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耐圧性気球およびその製造方法

国内特許コード P010000007
整理番号 KI000056
掲載日 2002年9月30日
出願番号 特願平10-195633
登録番号 特許第2967196号
出願日 平成10年7月10日(1998.7.10)
登録日 平成11年8月20日(1999.8.20)
発明者
  • 矢島 信之
  • 井筒 直樹
出願人
  • 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構
発明の名称 耐圧性気球およびその製造方法
発明の概要 【課題】耐圧性が高く、また構造が簡単で製造が容易なガス袋を備えた気球を提供する。
【解決手段】ガス袋11を形成するゴア13の幅および長さを自然型のガス袋のゴアの形状の幅および長さより大きくし、またロードテープ14は自然型のゴアの側縁部の周長と等しくし、上記のゴア13の縁部を短縮した状態でロードテープ14に接合し、この幅および長さの余剰分でゴアを膨出させ、その曲率半径を小さくして耐圧性を向上させる。
従来技術、競合技術の概要


従来から、高空を飛翔する気球として、たとえば高度30~40Kmの成層圏を飛翔する科学観測用大気球がある。このような高空用の気球は、上昇とともにガス袋が膨脹し、最大高度に達してこのガス袋が最大容積となると、ガス袋の下部に形成されている排気口等から総重量の10%程度の自由浮力分のガスが排出され、一定の高度を維持して飛翔する。
しかし、日没とともにガス袋内のガスの温度が低下するので、ガスの浮力が全浮力の7~10%減少し、気球の高度が低下する。したがって、日没後に高度を一定に維持するには、バラストを投下してこの浮力の減少分を補償する必要がある。このため、たとえば数日間の長時間の飛翔を行う気球の場合には、上記のような高度維持のために多量のバラストを搭載しておく必要がある。
たとえば、南極より観測気球を打ち上げ、夏期に成層圏に吹く周回風に乗せて10日程で一周させる科学観測気球の場合には、300Kgの搭載重量のうち、その約半分が上記の高度維持用のバラスト重量であった。
このため、上記のようなバラストの消費量を減少させ、より長時間の飛翔を可能とし、またペイロードを増加させることが要望されている。このような要望を満足させる手段として、耐圧性のガス袋を備えたいわゆるスーパープレッシャー気球がある。
このスーパープレッシャー気球は、内圧に耐える耐圧性のガス袋を備えており、最大高度に達してガス袋が最大容積となった後にも上昇浮力分のガスを排出せず、ガス袋の最大容積および内部のガスの圧力を維持したまま、大気密度の低下により浮力が減少して一定の高度で水平飛翔する。このようなスーパプレッシャー気球は、日没後にガスの温度が低下しても、ガス袋内のガス圧が低下するだけでこのガス袋の最大容積は変化せず、バラストを投下することなく最大高度を維持したまま水平飛翔を維持することができる。これによって、従来のように大量のバラストを消費することがなく、より長時間の飛翔が可能となり、またペイロードも増加する。
ところで、このようなスーパープレッシャー気球を実現するには、内圧に耐える耐圧性のガス袋が必要となる。このガス袋の耐圧性を高めるには、より軽量でより強度の高い被膜材料を使用すれば良いが、現在開発されている被膜材料では、たとえばガス袋の容積が100,000立方メートル、半径約100mの大形の耐圧気球を製造することは困難であった。
このため、上記のようなスーパープレッシャー気球をより大形化、高性能化するには、被膜材料の開発とともに、より高い内圧に耐えるようなガス袋の構造も開発する必要がある。

産業上の利用分野


本発明は、成層圏観測用の気球等、高空用の気球に関する。さらに特定すれば、本発明は内圧に耐えるガス袋を備え、より高い高度をより長時間飛翔することができる耐圧気球を提供するものである。

特許請求の範囲 【請求項1】
気密性の被膜材料から形成された紡錘形の複数のゴアをその両側縁部を互いに接合するとともに、これらゴアの両側縁部の接合部に沿って張力に耐えるロードテープを取り付けたガス袋を備え、このガス袋が最大容積まで膨張した後も上昇浮力分のガスを排出せずに内部のガスの圧力を維持する耐圧性の気球であって、
上記の各ゴアの形状寸法は、上記のガス袋の被膜材料に縦方向の張力のみ発生し周方向には張力が発生しないと規定される自然型の形状に対して、その幅および長さが大きく形成されており、
また上記のロードテープの長さは、上記のゴアの自然型の形状の両側縁部の長さに対応した長さに設定されており、
上記の各ゴアは、それらの両側縁部が上記のロードテープの長さに対応した長さに均一に皺が形成されて短縮された状態で上記のロードテープに接合されており、
上記のガス袋内にガスが充填された場合に上記の各ゴアの被膜材料は上記のロードテープの間で外側に膨出することを特徴とする耐圧性気球。

【請求項2】
前記のガス袋の最大半径の位置に対応した各ゴアの位置Y0の被膜材料の外側への膨出の曲率半径Rarc,0 とした場合に、各ゴアの任意の位置における被膜材料の外側への膨出の曲率半径Rarc は、
Rarc ≦Rarc,0
としたことを特徴とする請求項1の耐圧性気球。

【請求項3】
前記のガス袋の内部のガスの密度と外気の密度との差をdρ、ガス袋の底部のバイアス圧力をP0 とし、前記のガス袋の最大半径の位置に対応した各ゴアの位置Y0の被膜材料の外側への膨出の曲率半径Rarc,0 とし、また各ゴアの縦方向の位置をYとした場合に、これらゴアの任意の位置における被膜材料の曲率半径Rarc を、
Rarc =Rarc,0 ・(P0 +dρ・g・Y0 )/(P0 +dρ・g・Y)
としたことを特徴とする請求項1の耐圧性気球。

【請求項4】
前記の各ゴアの中心線の長さLmeriは、これらゴアの任意の微小部分の被膜材料の外側への膨出の曲率半径をRm 、この微小部分の曲率半径の傾き角をθm とし、またこの微小部分が外側に膨出した膨出高さをLexp とし、またこの膨出によるゴアの中心線の長さの微小増加分dLmeriとした場合に、この微小増加分dLmeriをガス袋の底部から頂部まで積分した長さ、
Lmeri=∫(Lexp +Rm )・dθm
としたことを特徴とする請求項1の耐圧性気球。

【請求項5】
気密性の被膜材料から形成された紡錘形の複数のゴアをその両側縁部を互いに接合するとともに、これらゴアの両側縁部の接合部に沿って張力に耐えるロードテープを取り付けたガス袋を備え、このガス袋が最大容積まで膨張した後も上昇浮力分のガスを排出せずに内部のガスの圧力を維持する耐圧性の気球を製造する方法であって、
上記の各ゴアをその自然型の形状に対して、その幅および長さが大きな形状の複数のゴアを裁断する工程と、
ゴアの自然型の形状の両側縁部の長さに対応した長さにロードテープを切断する工程と、
上記の各ゴアの両側縁部を互いに接合するとともに、これらゴアの両側縁部を上記のロードテープの長さに対応した長さに均一に皺を形成して短縮せた状態で上記のロードテープに接合する工程、とを具備したことを特徴とする耐圧性気球の製造方法。

【請求項6】
前記のゴアの両側縁部およびロードテープの接合工程は、
前記のゴアの両側縁部を互いに接合するとともに、この接合部に沿って前記のロードテープが挿入可能な袋状部を形成する工程と、
上記の袋状部内にロードテープを挿入する工程と、
上記の袋状部を挿入したロードテープの長さと等しい長さに均一に皺を形成して短縮させる工程と、
上記の袋状部とロードテープとを接合する工程、とを備えたことを特徴とする請求項5の耐圧性気球の製造方法。

【請求項7】
前記のゴアの両側縁部およびロードテープの接合工程は、前記のゴアの両側縁部を所定量ずつ短縮させて均一に皺を形成しつつロードテープと接合することを特徴とする請求項5の耐圧性気球の製造方法。

【請求項8】
前記のゴアの両側縁部を上記のロードテープの長さに対応した長さに均一に皺を形成して短縮せた状態で上記のロードテープに接合する工程は、このゴアの両側縁部とロードテープとを間欠的に接合し、前記のゴアの両側縁部に形成される皺をこれら間欠的な接合部分の間に形成させることを特徴とする請求項5の耐圧性気球の製造方法。

【請求項9】
前記のゴアの両側縁部を上記のロードテープの長さに対応した長さに均一に皺を形成して短縮せた状態で上記のロードテープに接合する工程は、このゴアの両側縁部とロードテープとを連続的に接合し、前記のゴアの両側縁部に形成される皺をこの連続的な接合部分に封入することを特徴とする請求項5の耐圧性気球の製造方法。
国際特許分類(IPC)
画像

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出願権利状態 登録
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