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キチン質分解酵素を遺伝子標識に利用した細菌モニタリング法 コモンズ

国内特許コード P110005020
掲載日 2011年8月18日
出願番号 特願2002-260418
公開番号 特開2004-097032
登録番号 特許第3726132号
出願日 平成14年9月5日(2002.9.5)
公開日 平成16年4月2日(2004.4.2)
登録日 平成17年10月7日(2005.10.7)
発明者
  • 眞山 滋志
  • 土佐 幸雄
  • 大津 康成
  • 豊田 秀吉
  • 桜谷 保之
  • 松田 克礼
  • 野々村 照雄
  • 瀧川 義浩
  • 森 裕文
出願人
  • 国立大学法人神戸大学
発明の名称 キチン質分解酵素を遺伝子標識に利用した細菌モニタリング法 コモンズ
発明の概要

【課題】本発明は、キチン質分解酵素であるキチナーゼおよびキトサナーゼ遺伝子をリポーターとして利用する標識細菌モニタリング法を開発することを目的とする。
【解決手段】本発明は、キチン質分解酵素遺伝子が導入された細菌を検出するための方法であって、
前記キチン質分解酵素遺伝子が導入された細菌を、該細菌に特異的なバクテリオファージと接触させる工程と、
前記バクテリオファージの感染によって溶菌した細菌のライセートとキチン質分解酵素基質を反応させる工程と、
前記基質の分解を検出する工程と、
を含む方法を提供する。
【選択図】  図2

従来技術、競合技術の概要
従来技術および発明の背景
植物の葉の表面に安定したコロニーを作る微生物は、葉面病原菌、または食葉害虫を抑制する分子を導入するための生物学的なベクターになると考えられ(Andrews 1992)、これら株の多くが、植物病原菌を生物学的に制御するための有効なアンタゴニストとして使用されている(Hadar et al. 1983; Wilson et al. 1987; Howell et al 1988; Nelson and Craft 1991; Okamoto et al. 2000; Tsuda et al. 2001)。
【0003】
本発明者らは、日本中の温室トマトを荒らすうどんこ病菌および植物食性のテントウムシを効果的に生物防除するためのベクターとして使用できる葉面細菌を単離すべく、温室トマトの葉に生息する葉面細菌のスクリーニングを行った。その結果、葉面細菌Enterobacter cloacaeを単離することに成功した(Matsuda et al. 2001)。
【0004】
また、プラスミドが導入されたEnterobacter cloacae細菌が、この細菌を噴霧した葉を与えられた草食性ヨトウムシ幼虫の腸内、および糞便のペレット中においても生存したままであることが報告されている(Armstrong et al. 1989)。WatanabeおよびSato (1998)らは、このようなバクテリアによる処理をした餌を与えたカイコ幼虫の腸内、および糞便においても、植物および昆虫に生息するEnterobacter cloacae株、および臨床株が生存していることを明らかにしている。
【0005】
これまでに、本発明者らは、グラム陽性および陰性細菌からキチナーゼとキトサナーゼ遺伝子をクローニングしており、その酵素学的特徴についても詳細に検討を行っている。そこで、温室トマトを荒らす植物食性のテントウムシのキチン質を分解することによって、効果的に生物防除すべく、前記Enterobacter cloacae細菌にキチン質分解酵素遺伝子を導入することを考え、これに成功した。
【0006】
しかし、上述のようなトランスフォームされた細菌を使用する際に、この株を配慮なく使用することによって、この株が予想外に自然界に残存することとなり、標的としない植物および動物に日和見感染するといった潜在的なリスクが存在することも考慮しなければならない。このような生態学的なリスクを最小にするための主要な課題として、環境中に放出された細菌の移動、および行動を明らかにすることが必要であり、そのためには遺伝的に同じか、または異なったバックグランドの固有細菌を導入された細菌と特別することが必要である(Mahaffee et al. 1997; Rattray et al. 1995; Robbins et al. 1988; Roberts et al. 1996)。このような観点からも、Ent. cloacaeをモニターするための方法が、関連分野の研究において必要とされている。
【0007】
上述のように、組換えDNA技術の適用が増加することについての懸念とともに、外来遺伝子が導入された細菌の使用の増加が予想されることから、一部の研究者は、免疫学的な技術を使用して環境中に放出される細菌を効果的に追跡する調査を始め(Ladha et al. 1983; Perdersen and Leser 1992)、トランスジェニック・マーキング技術によって調査おこなっている(Armstrong et al. 1989; Rattray et al. 1995; Roberts et al. 1996; Firth 1999)。
【0008】
現在、細菌をモニターするために使用することができる技術としては、選択培地で細菌を培養して、内因性の抗生物質抵抗性を調べる方法、または蛍光産生を調べる方法、または免疫蛍光抗体法でコロニーを染色する方法(Mahaffeeほか1997)などがある。さらに、より直接的な方法として、生体発光を生じるluxオペロン(Shaw et al. 1988; 1992)、およびlux遺伝子に連結された緑色蛍光タンパク質(gfp)(Unge and Jansson 2001)などのリポーター遺伝子(Firth 1999)を使用する方法がある。これらのリポーター遺伝子は、植物の組織および器官において、マークした細菌の局在を可視化するために有用である。Ent. cloacaeを遺伝的にマークするために、lux遺伝子が使用されており、発明者らの研究室においても、根面または根圏に植物病原性、および非病原性の細菌を検出するために使用している(Toyoda et al. 1993; 1997)。この方法では、効率は、主にコロニーからの生物発光の強度に依存している。したがって、固形の培地に小さなコロニーがたくさん形成された場合、細菌のバックグラウンド群から、マークされた細菌を区別できるほどの発光強度は得られない。一方、GFPでマークした細菌では、U.V.または青色光を照射することによって、検出することができるが、U.V.ランプの下で照らすと蒼白色-緑色となる蛍光性メタン発酵菌と区別することは困難であると考えられる(Doddema and Vogels 1978; Ashby et al. 2001)。
【0009】
その他ビルレントバクテリオファージを使用する方法があり、リポーター遺伝子によって組換えバクテリオファージを構築ことにより、バクテリアをモニタリングする方法がある。Mycobacterium tuberculosis (Pearson et al. 1996)、およびListeria monocytogenes (Loessner et al. 1996)に特異的なビルレントバクテリオファージのゲノムにルシフェラーゼ遺伝子を組み込んだ後、このバクテリオファージを細胞に感染させると生物発光し、感染後の溶菌段階でうまく検出される。したがって、このルシフェラーゼが組み込まれたバクテリオファージは、食品および環境サンプルを汚染する際の少量の個体群に対しても非常に感受性である。しかし、同種のバックグラウンド細菌に対してもリポーターバクテリオファージが感染してしまうため、環境中に放出されたトランスジェニック細菌をモニターするためにいつでも有効である訳ではない。したがって、遺伝的にトランスフォームされた細菌が環境中に放出された際に、これを直接追跡するための方法が所望されている。
【0010】
今回、発明者らは、前記Ent. cloacae特異的に感染するバクテリオファージを単離することにも成功している。また、このビルレントバクテリオファージが、宿主細菌細胞Enterobacter cloacaeを非常に特異的に認識し、感染細胞が急速に溶解されることに注目した。感染後、このビルレントバクテリオファージが、キチン遺伝子でトランスフォームされたEnt. cloacaeに感染して、溶解サイクルが起こったときに、キチン質分解酵素の大部分が放出される。このキチン質分解酵素の活性は、蛍光ラベルされたキチン質分解酵素の基質を使用することによって、容易かつ特異的に検出することができることがわかっている(Robbins et al. 1988; McCreath and Gooday 1992)。
【0011】
そこで、前記バクテリオファージを利用して、キチン質分解酵素遺伝子が導入された細菌をモニタリングするための、より簡便かつ感受性の高い方法を開発することを考えた。このアプローチによれば、前記バクテリオファージが、特異的に細菌に感染して溶菌することにより、キチン質分解酵素が放出されることとなり、このキチン質分解酵素活性を検出することによって、より効率的、かつ特異的にトランスフォーメーションされた細菌を検出できると考えた。
【0012】
【非特許文献1】
Toyoda, H., Kita, N., Kakutani, K., Matsuda, Y., Dogo, M., Kato, Y., Nomura, T., Bingo, M., Tampo, H., Chatani, K., Shimizu, K. and Ouchi, S.、Evaluation of stable resistance expression in self-pollinated progenies of bacterial wilt resistant regenerants obtained from leaf callus of tomato.、“Plant Biotechnology”、(Japan)、1997年、14巻、p.105-110
【0013】
【非特許文献2】
Toyoda, H., Morimoto, M., Kakutani, K., Morikawa, M., Fukamizo, T., Goto, S., Terada, H. and Ouchi, S.、Binary microbe system for biological control of Fusarium wilt of tomato: Enhanced root-colonization of an antifungal rhizoplane bacterium supported by a chitin-degrading bacterium.、“Annals of the Phytopathological Society of Japan”、(Japan)、1993年、59巻、p.375-386
【0014】
【非特許文献3】
Toyoda, H., Kakutani, K., Ikeda, S., Goto, S., Tanaka, H. and Ouchi, S.、Characterization of deoxyribonucleic acid of virulent bacteriophage and its infectivity to host bacteria,、“Pseudomonas solanacearum. Journal of Phytopathology”、(Germany)、1991年、131巻、p.11-21
【0015】
【非特許文献4】
Ikeda, S., Toyoda, H., Matsuda, Y., Kurokawa, M., Tamai, T., Yoshida, K., Kami, C., Ikemoto, T., Enomoto, M., Shiraishi, K., Miyamoto, S., Hanaoka, M. and Ouchi, S.、Cloning of a chitinase gene chiSH1 cloned from gram-positive bacterium Kurthia zopfii and control of powdery mildew of barley.、“ Annals of the Phytopathological Society of Japan”、(Japan)、1996年、62巻、p.11-16
【0016】
【非特許文献5】
Matsuda, Y., Kashimoto, K., Takikawa, Y., Aikami, R., Nonomura, T. and Toyoda, H.、Occurrence of new powdery mildew on greenhouse tomato cultivars.、“Journal of General Plant Pathology”、(日本)、2001年、67巻、p.294-298
産業上の利用分野
本発明は、キチン質分解酵素遺伝子が導入された細菌を迅速かつ効率的に検出するための方法に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】キチン質分解酵素遺伝子が導入された細菌を検出するための方法であって、
前記キチン質分解酵素遺伝子が導入された細菌を、該細菌に特異的なバクテリオファージと接触させる工程と、
前記バクテリオファージの感染によって溶菌した細菌のライセートとキチン質分解酵素基質4-メチルウンベリフェリルN,N',N'',N'''-テトラアセチル-β-D-キトトリオシド(4MU-(GlcNAc)3)を反応させる工程と、
前記基質の分解産物である4-メチルウンベリフェロン(4MU)の蛍光を検出する工程と、
を含む方法。
【請求項2】請求項1に記載の方法であって、前記細菌が、Ent. cloacaeである方法。
【請求項3】請求項1または2に記載の方法であって、前記ファージが、EcP-01である方法。
【請求項4】請求項1~4のいずれか一項に記載の方法であって、前記蛍光の検出が、UV照射によって、基質分解産物である4MUの蛍光を可視化して検出することによる方法。
産業区分
  • 微生物工業
国際特許分類(IPC)
Fターム
画像

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JP2002260418thum.jpg
出願権利状態 権利存続中
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