【請求項7】
モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車において、モータの当該トルクを制御する請求項3乃至5のいずれかに記載のスリップ率制御装置を備えたことを特徴とする自動車。
産業区分
  • 交通
  • 鉄道
  • 発電、電動
  • 電力応用
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2007317599thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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