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スリップ率推定装置およびスリップ率制御装置 コモンズ 外国出願あり

国内特許コード P110005013
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2008-533050
登録番号 特許第4538642号
出願日 平成19年3月5日(2007.3.5)
登録日 平成22年7月2日(2010.7.2)
国際出願番号 JP2007054220
国際公開番号 WO2008029524
国際出願日 平成19年3月5日(2007.3.5)
国際公開日 平成20年3月13日(2008.3.13)
優先権データ
  • 特願2006-243454 (2006.9.7) JP
発明者
  • 藤本 博志
  • 藤井 淳
出願人
  • 国立大学法人横浜国立大学
発明の名称 スリップ率推定装置およびスリップ率制御装置 コモンズ 外国出願あり
発明の概要

車体速を用いることなくスリップ率を測定するスリップ率推定装置およびそれを用いたスリップ率制御装置を提供する。トルク測定器で測定したモータトルクを、車両モデル(601)、スリップ率の時間微分も含めて計算するSRE(602)にそれぞれ入力する。車両モデル(601)は、車輪の回転速度、車輪の回転加速度、車体速度を導出し、その車輪の回転速度、車輪の回転加速度をSRE(602)に出力する。SRE(602)は、モータトルク、車輪の回転速度、車輪の回転加速度からスリップ率を出力する。

従来技術、競合技術の概要


現行の内燃機関自動車(ICEV:Internal Combustion Engine Vehicle)に対し、電気自動車(EV:Electric Vehicle)はエネルギー・環境問題の他に、トルク応答が数百倍速く、正確に発生トルクを把握することが可能であるという利点がある。これらの優位性はモータに由来するものであり、駆動力としてモータを利用する電気自動車特有の利点である。これらの利点に注目することによって、ICEVには不可能であった車両制御が可能になり、トラクションコントロールについても、これらモータの優位性を生かした制御が行われるようになった(非特許文献1、2参照)。



トラクションコントロールを実現する上で重要な変数であるスリップ率を測定するには、車体速の測定は不可欠であった。車体速の測定には、第5輪を装着する、または非駆動輪にセンサを取り付けて車輪の回転速度を測定する、もしくは加速度センサにより得られた値を積分する必要があった。



しかしながら、第5輪の装着は非常に困難であり、加速度センサを用いる場合にはノイズや積分を行なう際にオフセットが生じて精密な測定が困難であるという課題があった。また、非駆動輪にセンサを取り付けて車輪の回転速度から車体速を測定する方法も、制動時には車体速を測定できない、車両の前輪が非駆動輪である場合には舵角を切ることで正確な車体速が得られなくなる、非駆動輪を持たない全輪駆動車には適用できない等の課題があった。また、非駆動輪にセンサを取り付けることでコストアップやシステムの複雑化が生じるという課題があった。



本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、車体速を用いることなくスリップ率を推定するスリップ率推定装置およびそれを用いて目標スリップ率に素早く追従することが可能なスリップ率制御装置を提供することにある。




【非特許文献1】吉本貫太郎、河村篤男、「電気自動車の車輪スリップ率推定方法」、電気学会産業応用部門大会、平成12年、Vol.2、pp.561-564

【非特許文献2】鶴岡慶雅、豊田靖、堀洋一、「電気自動車のトラクションコントロールに関する基礎研究」、電気学会論文誌、1998年、Vol.118-D、No.1、pp.44-50

【非特許文献3】H.B.Pacejka, and E.Bakker, “The Magic Formula Tyre Model”, Proc. 1st International Colloquium on Tyre Models for Vehicle Dynamics Analysis, Held in Delft, The Netherlands, Oct 21-22, 1991

【非特許文献4】齋藤健夫、藤本博志、野口季彦、「スリップ率及びヨーモーメントオブザーバを用いた電気自動車の操縦安定化制御方法」、電気学会産業計測制御研究会、2003年、IIC-03-52、pp.41-46

【非特許文献5】Y.Hori, “Traction Control of Electric Vehicle -BasicExperimental Results using the Test EV “UOT Electric March II””, IEEE Trans. on Industry Applications, 1998, Vol.34,No.5,pp.1131-1138

【非特許文献6】坂井真一郎、堀洋一、「電気自動車の新しい車両運動制御に関する研究」、東京大学学位論文、1999

産業上の利用分野


本発明は、スリップ率推定装置およびスリップ率制御装置に関し、より詳細には、車体速を用いないスリップ率推定装置およびスリップ率制御装置に関する。

特許請求の範囲 【請求項1】 モータのトルク(T)で駆動輪を駆動する自動車に用いるスリップ率推定装置において、
前記モータのトルクを測定するモータトルク測定手段と、
駆動輪の回転速度(ω)および回転加速度
【数式1】
を算出する車両モデル演算手段と、
前記モータトルク測定手段が測定したトルクと前記車両モデル演算手段が算出した回転速度および回転加速度を用いて、スリップ率に関する常微分方程式を計算することにより推定スリップ率
【数式2】
を算出するスリップ率演算手段と
を備えたことを特徴とするスリップ率推定装置。
【請求項2】 前記スリップ率演算手段は、スリップ率の前記常微分方程式として式(A)を計算することにより、前記推定スリップ率を算出することを特徴とする請求項1に記載のスリップ率推定装置。
【数式3】
(r:駆動輪のタイヤ半径、M:車両重量、Jω:駆動輪回転部慣性モーメント)
【請求項3】 前記スリップ率演算手段は、前記式(A)の右辺に車体加速度の推定誤差に基づくスリップ率オブザーバを加えて計算することを特徴とする請求項2に記載のスリップ率推定装置。
【請求項4】 当該自動車の車体加速度(a)を測定する加速度測定手段をさらに有し、前記スリップ率演算手段は、前記式(A)の右辺に前記スリップ率オブザーバを加えて計算することを特徴とする請求項3に記載のスリップ率推定装置。
【請求項5】 前記スリップ率演算手段は、前記式(A)の右辺に前記スリップ率オブザーバを加えた式(B)を計算することを特徴とする請求項4に記載のスリップ率推定装置。
【数式4】
(k:オブザーバゲイン、N:タイヤ1輪にかかる垂直抗力、μ:摩擦係数)
【請求項6】 モータのトルク(T)で駆動輪を駆動する自動車に用いるスリップ率推定装置において、
前記モータのトルクを測定するモータトルク測定手段と、
前記自動車の車体加速度(a)を測定する加速度測定手段と、
駆動輪の回転速度(ω)および回転加速度
【数式5】
を算出する車両モデル演算手段と、
前記自動車の駆動力の推定値を算出する駆動力演算手段と、
前記駆動力演算手段が算出した推定駆動力と前記加速度測定手段が測定した前記車体加速度から走行抵抗(Fdr)の推定値を算出する走行抵抗演算手段と、
前記モータトルク測定手段が測定したトルクと、前記車両モデル演算手段が算出した回転速度および回転加速度と、前記走行抵抗演算手段が算出した推定走行抵抗を用いて、スリップ率に関する常微分方程式を計算することにより推定スリップ率
【数式6】
を算出するスリップ率演算手段と
を備えたことを特徴とするスリップ率推定装置。
【請求項7】 前記スリップ率演算手段は、スリップ率の前記常微分方程式として式(C)を計算することにより、推定スリップ率を算出することを特徴とする請求項6に記載のスリップ率推定装置。
【数式7】
(r:駆動輪のタイヤ半径、M:車両重量、Jω:駆動輪回転部慣性モーメント)
【請求項8】 前記スリップ率演算手段は、前記式(C)の右辺に車体加速度の推定誤差に基づくスリップ率オブザーバを加えて計算することを特徴とする請求項7に記載のスリップ率推定装置。
【請求項9】 前記スリップ率演算手段は、前記式(C)の右辺に前記スリップ率オブザーバを加えた式(D)を計算することを特徴とする請求項8に記載のスリップ率推定装置。
【数式8】
(k:オブザーバゲイン、N:タイヤ1輪にかかる垂直抗力、μ:摩擦係数)
【請求項10】 モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車に用いるスリップ率制御装置において、
前記モータに対するトルク指令を演算する手段と、
前記モータのトルクを前記トルク指令に基づき制御する手段と、
入力されるスリップ率から目標トルク(T)を算出する比例積分制御手段と、
前記目標トルクから前記駆動輪の回転速度(ω)及び回転加速度
【数式9】
を算出する車両モデル演算手段と、
前記比例積分制御手段が算出した目標トルク、前記車両モデル演算手段が算出した駆動輪の回転速度及び回転加速度を用いてスリップ率に関する常微分方程式を計算して推定スリップ率
【数式10】
を算出するスリップ率演算手段と、
を備え、
前記比例積分制御手段は、所望の目標スリップ率(λ)から前記推定スリップ率を引いたスリップ率を入力され、前記トルク指令を演算する手段は、当該比例積分制御手段から算出された前記目標トルクに基づいて演算することを特徴とするスリップ率制御装置。
【請求項11】 前記比例積分制御手段は、非線形補償を行うことを特徴とする請求項10に記載のスリップ率制御装置。
【請求項12】 前記比例積分制御手段は、式(E)に基づく非線形補償を行うことを特徴とする請求項11に記載のスリップ率制御装置。
【数式11】
(r:駆動輪のタイヤ半径、M:車両重量、Jω:駆動輪回転部慣性モーメント、Kp:比例定数)
【請求項13】 前記比例積分制御手段は、目標スリップ率と目標トルクから式(F)に基づいて算出された前記駆動輪の回転加速度を式(E)において用いることを特徴とする請求項12に記載のスリップ率制御装置。
【数式12】
(r:駆動輪のタイヤ半径、M:車両重量、Jω:駆動輪回転部慣性モーメント)
【請求項14】 モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車に用いるスリップ率制御装置において、
指定された駆動輪の回転速度から前記モータに対するトルク指令を演算する手段と、
前記モータのトルクを前記トルク指令に基づき制御する手段と、
入力される駆動輪の回転速度から目標トルク(T)を算出する比例積分制御手段と、
前記目標トルクから前記駆動輪の回転速度(ω)及び回転加速度
【数式13】
を算出する車両モデル演算手段と、
前記比例積分制御手段が算出した目標トルク、前記車両モデル演算手段が算出した駆動輪の回転速度及び回転加速度を用いてスリップ率に関する常微分方程式を計算して推定スリップ率
【数式14】
を算出するスリップ率演算手段と、
前記スリップ率演算手段が算出した推定スリップ率から車体速度を算出し、当該車体速度から目標スリップ率に対する駆動輪の目標回転速度を算出する車輪速度演算手段とを備え、
前記比例積分制御手段は、前記スリップ率演算手段が算出した推定スリップ率に応じて当該制御ゲインを変化させ、前記トルク指令を演算する手段は、当該比例積分制御手段から算出された前記目標トルクに基づいて演算することを特徴とするスリップ率制御装置。
【請求項15】 前記比例積分制御手段は、式(G)に基づき極配置法により前記制御ゲインを決定することを特徴とする請求項14に記載のスリップ率制御装置。
【数式15】
(r:駆動輪のタイヤ半径、M:車両重量、Jω:駆動輪回転部慣性モーメント)
【請求項16】 前記スリップ率演算手段は、スリップ率の前記常微分方程式として式(A)を計算することにより、前記推定スリップ率を算出することを特徴とする請求項10乃至15のいずれかに記載のスリップ率制御装置。
【数式16】
(r:駆動輪のタイヤ半径、M:車両重量、Jω:駆動輪回転部慣性モーメント)
【請求項17】 前記スリップ率演算手段は、前記式(A)の右辺に車体加速度の推定誤差に基づくスリップ率オブザーバを加えて計算することを特徴とする請求項16に記載のスリップ率制御装置。
【請求項18】 前記自動車は、当該自動車の車体加速度(a)を測定する加速度測定手段をさらに有し、前記スリップ率推定手段は、前記式(A)の右辺に前記スリップ率オブザーバを加えて計算することを特徴とする請求項17に記載のスリップ率制御装置。
【請求項19】 前記スリップ率演算手段は、前記式(A)の右辺に前記スリップ率オブザーバを加えた式(B)を計算することを特徴とする請求項18に記載のスリップ率制御装置。
【数式17】
(k:オブザーバゲイン、N:タイヤ1輪にかかる垂直抗力、μ:摩擦係数)
【請求項20】 モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車に用いるスリップ率制御装置において、
前記モータに対するトルク指令を演算する手段と、
前記モータのトルクを前記トルク指令に基づき制御する手段と、
前記自動車の車体加速度(a)を測定する加速度測定手段と、
前記自動車の駆動力の推定値を算出する駆動力演算手段と、
前記駆動力演算手段が算出した推定駆動力と前記加速度測定手段が測定した前記車体加速度とから走行抵抗の推定値
【数式18】
を算出する走行抵抗演算手段と、
入力されるスリップ率から前記トルク(T)を算出する比例積分制御手段と、
前記駆動輪の回転速度(ω)及び回転加速度
【数式19】
を算出する車両モデル演算手段と、
前記比例積分制御手段が算出したトルクと、前記車両モデル演算手段が算出した駆動輪の回転速度および回転加速度と、前記走行抵抗演算手段が算出した推定走行抵抗を用いて、スリップ率に関する常微分方程式を計算することにより推定スリップ率
【数式20】
を算出するスリップ率演算手段と
を備え、
前記比例積分制御手段は、所望の目標スリップ率(λ)から前記推定スリップ率を引いたスリップ率を入力され、前記トルク指令を演算する手段は、当該比例積分制御手段から算出された前記トルクに基づいて演算することを特徴とするスリップ率制御装置。
【請求項21】 前記比例積分制御手段は、非線形補償を行うことを特徴とする請求項20に記載のスリップ率制御装置。
【請求項22】 前記比例積分制御手段は、式(E)に基づく非線形補償を行うことを特徴とする請求項21に記載のスリップ率制御装置。
【数式21】
(r:駆動輪のタイヤ半径、M:車両重量、Jω:駆動輪回転部慣性モーメント、Kp:比例定数)
【請求項23】 前記比例積分制御手段は、目標スリップ率と目標トルクから式(F)に基づいて算出された前記駆動輪の回転加速度を式(E)において用いることを特徴とする請求項22に記載のスリップ率制御装置。
【数式22】
(r:駆動輪のタイヤ半径、M:車両重量、Jω:駆動輪回転部慣性モーメント)
【請求項24】 モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車に用いるスリップ率制御装置において、
前記モータに対するトルク指令を演算する手段と、
前記モータのトルクを前記トルク指令に基づき制御する手段と、
前記自動車の車体加速度(a)を測定する加速度測定手段と、
前記自動車の駆動力の推定値を算出する駆動力演算手段と、
前記駆動力演算手段が算出した推定駆動力と前記加速度測定手段が測定した前記車体加速度とから走行抵抗の推定値
【数式23】
を算出する走行抵抗演算手段と、
入力される駆動輪の回転速度から目標トルク(T)を算出する比例積分制御手段と、
前記目標トルクから前記駆動輪の回転速度(ω)及び回転加速度
【数式24】
を算出する車両モデル演算手段と、
前記比例積分制御手段が算出した目標トルクと、前記車両モデル演算手段が算出した駆動輪の回転速度および回転加速度と、前記走行抵抗演算手段が算出した推定走行抵抗を用いて、スリップ率に関する常微分方程式を計算することにより推定スリップ率
【数式25】
を算出するスリップ率演算手段と、
前記スリップ率演算手段が算出した推定スリップ率から車体速度を算出し、当該車体速度から所望の目標スリップ率(λ)に対する駆動輪の目標回転速度を算出する車輪速度演算手段とを備え、
前記比例積分制御手段は、前記スリップ率演算手段が算出した推定スリップ率に応じて当該制御ゲインを変化させ、前記トルク指令を演算する手段は、当該比例積分制御手段から算出された前記トルクに基づいて演算することを特徴とするスリップ率制御装置。
【請求項25】 前記比例積分制御手段は、式(G)に基づき極配置法により前記制御ゲインを決定することを特徴とする請求項24に記載のスリップ率制御装置。
【数式26】
(r:駆動輪のタイヤ半径、M:車両重量、Jω:駆動輪回転部慣性モーメント)
【請求項26】 前記スリップ率演算手段は、スリップ率の前記常微分方程式として式(C)を計算することにより、前記推定スリップ率を算出することを特徴とする請求項20乃至25に記載のスリップ率制御装置。
【数式27】
(r:駆動輪のタイヤ半径、M:車両重量、Jω:駆動輪回転部慣性モーメント)
【請求項27】 前記スリップ率演算手段は、前記式(C)の右辺に車体加速度の推定誤差に基づくスリップ率オブザーバを加えて計算することを特徴とする請求項26に記載のスリップ率制御装置。
【請求項28】 前記スリップ率演算手段は、前記式(C)の右辺に前記スリップ率オブザーバを加えた式(D)を計算することを特徴とする請求項27に記載のスリップ率制御装置。
【数式28】
(k:オブザーバゲイン、N:タイヤ1輪にかかる垂直抗力、μ:摩擦係数)
【請求項29】 モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車において、請求項1乃至9のいずれかに記載のスリップ率推定装置を備え、当該スリップ率推定装置が算出する推定スリップ率が所望の値をとるようにモータの前記トルクを制御することを特徴とする自動車。
【請求項30】 モータのトルクで駆動輪を駆動する自動車において、モータの当該トルクを制御する請求項10乃至28のいずれかに記載のスリップ率制御装置を備えたことを特徴とする自動車。
産業区分
  • 鉄道
  • 自動車
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2008533050thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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